はじめに……1 第1章 株価を動かす要因を知る……11 1. 何が株価を動かすの?……13 2. 株価を動かす要因……21 3. 構造的な要因と、投機的な要因……30 4. 相場を動かす構造的な要因……37 5. 投資と投機……46 第2章 株式市場で注目すべき材料……59 1. 企業業績……64 2. 社会的評判……72 3. 投資家動向……74 4. 景気動向……87 5. 金利……90 6. 財政……95 7. 為替レート……98 8. 原油価格……102 9. 国際情勢……107 10. 国内政局……109 第3章 リスク・マネージメント……111 リスクは避けるものではなく、うまく管理すべきもの……113 姿を消したスーパーディーラー……115 市民権を得た「損切りの徹底」……117 評価損は実現損より性質が悪い……119 損はでるもの。そして、損は切るもの……121 損切りのタイミング……124 損切りをする場所……125 勝負は潮の流れに乗れているときに行え……126 第4章 値上がる株の見つけ方……127 1. 銘柄検索……128 ・他人任せの銘柄選択……128 ・自分で行う銘柄選択……129 ・自分で行う銘柄選択――スクリーニング……130 ・アナリストの仕事で役立つことは?……131 ・出来高に注目する……131 ・投資か、投機か……132 ・投資も投機もチャート調べから……135
2. チャート分析……137 ・スペック(仕手、材料株)の兆候を示すチャートの形状……137 ・ショートカバーの兆候を示すチャートの形状……139 ・本格反騰を暗示するチャートの形状……141 ・勝負は利食いでつく……144 ・踏み出すところからすべては始まる……145 ・損切りの大切さと同様に確実に利食うことも大切である……147
第5章 毎日のニュースから相場観を組み立てる……153
近い未来の方が、遠い未来よりも確実に予測できる!
かつて企業が見た夢を、今度は個人が見る?
ユーロについて(通貨統合を考える)
バスケット通貨にすると通貨危機は起きないのか?
自民党の株価対策(自社株買い解禁、日本版401k、個人投資家優遇策)について
自社株買いは、優良投資家を引きつける
ストックオプションの行使価格変更/当時の市況から
アメリカ人口統計を発表
バークシャーの1株益が2倍以上に!
消去法で買われる相場は強い/アメリカは特殊な国である
アメリカの人口統計から意外なことがわかる
ドルリンクの意味するところ/米国債の次は日本株?
銀行による外債投資/新興国市場への資金流入急減について
アメリカの話題より/長期と短期とを混同するなかれ
銀行の外物投資について/アメリカのエネルギー危機
我田引水/日本国債はやはりトリプルAである
ドイツの移民受け入れ策は日本でも検討する価値がある
財務省による為替介入/Y=C+Iという公式
投資と投機の区別をつけろ
貿易黒字が投資収益の黒字に転化していくのは健全な成長過程��
貿易黒字が投資収益の黒字に転化していくのは健全な成長過程��
バンク・オブ・アメリカの自動車リース撤退
アルゼンチンにIMFが80億ドルを追加支援したこと
マリファナの合法化について/日本国債の格付けはなぜ下がる?
金融市場が要求するのは自由にいつでも売り買いできる平和な社会
円は安くなる!/9月11日はターニング・ポイントとなった! 円売り介入はいくらでもできる/有事の教訓/仮説の落とし穴
なぜ、為替や債券ではなく、株式なのか?/ドルは急落するか?
戦時下の貿易/自由も安全も!
アルゼンチンはドルリンクから離脱すべきである/有事のドル買い
高PERの株式投資は見送るべきか?/米国債が急落! 数字は嘘を言わない!/株とローンはどちらが危険か?
中国も変動相場制を考える時期にきた!
Don't cry for me, Argentina♪
好況でも不況でも破綻する米企業?/元本保証で高利回り? ここまで来たアルゼンチンの危機!
自分の資産は自分で防衛するしかない/原油価格下落の功罪
ヘッジファンドが暴れなくても通貨危機は起きる
日本の政治家、当局者は「円安容認」を叫ぶな
石油は極めて特殊な商品である
やはり国際化の流れは止められない!
欧州の統一通貨ユーロの流通がスタート!/アルゼンチン事情
今日のアルゼンチンは明日の日本?/円の動向は市場が決める
これからの日本はどうする?/銀行は株を買うな?
銀行は預かった資金を何で運用する?
好ましいことには違いないのだが…/企業再建ファンド第1号!
アルゼンチンはようやく正常化への第一歩
はじめに
みなさんが株式を購入する際の動機は何でしょうか?
株券は発行会社のオーナーシップの証明書ですから、有名企業、あるいは個人的に気に入った会社のシェア分だけのオーナー(株主)になることでしょうか? もしも本書を手にしたあなたが、そのような動機の方でしたら、残念ながら何の役にも立ちません。
株式投資はカネはかかるが、知的なゲームなので続けている。そういう方には、本書の第2章か第3章までで読み終えることをお勧めしておきます。
本書の大きな目的は、株式投資でいかにリターンを上げるかを追い求めている方々に役立つノウハウを提供することです。
第1章では、なぜ価格が動くのかを解き明かし、株価を動かす要因を構造的(継続的)なものと、投機的(目先的)に分類して説明しています。第2章は、株式市場で注目すべき材料を説明し、投資勘定と投機勘定別に対応の仕方を述べています。ここまでの章を読むだけでも(たとえば市場経済を学びたい学生諸君にも)それなりの価値があるはずです。
この1、2章は、相場という世界を初心者の投資家にも理解してもらいやすくするため、証券会社のトレーニー(研修生)と先輩ディーラーとの対話形式で進めています。初心者が疑問に思うようなポイントを、トレーニーの口を借りて、先輩ディーラーに質問させています。市場動向を伝えるために本文中で引用した新聞記事を古く感じる方がいるかもしれませんが、もともとXデーの記事でも十分なところを、理解のためにわかりやすい相場つきの日を選びました。したがって、日付はあまり気にしないでください。
第3章は、実際に資金を運用する際の最も重要な点、リスク管理の大切さを説いています。
株式投資を行う方々が「会社四季報」や「日経会社情報」を読んだり、新聞の株式欄をチェックしたり、はたまた当の企業のバランスシートを調べ、経営者に興味を持ったりするのは、就職するのに良さそうな会社を見つけたいからではなく、値上がる株を見つけたいためだと思います。あえていえば、どんな会社の株でも、儲けることができるのなら買いたいというのが本音でしょう。
とはいえ、たまたま仕手筋の情報を得て、うまく儲けることができてもその場限りで、自分で儲けたという実感もないでしょう。損をすれば、逆恨みもしたくなるというものです。
私たちが投資理論を学んだり、材料を吟味したりするのは、自分の行動に筋道をつけ、確信を持つためです。そうであれば、仮にその行動が間違っていたとしても、自分の行動の跡を分析して、再チャレンジができるのです。何度か間違うかもしれませんが、その度に何かをつかみ上達することができるのです。
そのためには、自分で納得して行動する必要があります。本書の第1〜3章は、価格変動の性質を理解し、結果として取る自分の行動に納得してもらうために書いています。
とはいえ、いかに理論武装しても、どのように自分の行動に納得していても、儲けることができなければ話になりません。リターンが読めなければリスクを取る意味がない、といえます。自己満足して楽しむだけならば、ほかにいくらでも安価な手段があるのですから。そのために、ならば値上がる株をどのようにして見つければいいのかを、第4章で述べています。
このような本で常に疑われるのが、「本当に儲かると思っているのなら人に言うはずがない」というものです。
しかし、たとえばシドニー・オリンピックでのマラソン金メダリスト高橋尚子選手を育てた小出監督が、コーチの秘訣を書いたところで、小出監督が失うものがあるでしょうか? だれかが同じ理論を持っていたところで、小出監督だからこそ高橋選手の潜在能力を見抜き、見事に育てあげることができたのでしょう。
それでは、小出監督の書いたものを普通人が読むことは無意味でしょうか?
何も知らなかった人が小出理論に触れたなら、目から鱗で何かを発見できるかもしれません。また自分の理論を持つ人は、さらに磨きをかけたり自信を深めたりして、高橋選手以上の選手を育て上げるかもしれません。
いずれにしても、小出監督が失うものなどないのです。私も同様です。それよりも私は資金運用のプロの職人として、恥ずかしい仕事はしたくないだけです。
本書の出版にあたっては、パンローリングの後藤康徳氏、マイルストーンズの細田聖一氏のご協力を得ました。後藤氏は相場関係の海外の名著を我が国に次々と紹介するだけでなく、廃刊となっている名著の版権を大手出版社から買い取って復刊させるなど、わが国の投資家レベルの向上に多大なる貢献をされています。また、細田氏の編集センスによって、本書は原稿の段階からは想像もできないほど、すばらしい出来栄えとなりました。ここに改めて、感謝の意を表します。
株式投資は、株価の未来を予測します。明日を読むことだといえるでしょう。明日を読んでリスクを取ることは、明日を信じることでもあります。
そしてリスクは、うまく取りさえすれば、必ず見返りをくれるものなのです。
矢口 新