株価変化のカレンダー効果 第2回

           日経平均先物の曜日効果

 

              オリエント貿易アセットマネジメント部 浅井宏作成

              電話 0120-777-205

 

 第2回目は日経平均先物を利用して各種の検証を行いました。

 データとしては、日経平均先物の4本値(19999月末まで)のバック・アジャスト・データを使用しました。限月交代は2日連続して売買高が逆転した場合を原則とし、それが起こらなかった場合はSQ3日前に限月交代したとみなしました。

 

 198810月から19999月までの期間における曜日ごとの日次収益率(=(当日終値÷前日終値)×100100)、累積収益率(=週初からの累積変化率)、上昇日率(=前日比上昇した日の比率)、上昇日上昇率(=上昇日の収益率平均)、下落日下落率(=下落日の収益率平均)を計算しました(表1参照)。

 198810月から19891月まで土曜日が8日分含まれていますが、その数値は無視しています(当時は隔週で土曜日に立ち会いが行われていました)。

 

 なお、表の中で上昇日率と下降日率を加えて100%にならないのは、前日比変わらずの日があるためです。

 

 表1をみてわかることは、火曜日の日次収益率が最も高く(+0.075%)、逆に月曜日の日次収益率が最も低い(−0.132%)ということです。また、上昇日率は火曜日が最も高く(上昇確率は52.75%)、月曜日が最も低く(上昇確率は45.08%)なっています。さらに、上昇日上昇率は月曜日が最も高く(+1.11%)、下落日下落率も月曜日が最も高く(−1.18%)なっています。

 日経平均(現物指数)の結果と比べると(第1回を参照のこと)、月曜日の日次収益率が最も低いという結果は同じです。

 

 上記の傾向が今後も続くと仮定すれば、月曜日の引け値時点で買い、木曜日の引け値時点で売れば、最も有利といえます(この場合の累積収益率は0.159%)。

 

 次に、当日高値から当日安値までの値幅変化率(=(当日高値÷当日安値)×100100)を調べてみましょう(表2参照)。

 

 表2は一日の変動率の「曜日効果」をみることになります。一日の値幅変動率にはあまり差異がないことがわかります。

 

 さらに、当日始値から当日終値までの値幅変化率(=(当日終値÷当日始値)×100100)を調べてみましょう(表3参照)。寄付きに成り行きで買って(売って)、大引けで反対売買するという戦略をとった場合、なんらかの「曜日効果」があるかどうかを調べることになります。

 

 表3をみてわかることは、火曜日の値幅変化率のみがプラス(+0.037%)で、それ以外の日の値幅変化率がマイナスであるということです。特に月曜日の値幅変化率が最も低く(−0.115%)なっています。また、上昇日率は火曜日が最も高く(上昇確率は51.10%)、月曜日が最も低く(上昇確率は42.80%)なっています。上昇日上昇率は月曜日と水曜日が高く(ともに+0.85%)、下落日下落率は月曜日が最も高く(−0.90%)なっています。

 

 すなわち、寄付きに成り行きで買って(売って)、大引けで反対売買するという戦略をとった場合、月曜日の寄付きに売って大引けで買い戻すという戦略をとれば最も有利といえます(次に有利なのは、金曜日の寄付きに売って大引けで買い戻す戦略)。

 

 さらに、

@買う(ロング・ポジションをとる)場合は寄付きで商いを執行せず、大引けで執行した方が有利である、

A売る(ショート・ポジションをとる)場合は大引けで商いを執行せず、寄付きで執行した方が有利である、

ということもいえるでしょう。

 

 次に、前日終値から当日始値までの値幅変化率(=(当日始値÷前日終値)×100100)をみてみましょう(表4参照)。これは前日の引け値から当日寄付きまでのギャップ(値幅)に「曜日効果」がないかどうかをみることになります。

 

 表4をみると、木曜日の値幅変化率が最も高く(+0.129%)、逆に月曜日の値幅変化率が最も低く(−0.018%)なっています。また、上昇日率はすべて50%以上となっており、木曜日が最も高く(上昇確率は55.49%)、火曜日が最も低く(上昇確率は50.18%)なっています。また、上昇日上昇率は月曜日が最も高く(+0.57%)、下落日下落率も月曜日が最も高く(−0.66%)なっています。

 

 特徴としては、木曜日のギャップが大きいことです。

 この結果と、表1の結果を合わせて考慮すれば、月曜日の引け値時点で買い、木曜日の寄付き時点で売れば、最も有利といえます(この場合の累積収益率は0.214%となり、木曜日の大引けで手仕舞うよりも収益率が0.055ポイント高くなります)。

 

 最後に、前日の日次収益率の方向(価格が上昇したのか、あるいは下落したのか)が当日までのギャップに影響を与えるかどうかを調べてみましょう。このために、前日に価格が上昇した場合と下落した場合に分けて、前日終値から当日始値までの値幅変化率(=(当日始値÷前日終値)×100100)を計算してみました(表5と表6を参照)。

 

 表5と表6をみてわかることは、前日に価格が上昇した場合、値幅変化率と上昇日率はすべてプラスとなっているということです。つまり、前日に価格が上昇した場合、前日の大引けから当日の寄付きまでのギャップがプラスとなる可能性が高いということです。特に木曜日と水曜日の値幅変化率が高くなっています(それぞれ+0.184%、+0.120%)。

 一方で、前日に価格が下がった場合、月曜日と水曜日、金曜日に関しては、前日の大引けから当日の寄付きまでのギャップがマイナスとなる可能性が高いといえそうです。ただ、木曜日については、値幅変化率・上昇日率ともにプラスとなっており、ギャップがプラスとなる可能性が高いといえます。

 

 以上の点から、

@ロング・ポジションを持っていて手仕舞うことを考慮している場合、当日が高ければ、翌日の寄付きに反対売買した方が有利である、

Aショート・ポジションを持っていて手仕舞うことを考慮している場合、当日が高ければ、その日のうちに反対売買した方が有利である、

Bロング・ポジションを持っていて手仕舞うことを考慮している場合、当日が安ければ、その日のうちに反対売買した方が有利である、

Cショート・ポジションを持っていて手仕舞うことを考慮している場合、当日が安ければ、翌日の寄付きに反対売買した方が有利である(ただし、その日が水曜日あるいは月曜日の場合はその日のうちに反対売買した方が有利である)、

ということがいえそうです。

 

 次回(第3回)は日経平均(現物指数)のデータを利用して月中の日次収益率を調べます。