p%天底利用リズム取り

1.立花式リズム取りとp%天底の関係

去年の暮れ,来年は亥年だから,来年こそ,と期待していました。しかし,新年第1週,株式市場がまったく低迷しています。お祝儀相場どころではありません。このままでは,証券会社のいくつかが,経営不振のためつぶれてしまうかもしれません。

 PK0が,Poverty Keeping 0perationだったのか,PriceならぬHang(低迷)Keeping 0perationだったのかもしれません。過度の人為的操作は,自然破壊につながります。去年1年間,株価の自然のリズムが人為的に破壊されたように思います。Hang up!(冗談はやめてくれ1)といいたいところです。

 林先生は,昨年7月号の「株式売買実践論」で,「相場をするからには,1億円をひとつの目標」にするべきだ,と書かれています。また,立花義正氏の売買法をしばしば引用され,増し玉の仕方の重要性も強調されています。どこだったか忘れましたが,立花氏の売買を,「リズム取りの極致」と書かれていたようにも思います。

 昨年9月号で,p%天底の話を書きました。この数カ月間,実験売買してみましたが,日足終値のp%天底は,ウネリ取りにもリズム取りにも利用できそうです。低迷している相場でも,まだ短い経験にすぎませんが,かなり実用価値がありそうです。 現在,「小さく固まった人」にならないために,立花式売買法を参考にし,p%天底利用のリズム取りを検討しながら売買しています。今年は,これらの検討結果を,順次紹介させていただきます。今回は,まずは立花式売買法を簡単に分析してみます。

 表lをご覧ください。立花義正著「あなたも株のプロになれる」(同友館)に記載されている立花氏の売買譜から,売買した立会日の部分だけを抜きだしたものです。銘柄は「6773パイオニア」,売買期間は1975年(昭和50年)から1976年の2年間です。

 「年月日」は,西暦の下2桁,月,日を斜線でつなげ,直前と同じ年と月は省略してあります。「始値」は,75/1/4の大発会を除き,前日の終値で判断して売買した日の寄り付き値で,売買値そのものです。

 「終値」は,売買した日の終値で,実際の売買とは関係がありません。76/10/8の株価が大きく下がっていますが,9/27に株式分割したためです。

 「売買」は,”‐”の左側は「売」の単位数,右側は「買」の単位数です。売買単位は,76/9/20までは1000株で,翌日の9/21からは100株になっています。

 「残玉」は,売買した日のポジションで,”‐”の左側が売時ちの単位数,右側が買持ちの単位数です。かなりツナギを入れています。”0−0”は,ポジションがマル(ゼロ)で,失敗と判断して何回かマルにしていますが,2年間で13回,区切りをつけています。

 名人技というのでしょうか,ポジションが複雑に変化し,2年間で159回,平均して暦日数4.5日に1回,立会日数3.6日に1回,売買しています。

 2年間に亘る売値の合計(「売」の株価×売単位数×売買単位の合計)は641,814,000円,買値の合計(「買」の株価×買単位数×売買単位)は598,210,000円,取引コスト込みの利益(売値の合計一買値の合計)は43,604,000円です。片道の取引コストが売買値の約2%とすれば,取引コスト合計の概算(0.02×(売値の合計+買値の合計))は24,800,480円,純利益の概算は18,803,520円になります。1年間で約1000万円の純益をあげています。

 図l-1と1−2をご覧ください。2年間の「パイオニア」の日足終値の折れ線グラフに,表1の「売買」と「残玉」を書き入れたものです。1ページに4図,2ぺ一ジで8図に分けて示してあります。紙数と紙幅の関係で,図をかなり圧縮しています。各図の縦軸の目盛りの取り方が違うのに注意してください。各回の横軸は立会年月日で,最後の図を除き,連続する75立会日です。各月始めの位置に月番号を書き,縦方向に点線を引いてあります。ただし,1月には西暦の下2桁を併記してあります。 横軸は終値で,切れの良い値を書き,その位置に横方向に点線を引いてあります。繰り返しますが,折れ線の上下の幅を広げるため,図ごとの株価の目盛りの取り方が違います。

 折れ線は,日足終値の動きです。

 下向きの矢印は,「売」の立会日の位置を示し,矢印のすぐ上の数字は,「売」の単位数です。また,その上の括弧内は「残玉」で,上が売時ち数,下が買持ち数です。

 上向きの矢印は,「買」の立会日の位置を示し,矢印のすぐ下の数字は,「買」の単位数です。また,その下の括弧内は「残玉」で,「売」の場合と同様に,上が売時ち数,下が買持ち数です。

 図の大きさの関係で,「売買」と「残玉」の数字が小さく,ところどころ童なってしまいました。分かりにくいと思いますが,表1を見ながら,折れ線の動きと建て玉の入れ方,ポジションの変化を追ってください。

 立花氏の著書には,氏自身の詳細な説明があります。どこが満足できる売買で,どこが失敗だったかなども書かれています。非常に参考になるので,ぜひお読みください。図l‐1と1−2を見ながら説明を読むと,立花氏の売買法を理解しやすいと思います。

 図2〜5をご覧ください。立花氏の売買と1,2,3および10%天底の関係を示してあります。ただし紙数の関係で,各回の横軸は150立会日に圧縮し,売買した位置に矢印だけを示し,「売買」や「残玉」の数値を省略してあります。○は天井,●は底です。

 図の天井や底の位置と矢印の位置の関係を,じっくりと見てください。表1や図1−1〜1−2の売り建てや買い建ての玉数およびツナギとの関係をじっくり考えてください。さらに,著書の説明を読んでください。

 立花氏の売買法は,私には,1〜5%天底あたりを売買の判断基準にしている,ともいえるような気がしてなりません。読者の皆さんは,どう思われますか?

 次回から,p%天底を利用した,いろいろな条件のシミュレーション結果を紹介する予定です。p%天底の決め方は簡単ですが,実際の売買にかなり具体的に役立つ,と思っています。

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