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渡辺幹夫のエトセトラ(運用にまつわるあれこれ)

「ファンドマネージャーの株式運用戦略」「ファンドマネージャーの知恵」著者
渡辺幹夫のコーナー

新しい順に載せてあります
当コーナーの内容は筆者が個人的に考えていることであり、筆者の所属する会社の見解とは全く関係がありません。
当コーナーでヒントを得て行う株式投資は、全て投資家の自己責任でお願いします。


ファンドマネージャーの株式運用戦略


DVD やさしいバリュー株投資


DVD 株式運用戦略セミナー
低位バリュー株投資・アノマリー・行動ファイナンス




最終回
自分自身に適した投資戦略は必ず見つかるはず

2007.10.19

 今回は最終回です。投資戦略ということについて、考えるところを書いてみたいと思います。

 株式投資は、成功するか失敗するかのいずれかです。これは当たり前の話ですが、さらに掘り下げて考えてみた場合、失敗するパターンはおおむね決まっている一方、成功する要因や手法はさまざまであるといえます。

 まず、株式投資で失敗するパターンを考えてみましょう。これはレバレッジのかけ過ぎ、1銘柄へ集中投資のし過ぎ等に起因し、しかるべき損切りがきちんと実施できていないケースがほとんどでしょう。これは、さまざまに存在する投資戦略においておおむね共通していることであり、逆にいえば、この点にさえ注意していれば大きな失敗となる可能性は低いということだと思います。
 これとは対照的に、株式運用手法における正解は1つではなく、いくつもあると思います。短期売買や長期投資、デイトレやうねり取り、バリュー株投資やグロース株投資等、あらゆる手法が存在しますが、要は筋道が正しくて上手にできれば成功するということです。

 株式運用は、常に将来という未体験ゾーンへの挑戦です。欲と不安と恐怖に振り回される非常にメンタルな世界であり、自分にしっくりくる方法でないと成功は難しいと思います。しかしながら情熱を持って模索し続けさえすれば、自分自身に適した投資戦略は必ず見つかるはずです。

 当コーナーではこれまで、折に触れ、低位バリュー株分散投資戦略について説明してきました。私が最後に申し上げたいのは、この投資戦略が自分に合っている、自分の持ち味が出せる、実行できると思ったら、ぜひチャレンジしてほしいということです。当戦略は現在、私が考える最も合理的な投資戦略であり、実際、私もこの方法で長期投資を実践しています。



 さて私儀、
 このたび、ある運用会社に転職する運びとなりました。これに関連し、1998年から続いたこのコーナーをひとまず手仕舞いさせていただくこととしました。長年にわたるご愛顧、ありがとうございました。本日、2007年10月19日は、1987年10月19日のブラックマンデーからちょうど20周年に当たります。このなんともいえないめぐり合わせの日に、ひとまず筆を置かせていただくこととします。

 私自身は引き続き、低位バリュー株投資戦略による長期投資を続けていきます。当投資戦略は、ここから花開くことになると期待していますが、さあどうなるか???今後の相場展開が非常に楽しみです。
 みなさん、また会う日まで。Good Luck!!!



 

信用期日売りに伴う低位バリュー銘柄の一時的な需給悪

2007.9.14

 サブプライムショック後、米国株はかなり値を戻したのですが、日本株はまだまだといったところです。下にあるのはNYダウと日経平均の相対チャートです。直近のNYダウの高値を100として推移を示しています。これを見ると、NYダウは直近の高値から3%程度下に位置している一方、日経平均は13%も下であり、日本株の弱さが目立ちます。逆に言えば、サブプライムショックの「お膝元」である米国の株式市場では、一時的なショックは大きかったものの相当回復しているのが現状だと思います。
 今後の2番底の可能性は否定できない、むしろ2番底が発生する可能性が高いのかもしれませんが、こと米国株式市場においては、すでに最悪期は脱しているとの評価になっているようです。いかがでしょうか?

 日本株については、円高による企業業績に対するネガティブインパクトという懸念等が背景にあるのでしょうが、現在の株価水準を考えれば、この手の悪材料はすでに相当織り込み済みとの見方も可能だと思われます。逆に言えば、仮にNYダウが新高値になった場合に日本株の動きはどうなるのでしょうか?

 このような状況の中、低位バリュー株についてはなかなか下げ止まらない銘柄が多い状況です。この背景としては、今年の3月にかけて信用買い残が増加している、あるいは高水準だった銘柄が多く、その期日に伴う売りが需給の足を引っ張っている部分が大きいようです。

 高値買いしてその後手仕舞いのチャンスがなく、ここにきて期日で手仕舞いを余儀なくされている売りが高水準となっている。一方で日々の下落から、一時的に買いの手は引っ込む…この一時的な需給悪の影響が大きいようです。しかしこの手の売りは反対売買が終わりさえすればスケジュール的に終了する類のものなので、ここ1〜2週間で需給関係はかなり改善すると考えます。

 以上のことを踏まえ、低位バリュー株の銘柄スクリーニングを再度実施してみました。条件は以下の通り、毎度おなじみのものです。
母集団 : 東証1部銘柄
株価 : 250円以下【2007年9月13日現在】
PBR : 1倍以下
配当利回り : 1.5%以上
除く建設セクター

 

No. コード 会社名 株価 PBR 配当
利回り
1 1882 東亜道路工業 167 0.69 1.8
2 1884 日本道路 189 0.36 1.6
3 1895 大成ロテック 184 0.38 1.6
4 1896 大林道路 183 0.38 1.6
5 1916 日成ビルド工業 123 0.8 1.6
6 1972 三晃金属工業 195 0.83 1.5
7 2056 日本配合飼料 173 0.97 1.7
8 2533 オエノンホールディン 242 0.91 2.9
9 2536 メルシャン 240 0.66 2.1
10 3109 シキボウ 130 0.59 2.3
11 3204 トーア紡コーポレーシ 102 0.94 2.0
12 3432 三協・立山ホールディ 156 0.70 3.2
13 3526 芦森工業 211 0.63 2.4
14 3529 アツギ 139 0.66 2.2
15 3551 ダイニック 245 0.80 2.5
16 3577 東海染工 137 0.66 2.2
17 3877 中越パルプ工業 235 0.53 2.6
18 3946 トーモク 238 0.67 2.5
19 4404 ミヨシ油脂 182 0.71 1.7
20 5142 アキレス 173 0.82 1.7
21 5269 日本コンクリート工業 232 0.53 2.2
22 5391 エーアンドエーマテリ 128 0.94 2.0
23 5612 日本鋳鉄管 188 0.68 2.1
24 5701 日本軽金属 239 0.94 2.1
25 5805 昭和電線ホールディン 158 0.79 1.9
26 5815 沖電線 227 0.80 1.8
27 5998 アドバネクス 171 0.61 2.1
28 6138 ダイジェット工業 237 0.91 2.5
29 6218 エンシュウ 188 0.94 2.7
30 6317 北川鉄工所 207 0.86 2.4
31 6358 酒井重工業 237 0.62 2.1
32 6461 日本ピストンリング 200 0.68 2.5
33 6621 高岳製作所 173 0.97 2.3
34 6704 岩崎通信機 141 0.79 1.8
35 7840 フランスベッドホール 172 0.99 2.9
36 7987 ナカバヤシ 219 0.67 2.7
37 7993 サンウエーブ工業 227 0.32 1.5
38 8007 高島 169 0.82 2.4
39 8025 ツカモトコーポレーシ 156 0.61 1.9
40 8042 日本マタイ 211 0.53 2.4
41 8091 ニチモウ 194 0.42 2.6
42 8349 東北銀行 195 0.78 2.6
43 8415 紀陽ホールディングス 156 0.84 1.9
44 8542 トマト銀行 239 0.85 2.1
45 8543 みなと銀行 236 0.98 2.1
46 8562 福島銀行 99 0.87 2.5
47 8567 クレディア 250 0.42 2.0
48 8568 シンキ 149 0.39 4.2
49 8617 光世証券 150 0.76 2.7
50 9305 ヤマタネ 133 0.78 1.9
51 9312 ケイヒン 198 0.92 2.8
52 9351 東洋埠頭 224 0.85 2.2
53 9763 丸紅建材リース 197 0.79 3.1

  
  
  

低位高配当利回り銘柄スクリーニング

2007.08.13


 株式市場では、不安定な動きが続いている。米国の信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に対する不安、それに伴うファンド等の動きが背景にあるのはご存じの通りだが、筆者は以下の点から、一連の騒動(サブプライムローン自体ではなく、株式・為替市場における騒動、すなわち相場下落->ファンドの手仕舞い売り->相場下落の悪連鎖)については、おおむね収束のメドがつきつつある状況だと考えている。

  1. 日米欧の中央銀行は、市場に潤沢な資金供給を続けて金融不安の沈静化に全力を挙げる方向であり、実際、その線に沿って動いている。今後についても、市場の動向を見極めながら政策対応を柔軟に判断する方針である。
    ->「市場の安定が必須」という点で日米欧の足並みが揃っている。ここは重要なポイントだと考える。彼らができる範囲で、流動性の供給を含めた金融緩和を市場が安定するまでとことん行うのではないか?
  2. 少なくとも日本においては、今回のサブプライムショックが実体経済に与える影響は限定的と考えるのが現状では妥当。
  3. 今回のサブプライムショックは、ファンド等が右往左往したことで市場を大きく下落させたが、かかるファンドの持ち高調整は時間の問題で終了する類のもの。

 以上のことから、ここからの株式市場の下落余地は限定的もしくは一時的と判断し、低位バリュー株の銘柄スクリーニングをしてみた。条件は以下の通り、毎度おなじみのもの

母集団 : 東証1部銘柄
株価 : 300円以下【2007年8月10日現在】
PBR : 1倍以下
配当利回り : 1.5%以上
除く建設セクター
No. コード 会社名 株価 PBR 配当
利回り
自己資本
比率
1 1884 日本道路 196 0.37 1.53 37.92
2 1895 大成ロテック 196 0.41 1.53 40.31
3 1896 大林道路 194 0.40 1.55 29.18
4 2004 昭和産業 267 0.94 2.25 34.79
5 2108 日本甜菜製糖 270 0.69 1.85 62.95
6 2533 オエノンホールディン 245 0.92 2.86 29.91
7 3106 クラボウ 266 0.70 1.88 46.50
8 3109 シキボウ 152 0.69 1.97 27.84
9 3432 三協・立山ホールディ 168 0.76 2.98 24.51
10 3501 住江織物 269 0.71 1.86 37.82
11 3526 芦森工業 224 0.67 2.23 58.95
12 3529 アツギ 161 0.76 1.86 78.82
13 3551 ダイニック 258 0.84 2.33 26.70
14 3577 東海染工 157 0.76 1.91 34.89
15 3877 中越パルプ工業 232 0.53 2.59 33.25
16 3946 トーモク 234 0.65 2.56 29.01
17 4229 群栄化学工業 286 0.64 2.10 73.17
18 4404 ミヨシ油脂 192 0.75 1.56 38.32
19 4461 第一工業製薬 277 0.72 2.53 33.41
20 4989 イハラケミカル工業 294 0.54 1.70 68.62
21 5142 アキレス 186 0.88 1.61 47.52
22 5204 石塚硝子 279 0.48 2.15 29.20
23 5210 日本山村硝子 284 0.58 2.11 59.99
24 5232 住友大阪セメント 294 0.87 1.70 43.86
25 5269 日本コンクリート工業 258 0.59 1.94 43.01
26 5408 中山製鋼所 292 0.56 2.05 30.29
27 5612 日本鋳鉄管 202 0.73 1.98 38.36
28 5805 昭和電線ホールディン 160 0.80 1.88 28.19
29 5809 タツタ電線 268 0.70 2.61 74.48
30 5815 沖電線 226 0.80 1.77 67.49
31 5958 三洋工業 276 0.74 2.72 46.36
32 5998 アドバネクス 175 0.63 2.00 41.04
33 6138 ダイジェット工業 259 1.00 2.32 49.07
34 6306 日工 287 0.48 2.09 68.84
35 6317 北川鉄工所 233 0.97 2.15 42.94
36 6358 酒井重工業 277 0.72 1.81 56.81
37 6461 日本ピストンリング 214 0.73 2.34 33.31
38 6621 高岳製作所 177 0.99 2.26 32.54
39 6675 田村大興ホールディン 291 0.71 3.09 47.32
40 6704 岩崎通信機 155 0.87 1.61 55.06
41 6924 岩崎電気 276 0.71 1.81 38.70
42 7244 市光工業 285 0.95 2.11 26.80
43 7260 富士機工 294 0.91 1.70 22.93
44 7971 東リ 280 0.69 2.50 34.77
45 7987 ナカバヤシ 226 0.70 2.65 44.77
46 8025 ツカモトコーポレーシ 185 0.72 1.62 24.05
47 8038 東都水産 268 0.87 1.87 34.56
48 8042 日本マタイ 234 0.59 2.14 31.83
49 8091 ニチモウ 209 0.45 2.39 28.66
50 8095 イワキ 300 0.60 2.00 37.59
51 8201 さが美 273 0.51 3.66 46.38
52 8617 光世証券 165 0.83 2.42 79.56
53 9351 東洋埠頭 232 0.88 2.16 44.27
54 9534 北海道ガス 289 0.71 2.08 27.77
55 9763 丸紅建材リース 203 0.81 2.96 25.98

 さて…流動性供給というと、個人的には1987年のブラックマンデーを思い出す。当時の日本は本来利上げを行うタイミングであったが、ブラックマンデーの後遺症を当局が懸念しすぎたあまり、また米国との関係もあり、然るべき時期に金融引き締めができなかった。このことがバブルの一因となったのは有名な話だが、ブラックマンデー以降の国内の金融緩和状態放置と同じようなことが、今回のサブプライムローン騒動以降に再現される可能性は少ないのだろうか?筆者はどうも、かかる間違いが再度発生するのではないかと期待(?)してしまうのであるが、これは考え過ぎだろうか?



 
 

書評:『株でゼロから30億円稼いだ私の投資法』

2007.07.31

 自宅の本棚の整理をしていたら、遠藤四郎氏が書いた『株でゼロから30億円稼いだ私の投資法』(エール出版)が出てきた。みなさんはこの本をご存じだろうか?初版は1997年6月15日。当時は一部でかなり話題になった本である。低位株投資に興味がある向きには、一読の価値ある本と思われる。当コーナーでお勧めしている低位バリュー株投資戦略と重なる部分が大きいからだ。現在同著は絶版だが、Amazon.comで検索すれば古本を購入することができる。

 遠藤氏の投資法は、一言で言えば低位株の個別銘柄への集中投資。値上がりしたら売って別の低位株を、また集中買いする。これを繰り返し、所有する株数を増やしていくという方法。徹底的に所有する株数にこだわる。
 銘柄分散は、運用資産1億円を達成する過程においてはしていない。少なくとも、個別リスク回避のための「意図した銘柄分散」は行っていない(ただし、運用資産1億円達成後は、複数銘柄に投資している)。

 以下、遠藤氏の運用パフォーマンスを確認するため、著書の前書きを抜粋引用する。

 社会人として、某大手銀行の銀行マンをスタート台にして、今日までおよそ35年が経過した。その間私は、株式投資というものに興味を持ち、サラリーマン、自由業の傍ら、「所有」の意識を重点にして約30年間に渡り、株式の売買を行ってきた。
 その間の株式投資における実績を申し上げると、初めて投資をしたときの投入資金は15万円、ボーナス資金の追加投入など総額で約500万円、これを軍資金として、現在の私の所有株式総数は約1,200万株、純資産30億円である。平成元年バブル景気最盛時、すなわち日経平均38,915円をつけたその翌年には、一時80億円超の時価を記録した。今日その時価総額は約半分弱になっているが、この金額は、私が今天命を知る年齢を過ぎ、今後の人生を20数年と考えると、1年で1億円、1ヵ月に1,000万円使っても、使いきれない金額である。

 次に遠藤氏の運用スタイルを確認するため、著書の前書きを抜粋し引用する(一部筆者が加筆)。

  1. 現在赤字会社であること、長期投資に徹すること
  2. 発行株は少ないほうがよい
  3. あくまでも低位株を狙うこと
  4. 一株当たりの実質株主資本が時価を上回るものであること【要はPBR1倍以下】

 遠藤氏は、運用資産1,000万円達成後、5年かけて1億円を達成している。それまでの足取りは、以下の通り。

  1. 日本化学を20万株80円で買って200円超で売り、1,600万円を4,000万円に(購入後半年、250%)。
  2. 住友石炭を25万株160円で買って300円で売り、7,500万円に(購入後1〜2年、88%)
  3. 伊藤万を30万株250円で買い340円で売り、1億円を達成(購入後半年、36%)

 このようにして運用資産1億円達成後、昭和56年から57年にかけ、一時的な株価下落から時価1億円を5,000万円に減らす(銘柄はオオトリを50万株、郷鉄工を30万株)その後は3年間持ちこたえた結果、株価は買値の3倍になり売却、資産は3億円に増えた。

 同著で説明されている遠藤氏の投資手法は、当コーナーでお勧めしている低位バリュー株投資戦略と重なる部分が多い。逆に大きく異なるところは、以下の4点である。

  1. 意図した銘柄分散をしない
  2. 株主資本比率を勘案しない
  3. 配当を勘案しない
  4. 投資対象を、東証1部に限定しない
    (ただし運用資産1,000万円達成後、5年間かけて1億円を達成する過程では、投資対象は東証1部銘柄。その後一時的に運用資産を半減させることになるのは、大証2部銘柄)

 低位バリュー株投資戦略よりも個別リスクを大きく取って「勝負」しているのが特徴である。このようなやり方による成功事例もあるということを紹介させていただく。




 

低PER株はバリュー株か?

2007.07.16

 「バリュー株の定義がよくわからない。バリュー株とは低PER株のことか?」と尋ねられることがしばしばあります。今回はここのところを整理してみたいと思います。結論から言うと、以下の通りです。

  1. バリューはグロースの逆の概念であり、分類する基準はPERではなくPBRである(狭義のバリュー株)。低PER銘柄は、「グロース−バリュー」の銘柄分類とは独立した、別の考え方である。
  2. 資産運用のオーソドックスな分類では上記の通りだが、一部ではEPS等の「利益」をキーとして割安なものをバリュー株とする考え方も台頭している(広義のバリュー株)。

 以下に詳しく説明します。

 「グロース−バリュー」の分類は、株式運用の実務、具体的には年金資金の株式運用実務において、グローバルに取り入れられている基準(運用スタイル)のひとつです。バリューはグロースの逆の概念であり、分類する基準はPBRです(PERではありません)。これがオーソドックスかつ古典的な考え方です。私はこれを、「狭義のバリュー株」の概念と整理しています。

 PBR、PER、ROEには、以下の関係が成立しています。この関係式はとても重要なので、ぜひ覚えておいてください。

 PBR=PER×ROE

 この計算式を見ると明らかなのですが、PBRがキーになり、「低PBR銘柄=バリュー株」「高PBR銘柄=グロース株」と大きく2つに分類されます。これが基本的な考え方です。ちなみに、日本株のスタイル・インデックスの草分け的存在である、“Russell/NRIインデックス”におけるバリュー/グロースの区分も、PBRによって行われています。
 そして、ここが重要です。この計算式を見ると、PERを軸として「低PBR銘柄=バリュー株」「高PBR銘柄=グロース株」と分類されるわけですから、PERはバリュー/グロースを分類する基準から独立していることがわかります。低PER 銘柄は、「グロース−バリュー」の銘柄分類の流儀とは別の考え方なのです。つまり低PER銘柄には、グロース株とバリュー株が共に存在するということになります。

 資産運用のオーソドックスな分類では以上の通りですが、一部ではEPS等の「利益」をキーとして割安なものをバリュー株とする考え方も出てきています。私は現状、この考え方を「広義のバリュー株」と分類・認識しています。「狭義のバリュー株」の応用分野という位置づけをしており、また比較的新しく出てきた分野だと考えています。なお「広義のバリュー株」という考え方は、現状では年金資金の株式運用等、運用の実務で市民権を得られている概念ではありません。
 ちなみに低PERのグロース株投資の手法は、運用の世界ではGARP(Growth At Reasonable Price)と呼ばれます。GARP戦略を用いた投資信託も、広く運用・販売されていますよね。

 「広義のバリュー株」という考え方については、これに基づいて、今後有益な分析ができる可能性も多々あると思われます。が、「狭義のバリュー株」の考え方と混同するとうまくありませんし、しばしば議論が止まってしまいますので、私はこのように両者を分類しています。



 

昨今の低位バリュー株の動きと株価指数「TOPIXスモール」

2007.06.19

1.昨今の低位バリュー株について

 今回のレポートは、相当に感覚的なものです。筆者は低位バリュー株の最近の動きについて、ここから上昇トレンドが待っているように思えてなりません。強気材料が目立つのです。以下に筆者の考えるところを列記します。

  1. 低位バリュー株については、月足では「趨勢的な上昇トレンドにある銘柄が多いもののまちまち」といえますが、日足ベースでいえば、「株価は5月21日前後に目先底入れした」との判断が妥当と考えます。
  2. 東証一部の人気オールドエコノミー大型株はすでに相場になっており、ここからは地味な低位バリュー銘柄に、気が波及する局面と考えるのが、やはり自然と考えます。
  3. 足元では、一部に大きく人気化している低位株も散見されます。このような投機人気についても、一巡してしまうというよりは広く波及していくと考えるのがやはり妥当と考えます。
  4. これまで低位バリュー株のパフォーマンスの足を引っ張っていた新興市場も、一応は下げ止まりの形になっています。
  5. 景気循環面を考えれば、国内景気が踊り場を脱却し右肩上がりを回復といった報道が今後、時間の問題でなされると考えるのが妥当と思われます。
  6. 出たばかりの四季報夏号で2009年までの業績を見ましたが、低位バリュー株については「え?こんなに伸びる見通し?東洋経済の担当者は相当強気だな」という銘柄が多い印象を得ています。配当についても、増配が見込まれているケースが多いようです。この強気見通しは、セルサイドアナリストがカバーしていないケースが多い低位バリュー株の評価について、徐々に市場のコンセンサスになっていくように思われます。

2.株価指数「TOPIXスモール」について

 2007年1月の当コーナーで、日経平均、TOPIX、JASDAQ、東証一部単純平均の相対チャートを示しました。そして当コーナーで解説している低位バリュー株のパフォーマンスは、どちらかといえば東証一部単純平均株価のほうに近いと説明しました。これ以外に「TOPIXスモール」といわれる、低位バリュー株のパフォーマンスを相対的に強く反映している指数があるので、ここに紹介します。

 「TOPIXスモール」は、「TOPIXの算出対象から、TOPIX500と上場間もない企業を抜いた指数」です。東証一部において、時価総額上位500銘柄を除いたTOPIXといったイメージです。また東証一部単純平均が平均株価であるのに対し、この指数はTOPIXと同様、時価総額の推移である点も注目です。つまり時価総額ベースの指数の中では、この「TOPIXスモール」がもっとも低位バリュー株の株価趨勢に近いものであると考えられるということです。



 
 
 

動き出すインフラファンド10兆円市場

2007.05.28

 2007年05月25日、日経金融新聞の一面トップには、「動き出すインフラファンド10兆円市場、『官から民』」へという記事が掲載されており、大いに目を引いた(この文章を読んでいて日経金融新聞を読んでいる方はどの程度いるのでしょうね?)。
 この記事の内容は以下の通り。

 道路や空港、港など社会資本事業に投資する「インフラファンド」が、日本でも本格的に動き出した。日本では三菱商事が年度内にファンドを新設して参入する。株式や債券に代わる安定的な投資先として年金基金など機関投資家が注目。2006年度末の世界の資産残高は市場推定で8兆円前後と、前の年度に比べ約2倍に増えた。民営化が進むインフラの担い手として定着し始めたが、過熱感を警戒する声も出てきた。

 すでに広く知られている通り、この手の投資はこれまで公共投資として扱われ、昨今は公共投資縮小のあおりを受け、インフラの維持・更新は必須ながら、費用は今後どうなるのかと懸念されていた分野である。引き続き記事を引用する。

○インフラファンドは社会資本の建設や維持、運営する会社や事業権に資金を投じ、通行料や使用料などで収益をあげる仕組み。投資先は成熟した社会資本が中心で、投資資産の寿命が30〜40年と長いことが多い。
○三菱商事が狙うのは、今後続々と民間に任されるようになると見られる国内の社会資本の運営事業。高度成長期に作られた道路や港が本格的な補修の時期を迎えるが、国や自治体の懐に余裕はない。
○今後のインフラ維持には、民間資金活用が不可欠」(金融事業本部)というわけだ。
○国土交通省の推計では、道路や港湾など社会資本の維持コストは2030年度には10兆円を超え、現在の2倍程度に増加する。国や自治体の財政に余裕はなく、民間資金の活用なしに社会資本の維持は難しくなる。

 そして「海外ではインフラファンドの運用残高が急増している。昨年度8兆円規模だった残高は、2007年度には10兆円規模に増えるのが確実視されている」とのことであり、外資の主なインフラファンドの設立金融機関として、この分野に強いマッコーリーグループの他に、ゴールマンサックス、クレディスイス、モルガンスタンレー等おなじみの投資銀行グループの面々が掲載されている。

 さて、すでにご案内の通り、私は建築投資循環と設備投資循環が複合する「黄金サイクル」により、2010〜2012年にかけての景気・株式相場の上昇を見込んでいる。建設の公共部門についてはこれまで、莫大な更新需要が存在することがわかっている一方、公共投資の削減の中で資金をどうするかが課題になっていた。しかし当記事に書かれている展開になるとすれば、資金面でのメドがつくことになると思われ、今後に期待できる。

 最近の株式市場では、グローバル展開により首尾よく成長できている企業が物色される展開になっているが、そろそろ循環物色のお鉢が、内需型の低位バリュー銘柄に回ってきてもおかしくないと考えているのであるが、いかがだろうか?

 この記事といい、先般、5月22日日経朝刊の「日本橋・兜町に新金融街、金融相構想―容積率緩和など、骨太方針に明記目指す」といい、どうも足元で、内需型の低位バリュー銘柄にフォローな報道が相次いでいると思うのであるが、さあ、どうなるか?

 ちなみに、インフラファンドの起源は90年代のオーストラリアで、現在のオーストラリア証券取引所には212本のインフラファンドが上場し、時価総額は4兆円であるという。同じような状況が日本で再現されない理由は特段見当たらないと思うのであるが、いかがか?「小さな政府」を目指す日本の国策とも整合的であると思うのであるが…。
 
 
 
 

低位高配当利回り銘柄スクリーニング

2007.05.07

 足元での東京株式市場東証一部優位、新興市場劣位の二極化相場が続いている。当コーナーで紹介している低位バリュー株も、概して新興市場の下落の影響を受けている。新興市場がさえない理由として、ライブドア事件以来の会計不信が根強くあるという。実際、監査法人の見解によって下方修正を余儀なくされている企業も多々見受けられる。一部の下方修正銘柄が新興市場全体の足を引っ張り、市場のセンチメントを悪くし、まともな銘柄まで連帯責任を取らされるがごとく下落、その影響が低位バリュー株にも波及しているのがこれまでの流れだ。

 しかし筆者は、この状況にも早晩変化があるのではないかと考えている。新興市場の下落の主たる理由が会計不信とそれに伴う業績不振ということであれば、5月から6月にかけて3月決算期企業の決算発表が実施される中で、スケジュール的に「悪材料出尽くし」となる…こう考える野が妥当ではないか?3月決算発表以降は、「ダメなものはダメ、良いものは良い」という展開となり、新興市場が全体として「連帯責任」を取らされる展開になるとは考えづらいと思うのだが、いかがだろうか?

 新興市場のセンチメント好転に伴い、これまで影響を受けてきた低位バリュー株についても、ここから上昇が期待できると思われる。現状の株価水準は、ファンダメンタルズが悪くないのに売り込まれてきた銘柄に対する投資チャンスであり、ここからの株価下落はあっても限定的と思われる。今回は、この考え方をベースにした銘柄スクリーニングを行った。条件は以下の通り。

 母集団 : 東証1部銘柄
 株価 : 350円以下(2007.5.2現在)
 PBR : 1倍以下
 配当利回り : 1%以上

No. コード 会社名 株価 PBR 配当
利回り
自己資本
比率
1 1884 日本道路 223 0.40 1.35 40.25
2 1895 大成ロテック 215 0.45 1.40 38.71
3 1896 大林道路 221 0.46 1.36 28.38
4 1954 日本工営 342 0.68 2.19 52.07
5 1978 アタカ大機 334 0.88 1.80 46.85
6 2004 昭和産業 282 0.99 2.13 36.25
7 2056 日本配合飼料 170 0.99 1.76 24.54
8 2108 日本甜菜製糖 348 0.88 1.44 59.49
9 2536 メルシャン 311 0.86 1.61 50.94
10 3106 クラボウ 327 0.84 1.53 45.68
11 3109 シキボウ 168 0.78 1.79 27.17
12 3526 芦森工業 261 0.77 1.92 59.69
13 3529 アツギ 200 0.99 1.00 73.98
14 3551 ダイニック 288 0.96 2.08 26.22
15 3577 東海染工 167 0.68 1.80 40.17
16 3877 中越パルプ工業 251 0.54 2.39 34.01
17 3946 トーモク 263 0.72 2.28 30.00
18 4027 テイカ 317 0.71 1.58 57.51
19 4031 片倉チッカリン 343 0.67 2.33 48.63
20 4092 日本化学工業 348 0.86 1.72 45.34
21 4229 群栄化学工業 327 0.70 1.83 75.01
22 4404 ミヨシ油脂 235 0.92 2.13 38.32
23 4461 第一工業製薬 313 0.79 2.24 37.73
24 4538 扶桑薬品工業 338 0.96 1.78 46.41
25 4989 イハラケミカル工業 350 0.64 1.43 68.62
26 4996 クミアイ化学工業 242 0.55 1.24 70.33
27 5142 アキレス 206 0.99 2.43 46.50
28 5204 石塚硝子 331 0.57 1.81 29.20
29 5210 日本山村硝子 337 0.70 1.93 58.98
30 5269 日本コンクリート工業 314 0.74 1.27 44.58
31 5363 TYK 319 0.60 0.63 60.31
32 5602 栗本鉄工所 340 0.50 1.18 40.68
33 5612 日本鋳鉄管 217 0.77 1.84 38.92
34 5805 昭和電線ホールディン 163 0.92 1.23 27.59
35 5815 沖電線 282 0.99 1.42 67.49
36 5915 駒井鉄工 291 0.32 1.72 51.59
37 5958 三洋工業 290 0.79 2.07 47.07
38 5981 東京製綱 217 0.79 1.15 42.34
39 5998 アドバネクス 212 0.79 1.65 40.12
40 6358 酒井重工業 266 0.66 1.88 59.43
41 6373 大同工業 313 0.93 1.28 28.58
42 6461 日本ピストンリング 252 0.90 1.98 34.75
43 6801 東光 318 0.82 0.63 55.75
44 6924 岩崎電気 272 0.70 1.84 38.78
45 7102 日本車両製造 316 0.81 1.58 40.46
46 7244 市光工業 333 0.99 1.80 32.66
47 7263 愛知機械工業 288 0.50 0.69 57.21
48 7305 新家工業 334 0.91 1.80 42.62
49 7723 愛知時計電機 336 0.88 2.08 45.77
50 7769 リズム時計工業 178 0.70 1.12 78.70
51 7971 東リ 309 0.76 2.27 35.09
52 7987 ナカバヤシ 231 0.68 2.60 43.66
53 7993 サンウエーブ工業 323 0.46 0.77 43.39
54 8025 ツカモトコーポレーシ 184 0.61 1.63 25.36
55 8029 ルック 270 0.57 0.93 55.33
56 8042 日本マタイ 253 0.63 1.98 31.83
57 8091 ニチモウ 228 0.48 2.19 29.58
58 8095 イワキ 273 0.54 2.20 37.59
59 8181 東天紅 288 0.70 0.69 71.95
60 8201 さが美 310 0.58 3.23 46.38
61 8617 光世証券 195 0.98 2.05 79.56
62 9070 トナミ運輸 343 0.71 1.75 38.68
63 9074 日本石油輸送 326 0.64 1.84 59.35
64 9351 東洋埠頭 252 0.93 1.98 44.61
65 9470 学習研究社 323 0.79 1.24 53.16
66 9534 北海道ガス 305 0.76 1.97 27.23


投資指針
 : これらの銘柄に分散投資



 

石原東京都知事再選に絡んだ経済効果シナリオ

2007.04.23

 今回は少々「俗っぽい」相場シナリオの話である点を、お許しいただきたい。このたび石原都知事が再選を果たしたが、氏の公約の中には株式市場にとってポジティブなものが2つある。ひとつは東京オリンピック誘致で、もうひとつは日本におけるカジノ解禁である。今回はこの公約が株式市場与えるインパクトについて考えてみたい。

1.東京オリンピック誘致

 『SPA』(扶桑社)2006年4日24日号の「 [2016東京オリンピック計画]7つの大問題」という特集記事が目を引いた。この記事の冒頭部分には、次のように書かれている。

 他候補に大差をつけて3戦を果たした石原知事。これで公約だった東京オリンピックの招致活動に弾みがつくのは間違いない。だが、本当に大丈夫か?臨海部は液状化対策の不備が指摘されているし、五輪名目の大開発にも疑問の声が上がっている。そこで、2016東京オリンピック計画にまつわる7つの大問題を検証する。

 もともとは五輪を口実に都の負の遺産を国の税金を使って整理しようとする石原知事の強引さと税金の無駄遣いを強調しようとする趣旨の特集だが、投資家としては、この記事をそう受け取るだけでは足りないだろう。「五輪にからんだ公共投資・経済効果」という点から見ると、株式市場にポジティブインパクトをもたらすものであることがわかってくる。それは、この記事の見出し部分「カネのかからない五輪どころか、総額8兆円規模の大規模開発が始まる?」からもうかがえる。
 同特集では、この総額8兆円規模の大規模開発の内訳についても記載されているので、以下に引用する。

オリンピック関連開発の投資計画
首都高中央環状品川線 4,000億円
首都高中央環状新宿線 2,500億円
圏央道 3,900億円
外郭環状道路 1兆3500億円
「外環の2」地上部街路 6,000億円
3環状道路の関連道路 700億円
高速道路「多摩・新宿線」 2兆2,000億円
羽田ー築地間トンネル道路 1兆円
環状2号線など臨海部の広域道路 7,245億円
会場アクセス用地下鉄などの整備 2,450億円
主要3施設建設 5,000億円
主要3施設の用地買取 7,000億円
競技施設の建設 900億円
メイン会場付近の運河埋め立てなど 220億円
総  額 8兆5,415億円

 同特集においてジャーナリストの須田信一郎氏は、次のようにコメントしている。

 「臨海副都心は95年以降、塩漬け状態となっています。そこで石原知事は当初、カジノ構想をぶち上げたんですが、頓挫した。しかし五輪に立候補すれば、少なくともIOC総会で開催地が決定する09年までの2年間は国の金を使って都の整備ができます。道路整備だって東京の渋滞解消というよりも、五輪のためといったほうが実施しやすい。ほかのインフラ整備や、羽田空港の拡幅・国際空港化といった都が抱える課題も、五輪を言い訳に進めることができるんです」「そうしたインフラ整備は普通、20年から30年かけてやるものですが、五輪というゴール=期限が区切られていれば一気に進められます」

 またジャーナリストの上杉隆氏によれば、「08年の北京五輪の次の次にまたアジアで開催する可能性は相当低いと思います。それよりも、この2年間で国のカネを使って、できるだけ臨海開発やインフラ整備をすることが狙いです」とのことである。両者とも、五輪誘致に成功するしないにかかわらず、2009年にかけて一定額の大規模開発が実施されると予測している点で共通している。

 以上の数値の正確性については、出所が経済誌でないこともあり、ある程度割り引いて考える必要があろう。しかしながら大規模開発のシナリオについては、一定の説得性があるものと考える。

2.日本でのカジノ解禁

 以下、2007年4月17日付、メリルリンチ日本証券レポート「今度こそ実現性が高い日本でのカジノ解禁」からの抜粋。

 我々は2004年12月3日に「日本でも解禁期待されるカジノ」とのレポートを出したが、カジノは実現しなかった。しかし、カジノ法案は今年7月の参院選後に具体化し、2008年の通常国会に提出される可能性が高いと考える。マカオのカジノの急成長やシンガポールのカジノ解禁などにより観光客獲得のための国際競争が激しくなってきているうえ、疲弊した地方経済の復興、人口高齢化に伴う税収確保のために、日本はカジノを必要としている。日本で当初認可されるカジノは2-3箇所であるため、東京の湾岸地域や沖縄の普天間米軍基地跡地などが有望だろう。投資金額数千億円の大規模なレジャー施設になる見込みである。
 日本のカジノ関連株として挙げられるパチンコやパチスロ・メーカーの足下の業績は、射幸性是正のための規制改正を控えて厳しい。日本企業はカジノ運営のノウハウが乏しいので、カジノ受注のためには海外企業との連携が鍵になろう。2008年にカジノ法案が成立しても、カジノ建設やディーラー育成に3年程度要するため、実際のカジノ開設は2011年以降になろう。カジノ法案が具体化すれば、カジノ関連や不動産・建設株が物色されようが、カジノの収益貢献度を見極める必要があろう。

3.筆者の見解

  1. 以上2点について、実施についてはともに不透明な部分が多いが、特にオリンピックについては、建設・不動産を中心とした内需セクターに一定のポジティブインパクトを与える材料と認識する。2003年以降の景気循環の「黄金サイクル」(特に建設投資循環)の強化に寄与する材料と考える。
  2. 東京オリンピック関連開発の投資計画の内容からは、道路株に対しポジティブインパクトが大きいように思える。

 東京では、マンダリンオリエンタル、リッツカールトン、ペニンシュラといった超高級ホテルが建設されている。1964年の東京オリンピックの際に、ホテルニューオータニ、ホテルオークラ等が建造された状況と符合的であるというのは、筆者の考えすぎだろうか?


 

年金関係の株式運用に関連する強気報道2点の分析

2007.04.08

 新年度に入り、年金資金関係の株式運用に関連する強気要因報道が2つ登場した。今回はこれらに対して少々コメントを行いたい。


(1)「国内株強気一色…信託銀行」

 年金運用専門の隔週刊紙「年金情報」(格付け投資情報センター)2007年4月2日号に、以下のような、かなりセンセーショナルな見出しの記事が登場した。

国内株 強気一色 同時株安も「健全調整」 ─信託銀行─

 強気一色の国内株式――。年金運用のメーンプレイヤーである信託銀行は2007年度も国内株式への配分計画を高めに維持する。顧客の年金基金が運用リスクを引き下げる中「いずれはバランス型の許容リスクも変わるかもしれない」(信託銀関係者)としつつも、各社は依然強気の構えだ。世界同時株安に対しても「健全な調整が働いた」との姿勢、前向きな評価が目立っている。

 以上の記事に加え、「年金情報」の同じページには「信託銀行の資産配分計画」というグラフが掲載され、三菱UFJ、三井アセット、住友、みずほ、りそなの各国内大手信託銀行による過去10年間の資産配分計画について、単純平均推移が示されている。このグラフによれば、2007年度の日本株組み入れ比率は2006年度とほぼ同様の39.6%であり、前年度に続いて過去10年で最高水準である。そして2007年度の企業業績は10%増益、2007年度末の日経平均水準は18,500〜19,000円が大手信託銀行のコンセンサスであるという。

 さて、本件について考察を加えたい。3点指摘できる。

  1. 結論から言えば、この状況は国内株に強気であるが、4月以降株式を買っていくということではない。一言で言えば「現状追認」である。すでに強気を反映したポジションになっているわけだ。昨年来の相場上昇で、時価評価ベースで高水準となっている日本株の組み入れ比率について今年度も維持していくという趣旨を反映したアロケーション比率である。
  2. しかしながら、株式需給面でポジティブインパクトを全くもたらさないというわけではない。今後株式相場が下落し、株価の時価評価が下がることで信託銀行の株式組み入れ比率が低下することがあれば、高水準の時価を維持するべく追加組み入れをすることになろう。つまり年金資金は現状、相場が下がった場合のクッション効果をもたらすと認識するべきである。
  3. 今後の年金資金は、上がったら売る、下がったら買うという逆張り型のスタンスを継続させていく可能性が高いと考える。

(2)10兆円ルーキー登場――市町村共済、大型株買いへ

 次に4月6日の日経金融新聞「スクランブル」の記事。以下、抜粋して引用する。

 株式市場に「10兆円投資家」が乗り込む。その名は全国市町村職員共済組合連合会。年金給付などに充てる長期給付積立金の運用方針を大幅に見直し、4月以降、日本株に3千億円規模の資金を新たに配分するとみられている。単独の投資家としては異例の買い増しとなり、株式相場の需給面でプラスになるのは確実だ。主力大型株を中心に、相場全体の下支え役となる可能性も指摘されている。
 市町村共済連は全国約1,820の市町村などで働く職員107万5千人が加入し、傘下に53の地域別構成組合を持つ。これまで各構成組合が個別に担っていた年金給付事務を4月から市町村共済連に集約し、長期給付積立金も一括して積極運用に乗り出す。運用規模は9兆9千億円と、共済年金の中では加入者の多い公立学校共済組合(7七兆8千億円)などを大きく上回り、9兆円規模の国家公務員共済組合連合会も超える。

 日経金融新聞は「株式市場の需給が一段と引き締まる中で、市町村共済連が「買いの伏兵」として参戦すれば、主力大型株中心に相場が底堅く推移するシナリオは十分に成り立つ」とコメントしている。しかしながら筆者は、以下のことを勘案すれば、3,000億円規模の株式購入程度では需給面のポジティブインパクトは一時的かつ限定的と考えている。

  1. ここのところ、1日3兆円程度の売買代金の日が続いている。月間の概算売買代金は60兆円台となるが、この1ヵ月分の額に対して3,000億円は0.5%に過ぎず、需給面のインパクトが非常に大きいというわけではない。
  2. 仮にこの買付が終わった場合、それに取って代わる買い主体の登場が確定しているわけではなく、需給のポジティブインパクトが長く継続していくわけではない。
  3. 日経金融新聞によれば、今年の信託銀行の月間売越額は日経平均株価が18,300円台まで強含んだ2月は3,752億円、連鎖株安が起きた3月も2,738億円だったという。これは需給面のネガティブインパクトであるが、本件はこれと同程度規模のポジティブインパクトが発生するということに過ぎない。

最後に

 当コーナーをご覧の方はすでに理解されていると思うが、筆者は日本株に対し2010〜12年にかけての上昇という強気の見方を継続している。誤解のないように確認しておくが、この見方が変わったわけでは決してない。ただし、今回コメントした内容については、センセーショナルな見出しほどにはインパクトがあるものではないと考えている。



 

円キャリートレードが外為市場にもたらすインパクトについての考察

2007.03.15

 ここのところ、為替が円高にぶれるたびに、企業収益の悪化懸念から国内の株式市場が値を消す展開が続いている。そして、円キャリートレードのアンワインドが円高方向へ為替を大きく動かしているという説明がしばしば聞かれる。
 円キャリートレードについては実態が明らかでないこともあり、為替が円高に進むとすぐに「犯人視」される傾向があるが、実際にところはどうなのだろうか?この点については、2007年3月14日の日経新聞の記事が参考になると思われるので、これを取り上げて考えてみたい。ただし筆者は、この部門の専門家ではないので、あくまで外野としての意見であることをお許しいただきたい。

 日経新聞2007年3月14日の記事によれば、1日の取引高が70兆円とされる世界の外国為替市場の中で、円キャリートレードの総額は約20兆円規模だという。根拠となる推計値は、ドイツ銀行グループが17.7兆円〜23.6兆円、シティグループが10〜20兆円規模、財務省の渡辺博史財務官は数十兆円規模で、このことから、約20兆円規模という推定値が出てきたようだ。個人的には「たった20兆円だけ?」という印象であるが──。

 さて、以上の推定値が正しいことを前提にすれば、円キャリートレードが為替市場にもたらすインパクトは、それほど大きくはないというのが筆者の考え方である。この点については、為替市場と株式市場を比較して考えるとわかりやすい。円キャリートレードの総額約20兆円は、株式市場の時価総額、外為市場1日の取引高70兆円は東証他3市場の売買代金に相当すると考えることができよう。実際の値はといえば、東証一部だけを取り上げた場合でも時価総額で約560兆円、1日当たり売買代金で3兆円弱といったところである。
 (1)円キャリートレードの総額約20兆円に対し、株式市場の時価総額は約560兆円と、株式市場のほうが約28倍も大きい。一方で(2)外為市場一日の取引高70兆円に対し、東証の一日当たり売買代金は3兆円弱であり、為替市場のほうが23.3倍も大きい。より小さい時価総額に対し、より大きな市場が与えられている──これが円キャリートレード・為替市場の組み合わせである。仮に株式の時価総額のうち頻繁に売買される部分が10%だとしても、円キャリートレードのほうがなお、時価総額対市場の点ではるかに有利である。相対的には、円キャリートレードの解消のほうが、株式よりもはるかにマーケットインパクトが小さいことが想像できる。

 また本件について何人かにヒアリングしたり報道されている内容を読んで感じるのは、セルサイド、マスコミ筋に円キャリートレードの影響力の強さを強調する向きが多い一方、実際に運用を行っている側(いわゆるバイサイド)は、影響を軽視する傾向があることだ。この点については、概してセルサイド、マスコミ筋が「大騒ぎ好き」であることと符号的であるが、バイサイド側の見方のほうが的を射ているように思われる。


結論:日経記事の推定値が正しいことを前提にすれば、円キャリートレード解消に対する懸念は、多くの場合過大であるという判断をしたい。どうやら株式市場は、円キャリートレードの亡霊に一喜一憂し過ぎであるようだ。


 

昨今の4月高アノマリーの変調について

2007.02.26

 ここ3年間ばかり、4月高アノマリーが不発に終わっています。
 これまで(特に1990年代)の4月高アノマリーは、年度初めの4月に機関投資家の買い姿勢が積極化する影響が大きかったわけです。しかしこの点について、以下の2つの要因に足元で変化がみられます。今回はこの部分にスポットを当て、考えてみます。


@年金ファンドの株式売り越し傾向
 昨年(2006年)は一服気味であったとはいえ、株式は2003年4月に大底を打って以来、趨勢的に上昇しているのはご存じの通りです。この株価上昇に伴い年金ファンドでは、ここ4年ほど国内株式の組み入れ比率が時価ベースで自動的に上昇する状況が発生しています。そして、ファンド全体のアセット・アロケーション(資産配分)を従前通り維持するため、時価が増えた分の株式を売却せざるを得なくなるということにつながります。たとえば、ファンド全体の株式の比率を35%と計画した一方、時価の上昇で45%なんて状況が発生すれば、必然的に超過分の10%を売ることになります。2003年以降は、この調整が年度初めの4月を皮切りに発生するケースが多かったというわけです。現状は多くの運用機関が国内株について強気であり、その相場観をアセット・アロケーションに反映させていますが、それをも上回って時価比率が上昇している状況が発生しているわけです。

 以上のことに加え、国内の低金利状態から年金の運用目標が2%台と低い中、為替が安定もしくは円安傾向にあるため(少なくとも円高傾向ではないため)、4%代後半の利回りが確実に(?)期待できる米国債に年金が資金をシフトしており、日本株の追加組み入れをあまりしていないという事情もあるようです。


A公的資金ファンドの株式売却
 90年代に「PKO」ということで話題を呼んだ公的資金ファンド(ただし実際はPKOなど存在せずマスコミと個人が踊らされただけで「大蔵省の勝ち」という見方もあります)。郵貯・簡保の株式運用の公的資金ファンドは趨勢的に株を売却しており、昨年の4月新年度明けにも相当売ったというのが市場の見方です。これらは郵政民営化に絡んでいるのかいないのか、足元で株式資産を圧縮する動きがあるようです。



今後どうなるか?


@年金ファンドの株式の売り越しについて
 株式市場全体としては──ファンド時価の上昇という部分だけをとらえれば──上昇すればするほど売り越しの要因となります。ただし、年金ファンドは基本的には毎年年金の掛け金流入超ファンドなので、市場全体が一昨年のような大幅上昇でなければ今年以降の4月に買い越しに転じる可能性はあります。


A公的資金の株式売却について
 こちらのほうが市場に対する影響は大きいと思ってます。「足元で株式資産を圧縮する動き」と書きましたが、これは今年以降に変化する可能性があります。郵政民営化で発足した「日本郵政株式会社」の初代社長に、元三井住友銀行頭取の西川善文氏が就任しました。資産運用業界は現在、来期以降の西川氏の舵取りに非常に注目しています。というのは、投信の郵貯販売積極論者である西川氏は、公的資金(日本郵政株式会社の資金と認識するべきか?)の株式運用についても積極的との見解が一部で伝えられているからです。西川氏が関係する公的資金の運用方針の新計画は、2007年4月以降にスタートするといいます。さてどうなりますか?


ただし、年金、公的資金等の機関投資家動向は4月高アノマリーの一要因に過ぎないと考えます。機関投資家が本格登場する前の戦後から1985年ごろにかけても、4月高アノマリーは観察されているからです。さあ今年はどうなるか?


 
 

東証一部の3つの株価指標をあらためて考える

2007.01.11

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


 東証一部の株価指標として代表的なものに、日経平均・TOPIX・東証一部単純平均株価があります。同じ東証一部の指標とはいえ、計算方法や計算する母集団により、示す内容は異なります。特に昨年1年間の各指標のパフォーマンスは、指標間の乖離(かいり)が顕著でした。年初の話題として、今回はこの点について考えてみます。

 最初に、各指標の計算方法を確認します。

1.日経平均株価
 日経平均株価は、東証第一部上場銘柄のうち取引が活発で流動性の高い225銘柄を選定し、ダウ平均株価の算出方法を基にした計算方法で修正平均を算出する。原則的には各銘柄の株価を足して銘柄数で割った単純平均だが、新株の発行などの理由により連続性が損なわれないように、除数は調整される。
(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

2.TOPIX(東証株価指数)
 TOPIX(東証株価指数)は、東証第一部上場株の時価総額の合計を終値ベースで評価し、基準日である1968年1月4日の時価総額(当初数値は8兆6020億5695万1154円。2006年6月16日現在の数値は約488兆7363億2300万円)を100として、新規上場・上場廃止・増減資・企業分割などにより修正され、指数化したものである。
(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)


3.東証一部単純平均株価
 東証一部単純平均株価は、東証一部銘柄の株価合計をその銘柄数で除したもので、算出式は以下の通り。
単純平均株価=対象銘柄の株価合計/対象銘柄数(1715銘柄)
(出典:東証HP)


 各指標の特徴について、筆者は以下のように考えます。

  1. 日経平均株価は225銘柄の株価を足して銘柄数で割った単純平均であるため、除数調整後の値嵩株の影響を受けやすい。ちなみに日経平均の変動に関して寄与率が高い銘柄は、アドバンテスト、ファナック、京セラ、東京エレクトロン、ファストリテーリングなど。
  2. TOPIX(東証株価指数)は、東証第一部上場株の時価総額の合計の指数であるため、時価総額の大きな銘柄群の影響を受けやすい。具体的にはトヨタ、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、NTTなど。
  3. 日経平均とTOPIXを比較した「NT倍率」は、それなりに大きく(両者で鞘とりが可能なくらい)変動する。ただし東証一部単純平均株価と比較した場合には、日経平均とTOPIXの乖離は問題にならないほど小さい。
  4. 東証一部単純平均株価は、計算方法こそ日経平均と同様に単純平均ではあるが、母集団が異なることに起因し、パフォーマンスが大きく異なることがよくある(昨年はまさにそれに該当した)。母集団数は日経平均が225、単純平均株価が1715と、大きく異なる。また日経平均の母集団は時価総額の大きい値嵩株の比率が多い一方、単純平均株価は相対的に中小型株、低位株の比率が高い。以上のことから、当コーナーで解説している低位バリュー株のパフォーマンスは、どちらかといえば東証一部単純平均株価のほうに近い。ここ何年か好調に推移した低位バリュー株のパフォーマンスが昨年についてはさえなかった状況が、東証一部単純平均株価に反映されている。
  5. 昨年は、東証一部単純平均株価は、日経平均・TOPIXよりはむしろ、日経JASDAQ平均に近いパフォーマンスであった。背景には、東証一部の225非採用銘柄は相対的に中小型株、低位株の比率が高く、これら銘柄群のパフォーマンスがJASDAQ銘柄に代表される新興市場のパフォーマンスの影響を受けたことがある。

今後の注目点:

 
 
 

低位高配当利回り銘柄スクリーニング(2006.11.29)

2006.12.01

 以下は、前回の当コーナー「昨今の株式市場動向…80年代の「01」相場に似た展開か?」で書いた当面の行動指針ですが、早くもこれを実行して良い時期を迎えつつあると思います。

 (2010年前後に向けて?)長期的には、低位バリュー株にぶらさがる一手か。サラリーマン&OLにとって、冬のボーナス支給が低位バリュー株追加組み入れの良いタイミングとなるか?そろそろ、来年3月末に権利が発生する配当を視野においてもよい時期の到来か?

 足元での東京株式市場の株価がさえない背景として、これまでの利上げ継続に伴う米国景気拡大の鈍化に起因する、先行きの国内景気鈍化懸念がいわれだしていることがありました。80年代にはやった言い方をすれば、「米国がくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」といったあたりでしょうか。

 現状の株価水準は、ファンダメンタルズが悪くないのに売り込まれてきた銘柄に対する投資チャンスであると考えます。また以下の理由から、ここからの株価下落はあっても限定的と思われます。

  1. 「2006年後半から2007年前半にかけて国内景気は踊り場を向かえる」ということが従前から国内のシンクタンク等でメインシナリオとしていわれており、ここでの景気回復の一服は特段サプライズというわけではない。
  2. すでに当コーナーで報告のとおり、日本経済は建設投資循環と設備投資循環がともに右肩上がりの局面を迎えており、景気の調整はあっても一時的かつ浅いものであると認識するのが妥当。
  3. 「株式市場の動向は半年から1年景気に先行する」との経験則に基づけば、2007年後半に国内景気の拡大が再開するとの前提によって株式市場全体は近々底入れするタイミングを迎えつつあるとの判断が可能。
  4. 二極化相場は内外の景気鈍化懸念が原因であり、97年のようなデフレ・金融不安を背景とした悪質なものではない。逆に言うと、循環的に景気が踊り場を脱却すればノーマルな相場に戻る可能性が高いと考えるのが妥当。
  5. 低位バリュー株のバリュエーションは、依然として割安な銘柄が多い。
  6. アノマリーで考えた場合、「悪夢」となることが多い9月・10月は過ぎ、逆に「上昇の季節」である1月を迎える。

 当コーナーで言及している低位バリュー銘柄についても、ここからの下げ余地は限定的と考え、銘柄スクリーニングを行って51銘柄をピックアップしました。条件は以下の通りです。

 母集団 : 東証・大証1部銘柄
 株価 : 300円以下(2006.11.29現在)
 PBR : 1倍以下
 配当利回り : 1%以上
 除く建設株(道路株は含む)

投資指針 : これら銘柄への分散投資

コード 会社名 市場 決算月 株価 PBR 配当
利回り
自己資本
比率
1 1884 日本道路 東証一部 200703 221 0.4 1.36 40.25
2 1895 大成ロテック 東証一部 200703 209 0.44 1.44 38.71
3 1896 大林道路 東証一部 200703 214 0.45 1.4 28.38
4 2004 昭和産業 東証一部 200703 280 0.98 2.14 36.25
5 3106 クラボウ 東証一部 200703 266 0.69 1.88 45.68
6 3109 シキボウ 東証一部 200703 189 0.88 1.59 27.17
7 3526 芦森工業 東証一部 200703 247 0.73 2.02 59.69
8 3529 アツギ 東証一部 200703 170 0.84 1.18 73.98
9 3551 ダイニック 東証一部 200703 277 0.93 2.17 26.22
10 3577 東海染工 東証一部 200703 195 0.78 1.54 40.39
11 3864 三菱製紙 東証一部 200703 191 0.9 1.57 22
12 3877 中越パルプ工業 東証一部 200703 228 0.49 2.63 34.01
13 3946 トーモク 東証一部 200703 253 0.69 2.37 30
14 4404 ミヨシ油脂 東証一部 200612 217 0.82 2.3 39.11
15 4461 第一工業製薬 東証一部 200703 296 0.75 2.36 37.73
16 4615 神東塗料 大証一部 200703 216 0.61 2.31 34.25
17 4996 クミアイ化学工業 東証一部 200610 232 0.52 1.29 72.12
18 5142 アキレス 東証一部 200703 194 0.93 1.55 46.5
19 5204 石塚硝子 東証一部 200703 297 0.53 1.68 28.57
20 5269 日本コンクリート工業 東証一部 200703 296 0.7 1.35 44.58
21 5357 ヨータイ 大証一部 200703 293 0.48 2.73 59.41
22 5602 栗本鉄工所 東証一部 200703 269 0.39 1.49 40.68
23 5612 日本鋳鉄管 東証一部 200703 251 0.89 1.59 38.92
24 5805 昭和電線ホールディン 東証一部 200703 158 0.78 1.27 27.59
25 5915 駒井鉄工 東証一部 200703 280 0.31 1.79 51.59
26 5916 ハルテック 東証一部 200703 174 0.47 1.15 54.75
27 5931 川田工業 東証一部 200703 233 0.44 2.15 22.85
28 5958 三洋工業 東証一部 200703 260 0.71 2.31 47.07
29 5981 東京製綱 東証一部 200703 210 0.76 1.19 42.34
30 5998 アドバネクス 東証一部 200703 238 0.89 1.47 40.12
31 6306 日工 東証一部 200703 300 0.49 2 74.18
32 6358 酒井重工業 東証一部 200703 242 0.6 2.07 59.43
33 6461 日本ピストンリング 東証一部 200703 246 0.88 2.03 34.75
34 6704 岩崎通信機 東証一部 200703 173 0.91 1.45 54.81
35 6801 東光 東証一部 200703 275 0.71 1.09 55.75
36 6924 岩崎電気 東証一部 200703 261 0.67 1.92 38.78
37 7102 日本車両製造 東証一部 200703 280 0.72 1.79 40.46
38 7260 富士機工 東証一部 200703 294 0.85 1.7 27.36
39 7305 新家工業 東証一部 200703 248 0.67 2.42 42.62
40 7769 リズム時計工業 東証一部 200703 186 0.73 1.08 78.7
41 7987 ナカバヤシ 東証一部 200703 242 0.71 2.48 43.66
42 8025 ツカモトコーポレーシ 東証一部 200703 183 0.59 1.64 25.36
43 8027 ルシアン 大証一部 200703 185 0.92 2.16 46.84
44 8042 日本マタイ 東証一部 200702 258 0.73 1.94 28.58
45 8091 ニチモウ 東証一部 200703 243 0.51 2.06 29.58
46 8095 イワキ 東証一部 200611 278 0.55 2.16 37.21
47 8245 丸栄 東証一部 200702 208 0.55 1.44 32.76
48 8617 光世証券 東証一部 200703 179 0.91 2.23 77.72
49 9070 トナミ運輸 東証一部 200703 267 0.55 2.25 38.68
50 9351 東洋埠頭 東証一部 200703 233 0.86 2.15 44.61
51 9470 学習研究社 東証一部 200703 271 0.67 1.48 53.16

 
 
 
 

昨今の株式市場動向・・・80年代の「01」相場に似た展開か?

2006.11.20

以下は、当コーナー「なにやらどこかで見た光景…80年代の再現?」(2006.07.03付)で書いた今後の株式市場のシナリオであり、足元ではこのシナリオに近い展開となっています。

現在の株式市場と今後の展開について、以下の通り考えます。

1.86年前後の「01」相場に似た展開か?

 東京市場では、株価のさえない展開が続いています。日経平均はそこそこ高い位置をキープしているもの、新興市場はボロボロの状態です。当コーナーで言及している低位バリュー銘柄も、おそらくは中小型株という「銘柄のくくり」から、新興市場の株価推移のネガティブな影響を受けていると思われます。この展開を「二極化相場」と表現する人が多いのですが、97年以降の陰惨な二極化相場よりも、86年前後に発生した「01相場」のイメージに近いのではないでしょうか?
 ちなみに「01相場」とは、86年前後に業種の中の優良・代表銘柄の象徴である株式コード末尾2桁が「01」である銘柄に人気が集中した相場のことを指します。例えば株式の4桁コードでみると、5001日石は買われても5007コスモ石油は買われない、あるいは9101日本郵船は買われても9107川崎汽船は買われない、そんな相場が一時的に発生したものです。86年前後に発生した円高不況における金余りという環境の中、ファンダメンタルズに安定感のある銘柄に資金が集中した結果発生したものです(なお当時の物色の中心が、不動産・建設・金融等の内需株であった点は、現在とは異なります)。
 当時とは異なるにせよ、「キーワードは安定感」という点では現在発生している相場も共通しています。ライブドアショックを端とした会計不信問題や足元の業績推移について、安定感のある銘柄群に物色対象が移っている状況です。97年以降の二極化相場は、拓銀、三洋証券、山一證券、日債銀、長銀などの破綻に代表されるように、景気下向き・デフレ懸念の中で発生しました。一方で86年前後の「01相場」では、円高不況とはいえ景気は全体として上向きを維持していました。このように、ファンダメンタルズを考えれば、97年以降と現状とでは似ても似つかないように思われます。

2.今後の展開

 問題は、今後どうなるのかということです。結論から言えば、このたびの相場展開は相場全体の循環物色の中の“ワンシーン”であり、もうしばらくは現状のFlight to Quality(質への投資)現象が続く可能性も否定できませんが、そのあとには低位株の出番がやってくると考えます。80年代も円高不況から平成景気に移行するにしたがい、物色対象が「01」銘柄から徐々に広がって最終的には低位株の強烈な水準訂正相場が発生しました。今回の相場では、80年代の大相場における極端な状況の再現までは想定しないにせよ、最終的にはこれに準じた展開が発生するものと、現段階では考えます。

行動指針:

 
 
 

景気循環論の名著…ゴールデンサイクル

2006.07.26

 株式市場分析を行う上で、筆者は景気循環論を重視する。先般(2005.10.29)当コーナーで、「建設投資循環の底打ちに伴う強気見通し」を書いていることからもうかがえると思われるが、長期的な株式市場の方向性を予測する上で景気循環に基づくアプローチは有効性が高いと考えている。

 景気循環論分析の第一人者である嶋中雄二氏はこのたび、ゴールデンサイクル(東洋経済新報社)という本を出版した。筆者は早速読んでみたが、景気循環の節目のポイントにおいて「満を持して」出版したイメージであり、非常に参考になる内容だった。景気循環論に関心がある向きは、是非ご一読をお勧めする次第である。以下、同著の中で印象深かった点についてコメントしてみたい。

1. 複合循環の命題

 2003年には、建設投資循環とともに設備投資循環も底打ちしている状況である。このことは筆者も従前から認識しており、両循環が共に上向きであることから、このたびの景気上昇は息が長いものになると考えている(ちなみに「いざなぎ景気」「平成景気」の際も、両循環は共に上向きに推移していた)。設備投資循環は約10年間でワンクール。このことはすなわち、おおむね5年の上昇に対して5年の調整が対応するというのがオーソドックスで教科書的な解釈と思われる。この理屈に従えば、2003年に上昇に転じた設備投資循環は、5年後の2008年に天井打ちするという解釈も成立することになる。

 しかしながら嶋中氏は、以下の2点から、設備投資循環は2006年から2010年にかけ本格化すると指摘している。

  1. 景気循環は、期間の異なる2つ以上のサイクルがあった場合、より長いサイクルの局面がより短いサイクルの局面の強さや長さに影響を与えるという関係がある。この考え方からすれば、長期循環(建設投資循環)の上昇局面では、中期循環(設備投資循環)の上昇局面も力強く、長期化しやすいと考えるのが妥当。
    ※複合循環のこと。実際、80年代の平成景気における「両循環上向き局面」では、設備投資の上昇は8年の長きに渡っている。
  2. A戦後日本経済には、西暦における各10年(ディケード)の前半の5年間に比べ、後半の5年間のほうが景気の拡張期間が長いという規則的なパターンが存在する(さらにいえば、日本の設備投資循環の上昇局面は、西暦の各10年の後半において発生している)。
    ※設備投資循環(ジュグラー・サイクル)と「前半・後半の法則」と嶋中氏は呼ぶ。
筆者の見解
 おそらくは嶋中氏の指摘通りだろうと考える。


2.コンドラチェフ・サイクル

 コンドラチェフ・サイクルはこれまでおよそ55年周期の超長期循環と呼ばれ、存在自体は認識されていても再現性の検証が難しく、株式運用への展開も多くの場合、難しいとされてきた。このような中、コンドラチェフ・サイクルに関する嶋中氏の主張のポイントは以下の通り。

  1. コンドラチェフサイクルは、「公定歩合の循環」と位置づけることが可能。
  2. 同循環は1975年にピークアウトし下向きで推移したあと、2002年もしくは2005年に底入れしている状況。
  3. 歴史に残るバブルは大抵50〜60年周期のコンドラチェフ・サイクルの下降局面で発生している。以上は篠原三代平氏が、「大型バブルは長期波動の属性であり、コンドラチェフ現象である」と喝破されたとおりである。
筆者の見解
 上記3をそのまま受け取ると、以下の疑問点が発生する。実際のところはどうか。回答は歴史を待たなければならないのだろうが……。

 行動指針:(2010年前後に向け?)長期的には低位バリュー株にぶらさがる一手か。


 

なにやらどこかで見た光景…80年代の再現?

2006.07.03

 『Always 3丁目の夕日』という映画がヒットしている。「もはや戦後ではない」で知られている経済白書は昭和31年だが、この映画はその少しあと、昭和33年の古き良き昭和の時代をベースにしている。いつか見た昔の光景が懐かしい、好印象の映画である。翻って今回の株式市場の下落を想うに、「前代未聞の…」というより「なにやらどこかで見た光景…」、1980年代に何回も見られた調整局面の再現のようで、筆者にはある意味懐かしく(?)映った。

 さて株式市場は、ようやく「コツンときた」ように思われる。そろそろ良い時期が到来したと考え、このタイミングで、今回の下げを総括した「所感」を述べさせていただく。

1.信用買い残の整理の進捗

 信用買い残は、7月の期日到来を目前に5兆円割れの水準にまで減少した。当面、時間の経過とともに整理はさらに進み、需給面の悪材料ではなくなる。これが「コツンときた」と認識できそうと考える最大のポイントである。1999年のITバブルの水準を上回る高水準の信用買い残の期日接近と追い証がらみの売りで、今回の相場下落の80%近くを説明することができる。当コーナーで再三コメントしている通りである。今回の下げについて、ライブドアショック、日銀の量的緩和終了、米国・新興国の株式相場下落等を「犯人扱い」する向きは多い。しかしこれは、いずれかの段階で逆回転することになる買い残の山を揺り動かした「きっかけ」と受け止めるべきだろう。

 さて日興シティグループ証券の日本株ストラテジスト藤田勉氏は、6月21日付けの日経ネットHP「時節往来」の中で、下記の日米欧の株価の推移(2004年末=100)を用いて、次のようにコメントしている。

「昨年主要国で最も大きく上昇した日本株が、今年は最も大きく下落している。つまり、過度の上昇しすぎた反動で株価が調整していると考えるのが妥当であろう」

出所:S&P/Citigroup Global Equity Indices、 6/21付け日経ネットHP「時節往来」

 

 「今回の下げはそんな単純なものか?」と受け止める向きもあるかもしれないが、この見方は意外と本質を突いている。筆者の考えは、藤田氏の意見の延長線上にある。昨年に大幅上げがあったからこそ投資家が過剰に強気になり、そのことが高水準の信用買い残の発生をもたらした。前述の通り、それが逆回転(投げ)したことが相場下落の要因として大きい。
 つまり今回の下落の主要因は需給関係の崩れ、それに伴う市場のセンチメントの悪化と整理するべきと考える。逆に言えば、今回の下げをファンダメンタルズの変化に結び付けようすると、大局を見誤る可能性がある。「世界的な金利上昇局面から投機資金が逃げている」なんてコメントが聞こえてくるが、相場下落に伴うセンチメント悪化が、小さな出来事を針小棒大に言わせている感が強い。次々と投機資金が市場から逃げ出してるようなことはなく、ざっくり、100ある投機資金(ファンド)のうち、ほんの数%が手仕舞いした、そんなイメージではないか。逆に言えば、このようなファンドの手仕舞いが終わった暁には相場はどうなるのだろうか?

 ベンジャミン・グレアム師が「Mr.Market」と呼ぶように、株式市場の変動要因の中で、市場のセンチメントに起因する部分は非常に大きい。市場のセンチメントが悪化すると投資家は疑心暗鬼となる。例えば今なら、米国の景気失速リスクから日本株は買えないなどとと言い出す人が多い。しかし日本株が底打ちをして上昇を続ければ、このような意見はなくならないにせよ市場の片隅に追いやられ、単なるリスク要因といった扱いとなり、それで終わるものだ。

 そもそも上昇相場とは、常になんらかのリスクを抱えながら発生するものである。80年代を考えても、85年から87年当たりにかけては、ドル暴落リスク、ブラックマンデーが大恐慌につながるリスク(チャートは1929年にそっくりといわれた)などが言われ続けたが、結局株式市場は上昇した。一方で1989年にかけてはセンチメントが好転し楽観ムードが高まり、国内では公定歩合が1年に3回も引き上げられる悪環境下で相場上昇が発生した。要はセンチメント次第、相場とはこういう面もある。

2.なにやらどこかで見た光景

 今回の相場下落を一言で言えば、80年代にいつか見た光景で、「ああ、またか」といったレベル。今回は、日経平均でみると4月高値から20%程度の下落。一方で、低位株については1月高値銘柄が多く、30〜40%を中心とした下落率。これも当コーナーですでに案内したことであるが、今回クラスの相場下落は80年代の上昇相場においても、1年に一度程度は発生していた。言ってみれば年に一度の台風みたいなものであり、これは宿命的に避けることができない、想定して受け入れるしかない類の出来事である。もっとも経験則では、「相場における台風」は5月以降秋口かけて来ることが多く、1月にいきなり来るということだけは想定外だった。

 このような相場台風により、信用で投げなければならなくなった人が仕方なく売って程なくして底打ち、その後は新高値更新という光景も、水戸黄門に印籠シーンが必ずあるのと同じくらい、80年代には定番だったように記憶しているが、いかがだろうか?

行動指針:

  
  
  
  

波高き相場の終焉近しか

2006.05.22

 前回の当コーナーで、株式市場の見通しについて「天気晴朗なれど波高し」とした。足元の市場では、その中の「一時急落シナリオ」に近いもの(一時ちょい急落ぐらいか)が発生している。直近の下げについては円高や米株安などで説明されるケースが多いようだが、主たる要因が需給関係の悪化であることは明白だ。1月のライブドア・ショックをきっかけに、取り残された高水準の信用買い残が需給悪化要因となり、期日が近づくにつれ需給悪化度合いは高まり、そのことが市場のセンチメント悪化につながっていると考えるべきだろう。現状で、仮に株式市場のセンチメントが良いのであれば、「米国株が安いのであれば、物色対象がテクノロジーではなく内需に移るだけ」「円高は基本的には日本株にはポジティブ。業績悪化を一時的に懸念したあとは、金利低下バイアスを含めた円高メリットを織り込みにいく」といったように、1980年代の株式市場の展開が引き合いに出されポジティブな説明がされることになると思うのであるが、いかがだろうか。

 繰り返すが、今回の下げはファンダメンタルズの悪化をほとんど伴っていない、センチメント悪化に起因する調整局面である。半バブル状態にあってバリュエーション調整を余儀なくされたマザーズ市場や他の小型株市場は別として、日経平均の4月7日の高値からの下落率は8%程度にとどまっており、80年代の上昇相場に見られた短期的な調整局面と同じだと認識してよい。一方で1)騰落レシオ(25日)が60%台に突入するなど、経験則からは、調整一巡が示唆されている、2)信用買い残のピークである1月第3週から4ヵ月目を迎え、今後1ヵ月程度をメドに高値づかみの買い残が整理される過程を迎える…ことから、ここからの下げ余地は限定的と考え、低位バリュー銘柄のスクリーニングを行った。

 条件は以下の通り。

母集団:東証1部銘柄
株価:350円以下
PBR:1倍以下
株主資本比率:20%以上
無配銘柄を除く
No. コード 会社名 市場 決算月 株価 PBR 配当
利回り
自己資本
比率
1 1867 植木組 東証一部 200603 293 0.67 1.71 31.78
2 1882 東亜道路工業 東証一部 200603 320 0.74 2.5 26.88
3 1884 日本道路 東証一部 200603 291 0.53 1.03 40.25
4 1888 若築建設 東証一部 200603 249 0.84 1.2 28.06
5 1895 大成ロテック 東証一部 200703 255 0.53 1.18 38.71
6 1896 大林道路 東証一部 200703 278 0.58 1.08 28.38
7 2108 日本甜菜製糖 東証一部 200703 349 0.88 1.43 59.49
8 2288 丸大食品 東証一部 200603 277 0.57 1.08 52.89
9 2536 メルシャン 東証一部 200612 330 0.93 1.52 54.12
10 3526 芦森工業 東証一部 200703 332 0.98 1.51 59.69
11 3529 アツギ 東証一部 200603 196 0.8 1.02 75.23
12 3577 東海染工 東証一部 200603 217 0.89 1.38 41.77
13 3877 中越パルプ工業 東証一部 200703 292 0.63 2.05 34.01
14 3882 紀州製紙 東証一部 200603 262 0.65 1.15 54.17
15 3946 トーモク 東証一部 200703 303 0.82 1.98 30
16 4404 ミヨシ油脂 東証一部 200612 259 0.98 1.93 39.11
17 4996 クミアイ化学工業 東証一部 200610 293 0.66 1.02 72.12
18 5269 日本コンクリート工業 東証一部 200603 294 0.81 1.02 39.7
19 5363 TYK 東証一部 200603 305 0.62 0.66 61.57
20 5805 昭和電線ホールディン 東証一部 200603 188 0.92 0.8 27.59
21 5916 ハルテック 東証一部 200603 223 0.45 0.9 59.83
22 5931 川田工業 東証一部 200603 295 0.55 1.69 25.15
23 5958 三洋工業 東証一部 200703 319 0.87 1.88 47.07
24 6358 酒井重工業 東証一部 200603 314 0.81 1.59 56.92
25 7102 日本車両製造 東証一部 200603 299 0.79 1.67 41.67
26 7305 新家工業 東証一部 200603 306 0.93 1.96 40.01
27 7769 リズム時計工業 東証一部 200603 221 0.92 0.9 80.17
28 7987 ナカバヤシ 東証一部 200703 333 0.98 1.8 43.66
29 8042 日本マタイ 東証一部 200702 321 0.9 1.56 28.58
30 8091 ニチモウ 東証一部 200603 277 0.66 1.81 28.31
31 8095 イワキ 東証一部 200611 350 0.69 1.71 37.21
32 8181 東天紅 東証一部 200702 314 0.76 0.64 70.96
33 8245 丸栄 東証一部 200702 265 0.7 1.13 32.76
34 9070 トナミ運輸 東証一部 200703 347 0.72 1.73 38.68
35 9351 東洋埠頭 東証一部 200703 265 0.98 1.89 44.61
36 9534 北海道ガス 東証一部 200703 330 0.82 1.82 27.23


投資指針:

 これら銘柄の押し目買い分散投資。今後1ヵ月程度をメドに、高値づかみの買い残が整理される過程の押し目を拾いたい。
 なお、信用取引による押し目買いはお勧めしない。わざわざ一時的な急落で吹き飛ばされるリスクを取りにいく必要はない。信用取引は、順張りで行うべき手法である。Good Luck!



 

天気晴朗なれど波高し

2006.05.03

 昨今の株式市場は、「ミニ二極化相場」的な状況を呈している。キャノン、ホンダ、トヨタ、村田あたりが緩やかな上昇トレンドになっている。評論家的な後講釈をすれば、「ライブドア・ショック以降の質への逃避(Flight to Quality)が発生していますね」といったところか。確かにこれらの銘柄は業績が好調である一方で株価バリュエーションは決して高くなく、風向きが回ってくれば事後的に説明がつく銘柄群ではある。もっとも相場上昇の持続性、上昇率を勘案すれば、個人投資家が現状からリスクを取って報われるのかどうかについてははなはだ疑問が残り、個人的には魅力を感じない。一方で当コーナーで継続的にコメントしている低位バリュー銘柄については、ミニ二極化相場的な展開なため足元ではぱっとしない。しかしながら調整は8合目前後のイメージ、時間の問題で底打ちするだろうと考えている。このように筆者は相場を楽観視しており、「最終的にはどっちみち上がる」という相場観に変更はない。

 しかしながら「天気晴朗なれど波高し」………一時的な相場の急落シナリオも、あり得ないことではない。今回はこの点を説明したい。

 図は1985年以降2005年末にかけての、株式の3市場信用買い残・売り残をヒストリカルに示したもの(メリルリンチ日本証券「日本株投資戦略マンスリー」からの抜粋)。その後に掲示されているグラフ(2000年から2006年4月末にかけての株式の3市場信用買い残・売り残)は、それ以降の期間について、当グラフを補完するために当方で作成したものである。両グラフを見ると、信用買い残は2005年末には2000年のITバブルの時の水準を越え、6.58兆円にまで膨れ上がっている。これが2006年1月第3週には7兆円越えとなり、目先のピークをつけたことがわかる。買い残のほとんどは、「キャノン、ホンダ、トヨタ、村田」的な銘柄以外のものだろう。結果的に高値で「取り残されている」建て玉がほとんどだと推定される。多くは、期日が6ヵ月の建て玉だろうと思われる。

 以上を前提にすると、この高水準の取り残された信用買い残が