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戦略コンサルタント&ベトナム株道先案内人 福森哲也
株式会社STIサポート代表取締役/コーポレイトディレクション(アジアビジネスユニット)シニアアドバイザー/アサヒ衛陶(東証2部)常務取締役他。

日欧の戦略コンサルティング会社にて、“第2の創業支援”プロジェクト(上場前後のベンチャー企業/中堅・準大手企業/地方有力企業)や M&Aプロジェクトに数多く従事。その後、上場ITベンチャーの執行役員や大手家電グループ企業の経営会議メンバーを経て、独立。現在は、企業内部に入り込む形での上場・未上場企業の“第2の創業支援”と、ベトナムを中心としたアセアンでの“事業&人材開発”支援に注力している。 ベトナムとベトナムビジネスの入門書『ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版)は、2012年に出したミャンマー・カンボジア・ラオス版と共に、アジア事業担当者・駐在員に幅広く活用されている。また、日本にベトナム株投資を最初に紹介した『日本人が知らなかったベトナム株』(翔泳社)などもある。

福森哲也のベトナム株投資

萌えるベトナム:マイクロファイナンス

03月31日
アメリカ主導の強欲金融資本主義がその限界を露呈している中で、イスラム金融と共に注目を集めているのが「マイクロファイナンス」です。世界人口の半数を占める貧困層に対して日々の収入を得るための無担保小額資本を提供していく、画期的な開発金融事業です。マイクロファイナンスは、グラミン銀行とその創設者であるモハマド・ユヌス総裁の2006年ノーベル平和賞受賞によって世界的な注目を集めるようになっています。

ベトナムには64省ありますが貧しい地域が大半であり、ハノイやホーチミンのような大都市は例外中の例外に当ります。64省全てでマイクロファイナンスの高いニーズがありますが、現時点ではベトナム社会政策銀行が主たる機能を担っています。推定で500万人に無担保小規模融資を行っているようです。

民間のマイクロファイナンス機関(MFI)は北部中心に60ほどありますが、未だ小規模なものが殆どです。60ほどのMFIで約50万人に無担保小規模融資を実施していると推定されています。最大のMFIは、ホーチミン市周辺で活動しているCEP(CAPITAL AID FUND FOR EMPLPYMENT OF THE POOR)で、11万人に対して総額23億円近い無担保小規模融資を実施しています。オーストラリア政府の400万ドルの寄付と世界銀行からの年利1%の長期ローンを中心に資金調達を行い、貸倒率は1%以下という優秀なMFIです。ただし、為替政策に関して慎重な政府・中央銀行の意向が強く、ドル建て・円建て等の外貨での資金調達は実質的にできない状況です。ホーチミン市労働連合の下部組織にあたり、連合から短期の資金融資も受けています。北部にある2番目に大きいMFIの融資対象者が約3万人といいますから、CEPが今ベトナムのMFIでは断トツに大きい機関になります。

ベトナム婦人連合会の下部組織も基金を作って女性の起業支援を行っています。総額11〜12億円程度の基金ですが、貧しい女性への小額資本提供や住宅環境の改善費用の融資を行っています。一人当たり融資額は100万ドンから500万ドン(住宅改善資金で最高1500万ドン程度)の本当に小額融資ですが、返済率は高く、毎年の貸倒引当金はどんどん積みあがっているということです。融資対象からの強制貯金(将来の仕事の頭金作りと日々の生活のリスク対応のため)は、商業銀行並みの金利を付与した上で、別の対象者への融資資金としても活用されています。120万人といわれる連合会加盟女性の内、未だ4万人ほどにしか融資を行っておらず、まだまだ膨大なニーズが存在しています。中小企業を起業したいというニーズも多いようです。

アジア、ベトナムに根付いている有名な日本の調味料メーカーは、継続的に当該基金に寄付を行い、基金・婦人連合会と非常に良い関係を構築しているようです。調味料を使うのは婦人達、そしてその婦人達の連合会との太いパイプ、流石です。法関連の整備の遅れや、為替を含めた政府・中央銀行の慎重姿勢、突出したベトナム社会政策銀行の存在など、ベトナムのマイクロファイナンスにはまだまだ課題が山積しています。しかしながら、政府・中央銀行もマイクロファイナンスの普及には前向きになっているとも言われており、5年後には全く違う様相を呈している可能性も否定できません。
ヘンカップライ
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萌えるベトナム090326

03月26日
一昨年から昨年前半の不動産投資が過熱していた時期には、不動産物件の新規販売開始時に購入希望者が列をなして“何十倍という倍率での抽選会”があちらこちらで行われていました。抽選時の小額のデポジットと当選後の頭金(20%程度)を支払い、その後にすぐ転売して儲ける人も数多く見られました。頭金20%、その後3回に分けて25%ずつ支払い、残りの5%は政府の正式の権利書発行時に支払うのがベトナムでは一般的ですが、権利書発行時までに何度か転売される物件などもあったほどでした。

昨年半ばからの金融引締めと9月以降の世界金融危機の影響で、高額の不動産物件の販売は停滞し、ホーチミン市の高級住宅街フーミーフンのサービスアパートメントの稼働率も大きく下落していました。フーミーフンのあるオフィスビル兼サービスアパートメントは、3年前に外国資本が1棟丸ごと2億円で買いに来、昨年年初の過熱時は10億円での売買が契約締結寸前までいきました。今は6〜7億円程度の価格で再交渉が行われているようです。

今年の旧正月明けから、フーミーフンやその周辺で高級分譲マンションの販売開始が相次いで行われていますが、日本や世界の金融・不動産危機にも関わらず、かなりの購入希望者が抽選に参加しています。ある物件(120平米強の3LDKの物件で2500万円前後の価格帯)は、販売開始時に販売予定戸数の6〜7倍の購入希望者が殺到し、抽選で即日完売しています。昨年オープンしたロッテマート(ここもベトナム人、韓国人、日本人などで賑わっています)近くの高級マンション(120平米強の3LDKで3500〜4000万円前後の価格帯/600平米以上・2億円以上の価格帯のペントハウスも10戸販売予定)では、3月21日のモデルハウスオープン前に既に60%〜70%の予約が入っているとのことです。今販売をしている物件は、来年の年末や再来年に竣工予定のものになりますが、週末の高級マンションのモデルハウスはベトナム人の家族連れで賑わいを増しています。

ベトナムでは今年から、ベトナム在住/ベトナム勤務の外国人もマンション等の購入が可能になっていますが、上記の物件の購入者はほぼ全てベトナム人です。ホーチミン市の一人当たりGDPは、統計上は1000ドル以下ですが、実際には2500ドル程度にまで達していると言われています。不動産や金などの資産を有している階層の購買力は今の状況下でも非常に力強いものがあります。「ベトナム人の富裕層はまだまだお金を持っています。我々よりもずっとずっと持っています。」と語ったマンション開発販売会社の韓国人マネジャーの言葉が耳に残っています。

ヘンカップライ
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ベトナムの真実090317

03月17日
旧正月(テト)明けのベトナムは、過熱気味の景気に沸いていた昨年同時期とは、かなり様相を異にしています。毎晩のように繰り広げられていた夜のバイクの大洪水(意味もなくひたすら街中をバイクの群れが走り回っています。カップルも家族連れも友達同士も)は、影を潜めています。昨年末時点ではそれほど危機感を感じていなかったベトナム人も、ここに来て会社及び家計の支出を大きく抑えようとしているようです。

過去数年にわたって続いた好景気によって、政府も企業も個人もコスト構造が大きく水膨れしてきていました。高額のボーナスも、不動産や株や金などの転売利益も“あるのが当たり前”という感覚で消費に回っていました。高級レストランでの食事や高級車、法外な値段の携帯電話などに使われていました。ホーチミン市の中心街のカフェに座っていると、日本でも700万円〜1000万円するドイツや日本の高級車(現地では倍以上の値段に税金の関係でなる)が次々と目の前を通っていきます。

しかしながら、旧正月明けの厳しい経済環境の中で、今年のボーナスが殆ど期待できないことを覚悟した金融・不動産などのやり手ビジネスパーソン達も、さすがに膨れ上がった支出の絞込みを強化しています。人気の地元の高級レストランは相変わらずベトナム人で活況を呈していますが、日本食レストランを初めとした外国の高級レストランはベトナム人客がかなり減ってきています。

「会社が交渉をしてくれて銀行から月の給料の10倍、20倍の融資を受けることができたので、みんな融資を活用して自社株を初めとした株式投資をしていた。株式市場が上がっていた時は皆すごいお金持ちになった気分でいたが、今は危機感で一杯。ボーナスは殆ど期待できないので、月数百ドルの給料で、月100ドルを越える返済をして、残りで生活をしないといけない。景気が良かった時のボーナスなどは殆ど使ってしまっているし、安定したサイドビジネスを皆でお金を出し合って立ち上げようかと考えている。」という金融会社のエリート社員の声は少しだけ憂鬱そうでした。

多くのベトナム人が財布の紐をキュッと絞り込んでいる状況ですが、2月14日のバレンタインデーには、想像を絶するバイクが街中を走り回っていました。誕生日やお祝い事の時には、高級レストランで大きな乾杯の声が響き渡り、ディスコは若者で一杯になっています。国の銀行融資に対する支援策の影響なのか、昨年末には止まっている様に見えた多くの市中の工事現場は、クレーン車などが活発に動いています。「最近はあまり無駄使いをせずに夜は家にまっすぐ帰ることが多くなった。」と少し寂しそうに、でもちょっとニヤニヤしながら話をするベトナム人たちを見ていると、同じように不景気と言っても、“マイナス成長の国と成長が一時鈍ってしまっているだけの国の違い”をすごく感じます。ベトナムはこの世界金融危機下でも5%〜6%の経済成長をしようとしているのですから、9000万人の貪欲な内需の力を感じざるを得ません。
ヘンカップライ
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ベトナムの真実090312

03月12日
日本は、1991年にベトナムに対するODAを再開して以降毎年支援国の第一位でした。ホーチミンのタンソンニャット国際空港やサイゴン東西国際道路、ハロン湾近くのバイチャイ橋などベトナムにとって重要なインフラが日本のODAによって整備されてきました。ベトナムを訪れると、ガイドや通訳の方が「この道路は(橋は)日本の援助で作られました」と何故か嬉しそうに教えてくれるのが常でした。

そんな友好な日本とベトナムのODAに大きな影を落としたのが、パシフィック・コンサルタンツ・インターナショナル(PCI)の贈収賄事件でした。日本の新聞にも大きく報道されたこの事件を受け、昨年12月のベトナム支援国会議で日本は「対ベトナム新規支援案件の一時凍結」を発表しました。会議自体は、総額50億ドル以上の支援事業が発表され大成功でしたが、最も期待されてきた日本の支援凍結の発表は大きな波紋を呼びました。

その後の日本とベトナム相互の真摯な対応を受け、今月から支援凍結を解除し、鉄道システムや下水道システムの改善に向けたインフラ整備事業、4件、総額9億ドルの供与が先月末に発表されました。

ベトナムへの資金流入規模ですが、輸出額が630億ドル、FDI(外国からの直接投資)が115億ドル、FII(外国から間接投資)が07年65億ドル/08年25億ドル、ODA実施額が22億ドル、海外からの送金が07年55億ドル/08年80億ドル、外国人観光客からが40億ドルといった状況です。世界的な経済危機の影響を受け、この内の輸出・FDI・FII・海外からの送金はかなり減少すると見られており、確実に実行される日本のODAはベトナムにとって非常に頼もしい存在なのです。
ヘンカップライ
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レタントン通りに活気が戻る?

03月02日
昨日ホーチミンに着きました。成田エクスプレスが信号故障で1時間半遅れ、すでにチェックインは終了していた成田空港。どうにかチェックインをしてもらい、スタッフと一緒に走って登場口まで。疲れた。。。。大分前に国内の出張でスタッフと一緒に搭乗口まで全速力で走って乗ったことがあったけど、それ以来。もし乗り遅れていたらJRはどこまで損害賠償してくれるのだろうか???

雪のちらつく寒い日本から汗がじわっと出てくるホーチミンに。着いた日の定番のキノコ鍋(Ashima)は今日も美味しく、ベトナム人や日本人を連れてきているベトナム人で満員。レタントン通りのNAKASUも満員。朝からお客さん4名とドンナイ省まで釣りに行って夕食も一緒に食べて同伴してくれた4名の女の子達(偉い!)、古いカラオケを我慢して歌ってくれている日本の団体さまや、カウンターでボトルを入れて女の子と楽しそうにしゃべっている3人組の欧米の方々・・・日曜なのにせっかく店に行っても殆ど誰も相手をしてくれず一人で絵を見ながら飲む。嬉しいような、寂しいような。。。

10月・11月・12月と壊滅状態だったレタントン通りのお店も、先月から人が戻ってきているようです。NAKASUも先月、昨日とかなり盛況な日が続いています。お客さんが多いと女の子たちも活き活きしています。やはり韓国のお客さんの悪いようですが、最悪の状況は脱したのかもしれません。

ヘンカップライ
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