Pan; 資産運用としてのオプション取引入門

資産運用としてのオプション取引入門

著者　増田丞美
四六判 176頁
定価 2,940円 (本体2,800円+税5%)
2006年08月10日発売
ISBN4-7759-6138-4　C2033

株式にはない“オプション”ならではの優位性を活かして
頑張らずに利益をあげる魅力的な投資法

はじめに

　本書は、オプション取引の経験がきわめて少ないか、知識も十分でない一般投資家を対象に行なったオプション売買入門セミナーです。オプションは元々「保険的な」商品で、ヘッジ（リスク回避）を目的として作られた商品です。例えば、株式を保有している株式投資家は、将来株価が暴落するかもしれない不安定な局面で、プットオプションを購入することによりそのリスクから免れるか、リスクを軽減することができます。また、モノの価格が大きく上昇し続けているようなインフレ懸念が台頭している状況では、コモディティ（金、穀物、原油等の商品）のコールオプションを買うことによりインフレヘッジを行なうことができます。
　このようにオプションはヘッジ（保険的）機能を備えた金融商品なのですが、その本来のヘッジ目的ではなく、「資産運用」としてより積極的にオプション活用する方法があります。それを紹介したのが本書です。オプションは複雑な商品で、リスクが高く一般投資家向けではないというイメージがあります。実際に、そのようなことを声高く語っている著名な投資家もいます。その一人が、『オニールの成長株発掘法』等の著書で知られる、“マーケットの魔術師”ウィリアム・オニール氏です。氏の言葉を同書から引用します。
　投資家のほとんどは、オプション売買に手を出すべきではないと私は考えている。オプションは極めて投機的であり、普通株に比べてリスクもボラティリティも高いからである。投資で成功するためにまず学ぶことは、投資リスクをいかに最小限に抑えるかということであり、リスクを増やすことではない。（同書２２５頁）
　しかし、だからこそ、オプションなのだ！　と言いたいのです。オプションは多くの誤解に満ちています。このような相場のプロでさえもオプションについて何も分かっていないに等しいのです。残念ではありますが、この偉大なる株式投資家のオプションについての知識と理解はきわめて稚拙であるといわざるを得ません。
　オプション取引戦略の中には、リスクを抑えた勝つ確率の高く株式投資やトレードよりむしろ易しく利益を得られるものもあるのです。取引のやり方によっては、株式投資は、多くの投資家が考えているよりずっと“投機的”で、反対にオプションは、多くの投資家が考えているよりずっと“保守的”なのです。
　オプションは「ゲームのルール」も「ゲームのやり方」も株式投資とは全く違います。この異なる“ゲーム”のルールとやり方を修得すれば、やり方次第では、株式投資よりも易しく、利益を出し易いということに気づくでしょう。そして、そのとき、あなたはオプションの虜になっていることでしょう。
　まず、本DVDブックでオプションの基本的なしくみと理解することから始めましょう。ご健闘を祈ります。(「はじめに」より)

オプションの本質
ボラティリティとタイムディケイ
ボラティリティ
オプションとは何か、再び
オプション価格の決定要因
なぜオプションなのか？
オプション市場
オプション取引の基本
株価指数としての日経225とは何か
最近の日経225の動きとその特徴
日経225オプション取引の例
買い戦略
売り戦略
カレンダー・スプレッド

著者プロフィール

増田丞美 (ますだ・すけみ)

1985年米国コロンビア大学大学院（MIA/MBA）を卒業後、野村證券（東京・ロンドン）、モルガン・スタンレー投資銀行（ロンドン）を経て、海外ヘッジファンド・グループにてデリバティブポートフォリオの運用に携わる。現在、アストマックス（国内投資顧問）チーフアナリスト兼アストマックスUSA（米国投資顧問）エグゼクティブ・バイスプレジデントとして資産運用業務に従事。また、『オプション倶楽部』アドバイザーとしてオプション取引戦略等を寄稿中。