■個人投資家のための穀物取引入門 目次


はじめに 3


Part1マクロ編 13

Part1「マクロ編」について 14
Q1 現在の世界の食料供給のあらましを教えてください 15
Q2 三大穀物とは何ですか? 18
Q3 世界の主要な穀物生産国はどこですか? 21
Q4 日本の穀物自給率が世界の最下位グループというのは本当ですか? 23
Q5 「緑の革命」とは何ですか? 26
Q6 FAOの長期穀物需要予測を教えてください 28
Q7 ワールドウォッチ研究所の長期穀物需要予測を教えてください 31
Q8 将来、水不足が穀物生産を脅かすというのは本当ですか? 34
Q9 穀物の主要生産国に、水不足の問題は発生しているのですか? 37
Q10 2002〜2003年の穀物生産事情を教えてください 41
Q11 個人投資家にできる穀物投資はどんなものがありますか? 45


Part2基礎知識編 49

Part2「基礎知識編」について 50
Q12 トウモロコシの用途を教えてください 51
Q13 大豆の用途を教えてください 54
Q14 トウモロコシ・大豆の主な消費国と輸入国はどこですか? 56
Q15 トウモロコシ・大豆の主な生産国と輸出国はどこですか? 58
Q16 トウモロコシ・大豆の遺伝子組み換え品について教えてください 61
Q17 BSE(狂牛病)はトウモロコシ・大豆価格にどんな影響を与えましたか? 65
Q18 コーンベルトとは何ですか? 68
Q19 エルニーニョ現象が干ばつをもたらすというのは本当ですか? 70
Q20 米国の農業政策、特にローンレートについて教えてください 73
Q21 米国のトウモロコシ・大豆の流通のあらましを教えてください 77
Q22 トウモロコシ・大豆の価格変動要因を教えてください 80
Q23 トウモロコシと大豆の過去の大相場を教えてください 83
Q24 トウモロコシ・大豆の生育段階を教えてください 86
Q25 トウモロコシの生育にとって懸念すべき天候条件を教えてください 88
Q26 大豆の生育にとって懸念すべき天候条件を教えてください 90
Q27 天候情報にはどんなものがありますか? 91
Q28 USDA統計のうち何が重要なのですか? 94
Q29 米国のトウモロコシ需給バランスの推移と見通しを教えてください 98
Q30 米国の大豆需給バランスの推移と見通しを教えてください 101
Q31 中国のトウモロコシ・大豆の需給と今後の見通しを教えてください 104
Q32 南米のトウモロコシ・大豆の生産動向を教えてください 108
Q33 日本の穀物先物取引所について教えてください 112
Q34 米国の穀物先物取引所について教えてください 114
Q35 東穀取のとうもろこし・大豆先物取引の取引条件を教えてください 116
Q36 先物取引委託者保護のしくみを教えてください 118
Q37 シカゴ市場と東京市場は連動しますか? 121
Q38 在庫率と価格の関係を教えてください 124


Part3トレード実践編 127

Part3「トレード実践編」について 128
Q39 1円の円安(高)でとうもろこし・大豆価格はどれだけ影響を受けますか? 129
Q40 とうもろこし価格の平均的な上下幅を教えてください 132
Q41 一般大豆価格の平均的な上下幅を教えてください 136
Q42 通常、とうもろこしのさやの状態はどうなっていますか? 139
Q43 通常、大豆のさやの状態はどうなっていますか? 141
Q44 とうもろこし・大豆の先限つなぎ足チャートは有効ですか? 143
Q45 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証|噂祕榮以振 145
Q46 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証▲椒螢鵐献磧璽丱鵐鼻糞嫩イ蝓 151
Q47 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証ボリンジャーバンド(順張り) 157
Q48 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証ぅ屮譽ぅアウト 162
Q49 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証DMI 168
Q50 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証MACD 173
Q51 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証Я蠡侘六愎堯RSI) 179
Q52 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証┘好肇ャスティクス 184
Q53 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証モメンタム 190
Q54 代表的なトレード手法は有効ですか? 検証OBV 194
Q55 穀物のトレード戦略を示してください◎値幅フィルター付きモメンタム 199
Q56 穀物のトレード戦略を示してください◎ローンレート 203
Q57 穀物のトレード戦略を示してください◎季節性 207
Q58 商品間の価格比率を用いたトレードは有効ですか? 213
Q59 CFTC建玉明細を使ってトレードできますか? 215
Q60 トレード戦略を同時に複数運用するとどうなりますか? 217

参考文献 220
参考ウェブサイト 221

はじめに

 本書は、個人投資家の立場から「緑の通貨」=「穀物」の需給見通しを論じ、先物市場でのトレードノウハウを紹介するものです。
 世界経済がデフレ傾向を深めるなか、株安と金利安が常態化し、投資家にとってはまことに憂うべき状況となっています。「何か確実なものに着目した投資商品って何だろうか?」という疑問は著者だけのものではないでしょう。  いま「何か確実なもの」として考えられるのは、おそらく世界人口の増加です。国連人口基金のホームページには「人口時計」というユニークな時計があり、日本および世界の人口の推定値が日々更新されています(http://www.unfpa.or.jp/jinko/jinko.html)。これをみて恐ろしくなるのは、世界人口が1日に20万人余りも増加していることです。1999年に60億人に到達したばかりの世界人口は、2003年初の時点で62.4億人となり、1年間で8,000万人増加しています。仮に今後ペースが鈍化するとしても、2050年には90億人前後に到達すると予測されています。  自明の理ですが、これは食糧需要が着実に増加し続けるということを意味します。食糧の6割強を占める穀物は現在世界で年間18億トン強生産されていますが、FAO(国連食糧農業機関)は2030年には28億トンが必要になると予測しています。

 過去100年を振り返ると、世界の人口は15億人から62億人へ4倍以上に膨れ上がりましたが、人類は食糧増産の課題を、耕地面積の拡大と農業生産性の改善で乗り切ってきました。問題は今後もそれが達成できるかどうかです。  耕地面積は約15億ヘクタールで過去10年間横這いが続いており、今後増やせる余地はわずかといわれています。そのため灌漑農業の拡大とテクノロジー開発で、さらに生産効率を上げていくことが宿命づけられています。  しかし、その一方で水不足、表土流出、塩害などの農業をめぐる環境の劣化は、今後の課題の達成を従来よりもはるかに困難にしているように思われます。  現に2002年は米国、豪州、カナダを深刻な干ばつが襲い、穀物生産量は対前年で5,000万トン以上も減産となる18.1億トンにとどまり、穀物在庫は4年連続で減少する見通しとなりました。その過程で穀物価格は一時急騰しました。
 本書はPart1において、このようなマクロ的にみた穀物の需給の現況と問題点に言及しています。

 Part2以降では、トウモロコシと大豆に焦点を絞りました。読者の方々の大半は、穀物といえば小麦や米をイメージされるのではないかと思います。しかし本書が「小麦と米」ではなく「トウモロコシと大豆」を扱っているのは次の理由によります。  まず、トウモロコシは穀物のなかで最大の生産量を誇る「食のインフラ」であるということ、大豆は最大の油糧種子として需要の伸びが著しく、また日本においては豆腐、納豆、醤油、味噌などの製造に不可欠な「日本食の要」であるということです。トウモロコシを世界で最も多く輸入している国はほかならぬ日本です。自国の米生産量の1.6倍に相当する年間1,600万トンを輸入し、その輸入依存率はほぼ100%です。われわれ日本人が肉類や乳製品を通じて間接的に摂取しているカロリーは、米の1.6倍にも達しています。一方、大豆は年間500万トン前後が輸入されており、輸入依存度は95%になります。  次に、これら2品目は東京穀物商品取引所等の商品先物取引所に上場され、個人投資家でも自由に参加できる環境が整えられているということが挙げられます。小麦や米は日本の商品先物市場に上場されていません。本場のシカゴ市場には小麦が上場されていますが、出来高はトウモロコシや大豆の半分以下の規模です。

 Part3はトレード実践編として、トウモロコシ先物、大豆先物のトレードノウハウを紹介します。先物取引はハイリスク・ハイリターンですから、株式取引以上に売買タイミングが重要です。これまでも本書の姉妹編となる『個人投資家のための原油取引入門』『個人投資家のためのガソリン・灯油取引入門」』『個人投資家のための貴金属取引入門』において同様のトレードノウハウを紹介してきました。そのなかで痛感したことは、商品銘柄によって価格変動パターンにはそれぞれ異なった個性があるということです。その背景には価格変動要因がそれぞれに異なるという事情があります。  奈良・平安時代に、どの季節にどちら向きに季節風が吹くのかということに疎かった日本の遣唐使船団がしばしば遭難したのに対し、大陸人はよく風の向きを熟知して遭難が少なかったといわれています。今の日本人が投資ベタだといわれるのも、おそらく同じ理由でしょう。成功するためにはじっくりと有利な風の方向を研究していくほかありません。本書が悩める投資家の方々にとって一助となれば幸いです。

 本書の作成にあたっては、児玉一彌氏(東京穀物市況調査会理事長)、木原大輔氏(日本ユニコム蠍槎筺法△よび大本尚之氏(アンドレイ・ファーイースト蠎萃役穀物部長)に多大なるご助力を賜りました。また、本シリーズの編集と装丁を担当している細田聖一氏には、今回もお世話になりました。  ここに記してお礼を申し上げます。

2003年4月吉日

渡邉勝方


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