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『株の天才たち』 (旧題:『賢人たちの投資モデル』) 目次

目次

賢人たちの投資モデル ウォール街の伝説から学べ

日本語版への序文
推薦の言葉
序文

第一部
   ウォーレン・バフェット――最高のブレンド投資

第一章
   バフェットの成功戦略――常識を踏まえた投資法と複利の収益で真の富を築く
    バフェット式投資の原理とその戦略
  バフェット式戦略の進化
  バフェット式・常識を踏まえた投資法

第二章
   バフェットが実践する三つの投資ステップ――年次報告書から洞察を得る
  ステップ一 情報を集める
  ステップ二 情報を評価する

第三章
   バフェットが実践する三つの投資ステップ(続き)――株式調査レポートから洞察を得る
  増収増益の記録を探す
  売上高利益率の高い企業を探す
  純資産の推移を追う
  株主資本利益率に注意する
  負債が適正水準にある企業に投資する
  株価収益率のバリエーション
  投資利回りと企業の成長率
  ステップ三 決断を下す

第四章
   GEICO株を振り返る

第五章
   バフェットの戦略を応用する――投資家別戦略応用法

第六章
   究極の年次総会
  銀とROEとネット株
  自社株買いとストックオプションについて

第七章
   ウォーレン・バフェット――その生涯と経歴
  バフェットの駆け出し時代の投資
  バフェットのスピーチ

第二部
   ベンジャミン・グレアム――数値重視のバリュー投資

第八章 グレアムの成功戦略――投資のイロハ
  バリュー投資か、グロース投資か、ブレンド投資か
  バリュー投資へのさまざまな解釈
  過小評価されている株のいろいろな買い方
  グレアム式投資原理の真髄
  ドル・コスト平均法で規則正しく投資する

第九章
   グレアムとその弟子たちが実践する三つの投資ステップ――割安株を狙え
  ステップ一 情報を集める
  ステップ二 情報を評価する
  ステップ三 決断を下す
  財務比率分析――数値を有効に使う

第一〇章
   ジョン・スピアーズとメーソン・ホーキンズ――二一世紀のバリュー投資
  グレアムの戦略を応用する――ジョン・スピアーズの場合
  グレアムの戦略を応用する――メーソン・ホーキンズの場合

第一一章
   グレアムの戦略を応用する――投資家別戦略応用法

第一二章
   ベンジャミン・グレアム――その生涯と経歴
  グレアムの会社設立と一九二九年〜一九三二年の株価大暴落
  永久不滅の遺産

第三部
   フィル・フィッシャー――調査重視のグロース投資

第一三章
   フィッシャーの成功戦略――企業の人材・製品・政策を評価する

第一四章 フィッシャーが実践する三つの投資ステップ――聞き込み捜査
  ステップ一 情報を集める
  ステップ二 情報を評価する
  ステップ三 決断を下す

第一五章
   モトローラ株を振り返る

第一六章 フィッシャーの戦略を応用する――投資家別戦略応用法
  経営幹部にその企業に関する質問をする
  背景知識を入れるためのその他の情報源
  プロに運用してもらう

第一七章
   とげとバラ――投資の失敗から学ぶ

第一八章
   フィル・フィッシャー――その生涯と経歴
  フィッシャー家の三世代

第四部
   トーマス・ロウ・プライス――将来を見据えたグロース投資

第一九章
   プライスの成功戦略――企業のオーナーと同じ考え方をする一方で、
   「投資家にとって唯一確実に訪れるものは変化」であることを悟る
  若いころの経験がプライスの投資哲学および投資戦略に与えた影響
  投資家にとって唯一確実に訪れるものは変化である

第二〇章
   プライスが実践する三つの投資ステップ――企業の成長とライフサイクルを検討する
  ステップ一 情報を集める
  ステップ二 情報を評価する
  決断を下す

第二一章
   プライスの戦略を応用する――投資家別戦略応用法
  コラムA――株式投資(成長型)
  コラムB――債券・その他の確定利付投資(インカム重視型)
  コラムC――現金同等物への投資(元本確保型/元利の安定性)
  投資家別アセット・アロケーション戦略
  アセット・アロケーションと運用期間
  驚異の複利効果
  債券について知っておくべきこと

第二二章
   現在および将来の投資動向――テクノロジー、ヘルスケア、金融サービス
  テクノロジー
  ヘルスケア
  金融サービス

第二三章
   トーマス・ロウ・プライス――その生涯と経歴
  資産運用会社を設立、初のミューチュアル・ファンドを設定
  エマージング・グロース・ファンドとインフレ・ヘッジ戦略
  プライスの遺産

第五部
   ジョン・テンプルトン――精神世界を重んじたグローバル投資
  テンプルトン流・心への投資

第二四章
   テンプルトンの成功戦略――先見の明と忍耐、そして逆張りの勧め
  バブルとバブル崩壊

第二五章
   テンプルトンが実践する三つの投資ステップ――比較検討しながら株を買う
  ステップ一 情報を集める
  ステップ二 情報を評価する
  ステップ三 決断を下す

第二六章
   投資を成功させるために/常識を生かしたテンプルトンの一五の法則
   【一】実質リターンはいくらか
   【二】投機はするな、投資せよ
   【三】柔軟に対応する
  【四】安値を拾う――逆張り戦法
  【五】良いものを買う
  【六】価値に投資する
  【七】分散投資
  【八】下調べをしておく
  【九】投資対象のモニタリング
  【一〇】パニックを起こさない
  【一一】失敗を有効に活用する
  【一二】祈る者は救われる
  【一三】謙虚になる
  【一四】タダ飯などない
  【一五】投資に対しては前向きな姿勢で

第二七章 グローバル投資の発展と重要性
  国際分散投資
  グローバル市場の分類
  グローバル投資の課題
  エマージング・マーケットの投資機会とリスク

第二八章
   テンプルトンの戦略を応用する――投資家別戦略応用法
  世界中に投資する――より取り見どりのグローバル・ファンドとインターナショナル・ファンド
  米国預託証券(ADR)

第二九章
   テンプルトンの強気の見方――自由企業と株式市場の将来
  株式市場の見通しと精神面の進歩

第三〇章
   ジョン・テンプルトン――その生涯と経歴
  テンプルトンの学生時代と仕事への道
  テンプルトンの心への投資

第六部
   独自の財テクプランを作成する

第三一章
   三つの投資ステップ(合成版)の応用法と投資リターンの予測方法
  ステップ一 情報を集める
  ステップ二 情報を評価する
  ステップ三 決断を下す
  持ち株のモニタリング
  アセット・アロケーションと伝説の投資家たちの戦略を応用する
  投資には自制心、知識、熟練、柔軟性が必要
  企業収益、株価、投資利回りを予測する

第三二章
   真の富を獲得、維持していくために
  手始めに自分の経済状態を評価する
  明確かつ現実的なファイナンシャル・ゴールを設定する
  投資リスク
  購買力を維持し、リスク対策を講じる
  投資・運用先を決める
  自分の投資スタンスを見極める
  個人向け純資産表
  収支一覧表

訳者あとがき
索引

推薦の言葉

「長期的に抜群の運用成績を上げてきた著名な投資家たちによる常識を踏まえた投資手法をニッキー・ロスが実に分かりやすく、かみ砕いて説明している」
ジョン・M・テンプルトン(テンプルトン・ミューチュアル・ファンド、テンプルトン財団の創設者)

「ニッキー・ロスは、わが創始者の心をよくくみとって、ミューチュアル・ファンドだけでなく、株式に投資する人たちに対しても貴重な情報を提供してくれた」
ジョージ・A・ローチ(T・ロウ・プライス・アソシエーツ会長)

「投資について楽しみながら学んでみたいと思いませんか。この素晴らしい本にはウォール街の数十年分の知恵が織り込まれています。私も勉強させてもらいました。もっと賢い投資家になるために、もう一度学び直しながら、これまでの歩みを思い出しています。ありがとう、ニッキー。ありがとう、伝説のヒーローたち」
ゲイル・M・デュダック(UBSウォーバーグ、チーフ・USストラテジスト兼マネージング・ディレクター。CNBC、PBS『ナイトリー・ビジネス・レポーツ』、CNN『マネーライン』のゲスト・コメンテーター)

「偉大な投資家たちはいかにして成功を手に入れたのか。そしてその情報をどう使いこなせばいいのか、ニッキー・ロスが教えてくれる。本書はNAICの会員にとって必読の書であるばかりか、すべての投資家の書棚に収めていただきたい本である」
トーマス・E・オハラ(NAIC理事長)

「こうしたヒーロー崇拝的な話は割り引して受け取るべきものだが、これは違う。私の投資歴が10年に満たないうちに、こうした本が出ていれば、どんなによかったかと思う」
ケネス・L・フィッシャー(フィッシャー・インベストメンツ設立CEO。フォーブス誌のポートフォリオ戦略コラムニスト)

「投資やおカネについて真面目に考えている人すべてにとって、読む価値のある一冊」
ムリエル・F・シーバート(シーバート・ファイナンシャル・コープ社長兼会長)

「伝説の偉人たちからのアドバイスがあれば、賢明な決断を下せるようになるだろう。本気で投資する人は全員、本書を買って、友人や家族にプレゼントしてみるとよいかもしれない」
バーン・ヘイデン(CFP。元全米金融教育基金会長。CNBC、NBC、ブルームバーグのレギュラー・ゲスト・アドバイザー)

「現在の投資マインドをこれほど見事に洞察した本はいまだかつてなかった。投資家全員が読むべき本だ」
クリストファー・L・ヘイズ博士(全米女性・退職調査センター創設理事)

「他者がどうやって市場で富を築いたのかを学ぶことは、どの投資家にとっても有益なことだ。アメリカ屈指の株式投資家5人の戦略が知りたければ、本書を読むのが一番だ。グレアム、バフェット、プライスらの戦略を自分のポートフォリオに生かす方法が分かる。必ず得るものがあるはずだ」
スティーブン・サンボーン(バリューライン・パブリッシング調査担当取締役)

「株式投資を始めて35年以上になるが、役に立つ本にあまり出会ったことがない。だがこの本は別格だ。真面目に投資を考えているみなさんに、ぜひともお勧めしたい数少ない本のうちの一冊だ」
フィリップ・K・スウィガード(バークシャー・ハサウェイの株主。個人投資家)

「文学を理解したければ、偉大な作家について勉強すればいい。音楽なら、偉大な作曲家について学べばいい。では、なぜ大抵の投資講座では偉大な投資家たちのことを教えてはくれないのだろうか。市場に勝てる者などいないといった効率的市場理論なら説いてくれるのに、どうして市場に勝てる者たちのことをおろそかにするのだろう。その点、ありがたいことに、本書なら大丈夫。運用成績をアップさせられるかもしれない。この一冊があるだけで、数あるアカデミックな投資テキストよりも、ずっと実践的なアドバイスが得られるだろう」
ドン・フィリップス(モーニングスターCEO)

「よくやった! これは一般投資家向けの素晴らしい本だ。伝記的な要素とアカデミックなテキストとを合体させるとは、実にユニークである。これなら学ぶのがずっと楽しくなるだろう」
T・ウエイン・ホイップル(CFA、ニューヨーク証券アナリスト協会会長)

「この素晴らしい手引書には、投資界の長老たちからの教えが明確に記されている。投資家にとって、注目に値する情報源だ」
ベルナデット・B・マーフィー(キメルマン&ベアード、チーフ・マーケット・アナリスト。テレビ番組『ウォールストリート・ウイーク・ウィズ・ルイス・ルーカイザー』のレギュラー・パネリスト)

「相場に目をやるたびに、有能な投資コンサルタントがいればと思う。ニッキー・ロスによって結成された投資のドリームチームによる明察は、見事であると同時に時を得ている。5人の伝説的ヒーローたちの知恵と洞察は、コンサルタントやファンド・マネジャー、ファイナンシャル・アドバイザー、株式ブローカー、そして何よりも重要な投資家たちにとって、勝ち組の投資戦略を構築するのに役立つはずだ。この素晴らしい本は知識を得ながら実に楽しく読める。どんなタイプの投資家にもぜひ読んでいただきたいものだ」
マイケル・T・ディーシュバーグ(ソロモン・スミス・バーニー、コンサルティング・グループCIMA)

「ニッキー・ロスは今一番豊かな鉱脈から細心の注意を払って金を採掘し、賢く投資をしたいと望むすべての人たちにとって高い価値を生むように精製してくれた。経験豊富な投資家にとっても本書は必読書だが、経験の浅い投資家にも理解できる内容となっている」
エリス・トラウブ(インベストウェア会長)

「これは面白くて、ためになる。5人の伝説的投資家たちがニッキー・ロスを介して語りかけてくる。財を成し、それを維持するために彼らがとった戦略が詳細に記され、読者自身が自ら資産形成の青写真を描けるように解説されている。ぜひともお勧めしたい本である」
ゲイル・リーバーマン(新聞雑誌連盟コラムニスト、『ラッグス・トゥー・リッチズ:モチベーティング・ストーリーズ・オブ・ハウ・オーディナリー・ピープル・アチーブド・エクストラ・オーディナリー・ウェルス!』の著者

序文

「二一世紀末には、ダウ平均(ダウ工業株三〇種平均)は一〇〇万ドルを超えることになるだろう」
 フロリダ州マイアミで開かれた機関投資家向け資産運用会議でのスピーチ中、ジョン・テンプルトンはこう予言した。聴衆の中には、まゆを上げ、目を大きく見開いて、いぶかしげな表情を浮かべる者もいたが、歴史的見地からすれば、テンプルトンの理論的解釈は、何も非現実的なことではない。二〇世紀初頭、ダウ平均(訳注 当時はダウ工業株一二種平均)はだいたい一〇〇ドルぐらいだった。が、彼がスピーチを行った一九九九年一一月一八日には約一万一〇〇〇ドル。つまり、一〇〇倍を超えている。そこで、今世紀も二〇世紀と同じだけ上昇すると考えるなら、二〇九九年には一〇〇万ドルに達していることになるのである。
 株式市場の将来については楽観的なテンプルトンも、「二一世紀の弱気相場に備えて(精神的にも資金的にも)きちんと準備をしておくように」と警告を発している。一般に、弱気相場(ベア・マーケット)とは、「高インフレ、高金利、企業収益の低下、投資家心理の冷え込みといったさまざまな要因によって、マーケットが二〇%以上下落すること」と定義されている。このテンプルトンの警告は実にタイムリーだった。なぜなら、二〇〇〇年四月には弱気相場の兆候が現れていたからだ。
 たとえ上昇相場で株を買ったとしても、その銘柄が上がるとは限らない。ウォール街の証券会社でマーケット・ストラテジストをしているアンソニー・ドワイヤーによれば、一九九九年にはダウ平均が二五%上昇したにもかかわらず、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している株式のうち値下がりした銘柄は六割にも上ったという(#1)。

本書の活用法

 伝説的な五人の投資家たちの知恵を三つの重要な投資ステップに凝縮するとともに、株が上がろうが下がろうが、様子見気分のときであろうが、地合いがどうあれ、彼らの戦略を応用していけるようにアドバイスしていく。投資経験の多少にかかわらず、個別株やミューチュアル・ファンドを購入するとき、資金運用担当者に運用を頼むときなど、より良い投資判断を下すのに役立つ情報が得られるだろう。
 伝説的な五人の投資家については、すでにおなじみのこともあるかと思うが、本書では、彼らの戦略を今日の市場に適用できるように内容をアップデートしてある。各章では、投資に不可欠なさまざまな知識や原理を紹介する。それぞれを組み合わせて手堅い投資プランを立ててほしい。

●ウォーレン・バフェット

 超長期投資の実績を持つ独立独歩の大富豪。年次報告書を読み、株の調査レポートから、しかるべき銘柄を物色し、収益を上げる手法について洞察を与える。

●ベンジャミン・グレアム

 バリュー投資の父。証券分析の基準を設け、応用することで富を築く。企業を評価するうえで必要となる重要な財務データ、財務比率について解説。二一世紀を迎えて、グレアムの弟子たちがこの投資基準をさらに発展させている。

●フィル・フィッシャー

 探偵まがいの投資手法で資産を形成。企業の最高経営幹部・製品・政策を評価することで超成長株を選別していく方法を伝える。

●T・ロウ・プライス

 成長株に投資し、企業のライフサイクル理論(誕生、成熟、衰退)を応用することで富を獲得した未来派人間。成長率の鈍化を示す警告シグナルや、株価に影響を与える種々の動向について論じる。プライスが創設したミューチュアル・ファンド・グループ、T・ロウ・プライス・アソシエーツのファンド・マネジャーらが彼のアドバイスをアップデートし、さらに充実させている。

●ジョン・テンプルトン

 グローバル投資の長老。テンプルトン・ファンド、テンプルトン財団の創設者。物質的な富だけでなく、精神的な富を創造。いつの時代にも有効な一五の投資法則とグローバル投資戦略について明かす。


 本書の構成

 第一部から第五部までは、まず各人の人物紹介とその業績について概観し、次にそれぞれの成功戦略と投資原理を説明していく。以下に挙げる三つの投資ステップの実践法については、その後に論じる。

 ■ステップ一 情報を集める
 伝説の投資家たちの手掛かりのつかみ方や企業調査のやり方とともに、インターネットや印刷刊行物、その他の情報源を利用した株のリサーチ法を詳しく解説。

 ■ステップ二 情報を評価する
 彼らの投資基準の応用法をはじめ、定量情報(企業の財務指標など)の見方や定性情報(企業の経営陣や製品の質など)の評価法を紹介。彼らが株を買った企業を例に挙げながら説明していく(ただし、読者が本書を読むころには、すでに売却されている可能性もあり、その企業のファンダメンタルズや株価は、もう買うにはふさわしくないかもしれない)。売上高、利益、売上高利益率、株主資本利益率(ROE)といった財務指標については、五人とも同じような基準を設けているが、財務情報に対する見方には違いがあることが分かるだろう。

 ■ステップ三 決断を下す
 売買や保有に関する決断を、彼らがどう下しているのかを見ていく。

 その後の章では、彼らならではの取って置きの話や、投資家別戦略応用法(保守派、中道派、積極派のうち、自分がどのタイプに属するかについては、第三二章の終わりにある「投資スタンス判定テスト」を参照のこと)に加え、彼らの生涯や経歴を物語風に簡単にまとめてみた。最初に概観や投資戦略に関する話から読んでもいいし、いきなり三つの投資ステップのところから読み始めてもかまわない。伝説のヒーローたちのバックグラウンドについてさらに知りたければ、その生涯や経歴のところを先に読んでもいいだろう。
 第六部では、各部を合成した三つの投資ステップの応用法と、独自の財テクプランを作成するための情報収集法をお伝えしていく。

訳者あとがき

 アメリカに一足遅れて、日本でもちょっとしたバフェット・ブームが起きた。バフェットがITバブルの崩壊に巻き込まれなかったからだ。なぜか。それは、「自分の頭で理解できない企業には投資しない」という彼独自の哲学を貫いた結果、ハイテク株に手を出さなかったからだ。偉大な投資家たちは自分で納得のいかない場合には投資を見送っている。自分の判断ミスに気づいたときは、すばやく損切りし、大勢に流されることなく独自の判断で買い向かう。本書を読んでいると、自分でも簡単にもうけられそうな気がして元気がわいてくる。が、綿密な裏付け調査に強靱な精神力と柔軟性あってはじめてうまくいくことだ。目先のことに一喜一憂することなく、長期的な展望を持ち、熟慮に熟慮を重ねた上で手堅い投資プランを立てていきたいものだ。
 二〇〇一年夏、日本株はバブル崩壊後の最安値を更新し、銀行の不良債権問題も構造改革の痛みの大きさも不透明。近隣諸国との関係もぎくしゃくし、異常気象に、いずれは来るかもしれない大地震。不安材料は山積しているが、一〇月からは運用しだいで受取額が変わる確定拠出年金(日本版401k)がスタートし、自己責任原則がますます求められるようになる。幸か不幸か、株価はバブルの発端と言われたプラザ合意前の水準に戻っている。本書には株のみならず、債券や投信、国際分散投資など投資の知恵が詰まっている。IR(投資家向け広報)の観点からも、プロの投資家がどのような目で企業を見ているかが分かり参考になるだろう。アメリカでは子どものうちから学校で投資の勉強をするという。証券投資には、政治・経済・社会の動きを追うだけでなく、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の発想も必要である。頭の活性化にはもってこいである。
 本書は著者と訳者とのやりとりの中で初版本に修正を加えたいわゆる改訂版である。それでも外国株や外債に投資していない人にはなじみのないもの、日本の方式とは若干異なるものもあるが、いまの日本のマーケットにも十分応用できるものとなっている。
 本書の翻訳・出版には多くの方にご協力いただいた。翻訳の機会を与えてくださった後藤康徳氏(パンローリング)、編集・校正をしていただいたFGI、ご助言をいただいた庭山邦禎氏(さくらフレンド証券)ほか、証券会社時代の知人、友人には心からお礼を申し上げたい。

 二〇〇一年八月                    木村規子



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