著 者 エドワード・R・デューイ、オグ・マンディーノ
監修者 長岡半太郎
訳 者 西田隼人
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「この古典的作品を読まなければ、サイクルを理解できない」
――ラリー・ウィリアムズ(世界的トレーダー)
エドワード・R・デューイは、フーバー政権の主席経済分析官として、1929年の株式相場の崩壊と続く世界大恐慌の原因を解明するようフーバー大統領に命じられた。広範な調査のなかで彼は、経済や社会の仕組みについての集合知には何か重要なことが欠けているに違いないと確信するようになった。それはサイクルについての実践的な知識である。
彼は当時の他分野のリーダーたちである、アイビーリーグの科学者、スミソニアン博物館のディレクター、実業界のCEO(最高経営責任者)、大使、そして政治家たちとともに「サイクルの科学」を確立する旅に乗り出した。
1971年の本書の初版は、フーバー大統領の疑問と何十年にも及ぶ研究で生じた多くの疑問に対する答えとなり、社会に大きな衝撃を与えた。
自然や世の中の現象や人間の営み、例えば、株価には、好況・不況には、戦争には、昆虫や魚類や哺乳類の個体数には、砂糖の価格には、気圧には、太陽黒点には、降水量には、湖の水位には、病気には、婚姻数には、移民の流入には、木の年輪には、宇宙には、あなたには、明確な周期的なサイクルは存在するのだろうか。そして、さまざまな現象のサイクルは互いに連携しているのだろうか。
説得力に満ちた本書で答えを見つけてほしい。なお、デューイの研究が今日までどのように続いているかについては https://cycles.org でよく分かる。
「この古典的作品を読まなければ、サイクルを理解できない」――ラリー・ウィリアムズ(世界的トレーダー)
「1970年代以降、私は世界中を旅してトレーダーにはトレードのやり方を、投資家には投資のやり方を教えてきた。そこで、新進気鋭のトレーダーにもベテラントレーダーにも毎回聞かれる質問がある。それは「より良い投資家になるために役立つお薦めの本はありますか」というものである。これはいつも答えるのが難しい質問であったが、いまやデューイのこの本があるのだから、この質問の答えは出たと言える。この素晴らしい本は、すでに成功しているトレーダーにとっても、もっと勝率を上げたいトレーダーにとっても必携書である。すでにトレードで稼いでいるなら、もっと稼げるようになるだろうし、トレードで稼げていないのなら、勝利へ導いてくれるだろう」
――ジェイク・バーンスタイン(『バーンスタインのトレーダー入門』『バーンスタインのデイトレード入門・実践』[パンローリング]の著者)
「ごく少数の人しか、特定のサイクルが持つ根本的な重要性に気づいていない。エドワード・デューイはこの分野の先駆者であり、彼の研究は今でも有効である。これらのパターンは、市場や経済だけでなく、自然や人間の行動にも繰り返し現れる。この必要不可欠な知識を理解し活用することは、人生において明確な優位性をもたらすであろう」
――アンディ・パンチョリ(地政学と市場戦略の専門家)
「私は1972年にFSC(サイクル研究財団)に参加した。デューイの研究によって私は、伝統的なファンダメンタルズ分析やテクニカル分析では答えの出なかった空白を埋めるためにサイクルを活用しようと強く思うようになった。サイクルは私の投資キャリアでの意思決定に大きな利益をもたらしている。若い投資専門家にはぜひともサイクルを勉強してほしい。本書は最高の出発点だ」
――ビル・サルビ(Cycles Research Investments)
エドワード・R・デューイ(Edward R. Dewey, 1895-1978)
サイクル研究財団(The Foundation for the Study of Cycles)理事長。商務省主席経済分析官のときに、フーバー大統領から株式市場の崩壊や不況の原因について解明するように要請され、それをきっかけに経済サイクルに興味を持った。その後は、経済にとどまらず、植物や生物、地震、太陽黒点、気象、戦争、病など、多くの自然現象や人間が起こす行動には定期的に繰り返されるサイクルがあることを発見し、その研究に生涯を捧げた。
オグ・マンディーノ(Og Mandino, 1923/12/12-1996/9/3)
ミズーリ大学卒業後、製紙工場に就職し、第2次世界大戦では欧州戦線の軍務に従事。その後、保険会社で営業職に就き、数々の目覚ましい成績を上げ、幹部に昇進。その後はサクセス・アンリミテッド誌の編集長を経て、作家兼講演者として活躍。著書に『この世で一番の贈り物』『十二番目の天使』『世界最強の商人』など、多数。
原題:CYCLES : The Mysterious Forces That Trigger Events
by Edward R. Dewey, Og Mandino
本書は、サイクル研究財団(Foundation for the Study of Cycles)の創設者にして理事長であり、この世界におけるさまざまな現象の周期的変動の研究に長年取り組んだエドワード・R・デューイによる『Cycles : The Mysterious Forces That Trigger Events』の邦訳である。 デューイは、もともとフーバー大統領政権下で米商務省の主任経済分析官を務めていた。大恐慌の原因を究明する職務のなかで、偶然に景気循環の研究に出合ったことが契機となり、後にサイクル研究財団を設立した。財団は、経済学、自然科学、社会科学、さらには芸術といった多様な分野における反復的パターンを研究するため、各分野の専門家および有志の研究者によって構成されていた。
読んで分かるとおり、本書は1970年代初頭に刊行された原著の復刻版である。したがって、ここに収められた研究成果や適用された科学は、前世紀のそれである。一方で、財団の主要な研究対象の一つである金融市場は、現代においては単純な因果律や要素還元では説明し得ない複雑な系として理解されている。そのため、金融市場を説明する目的で本書を手に取る読者のなかには、著者の議論を素朴、あるいは粗削りと感じる向きもあるかもしれない。
だが、私たち実務家にとって、科学的厳密さは必ずしも決定的な要件ではない。重要なのは、モノの役に立つかどうかである。サイクル分析は、十分なデータさえあれば(それは今日きわめて容易に入手できる)、フーリエ解析やコレログラムといった手法を用いることで、だれにでも試みることが可能であり、そこから有意な周期を数多く見いだすことができる。
実際、その特性ゆえに季節性を伴う農産物やエネルギーには、12カ月周期のサイクルが存在し、限月間取引やサヤ取りに恒常的に利用されている。また、一見、季節性がなさそうに見える株式市場にも、制度的・構造的要因に基づく短周期のサイクルが確認できる。さらに、本書で紹介されているチジェフスキーによる11年周期や、株価の9.2年周期を信じた投資家であれば、1987年のブラックマンデー以降のドットコムバブル崩壊、リーマンショックといった荒波を、うまく乗り越えることができたかもしれない。
デューイは1978年に逝去したが、もし彼がその後も存命であったならば、1980年代以降に興隆した複雑系科学の成果を積極的に取り込み、彼自身の理論をさらに洗練させていたに違いない。彼の遺した研究を深く理解し、それを自らの知として昇華し、実践の場で活かす投資家が1人でも多く現れることが、当時なお「科学未満」とみなされていたサイクル理論を、勇気をもって世に問うた先駆者への最良の献花であると私は思う。
本書の刊行にあたり、緻密かつ誠実な翻訳を担ってくださった西田隼人氏、丹念な編集と校正を施してくださった阿部達郎氏に、心より謝意を表する。また、本書を世に送り出してくれたパンローリング株式会社代表取締役・後藤康徳氏に、謹んで御礼申し上げる。
2025年10月
長岡半太郎
このたび、ハリマン・ハウスとの協力の下、この価値ある著作を再び世に送り出せることを大変うれしく思う。サイクルとそれが私たち個人や社会全体に与える影響についての研究は、ニール・ハウやレイ・ダリオやハワード・マークスらの著作を通じて再び注目を集めている。本書が、多くの人々にとってこの先駆的な研究に触れる機会となればと思う。
エドワード・R・デューイは、サイクル研究の草分け的存在である。この分野における彼の活動は、1929年に商務省に雇われたことに始まる。その後、早々と出世し、フーバー政権の主席経済分析官となった。デューイ自身の言葉を借りれば、「まさに激動の現場の真っただ中にいた。そこにいたのである」。
当時、デューイはフーバー大統領から、不況がなぜ起きるのかを解明するよう命じられていた。「私はある任務を与えられた。なぜ繁栄し成長していたはずの国家が、街角でリンゴを売り、薄いスープを求めて列を作る人々の群れに成り果てたのか、その原因を突き止めるという任務であった」
しかし彼は次第に、経済学者たちが本当にこの疑問に答えられるのか、自信を失っていった。話を聞く経済学者ごとに言うことが違っていたからである。やがてデューイは、経済学の研究には何かが欠けていると確信するようになった。そして、その欠けているものとは、サイクルについての知識であるとの結論に至ったのである。彼だけがそう考えたわけではなかった。
1941年、デューイがFSC(サイクル研究財団)を設立したとき、彼にはスミソニアン協会、イェール大学、コロンビア大学、ハーバード大学、プリンストン高等研究所、そしていくつかの大手企業のリーダーたちが加わった。さらに、カナダやイギリスの専門家たちも参加していた。この財団は、経済学、天文学、生物学、地質学といった分野をまたぐ、まさに学際的な試みであった。
本書が初めて出版されたのは1971年で、これはデューイが「サイクルの新しい科学」を築くために費やした40年の探求の頂点にあたる著作である。本書は、デューイの言葉を借りれば、「私たちの成功、失敗、希望、疑念、不満、そして私たちの歩み」の記録である。ここで、彼が深く研究したサイクルの1つを簡単に見てみよう。
デューイが示したサイクルのなかで、とりわけ現代の新たな読者の興味を引くであろうものに、1868〜1957年にかけてのアメリカの株価指数に見られる41カ月サイクルがある。これは本書の第9章で取り上げている。
デューイとFSCの研究者たちによって開発されたサイクル検出手法を用いると、1950年代初頭〜現在までの期間についても同様の分析が可能となる。分析の結果、デューイが特定したサイクルより数週間長いものの、41カ月のサイクルが今日に至るまで一貫して続いていることが確認されている。
図表0の黒の実線は、トレンド除去後のS&P500の週次データを示している。点線のジグザグは理想的な41カ月サイクル(正確には182週間)を示している。実際のデータと理想モデルでは高値や安値のタイミングが完全に一致しているわけではないが、アメリカ株式市場には41カ月という驚くべき周期性が今なおはっきりと存在しているといえる。特にこれは、2008年の高値以降、顕著に現れている。
もしデューイが生き返ったとすれば、45年前に彼が亡くなってから今日に至るまでのサイクル研究の進展に歓喜するだろうし、少々がっかりもするだろう。
彼の時代からの技術的進歩、特にコンピューターの性能とデータ収集能力の向上には目を見張るものがある。私のFSCでの楽しみはアーカイブを見ることである。そこにはデューイがコンピューターの手を借りずに手作業でデータを収集し、サイクルを特定した過程が詳細に美しく収められている。証拠を集めてサイクルを発見するという仕事は、デューイにとって何事にも代えがたい趣味だったに違いない。彼はきっと今日の処理能力の高さに感嘆するに違いない。
また、著名人たちによる本のおかげで、サイクル研究が再び脚光を浴びていることも喜ぶだろう。例えば、ニール・ハウ(『ザ・フォース・ターニング[The Fourth Turning]』)、レイ・ダリオ(『巨大債務危機を理解する』『世界秩序の変化に対処するための原則』[日経BP 日本経済新聞出版])、ハワード・マークス(『市場サイクルを極める』[日本経済新聞出版])、ピーター・ターチン(『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』[早川書房])、ジョージ・フリードマン(『ザ・ストーム・ビフォア・ザ・カーム[The Storm Before the Calm]』)らが挙げられる。
一方で、これらの成果や進展が分野ごとに切り離されていることに少々がっかりするだろう。サイクル研究を学際的研究として進める動きはほとんど見られない。
デューイは「比較サイクル研究こそが、私たちの研究における肝である。私たちはあらゆる現象におけるサイクルを比較し、その間に見られる共通点や潜在的な関係性を探っている」と彼は語っている。例えば、彼は株価や木の年輪や湖の水位やバッタの個体数といったまったく別個の現象に、なぜ共通して9.2年サイクルが見られるのかに関心を寄せていた。
デューイにとって火急の問いは、「人間や地球上のあらゆる生物や現象に影響を与え、なおかつその影響が予測可能な未知の環境的な力は存在するのか。もし存在するなら、それは何で、どのような仕組みなのか」というものであった。
デューイの問いは今日の私たちにとっても効果的な問いである一方、論争を巻き起こす難題でもある。これからあなたが目にするこの古典においてデューイ自身が認めているように、私たち人間が「環境的な力によってあちらこちらへと動かされている」という考えは「不安を覚える」ものであり、「自尊心を傷つける」ものでもある。
ニール・ハウも『ザ・フォース・ターニング・イズ・ヒア(The Fourth Turning Is Here)』で同様の考えを述べているが、サイクルという考え方は「現代の私たちから最も大切な特権である、自分たちの先祖とは違う生き方、より良い生き方をしたいと願うことができる自由で開かれた未来を奪う」ものである。
西洋では長らく、サイクルの研究は世の中の成り立ちや未来像を理解するためのアプローチとしては懐疑的に見られてきた。4世紀のアウグスティヌスが「空があなたの罪の責任を負っていると信じること」による「不当な救済」を戒めたゆえ、あるいは現代社会が正確性や専門性や発展度に重きを置いているゆえ、サイクルに関する体系的で科学的な研究はいまだ十分な理解を得ていない。
「人間の営みにも潮汐がある」かもしれないという仮定は衝撃的であり、いまだに解明されていない。しかし現実には、世の中にはリズミカルなパターンがこれほどまで顕著に見られるので、そのような潮汐がないほうが衝撃的である。
デューイはサイクルの知識によって、戦争や病気の撲滅、1年以上先の正確な天気予報などの成果が得られることを願い、信じていた。あと半世紀もすればもっと見通しが立つようになるかもしれないが、20世紀前半も科学技術が飛躍した時代であったことを忘れてはならない。
彼はまた、自ら収集し整理したサイクルの起源をまだ説明できないことについても率直であった。自らの仕事は、初期の生物学者のようなフィールドワークであると考えていた。サンプルを集め、データを分析し、その成果をほかの研究者らに公開するという仕事である。彼は他分野の研究者に対しても、サイクル研究に取り組むよう呼び掛けた。
しばしば危機の時代にこそ、サイクル研究への関心が再び高まる。人々は、物事が以前ほど順調に進んでいない理由を探し求めるなかで、直線的な進歩という理想を超えたより深い説明を求めるようになる。これはデューイの研究初期において確かに当てはまり、そして今日にも当てはまる。結局のところ、潮が満ちてすべての舟が浮かんでいるときにわざわざ深く掘り下げようとする人は少ない。
私自身の考えでは、私たちの生活におけるサイクルの絶え間ない、逃れようのない影響を認識し理解することによって、浮き沈みをより上手に乗りこなすことができる。好調期には良い時期は永遠には続かないと心に留め、不調期にはやがて良い日々が訪れると思い出すのだ。
サイクルの影響を発見し認めることに失敗したときこそ、私たちは本当の困難に陥る。ニール・ハウはこの点を強く指摘している。「サイクルを最も信じない社会であるアメリカが、人類史上最も深刻なサイクルの支配下に陥っている」
エドワード・デューイは80年以上も前に同じことを見抜いていた。サイクル研究における彼の先駆的な業績とリーダーシップはより広く認められるべきであり、この古典の新装版によって関心が再び高まることを歓迎したい。
さらに重要なのは、サイクル研究への関心が再び高まることである。サイクル研究は、私たちを縛る鎖についての恐ろしい学問ではなく、サイクルを正しく研究し尊重することによって、このかけがえのない世界に存在するたくさんの美しいサイクルを認識し、それと協調していくなかで、生産性を高め、発展を促し、平和をもたらすための未知を開くことができるのである。
リチャード・スミスFSC会長