ホーム > 発行書籍 > フェニックスシリーズ > /
トリュフの真相 世界で最も高価なキノコ物語

トリュフの真相
世界で最も高価なキノコ物語

2020年6月発売/四六判 304頁
ISBN978-4-7759-4231-4 C0098
定 価 本体1,600円+税

著 者 ライアン・ジェイコブズ
訳 者 清水由貴子


目次

収穫からの賞味期限は約1週間。
地中に育つ白と黒のダイヤの知られざる姿。

掲載されました

2020年9月26日付「信濃毎日新聞」読書欄に書評が掲載されました。(記事全文

信濃毎日新聞 2020年9月26日
“「種類、産地、賞味期限など、知識やエピソードも豊富に含まれる。本書はまず刺激に満ちた読み物であり、さらに進んだグルメを目指す人にとって、トリュフワールドへの格好な手引きとなるに違いない。”
――佐原秋生様(料理評論家・名古屋外国語大名誉教授)
高級料理の世界でも最も素晴らしく、最も珍しく、最も貴重な食材と言われる「トリュフ」。だが、ミシュラン三ツ星レストランでセレブたちがその香りに酔いしれる華やかなイメージとは裏腹に、トリュフが栽培されてからテーブルの皿に乗せられるまでの道のりには、異様なほどの秘密主義、度重なる窃盗、悪質な妨害工作、そして許しがたい偽装が横行している。

トリュフ生産者は、栽培方法の秘密をスパイに盗まれることを恐れ、毎夜ライフルを手に森を見回る。トリュフハンターは、ライバルのトリュフ犬を葬るために、毒入りのミートボールを森に置く。業界を征服した王は、トリュフがもたらす莫大な富に取り憑かれ、無知なシェフやセレブを欺く。得も言われぬ魅惑の芳香に心を奪われて、知識のある専門家までもが、その嘘や偽装に騙される。

それにしても、なぜ人々は、ここまでして泥に覆われた黒い塊に惹きつけられるのか。人生を捧げ、命を懸ける理由は一体どこにあるのか。そこには、単なる稀少性や独特の香りだけではない、何かがあるのではないか。

そんな疑問を胸に、ルポライターである筆者はフランス、そしてイタリアのトリュフ産地を訪れる。そこで彼は、トリュフの栽培から流通までに携わる様々な人を訪ね歩き、あるときはトリュフ犬とともに森に分け入り、またあるときは麻薬取引さながらのトリュフ売買の現場に足を運び、その闇世界を解き明かしていく。

果たして、あの高級レストランでパスタの上に仰々しく削られた黒いものは、本物の「黒いダイヤ」だったのか。近所のスーパーで売られている「トリュフオイル」の香りは、実は合成化学物質によるものではないのか。一体この世のどれだけの人間が、本物と偽物の違いを知っているのか……。

読み進めるごとに、いくつもの疑念が頭をもたげる。地球上で最も高価なキノコを取り巻く謎に満ちた世界に引き込まれずにはいられない、スリル満点のノンフィクション。


著者紹介

THE TRUFFLE UNDERGROUND ライアン・ジェイコブズ(Ryan Jacobs)
ルポライターとしてアトランティック誌やマザー・ジョーンズ誌などに執筆するほか、パシフィック・スタンダード誌では副編集長を務め、率先して調査を行う。アトランティック誌では国際犯罪を取材し、とりわけフランス史上最悪のダイヤモンド強奪事件、国際炭素市場における詐欺事件、そしてトリュフ取引の暗部についての記事を発表した。ノースウエスタン大学メディル・ジャーナリズム学院卒業。@ryanj899

【原書】THE TRUFFLE UNDERGROUND
A Tale of Mystery, Mayhem, and Manipulation in the Shadowy Market of the World’s Most Expensive Fungus

訳者紹介

清水由貴子(しみず・ゆきこ)
上智大学外国語学部卒。翻訳家。訳書に『食べる世界地図』(エクスナレッジ)、『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』(パンローリング)、『七つの墓碑』(早川書房)など多数。

目次

プロローグ アンダーグラウンド

第I部 畑・泥棒
第1章 黒いダイヤの盗賊
第2章 林の中の死体

第II部 研究・秘密
第3章 黄金の秘密
第4章 科学の謎

第III部 森・妨害工作
第5章 消えた犬
第6章 毒

第IV部 市場・偽装
第7章 仲介業者
第8章 警察官と詐欺師
第9章 王国の隆盛
第10章 王の裏切り

第V部 料理・誘惑
第11章 注文、輸送、調理
第12章 スライス

   謝辞
    注


関連書籍


ミルク進化論

バナナ王サミュエル・ザムライ伝

騎士の掟

完全版 マウス

カルペパー ハーブ事典

トレーダーズショップから送料無料でお届け