ほかの参加者と同じ行動をとっては勝てないのが相場。他人の一歩先を行くためには、行動心理学を理解することがカギとなる。
また、トレードでもっとも重要なことは「損小利大」、つまり「損失を小さくおさえて、利益は大きく伸ばす」ことだ。これは誰しもが頭では分かっている不変のルールなのに、なぜ、なかなか実行できないのだろうか。
それは、人間には「損小利大」を破らせる心理が深く根づいているからだ。たとえば、損切りができないのは「せめてトントンで手仕舞いたい」という心理と、現状からの変化による悪化を恐れる「現状維持」の心理がはたらくためだ。利が大きく伸ばせないのは、少しでも利益が出たら早く手仕舞って安心したいからである。この心理によって「損小利大」を守れずに、マーケットから退場せざるを得なくなってしまうトレーダーは多い。
ではマーケットに敗北しないためには、どうすればよいのだろうか。もっとも確実なのは「自分の売買ルールを守る」こと。
本書では「相場を形成する参加者の心の動き」と「トレーダーが陥りがちな失敗の心理」を分かりやすく解説している。知識を身につけて相場からチャンスを見いだし、さらに冷静に自分のトレードと売買ルールを見直すことで、トレード技術の向上を目指してほしい。
■投資家が勝てない理由 (プロローグより抜粋)
図2は、横軸が損失と利益、真ん中がゼロでトントン、縦軸が主観的評価です。「主観的評価」というと難しいので“気分”とか“気持ち”と考えると分かりやすいかもしれません。
投資家は、基本的には儲けるために投資をしています。したがって本来は「損益=自分の気持ちの揺れ」になるはずです。利益が上昇した分、機嫌も良くなり、損失を出せばその分機嫌も悪くなるのが合理的です。つまりこの線が斜め45度の真っ直ぐな線であれば、合理的な心理といえます。
ところが、実際はそうはなりません。この図2のようにゆがんでいるのです。これは「プロスペクト理論」とよばれます。
例えば「1万円の儲けと1万円の損」と「101万円の損と99万円の損」はどちらも差額は2万円です。それなら気持ちや気分の変動の幅も同じはずですが、1万円儲かったら急激に気分が良くなるのに、1万円でも損をしたらものすごく気分が悪くなってしまう。しかし、101万円の損と99万円の損は「一緒」と考えてしまう……。
つまり「101万円負けるか99万円負けるか」よりも「1万円勝つか負けるか」を重視して、利益が小額にとどまる一方、損失の拡大を放置することになりやすいのです。