優利加の「生涯現役のトレード日記」
当面の達成感から売りが優勢
09月29日
先週金曜日の米国株式相場は上昇した(DJIA +478.64 @51,828.62, NASDAQ +129.34 @27,068.72, S&P500 +39.28 @7,743.41, SOX +176.39 @12,668.93)。ドル円為替レートは157円台後半の先週末比円高ドル安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が468に対して、下落銘柄数は1,039となった。騰落レシオは111.05%。東証プライムの売買代金は8兆2028億円。
TOPIX -17 @4,112
日経平均 -487円 @65,878円
【米国株式相場】
9月25日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が4日ぶりに反発し、前日比約479ドル高の5万1828ドルとなった。米国とイランの交渉進展への期待が強まり、原油先物価格が下落したことが株式の買いを後押しした。前日に6月中旬以来の安値を付けていたことから、値ごろ感を意識した買いや持ち高調整の動きも相場を支えた。
イラン情勢を巡っては、アラグチ外相が「米国が一定条件を満たせば7日以内にホルムズ海峡を開放し、最終合意に向けた交渉を再開する計画を提示した」と述べたと報じられた。これは6月の停戦協議に関する覚書に基づくものとされる。また、ペゼシュキアン大統領も米中間選挙前の戦闘終結に向けた合意に応じる姿勢を示したと伝えられ、米・イラン協議が技術的な詳細段階に入ったとの報道も相次いだ。こうした地政学リスクの後退観測から、WTI原油先物は2.3%安の92.41ドルとなり、投資家心理を改善させた。
一方で、相場は一時下落に転じる場面もあった。FRBによる追加利上げ観測が根強く、10年債利回りは5.23%まで上昇し、2007年6月以来の高水準を更新した。金利上昇は株式の割高感を意識させ、売りを誘った。さらに、ミシガン大学が発表した9月の消費者態度指数(確報値)は48.1と歴史的低水準となり、1年先のインフレ予想も4.6%へ上昇した。インフレ期待の強まりがFRBの利上げ姿勢を後押しするとの見方から、発表直後には株価の重荷となった。
個別銘柄では、マイクロソフトがAI支援機能「コパイロット」の大幅刷新を発表し、3〜4%高と買いが集まった。シャーウィン・ウィリアムズ、アムジェン、キャタピラー、アップルなども堅調だった。一方、セールスフォース、IBM、ナイキ、シェブロンなどは売られた。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も続伸し、前日比129ポイント高の2万7068となった。アカマイ・テクノロジーズはAI企業アンソロピックとの契約が収益拡大につながるとの期待から3%高となった。一方、メタプラットフォームズやテスラは下落した。
全体として、地政学リスクの緩和と原油安が株式市場を押し上げた一方、金利上昇とインフレ期待の強まりが相場の重しとなるなど、強弱材料が交錯する展開となった。
【日本株式相場】
本日9月28日の東京株式市場では、日経平均株価が6営業日ぶりに下落し、前週末比約487円安の6万5877円で取引を終えた。前週までの5連騰で3000円近く上昇していた反動から利益確定売りが広がったほか、韓国のKOSPI指数が半導体株を中心に軟調だったことも重荷となった。寄り付き直後には一時600円超上昇し、約1カ月半ぶりに6万7000円台を回復する場面もあったが、達成感から売りが優勢となり、上げ幅を保てなかった。
国内債券市場では長期金利が3.1%に迫り、2年物国債利回りは約31年半ぶりの高水準に達した。金利上昇が続くとの見方が強まり、株式の割高感を警戒した売りが増えた。今週は米国で重要イベントが相次ぎ、オープンAIの年次会議やマイクロンの決算発表、米雇用統計などが控える。こうした不透明感から、機関投資家は積極的な売買を避ける姿勢が強まった。
市場ではAI関連株が比較的堅調で、ソフトバンクグループは一時4%高となった。前週末の米国株市場でマイクロソフトがAI機能「コパイロット」の刷新を発表し、ハイテク株が買われた流れが日本にも波及した。さらに、28日は中間配当や株主優待の権利付き最終売買日であり、個人投資家による権利取りの買いも相場を支えた。
AI関連株の評価は分かれるものの、日本株は米国株に比べて出遅れ感が大きいとの指摘がある。米フィラデルフィア半導体指数が9月以降1割上昇したのに対し、日経半導体株指数は1%程度の上昇にとどまる。日本企業は特定のクラウド事業者に依存せず、AI向け半導体需要の広がりを幅広く取り込めるとの見方もある。
ただし、金利上昇はハイテク株にとって逆風で、米国の長期金利は5.2%前後、日本も3%超と高水準にある。データセンター投資が巨額化する中、資金調達コストの増加は企業の成長期待を抑える可能性がある。市場関係者は、30日に予定されるマイクロンの決算が半導体需要の強さを確認できるかどうかが短期的な焦点になるとみている。
地政学リスクも依然として残る。米国とイランの交渉は不透明で、もし戦闘再開となればリスク回避の売りが広がり、原油高が日本株全体の重しとなる。内需株も安心して買える状況ではなく、結果として成長期待のあるAI関連に資金が流れやすい構図が続いている。相場はムード次第で上下に振れやすく、方向感の乏しい展開が続く可能性がある。
また、東証REIT指数は年初来安値を更新した。金利上昇で借入負担が重くなるREITは売られやすく、物流系やオフィス系を中心に下落が目立った。予想分配金利回りは5%台と高いものの、国債利回りとの利回り差が縮小しており、投資妙味が薄れている。海外投資家の間ではJ-REITに対する弱気な見方が続いている。
【海運株の動向とその背景】
海運株には、10月以降の中国向けコンテナ需要の減速懸念があるものの、投資資金がさらに流入する余地が広がっている。市場では様子見姿勢もみられるが、運賃市況、企業の経営姿勢、信用取引の状況という3つの要因が株価を支える材料として浮上している。
まず運賃市況について、コンテナ船の需要ピークを過ぎる10月以降は運賃の下落が警戒される。しかし、中国の港湾混雑が続き、需給逼迫が解消しにくいとの見方がある。専門家は「大幅な運賃下落は起きにくく、年末にかけて海運株の正念場になる」と指摘する。さらに、中東情勢が不安定なままであるため、航路別の運賃は高水準を維持している。原油や化学品の調達先が中東から北米などに広がり、航行距離が伸びていることも運賃収入の押し上げ要因となる。中東情勢が落ち着けば運賃が下がる可能性はあるものの、輸送網の構造変化が進んでおり、海運企業の収益にはプラスに働くとの見方が強い。
次に企業の経営姿勢の変化だ。海運各社は業績拡大を背景に株主還元を強化し、成長投資にも積極的だ。投資家が参加しやすい環境づくりにも取り組んでいる。日本郵船は株価が7000円を超え最低投資額が高くなっていることから、株式分割の可能性を示唆した。商船三井も株価が6000円台に定着すれば分割を検討する方針だ。持ち合い株の解消が進む中、個人投資家の長期保有を促す狙いがある。
三つ目は信用取引の動向である。川崎汽船や日本郵船では信用売り残が大幅に増加しており、買い戻し需要が潜在的な株価押し上げ要因となる。川崎汽船の空売り残は売買高の約15日分に達し、通常より高い水準だ。空売り比率は低下傾向にあるものの、過去に売りを入れた投資家の中には買い戻しが進まないとの見方もあり、信用売り残が高止まりする可能性がある。
海運株は米・イラン戦闘開始前の2月末比で3割以上上昇し、業種別で最も強い値動きを示している。市場関係者からは「さらに上昇する余力が蓄積している」との声も聞かれる。ただし、持続的な株高には企業の収益力向上が不可欠だ。海運大手3社のROEは7%台にとどまり、PBRも1倍前後で推移している。より高い株価水準を目指すには、収益性の改善が求められる。
海運各社は市況変動に左右されやすい体質から脱却するため、物流事業やLNG船事業など安定収益源への投資を進めてきた。市場では「方向性は正しく、今後は投資効果を確実に収益に結びつけられるかが鍵」との評価がある。運賃市況が追い風のうちに、収益基盤を強化しROEを高められれば、中長期の投資資金を呼び込む契機となる。
【外国為替相場】
9月28日の東京外国為替市場で円相場は大きく上昇し、夕方には一時156円台半ばまで円高が進んだ。日米両政府の要人が円安を懸念する発言を相次いで行い、円買い介入への警戒感が強まったことが背景にある。財務省の三村財務官が「円の過小評価は問題」と述べたことが伝わると、欧州市場の参加者が増える時間帯に円買いが加速した。
9月25日には片山財務相がトランプ大統領から円安への懸念が示されたと説明し、米財務長官ベッセント氏も「強い円が望ましい」と発信した。さらに、高市政権が日銀に過度な金融緩和を求めない姿勢を示したとの報道があり、政府の政策スタンスが変化したとの見方が円相場を支えた。
ただし、輸入企業の円売りや中東情勢の不透明感、原油高による貿易収支悪化懸念が円高の勢いを抑える場面もあった。円は対ユーロでも大幅に上昇し、約2週間ぶりの円高水準となった。
市場では、日米高官の発言が円安トレンドの転換点になる可能性があるとの声が出ている。円安の要因とされてきた日銀の利上げ遅れについても、日銀が利上げペースを速めたことで見方が変わりつつある。市場は来春までに複数回の利上げを織り込み始めており、急激な円安再燃の可能性は低いとの指摘がある。
一方で、本格的な円高への転換は米国の金融政策や高市政権の姿勢次第との見方が多い。FRBは利上げを継続しており、ドル高圧力が残るため、政策発言だけで円安を大きく修正するのは難しいとの声もある。10月1日には日銀会合の「主な意見」や短観が公表され、円相場の方向性を左右する材料になるとみられている。
【国内債券相場】
9月28日の国内債券市場では中期国債が売られ、利回りが大きく上昇した。特に新発2年債は一時1.975%まで上昇し、1995年以来の高水準に接近した。新発5年債も2.43%と過去最高を更新した。背景には、米政府関係者が円安に懸念を示し、日銀に対して円安是正を促す発言が相次いだことがある。これにより市場では「日銀が早期に追加利上げを迫られるのではないか」との思惑が強まり、金融政策の先行きが利回りに反映されやすい中期債に売りが集中した。
9月25日には高市首相が日米首脳会談でトランプ大統領から円安が米国の貿易に悪影響を与えているとの指摘を受けたと説明。さらに、米財務長官ベッセント氏が日本側との協議で「日本経済の基礎的条件を踏まえれば、より強い円が望ましい」と述べたことが明らかになった。こうした発言が続いたことで、市場では「米国の圧力を受け、日銀が円安是正のため利上げに踏み切る可能性が高まった」との見方が広がった。
加えて、30日に予定される2年債入札を控え、投資家が積極的な売買を避ける姿勢を強めていたことも値動きを大きくした要因とされる。半期末で流動性が低下しやすい時期でもあり、相場が跳ねやすい状況だった。市場では、2年債利回りが近く2%に到達するとの予想も出ている。東京スター銀行の市場担当者は「節目の2%は目前」としつつ、日銀が政策金利を2%超まで引き上げる展開は想定していないと述べた。利回りが2%前後まで上昇すれば、金利水準の高さを評価した買いが入りやすくなるとの見方もある。
今回の利回り上昇は、日米双方の政策発言が金融市場に与える影響の大きさを改めて示した。円安是正への圧力が強まるなか、日銀の政策判断が中期債の動向を左右する局面が続きそうだ。
【中東危機とエネルギー価格の上昇の影響】
2026年7〜9月期の金融市場は、中東危機の長期化が意識され、エネルギー価格の急騰を中心に大きく揺れた。米国とイランの停戦期待が後退したことで、原油や天然ガスの供給不安が強まり、資源インフレ再燃への警戒が高まった。これに伴い、投資資金はハイテク株から資源・金融株へと移るなど、市場の流れにも変化が生じた。
特にエネルギー価格の上昇が顕著で、アジア向けLNG先物は6月末比61%高、軍事衝突前の2月末比では2.4倍に達した。欧州の天然ガス指標TTFも大幅に上昇し、冬場の需要期を控えた需給逼迫が続くとの見方が強い。原油も供給不安から上昇し、WTIは一時100ドル台を回復した。紅海周辺での武装組織の活動やサウジのパイプライン攻撃が不安を増幅し、石油製品の価格上昇はさらに大きくなった。
エネルギー高は農産物にも波及し、トウモロコシや小麦が2割前後上昇した。肥料や輸送コストの増加、バイオ燃料需要の拡大に加え、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化や欧州の熱波による減産懸念が相場を押し上げた。
こうした資源高を背景に、国際商品全体の動きを示すCRB指数は6月末比18%高、2月末比34%高となり、約18年ぶりの高値圏に達した。一方、銅やアルミなど景気敏感な産業用金属の上昇は小幅で、今回の商品高が景気拡大ではなく供給不安主導であることが示された。
資源高は金融市場にも波及し、インフレ圧力の再燃が主要中銀の引き締め姿勢を強め、金利上昇を通じて為替や株式市場にも影響を与えている。景気減速と物価上昇が同時に進むリスクへの警戒が再び強まっている。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、続伸して始まったが、売りに押されて上ひげを引いた陰線で終えた。終値ベースではやや下向きの60日移動平均線を再び割り込んだ。それでも10日・25日移動平均線が上向きで株価はその上で推移しているので、株価サイクル�◆蔽綣造幣緇困鮖遒后砲郎F�のところ継続しているが、盤石ではない。個別銘柄で少しでも反転しそうな兆候を確認したら、即一旦手仕舞いする(二刀流燕返し)が賢明だろう。ただし、反発し始めたらすぐに買い戻す「構え」を忘れないことである。
33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、医薬品(1位)、パルプ・紙(2位)、鉱業(3位)、化学(4位)、電気機器(5位)となった。
長期金利の上昇を背景に銀行株が大幅高
09月26日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -161.61 @51,349.98, NASDAQ 3.34 @26,939.37, S&P500 -1.90 @7,704.13)。ドル円為替レートは158円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,118に対して、下落銘柄数は382となった。騰落レシオは109.75%。東証プライムの売買代金は7兆8008億円。
TOPIX +53 @4,129
日経平均 +850円 @66,346円
【米国株式相場】
9月24日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が3日続落し、約3カ月半ぶりの安値を付けた。米長期金利の高止まりが主力株の売りを誘い、相場全体の重しとなった。米債券市場では10年債利回りが2007年以来、30年債利回りが2004年以来の水準に達する場面があり、日米欧の主要中銀が同時に利上げ局面にあることや、各国の財政悪化への懸念が金利上昇圧力を強めた。市場では、企業の借入コスト増加や景気への悪影響を警戒する声が多く、金利上昇が株式市場の最大の不安材料となった。
米国のインフレ懸念も根強い。ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁が年末までの追加利上げを妥当と述べたほか、フィラデルフィア連銀ポールソン総裁も緩やかな金融引き締めが正当化されるとの見解を示した。金利が高水準で推移するとの見方から株式の割高感が意識され、売りが広がった。
原油市場ではWTI先物が一時96ドル台後半まで上昇し、前日比で大きく値を上回る場面があった。中東の供給不透明感が背景にあり、原油高が物価や企業収益を圧迫するとの懸念が株式市場にも波及した。
個別銘柄では、ダウ平均の構成銘柄ではないもののオラクルの下げが目立った。ニューメキシコ州で建設中のデータセンターを巡り、予定通り稼働できない場合の支払い延期を求めていると報じられ、収益化の遅れや資金調達への不透明感が嫌気された。データセンター向け電力供給のブルーム・エナジーも下落し、AI関連投資の資金調達コスト増加や事業への影響が懸念されたことで、他のAI関連株にも売りが波及した。
ダウ平均は一時300ドル超下落したが、主力株の売りが一巡すると下げ渋った。米国とイランが戦闘終結に向けた段階的な交渉を進めているとの報道が原油価格の上昇幅縮小につながり、株式の買い戻しを誘った。
ダウ構成銘柄ではウォルマート、IBM、シャーウィン・ウィリアムズ、ホーム・デポ、3Mなどが下落。一方でウォルト・ディズニー、ビザ、アルファベットは上昇した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は小幅反発し、メタプラットフォームズが新製品評価や目標株価引き上げを受けて買われた。一方、クアルコム、ブロードコム、サンディスクなど半導体関連株の一角は売られた。
【日米欧で長期金利の上昇が鮮明になっている】
日米欧で長期金利の上昇が鮮明になっている。背景には、中東情勢の膠着による原油高と、それがもたらすインフレ長期化への警戒がある。原油価格はWTI先物が一時96ドル台半ばまで上昇し、イラン情勢の緊迫が供給不安を強めた。イラン大統領や軍高官の強硬発言が続き、米軍との衝突が長期化するとの見方が市場に広がったことで、期近だけでなく2027年受け渡しの原油先物まで上昇し、長期的な供給リスクが意識されている。
こうした原油高は世界的なインフレ圧力を高め、主要中銀の追加利上げ観測を強めている。米国では10年債利回りが一時5.22%、30年債は5.50%と、それぞれ2007年・2004年以来の高水準を付けた。日本でも新発10年債利回りが3.115%と約30年ぶりの高さを更新し、欧州でもフランスやドイツの長期金利が十数年ぶりの高水準に達した。
米連邦準備理事会(FRB)高官からは「さらなる政策調整が必要」とのタカ派発言が相次ぎ、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁も年内追加利上げを「合理的」と述べた。金利先物市場では10月会合での利上げ確率が7割に上昇し、利上げ継続の見方が強まっている。OECDもインフレ長期化を見込み、G20の物価上昇率見通しを上方修正した。
金利上昇の背景には、インフレだけでなく米景気の底堅さもある。米10年物価連動債の実質金利は2.8%台まで上昇し、景気拡大を織り込む動きが強まった。FRBの経済見通しで雇用の強さが確認されたことも、投資家が米国債を売りやすくする要因となった。景況感指数が市場予想を上回ったことで債券売りが加速するなど、良好な経済指標が金利上昇につながる局面が続いている。
通常であれば金利上昇は株式市場の逆風となるが、米ナスダック総合指数は最高値圏を維持している。AI関連の投資期待がハイテク株を支え、高金利環境を市場が受け入れているとの見方がある。バークレイズは「AIテーマの株式市場が堅調である限り、金利上昇局面は続く」と指摘する。
一方で、金利上昇は財政規律への懸念も反映している。米国では財政拡張的な政策が議論され、30年債利回りが22年ぶりに5.5%台へ急伸した。米金利高は世界に波及し、欧州や日本でも長期金利が急上昇している。日本では日銀の利上げが遅れ、将来の金利上昇が急激になる「ビハインド・ザ・カーブ」への警戒が強まった。
世界的に国債への買い控えが続き、市場は米長期金利5%台の常態化を織り込み始めている。原油高・インフレ懸念・財政不安・景気の強さが重なり、金利上昇圧力は短期的に収まりにくい状況となっている。
【日本株式相場】
本日9月25日の東京株式市場では、日経平均株価が5日続伸し、前日比850円高の6万6364円と大幅に上昇した。人工知能(AI)や半導体関連の主力銘柄が買われたほか、日米の長期金利急騰を受けて利ざや改善が期待される銀行株が強く、相場全体を押し上げた。さらに、9月末の中間配当の権利取りを狙う買いが幅広い銘柄に入ったことで、日経平均の上げ幅は一時900円近くに達した。
取引序盤は小幅高で始まったが、東エレク、アドバンテスト、イビデンなど半導体関連が前場中盤から上昇を強め、指数を押し上げた。日米金利の上昇を背景に、三菱UFJなど銀行株にも買いが広がった。プライム市場では値上がり銘柄が値下がり銘柄を大きく上回り、中間配当の権利付き最終売買日(28日)を控えた買いが相場を支えた。
一方で、相場が伸び悩む場面もあった。米オラクルが計画するAIデータセンターの稼働遅延時の支払い延期を開発事業者に通知したと報じられ、同計画に関わるソフトバンクグループ(SBG)に売りが波及。AIインフラ計画「スターゲート」への影響が懸念され、日経平均の重しとなった。
それでも市場心理は比較的良好だった。大和証券は「金利上昇など環境は前日と大きく変わらないが、配当権利取りの買いが相場を押し上げている」と指摘した。東証株価指数(TOPIX)も反発し、JPXプライム150指数も上昇した。プライム市場の売買代金は7兆8000億円超と高水準で、値上がり銘柄は1100超に達した。
個別ではファーストリテイリング、リクルート、京セラなどが上昇した一方、清水建設、中外製薬、大成建設などは下落した。
市場を支えた大きな要因の一つが銀行株の強さだ。長期金利が日本でも一時3.115%と約30年ぶりの高水準に達し、利ざや改善期待が高まった。三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクがそろって反発し、地銀株も軒並み上昇した。四国銀行や秋田銀行など高配当銘柄が買われ、秋田銀行は株式分割を控えて36年ぶりの高値を付けた。東証プライムの値上がり率ランキング上位の多くが銀行株となり、業績上方修正を発表した東邦銀行や阿波銀行も後場にかけて一段高となった。
AI・半導体関連も堅調だった。金利上昇局面では割高感から売られやすいが、今回は底堅く推移した。背景には、24日の米中首脳会談が友好ムードの中で無難に終わり、AI規制が強化される懸念が後退したことがある。米国側はAI規制に慎重な姿勢を示し、中国側も「競争しながら協力は可能」と発言したとされ、AI開発の継続性が意識された。
さらに、米中貿易戦争の休戦措置が2カ月延長され、対中関税引き下げやレアアース輸出継続が確認されたことで、景気後退リスクが和らいだ。市場では中国から米国にパンダが到着するとの報道も話題となり、久々に和やかなムードが広がった。
9月は金融政策決定会合や政治イベントが重なる「鬼門」とされるが、今回の日本株は大きな波乱なく乗り切りつつある。ただし、AI企業の増益基調を脅かす規制強化や、米中間選挙に向けた政治発言、中東情勢などのリスクは残っており、投資家は慎重姿勢を保ちながら上値を探る展開が続きそうだ。
【外国為替相場】
外国為替市場では、日本の通貨当局による円買い介入への警戒が急速に強まっている。背景には、日米両政府が7月末に協調介入を実施した水準である 1ドル=160円 が心理的な防衛ラインとなっていることがある。円相場がこの水準に再接近すれば、当局がいつ介入しても不思議ではないとの緊張感が市場に広がっている。
9月25日早朝には円が158円台後半まで下落した。原油高や米景気の底堅さを受け、米連邦準備理事会(FRB)の連続利上げ観測が強まり、日米金利差がさらに拡大するとの見方が円売りを促した。米長期金利は節目の5%を超え、ドル高が進行。160円を割り込むような円安が進めば、米側から円安是正を求める圧力が強まるとの見方も根強い。
実際、米国側の円安への懸念は表面化している。片山財務相は、日米首脳会談でトランプ大統領が円安を問題視したと明らかにし、米財務長官との緊密な協議を続けると述べた。この発言を受け、円は一時158円前半まで買い戻された。
円安修正の手段としては、日銀の利上げか為替介入が挙げられる。日銀は9月会合で3カ月ぶりの利上げに踏み切り、利上げペースを加速させた。市場では年内追加利上げの織り込みが進んでいる。しかし、FRBの利上げ加速観測が強まる中、日銀の利上げが円高につながるかは不透明だ。さらに、9月会合では2名の審議委員が利上げに反対し、日銀が「ハト派」と受け止められたことも円売り材料となった。
日本の通貨当局は2026年に四半期ごとに円買い介入を実施しており、日銀会合と介入が「セット化」しているとの見方もある。9月会合後にはレートチェックが行われ、市場は介入が近いと受け止めた。専門家からは、首脳会談前に円安が進むのを避ける意図があったとの指摘もある。
原油高と世界的な利上げ観測が続く中、日銀が利上げしても円高転換は容易ではない。市場では、160円に近づけば小規模な介入があり得るとの思惑がくすぶり、当局と市場の心理戦がすでに始まっている。
【長期金利上昇と銀行株の相関関係】
国内金利の上昇が続くなか、これまで「金利上昇=銀行株買い」という定石に変調の兆しが出ている。日銀が9月に追加利上げを実施した後、メガバンク株の上昇率は日経平均を下回り、銀行株の勢いに陰りが見え始めた。背景には、金利上昇が銀行の収益改善につながる一方で、預金調達競争の激化や個人向け国債との競合が強まっていることがある。
9月25日の東京市場では日経平均が続伸し、三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクがそろって反発した。しかし、日銀の追加利上げ後に3行が同時に上昇したのはこの日が初めてで、利上げ効果が株価に十分反映されていない。銀行株はこれまで長期金利と高い相関を示してきたが、今回の利上げ後は日経平均に比べて見劣りしている。
銀行株の上値を抑える要因として注目されるのが、個人向け国債の存在感だ。日銀の資金循環統計によれば、4〜6月期の家計から国債・財投債への資金流入は約1.9兆円と21年ぶりの高水準で、定期預金の伸びを大きく上回った。固定金利型の個人向け国債は、銀行が獲得を狙う中長期の定期預金と競合する。政府が税優遇策を検討しているとの報道もあり、個人マネーが「預金から国債へ」流れる可能性が意識されている。
銀行のIR説明会でも国債との競合が話題となり、ゆうちょ銀行は貯金減少の要因として個人向け国債の販売増を挙げた。海外投資家からも「税優遇が導入されれば預金流出が加速するのではないか」との質問が相次ぎ、銀行株の評価に影響を与えている。
預金は銀行の融資原資であり、調達力の低下は収益に直結する。ニッセイアセットマネジメントは「個人向け国債が大きく売れれば銀行株の保有を減らす判断も必要」と指摘する。高齢者の預金比率が高いりそなHDなどは粘着性の高い預金を持つとされるが、国債の魅力が高まればこの層も預金から離れる可能性がある。
こうした状況の中、銀行株は「預金調達力」で選別される局面に入りつつある。大手銀で構成する日経銀行株トップ10指数は、2026年前半から業種別指数を上回っており、調達力の高い大手銀が優位に立つ構図が鮮明だ。ゴールドマン・サックスはみずほFGを推奨する一方、普通預金金利が高く調達コストが重いあおぞら銀行を売り推奨としている。
さらに、日銀が気候変動対応オペの条件を変更し、固定金利の貸付を縮小したことも非大手銀行に逆風となった。短期金利の上昇幅が長期金利を上回り、イールドカーブがフラット化する中、短期調達・長期融資で利ざやを稼ぐ銀行の収益環境は厳しくなっている。一方、債券市場では長期金利が連日で30年ぶりの高水準を更新し、短期から長期まで幅広い年限で利回りが上昇した。原油高や円安によるインフレ圧力が強まり、日銀の追加利上げ観測が高まっている。翌日物金利スワップ(OIS)市場では「2年先1年」金利が2.5%を超え、日銀が推計する中立金利の上限を上回った。市場がターミナルレートを高めに見積もっていることを示すが、海外金利の影響が大きく、日本の経済基礎条件を反映していないとの指摘もある。
日銀ウォッチャーの調査ではターミナルレートは1.75%が最多で、2%程度が妥当との見方が優勢だ。市場は海外要因による金利上昇を冷静に見極めようとしている。
銀行株は金利上昇の恩恵を受ける一方、預金流出リスクや調達コスト増という新たな課題に直面しており、従来の「金利上昇=銀行株買い」という構図が揺らぎ始めている。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、6日続伸してまだやや下向きの60日移動平均線の上に再浮上した。これで10日移動平均線、25日移動平均線、60日移動平均線の3本の移動平均線すべての上に株価は浮上した。ただ、10日移動平均線は上向きに転じているが、25日及び60日移動平均線がまだ下向きのままである。後5日ほど株価が25日移動平均線の上に留まることができれば、25日移動平均線は上向きに転じ、株価サイクル�◆蔽綣造幣緇困鮖遒后砲貌�るはずだが、向こう1週間ほどでどのような株価材料が出てくるか次第である。
33業種中31業種が上げた。上昇率トップ5は、銀行(1位)、証券(2位)、その他金融(3位)、電気機器(4位)、サービス(5位)となった。
米長期金利上昇⇒国内長期金利上昇⇒株価の重し
09月25日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -352.10 @51,511.59, NASDAQ -308.24 @26,936.04, S&P500 -58.61 @7,706.03)。ドル円為替レートは158円台前半での動きだった。5連休明け、本日9月24日の日本株全般は上げる銘柄が下げる銘柄よりも多かったが、株価指数は上げた。東証プライムでは、上昇銘柄数が674に対して、下落銘柄数は838となった。騰落レシオは105.2%となった。東証プライムの売買代金は9兆2038億円。
TOPIX -16 @4,075
日経平均 +495円 @65,514円
【米国株式相場】
9月23日の米国株式市場では、主要指数のダウ平均が続落し、前日比で300ドル超下落した。背景には米長期金利の急上昇があり、投資家心理が悪化したことが大きい。景気指標が強い内容となったことで、インフレ圧力の根強さが意識され、追加利上げ観測が強まったことが金利上昇につながった。高値圏にあった主力株には持ち高調整の売りが出て、相場全体の重しとなった。
この日発表された9月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値では、製造業が市場予想を大きく上回り、サービス業も改善した。特に企業の原材料費などを示す「投入価格」が2022年秋以来の高水準となり、物価上昇圧力が再び強まっていることが示された。こうした指標を受け、米10年債利回りは2007年以来の高水準となる5.13%まで上昇した。
FRBのバー理事は講演で、インフレ抑制のために追加的な政策調整が必要になる可能性を示唆し、利上げに前向きな姿勢を示した。市場では10月のFOMCで0.25%の利上げが決定される確率が前日から上昇し、7割近くに達した。金融引き締め観測の強まりが株式市場の重しとなった。
さらに、原油市場ではWTI先物が90ドル台で高止まりしている。トランプ大統領が軽油の禁輸を検討していると発言したことで、軽油需給の逼迫懸念が広がり、原油価格の上昇観測が強まった。原油高と金利上昇が企業のコスト増につながり、収益を圧迫するとの見方が株売りを誘ったとの指摘もある。
個別銘柄では、マクドナルドが投資家向け説明会で物価高による客足の伸び悩みを示したことから売りが優勢となり、下げが目立った。ほかにもアルファベット、アマゾン、エヌビディアなど主要ハイテク株が軟調だった。一方で、セールスフォースやシェブロン、ボーイングなど一部の銘柄は上昇した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も反落し、前日まで最高値を更新していた反動で利益確定売りが広がった。スペースX、ブロードコム、マイクロンなどが下落した一方、クラウドストライクやパロアルトネットワークスなどセキュリティ関連株は買われた。
総じて、強い景気指標とインフレ懸念が金利上昇を招き、株式市場全体に調整圧力がかかった一日となった。
【日本株式相場】
本日9月24日の東京株式市場では、日経平均株価が4日続伸し、連休前の18日終値から約500円上昇して取引を終えた。大型連休中に米国市場で人工知能(AI)や半導体関連株が買われた流れがそのまま東京市場にも波及し、寄り付きから関連銘柄に買いが集中した。日経平均は一時1200円超上昇し、節目とされる6万6000円を上回る場面もあった。ただし、国内債券市場で長期金利が急上昇したことが株式相場の重荷となり、上げ幅は次第に縮小した。
米国では連休中、ナスダック総合指数が3カ月半ぶりに最高値を更新し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も8%超上昇した。背景には、米メタプラットフォームズが公開したAIエージェント「Muse(ミューズ)」の人気があり、AI関連の成長期待が再び高まったことがある。メタはミューズを搭載した眼鏡型端末も発表し、AI投資の収益化期待が強まった。これを受け、東京市場でもアドバンテスト、イビデン、東京エレクトロンなどが買われ、これら3銘柄だけで日経平均を500円以上押し上げた。
一方で、金利上昇は相場の重しとなった。国内債券市場では国債利回りが幅広い年限で上昇し、長期金利は一時3.075%と約30年ぶりの高水準を更新した。高バリュエーション株のリクルートや太陽誘電が売られ、巨額の社債発行を発表したソフトバンクグループ(SBG)は金利負担増への懸念から一時下落した。鉄鋼や電力・ガスなど、金利上昇で財務負担が重くなりやすい業種も軟調だった。
指数全体では、TOPIXが続落し、JPXプライム150指数も反落した。東証プライムの売買代金は9兆円を超え、売買高は約25億株。値上がり銘柄は全体の半数強にとどまり、銀行株などは金利上昇を嫌気して下落した。
個別銘柄では、TDKやファナック、日東電工が上昇した一方、伊藤忠商事、三菱商事、トヨタなどのバリュー株は軟調だった。住友電気工業は、米メタが計画する海底ケーブル敷設事業への参画が好感され大幅高となった。日本取引所グループは取引活況を背景に業績予想を上方修正し、後場にかけて株価が一段高となった。
東海カーボンは、半導体関連事業の利益拡大計画が報じられたことで急伸し、約8年ぶりの高値をつけた。AI普及による半導体需要増を背景に、ファインカーボン事業のEBITDAを2030年に今期見込みの2〜3倍へ引き上げる方針が示されたことが買い材料となった。
一方、太陽誘電は投資判断引き下げと目標株価の大幅な下方修正を受けて急落した。AIサーバー向けMLCC需要への期待から7月に上場来高値をつけていたが、過熱感の反動で株価は半値以下となっている。アナリストは、クラウド事業者の設備投資がキャッシュフローに近づきつつあり、長期的な投資増を織り込むには時間がかかるとの見方を示した。
市場全体では、米国の金利上昇や国内金利の急伸が銀行株の重荷となり、景気の加速が確認できない状況では上値が重くなりやすいとの指摘がある。さらに、米中首脳会談を控えた政治的な不確実性や、月末に予定される米マイクロンの決算発表を前に様子見姿勢も強まった。SBGは一時大幅高となったものの買いが続かず、日経平均が本格的な上昇基調に入るには時間がかかるとの見方が広がっている。
【国内債券相場】
大型連休明けの金融市場では、日銀が年内に追加利上げを実施するとの見方が再び強まった。日銀の金融政策決定会合は10月と12月に予定されており、連休明けの24日時点で市場が織り込む「10月利上げ」の確率は約3割、「12月までの追加利上げ」は9割超に達した。背景には、連休中に米国の利上げ観測が急速に高まったことがあり、米長期金利の急騰や円安進行が日本のインフレ圧力を強めるとの見方が広がった。
9月23日の米長期金利は5.11%まで上昇し、円相場は一時1ドル=158円40銭近辺まで円安が進んだ。円安は輸入物価を押し上げ、国内インフレを刺激するため、日銀の利上げ観測を後押ししやすい。日銀は9月18日の会合で0.25%の利上げを決め政策金利を1.25%に引き上げたが、採決では2名の反対票が出たため、市場では「日銀は依然ハト派的」との受け止めが広がり、利上げ観測はいったん後退していた。
しかし、米国の経済指標が強く、FRB高官が追加利上げに前向きな発言をしたことで状況は一変した。原油価格も米・イラン交渉の難航で再び上昇し、インフレ懸念が強まった。こうした外部環境の変化が、日本でも早期追加利上げの可能性を高めた。
債券市場では、海外投資家が「利上げで将来のインフレが抑制される」とみて超長期債を買い続けてきた。日銀の利上げ観測が強まると、政策金利の影響を受けやすい中期債を売り、インフレ懸念が後退した際に価格が上がりやすい超長期債を買う「フラットナー」(イールドカーブがより水平に近づく)取引が活発化した。海外勢は中期債を3カ月連続で売り越し、超長期債を2カ月連続で買い越している。
フォワード金利でも、投資家が超長期金利の低下を見込んでいることが示される。例えば「1年先の20年物金利」は新発20年債の利回りを下回り、「1年先の30年物」も同様に現行の利回りより低い。これは「政策金利が2%超まで引き上げられれば、超長期債を買う投資家が増える」との見方を反映している。
ただし、現状では世界的な金利上昇圧力が強く、日本の超長期金利も下がりにくい。海外勢は既存のポジションで損失を抱える可能性があるが、それでも「日銀が利上げを加速すればイールドカーブはフラット化する」との期待から、超長期債の買い持ちを続けている。
国内では、9月期末を控えて動きが鈍かった機関投資家が10月以降に買いを再開する可能性がある。米国の債券市場が落ち着けば、国内でも高い利回りが再評価され、超長期債の利回り低下につながるとの見方が出ている。
一方、9月24日の国内債券市場では金利が急伸し、10年債利回りは3.075%と約30年ぶりの高水準を更新した。欧米の利上げ観測が強まり、米長期金利が5.13%まで上昇したことが国内債にも波及した。大阪取引所は国債先物の急変動を受けてサーキットブレーカーを発動した。
日銀の利上げ決定に反対票が出たことや、金融政策を巡る政府の姿勢が変わっていないとの見方もあり、市場では「日銀は依然として慎重姿勢」との受け止めが残る。植田総裁は「物価上昇率が2%に接近している」と述べ、政策の局面が変化したと強調したが、為替市場では円安が進行し、債券市場でも金融政策の先行きが見通しにくい状況が続いている。
総じて、米国の金利上昇と円安進行が日本のインフレ懸念を強め、日銀の追加利上げ観測を押し上げる一方、国内債券市場では不透明感が強まり、金利が急騰する展開となった。
【外国為替相場】
9月24日の東京外国為替市場で円相場は8日連続で下落し、夕方には1ドル=158円台後半まで円安が進んだ。大型連休中に米国の景気指標が強い内容となり、FRBによる追加利上げ観測が一段と高まったことが背景にある。米長期金利が上昇基調を強めるなか、円売り・ドル買いが優勢となり、円は3週間ぶりの安値圏に沈んだ。
米国では、S&Pグローバルが発表した9月の購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回り、4年以上ぶりの高水準となった。FRB高官からも利上げに前向きな発言が相次ぎ、10月のFOMCで政策金利が引き上げられるとの見方が広がった。こうした米金融政策への思惑がドル買いを促し、円相場の下押し要因となった。
一方で、円が下げ渋る場面もあった。午前の中値決済に向けて輸出企業の円買いが入ったほか、日本政府が前週に為替水準を確認する「レートチェック」を行ったとみられることから、円買い介入への警戒感が市場に残り、円の下値を支えた。
対ユーロでは円が反発し、夕方には1ユーロ=180円台前半まで円高が進んだ。ドル高の流れがユーロにも波及し、ユーロ安・ドル高が進んだことが円高要因となった。円買い介入への警戒感もユーロに対する円買いを後押しした。
総じて、米金利上昇と追加利上げ観測が円安を主導する一方、国内の介入警戒や企業フローが円の急落を一定程度抑える展開となった。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、9月18日に既に10日移動平均線の上に再浮上していたが、5連休明けの本日、9月24日にはまだやや下向きの25日移動平均線の上に再浮上した。ただ、長い上ひげを引いたほぼ寄引同事線で終えたため、まだ上値では売り圧力が強いことを示した。
33業種中21業種が下げた。下落率トップ5は、サービス(1位)、電気・ガス(2位)、保険(3位)、海運(4位)、鉱業(5位)となった。
「中銀イベント通過」「円安進行」「AI・半導体関連の強気材料」「中東情勢の緩和期待」が重なり、幅広い銘柄に買いが入った
09月18日
昨日の米国株式相場は反発した(DJIA +316.14 @51,778.04, NASDAQ +439.87 @26,413.30, S&P500 +85.95 @7,637.76, SOX +353.38 @11,599.49)。ドル円為替レートは157円台前半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が511に対して、 下落銘柄数は1,003となった。騰落レシオは104.65%。東証プライムの売買代金は10兆3969億円。
TOPIX -3 @4,091
日経平均 +883円 @65,019円
【米国株式相場】
9月17日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が4営業日ぶりに反発し、前日比316ドル高の5万1778ドルとなった。原油価格の下落と米長期金利の低下が投資家心理を改善し、幅広い銘柄に買いが入った。前日は中東情勢への警戒や金利上昇で大きく売られていたため、自律反発の動きも強かった。
原油市場では、米国とイランの対立を巡る過度な警戒がやや後退し、WTI原油は一時100ドルを割り込む場面もあった。供給不安が和らいだことで原油価格は下落し、インフレ圧力の緩和期待が株式市場を支えた。米長期金利も前日の5.02%から4.9%台前半へ低下し、株式の割高感が薄れたとの見方が広がった。
トランプ米大統領はイランとの戦闘が「終わりに近づいている」と述べ、合意の可能性に言及した。さらに、湾岸諸国首脳との会談が予定されているとの報道もあり、中東情勢への過度な懸念が後退したことが市場の追い風となった。
個別銘柄では半導体関連の上昇が際立った。グローバルファウンドリーズはマーベル・テクノロジーとの生産契約拡大が材料視され6%高。アーム・ホールディングスは自社開発AI半導体の売上目標達成に自信を示したCEO発言を受けて8〜9%高となった。インテルやAMD、マイクロンなど主要半導体株も上昇し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は3%高と強い動きを見せた。
AIインフラ関連株も買われ、ネビウス・グループは計算リソース値上げの通知が収益拡大期待につながり一時11%高。アマゾン向けデータセンター契約を発表したゼネラック・ホールディングスは18%高と急伸した。AI規制論が業界内外で議論されているものの、企業の旺盛なAI投資が続いているとの見方が強く、関連銘柄の下支えとなった。
経済指標では、新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、労働市場の底堅さが確認された。これが投資家心理を支え、景気後退懸念を和らげた。
ダウ平均採用銘柄では、エヌビディア、シスコシステムズ、アマゾン、キャタピラー、ナイキ、メルクなどが上昇。一方、セールスフォース、ボーイング、ウォルマートなどは下落した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も4営業日ぶりに反発し、439ポイント高の2万6418となった。テスラやブロードコムなどが上昇し、指数を押し上げた。
市場では、FRBの利上げ決定を受けた金利上昇が前日まで重荷となっていたが、17日は金利と原油の落ち着きが買い戻しを誘発した。AI関連の強い投資需要が相場全体の支えとなっており、規制論が浮上する中でも成長期待は根強い。翌18日は「クアドルプル・ウィッチング」(クアドルプル・ウィッチング(Quadruple Witching)とは、4種類の先物・オプション取引の期限が同時に到来する日で、株式市場の値動きが普段より不安定になりやすい特別な日)による値動きの不安定化が予想されるが、AI関連の底堅さが市場の下支えになるとの見方もある。
(注)クアドルプル・ウィッチングとは何か
以下の 4つのデリバティブ(金融派生商品) の期限が同じ日に到来する現象を指します。
株価指数先物
株価指数オプション
個別株オプション
個別株先物
これらの取引は機関投資家やヘッジファンドが大量に保有していることが多く、期限到来時にはポジション調整(決済・ロールオーバー)が一斉に行われます。
■ なぜ値動きが荒くなるのか
理由はシンプルで、大量の売買が同じタイミングで発生するからです。
機関投資家が先物・オプションを決済する
新しいポジションに乗り換える(ロールオーバー)
それに伴い現物株の売買も増える
この結果、通常よりも 出来高が急増し、株価が大きく上下しやすくなるのです。
■ いつ起きるのか
米国市場では 年4回(3月・6月・9月・12月) の第3金曜日に発生します。
日本市場でも米国の影響を受けて値動きが荒くなることがあります。
■ 投資家にとっての意味
短期的な乱高下が起きやすい
テクニカル分析が効きにくくなる
出来高が急増するため、意図しない値動きが発生することがある
まとめ長期投資家にとっては大きな意味はありませんが、短期売買をする投資家にとっては注意すべき日。
まとめ
クアドルプル・ウィッチングとは:
4種類の先物・オプションの期限が同時に到来する日
年4回発生
売買が集中し、株価が乱高下しやすい
特に米国市場で影響が大きい
市場が「荒れやすい日」として広く知られている。
【変質しつつある米国国債】
今週、米国の長期金利がリーマン・ショック後の「上限」とされてきた5%を突破した。インフレ懸念や追加利上げ観測だけでは説明しきれず、米国債が長年享受してきた「安全で便利な資産」という特権が弱まりつつあることが背景にある。米国債は流動性が高く、担保としても使いやすいことから、投資家は低い利回りでも保有してきた。この利回り差は「コンビニエンス・イールド」と呼ばれ、戦後平均で0.4〜0.6%程度とされる。しかし近年はこの特権が低下し、米国債の実質金利の均衡水準が上昇しているとの指摘が増えている。
研究によれば、コンビニエンス・イールドは2015年頃からマイナス圏に沈む場面が増え、近年はマイナスが定着している。最大の要因は米国債の供給増で、市場で流通する米国債は約29.5兆ドルと20年前の7倍に膨らんだ。財政赤字が常態化し、債務残高は2026年にGDP比101%、2030年には108%に達する見通しで、戦後直後の水準を上回る。供給が増えれば希少性が薄れ、特権も弱まる。
さらに、米国債の保有者構造も変化している。過去はFRBや海外中銀が大量に保有していたが、現在は民間部門の比率が高まり、価格変動に敏感な投資家が増えた。民間ファンドは収益最大化を重視するため、金利上昇に対してよりシビアに反応する。
財務省の債務管理への信頼も揺らいでいる。従来は「予見可能な発行」を原則としていたが、8月には長期債の買い戻し額を突然増やすなど、相場に応じた「機会主義的」な対応が見られた。これが不確実性を高め、金利上昇圧力につながるとの懸念がある。財務長官は短期債を増やし長期債を減らす「トレジャリー・ツイスト」を進めているが、短期債依存は将来の金利上昇リスクを高めるとの批判もある。
こうした状況は、財政が金融政策を縛る「財政優位(フィスカル・ドミナンス)」の懸念を強める。巨額債務への配慮がFRBの利上げ判断を難しくし、インフレ抑制への信認が揺らぐ可能性がある。専門家からは「財政優位のリスクは過去数十年で最も高い」との警鐘も出ている。
米国債は依然として世界最大の安全資産だが、長期金利の5%突破はその地位が絶対ではない現実を示している。
(注)トレジャリー・ツイスト(Treasury Twist)とは、米国財務省が国債の発行や買い戻しの「期間構成」を意図的に変えることで、長期金利の動きを調整しようとする政策運営の手法を指します。
中央銀行の金融政策とは異なり、財務省が「どの年限の国債を市場に多く出すか/減らすか」を操作することで、金利構造に影響を与える点が特徴です。
■ トレジャリー・ツイストの基本的な仕組み
ポイントは 「長期債を減らし、短期債を増やす」 という動きです。
長期債を買い戻す(市場から減らす)
→ 長期債の需給が引き締まり、長期金利の上昇圧力を和らげる
短期債を多く発行する(市場に増やす)
→ 財務省は短期で資金調達しつつ、長期債の供給を抑える
つまり、財務省が「国債の期間ミックス」を変えることで、
長期金利を抑えたいときに使うテクニックです。
■ なぜ「ツイスト」と呼ばれるのか
国債の発行構造を「短期に寄せる/長期を減らす」という形で“ねじる(twist)”ため、
イールドカーブ(利回り曲線)が「ひねられた」ように見えることから名付けられました。
■ 歴史的な背景
トレジャリー・ツイストは1960年代の米国で使われた政策が起源です。
当時は景気刺激を維持しつつ、長期金利の上昇を抑えるために採用されました。
近年では、財政赤字拡大や国債供給増による長期金利上昇を抑える目的で再び注目されています。
■ 最近の文脈(記事の背景)
記事では、ベッセント米財務長官が以下のような政策運営を行っていると説明されています:
長期債の買い戻しを増やす
短期債の発行を増やす
これはまさに「トレジャリー・ツイスト」であり、
長期金利の急騰を抑えるための財務省主導の需給調整策です。
ただし、短期債の比率が増えると「借り換え頻度が増える」「将来の金利上昇リスクが高まる」などの副作用があり、専門家からは慎重論も出ています。
■ まとめ
トレジャリー・ツイストとは:
財務省が国債の発行・買い戻しの期間構成を操作する政策
長期債を減らし、短期債を増やすことで長期金利の上昇を抑える
金融政策ではなく「財務省による金利調整」
長期金利の急騰局面で使われやすい
将来の金利リスクが高まる副作用もある
【日本株式相場】
本日9月18日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続伸し、前日比882円高の6万5018円となった。心理的節目である6万5000円台を約1週間ぶりに回復した。日米欧の中央銀行が相次いで利上げに踏み切り、世界的な金利急騰への警戒が和らいだことが投資家心理を改善させた。金融政策イベントを通過したことでリスク資産への資金回帰が進み、特に人工知能(AI)・半導体関連株が相場を押し上げた。
日銀は金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とした。市場予想通りの内容で、金融緩和の正常化の範囲内と受け止められた。日経平均は午前中は6万4000円台で推移していたが、結果発表後に海外短期筋の先物買いが膨らみ、上げ幅は一時1300円超まで拡大した。日銀が示した「中立金利」レンジ(1.1〜2.5%)の下限にようやく達した水準であり、景気を冷やすほどの引き締めではないとの見方が広がった。
米国ではFRBが9月16日に利上げを決定し、トランプ大統領の利下げ圧力がある中でもインフレ抑制を優先する姿勢を示した。欧州中央銀行(ECB)も9月10日に利上げを実施。主要中銀がそろってインフレ対応に動いたことで、世界的な金利上昇の行き過ぎへの懸念が後退した。
中東情勢にも緊張緩和の期待が出ている。トランプ大統領が湾岸諸国首脳とイラン問題を協議する見通しと伝わり、原油先物は一時100ドルを割り込んだ。原油高によるインフレ圧力が和らぐとの期待が株式市場の追い風となった。
こうした環境改善を受け、AI・半導体関連株が再び強い動きを見せた。エヌビディアのCEOが「来年は今年の2倍の半導体を販売する」と述べたことが報じられ、米市場で関連株が上昇。アーム・ホールディングスのCEOもAI向けCPUの売上目標達成に自信を示し、株価が急伸した。東京市場でもアドバンテスト、ソフトバンクグループ、キオクシアなどが買われ、3銘柄だけで日経平均を700円押し上げた。
一方、銀行株は下落した。日銀の利上げは織り込み済みで材料出尽くしと受け止められ、三菱UFJ、三井住友FG、みずほFGなどメガバンク株に利益確定売りが出た。追加利上げへの慎重姿勢が意識され、利ざや改善期待がやや後退したことも影響した。地銀株も同様に売られた。
東証プライム市場の売買代金は10兆円を超え、約1カ月ぶりの大商いとなった。半導体関連株への資金集中が売買代金を押し上げた。TOPIXは小幅反落したが、JPXプライム150指数は続伸した。
また、電力株が急伸している点も市場の話題となった。AI普及による電力需要増加に加え、政府が託送料金の期中見直しを認めたことで、電力会社がコスト増を料金に反映しやすくなった。関西電力、四国電力、九州電力など原子力比率の高い企業が高値圏で推移している。送配電網の設備投資増加が見込まれることから、日立製作所や富士電機など関連企業にも注目が集まる。ただし、電気料金の上昇が需要減退につながる可能性や、企業ごとの事情(東京電力の廃炉費用、中部電力の不正問題など)から株価の強弱は分かれている。
総じて、9月18日の東京市場は「中銀イベント通過」「円安進行」「AI・半導体関連の強気材料」「中東情勢の緩和期待」が重なり、幅広い銘柄に買いが入った。年末に向けて循環物色が続くとの見方も多く、投資家心理は悲観から楽観へと傾きつつある。
【事前の予想通り日銀は利上げを決定】
日銀は9月18日の金融政策決定会合で政策金利を1.25%へ引き上げた。6月以来の追加利上げで、植田総裁体制では最速ペースとなる。市場では早くも次の利上げ時期を探る動きが強まり、日銀がどの指標を重視して判断するかが焦点となっている。
まず、円安は利上げ判断を促す重要な要因だ。日銀は為替を政策目標にしていないものの、円安は輸入物価を押し上げ、家計や企業の予想インフレ率を高めるため、物価安定の観点から利上げを後押ししやすい。円相場は2022年以降長期的な円安トレンドに入り、原油高や日米金利差拡大、財政悪化懸念などが重なって円安が進行してきた。過去の利上げも円安局面と重なっており、今後も円安が進めば利上げが近づくとの経験則が意識される。
また、為替介入が行われた後に利上げが続くパターンも定着しつつある。介入は一時的に円安を抑えるが、外為特会の資金には限りがあり、根本的な円安圧力を抑えるには金融政策の引き締めが必要になるためだ。
物価指標では、消費者物価指数(CPI)が基本となる。7月のCPI(生鮮除く)は前年比1.8%と目標の2%を下回るが、政府の補助金が押し下げ要因となっている。日銀が重視する「日銀版CPI」(特殊要因除く)は2.3%と22カ月連続で2%超を維持しており、基調的な物価上昇は強いとみられている。
さらに、企業物価指数(PPI)は先行指標として重要だ。8月の上昇率は7.6%と高水準で、原材料高や人件費上昇が消費者物価に波及する可能性が高い。AI関連需要による非鉄金属や機器類の価格上昇も企業物価を押し上げており、これがCPIに反映されれば追加利上げの可能性が高まる。
予想インフレ率(BEI)も日銀が注視する指標だ。BEIは足元で2%近くまで上昇しており、これがさらに高まれば物価上振れリスクが強まり、利上げ判断を後押しする材料となる。
金融環境の評価も重要だ。日銀は現状を「なお緩和的」とみており、企業の資金繰りや銀行の貸し出し態度を示す短観の指標は良好な水準を維持している。社債やCPの発行も高水準で、企業の資金調達環境は堅調だ。ただし、利上げの影響は時間差で表れるため、日銀は今後のデータを慎重に見極める構えだ。
市場では、翌日物金利スワップ(OIS)から算出される「2年先1年」金利が2.4%付近まで上昇しており、政策金利がさらに4回程度引き上げられるとの見方が織り込まれている。円安や物価上昇圧力が続けば、日銀の利上げの最終到達点(ターミナルレート)が引き上がる可能性もある。
【日銀の利上げと外国為替相場】
9月18日夜の外国為替市場で円相場は急速に円安方向へ進み、一時1ドル=158円台まで下落した。日銀が政策金利を1.25%へ引き上げたものの、会合で2名の審議委員が利上げに反対したことで「追加利上げは急がない」との見方が広がり、円売りが強まった。午前には156円台だった円は、正午の会合結果発表後に下落を加速し、植田総裁の記者会見後にはさらに円安が進んだ。
反対票を投じた浅田統一郎・佐藤綾野両審議委員は、高市政権下で任命された人物で、金融緩和寄りとみられている。市場では「政権が積極的な利上げを望んでいないのでは」との観測が強まり、利上げペースが鈍るとの思惑が円売りにつながった。ベッセント米財務長官が円安是正を求める発言を続けていたため、事前には「日銀が利上げを加速するのでは」との期待もあったが、今回の反対票でその期待が後退した。
植田総裁は会見で「政策の局面は変化した」と述べ、連続利上げの可能性も排除しないとした。ただし「0.5%利上げなど大幅な引き上げは例外的」とも示唆し、市場では「急いで追加利上げを行う姿勢ではない」と受け止められた。
一方、米欧の中央銀行はインフレ対応に積極的と評価されている。FRBは9月16日の会見で「全会一致の利上げは物価安定への決意」と強調し、市場は年内の追加利上げを高い確率で織り込む。ECBも利上げを決定し、成長見通しを引き上げた。世界的に金利が上昇していた背景には中東情勢の緊迫化や財政不安があり、長期金利にはインフレ不透明感によるプレミアムが乗っていた。しかしFRB・ECBの姿勢が明確になったことで不透明感が後退し、米欧の長期金利はむしろ低下した。
対照的に日本では、日銀の慎重姿勢が「ビハインド・ザ・カーブ(利上げが後手に回る)」懸念を強め、円安・債券売りが進む可能性が指摘されている。9月18日の国内債券市場では一時長期金利が低下したものの、会合後は国債売りが出て低下幅が縮んだ。
株式市場は円安を追い風に強い動きを見せた。日銀の利上げが想定よりハト派的と受け止められ、金利上昇懸念が和らいだことでAI・半導体関連株が買われ、アドバンテストやキオクシアが大幅高となった。円安は企業の利益押し上げ要因となるため、短期的には株式市場にプラスとの見方もある。ただし、インフレが長引き日本経済が失速すれば「日本売り」につながるリスクも残る。市場は日米欧の金融政策の温度差を敏感に捉えており、円相場は今後も不安定な展開が続く可能性がある。
【日米欧の中央銀行は相次いで利上げを決定したが、質が異なる】
日銀が9月18日の会合で政策金利を0.25%引き上げて1.25%としたこと自体は市場の想定通りだったが、2名の審議委員が反対票を投じた点が円売り材料となった。金融環境の緩さを重視する委員が据え置きを主張したことで、今後の利上げペースが読みづらくなり、追加利上げが慎重になるとの見方が広がった。
FRBやECBが利上げを連続して進める中、日銀内の判断のばらつきが目立ち、日米欧の金融政策の温度差が意識された。市場では次回利上げ時期を12月または2027年1月と予想する声が多い。原油高が続けば国内インフレ圧力が強まり、12月に前倒しで利上げする可能性もあるが、全会一致ではないため円高効果は限定的とみられる。
植田総裁は会見で「政策の局面は変化した」と述べ、物価の上振れリスクに言及した。ただし連続利上げや大幅利上げを強く示唆したわけではなく、慎重姿勢が残るため円高にはつながりにくいとの見方が多い。27年3月末の円相場は1ドル=156円前後との予想が示された。
市場では、浅田・佐藤両委員の反対票が「ハト派的な利上げ」と受け止められ、高市政権が利上げに積極的でないとの印象を与えたとの指摘もある。一方、FRBはタカ派姿勢を強め、追加利上げが高い確率で織り込まれている。ECBも利上げを継続する構えで、米欧のインフレ対応は積極的と評価されている。
世界的に金利が上昇していた背景には中東情勢や財政不安があり、長期金利にはインフレ不透明感によるプレミアムが乗っていた。しかしFRB・ECBの姿勢が明確になったことで不透明感が後退し、米欧の長期金利はむしろ低下した。対照的に日本では「利上げが後手に回る」懸念が残り、円安・債券売りが進む可能性が指摘される。
株式市場は日銀の利上げを好感し、金利上昇懸念が和らいだことでAI・半導体関連株が買われた。アドバンテストやキオクシアが大幅高となり、日経平均は一時1300円超上昇した。円安は企業収益を押し上げるため、短期的には株式市場にプラスとの見方もある。
ただし、インフレが長引き日本経済が失速すれば「日本売り」につながるリスクも残る。市場は日米欧の金融政策の温度差を敏感に捉えており、円相場と金利の不安定さは今後も続く可能性がある。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、陽線で続伸してやや上向きに転じた10日移動平均線の上に再浮上した。チャートで見る限り、これで押し目を終えて反発初動に入ったと見る。ただ、日経平均に占めるウェイトが大きい数銘柄(=値がさ株)が上げだけで日経平均は上昇したが、上昇銘柄の約2倍の銘柄は下落した(日本株全体では下げた)ことに留意しておく必要がある。
33業種中26業種が下げた。下落率トップ5は、電気・ガス(1位)、石油・石炭(2位)、水産・農林(3位)、海運(4位)、不動産(5位)となった。
8月18日から続く調整局面が底打ちしたように見えるが・・・
09月17日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -328.09 @52,093.11, NASDAQ -204.84 @25,981.57, S&P500 -34.25 @7,585.73, SOX +44.27 @11,175.55)。ドル円為替レートは155円台前半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,048に対して、下落銘柄数は452となった。騰落レシオは108.45%。東証プライムの売買代金は6兆7075億円。
TOPIX +25 @4,062
日経平均 +439円 @63,923円
【米国株式相場】
9月15日の米株式市場では、原油価格の急騰と米長期金利の上昇が重なり、投資家心理が悪化した。ダウ工業株30種平均は前日比328ドル安の5万2093ドルと続落し、下げ幅は一時540ドルを超えた。中東情勢の緊迫がエネルギー供給不安を強め、株式市場全体の重荷となった。
原油高の背景には複数の供給障害がある。ロイター通信によれば、サウジアラビアの紅海側ヤンブー港で原油の積み込みが停止し、欧州向けの出荷も取り消しや延期が発生した。さらにリビアでは国営石油会社が油田の操業停止を発表し、状況次第では不可抗力宣言を出す可能性にも言及した。これらの供給不安が重なり、WTI先物は一時106ドル台後半と約4カ月ぶりの高値を付けた。
原油高は米国のインフレ圧力を強めるとの見方が市場で広がり、米10年債利回りは一時5.04%と2007年以来の高水準に達した。金利上昇は株式の相対的な割高感を強め、売りを誘発した。市場では、翌9月16日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げが決定されるとの見方が優勢で、追加利上げの有無にも注目が集まっている。
個別銘柄では、ナイキ、アマゾン、ウォルト・ディズニー、ユナイテッドヘルスなど消費関連・ヘルスケア株が軟調だった。一方、原油高を追い風にシェブロンが上昇し、エヌビディアやスリーエムも買われた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も続落し、シーゲート・テクノロジーやウエスタンデジタルなど半導体関連の下げが目立った。
同日の市場では、AI関連株の動向にも注目が集まった。前日にはAI開発の減速を求める声が米企業トップから相次ぎ、関連銘柄が売られていたが、この日は一部で買い戻しも見られた。ただし、原油高と金利上昇というマクロ要因が強く、全体としてはリスク回避姿勢が優勢だった。
さらに市場では、アップルの株価が他の巨大テック企業と異なる動きを示している点も話題となった。アップルはAI投資競争に過度に踏み込まず、財務の安定性を重視する姿勢が評価され、ナスダック100指数との相関が低下し逆相関に転じた。設備投資を抑えつつフリーキャッシュフローを増やす見通しが示され、ディフェンシブな大型株として資金の受け皿になっている。ただし、ハードウエアの原価上昇や高価格化による需要減退リスク、新体制下での革新性維持など課題も残る。
総じて、15日の米市場は原油高・金利上昇・地政学リスクが重なり、株式全体が調整色を強めた。FOMCの結果と今後の金融政策の方向性が、次の相場の焦点となる。
【日本株式相場】
本日9月16日の東京株式市場では、日経平均株価が4営業日ぶりに上昇へ転じ、前日比438円高の6万3923円で取引を終えた。前日まで米国株が軟調だったものの、この日はアジア株が総じて堅調で、特に半導体比率の高い韓国総合株価指数(KOSPI)が上昇したことが日本株の買い戻しを促した。人工知能(AI)・半導体関連株の一部に買いが入り、後場にかけて上昇幅が拡大し、高値引けとなった。
前場は原油価格の上昇が重荷となり、日経平均が一時マイナス圏に沈む場面もあった。サウジアラビアの供給不安を背景にニューヨーク原油先物が5月以来の高値圏に達し、インフレ懸念が再燃。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の政策決定会合を控え、利上げペースが加速する可能性が意識され、投資家の慎重姿勢が強まった。
しかし、アジア株の堅調さが相場の雰囲気を変えた。KOSPIが上げ幅を広げると、日本株にも海外短期筋の先物買いが入り、東エレクやアドテストなど主要半導体株が反発。これまで売られていた銘柄に買い戻しが入り、指数を押し上げた。一方、前日に急伸していたソフトバンクグループ(SBG)は利益確定売りに押されて下落し、キオクシアも軟調だった。
金利上昇が追い風となりやすい銀行株は、前場こそ買いが入ったものの、メガバンクは後半に失速し、三菱UFJやみずほFGが下落して終えた。半面、9月末の配当権利取りを意識した買いが地方銀行株に向かい、地銀株は後場にかけて上昇した。
東証株価指数(TOPIX)は24ポイント高の4061で反発。JPXプライム150指数も上昇した。東証プライム市場の売買代金は約6.7兆円と低調で、売買高は約17.7億株。値上がり銘柄は全体の約7割を占めた。
個別では、ファーストリテイリング、リクルート、信越化学、フジクラなどが上昇。一方、コナミグループ、大塚ホールディングス、イビデン、メルカリなどは下落した。
《高頻度取引(HFT)の影響拡大》
同日の市場では、ソフトバンクグループなど大型株の値動きが荒くなる場面があり、背景として高頻度取引(HFT)の存在感が指摘されている。HFTはミリ秒単位で大量の注文を出し、売買を繰り返す取引手法で、東証プライム市場の売買代金が10兆円前後と高水準にある中、海外業者の参入が増えているという。
金融庁の統計では、HFTの注文は全体の8割を占める。売買代金比率は35%前後で安定しており、頻繁な注文とキャンセルが繰り返されている様子がうかがえる。従来はマーケットメーク型が中心で、流動性を提供する役割が強かったが、近年は数秒先の値動きを予測して利益を狙う「ディレクショナル型」が増加。順張りの売買が多く、AI関連株の値動きが大きい局面では相場変動を増幅する可能性がある。
専門家の間では、HFTの構造変化が市場のボラティリティを高めているとの指摘がある。特にキオクシアやフジクラなどは日々5%以上動くこともあり、短時間で大きな損失を抱えるリスクが高まっている。HFTは膨大な取引量をこなすため、実態の解明には時間がかかるとされるが、投資家は場中の急変動リスクを意識する必要がある。
【外国為替相場】
日米の中央銀行が同時期に政策判断を迎えるなか、市場では両国がそろって0.25%の利上げに踏み切るとの見方が支配的となり、予想確率は9割を超えている。だが、利上げが既定路線であるにもかかわらず、金融政策がインフレ対応で後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」への懸念が強まり、円もドルも積極的に買いづらい状況が続いている。
9月16日の東京外国為替市場では、円相場は1ドル=155円台前半で推移した。原油高による日本の貿易赤字拡大が意識され、円売り・ドル買いが優勢(主に米ドルで支払うため)となった。ただし、FRBと日銀の政策決定を控え、投機的な持ち高を積み増す動きは限定的だった。
米国ではFRBが16日まで開くFOMCで利上げを決めるとの見方がほぼ確定的だ。米金利先物を基にした「フェドウオッチ」では、9月会合の利上げ確率が9割超に達している。原油高やインフレ圧力の強さを背景に、年内の追加利上げ観測も浮上しており、FOMC参加者の金利見通し(ドットチャート)や、ウォーシュ議長が記者会見でどの程度先行きの利上げ姿勢を示すかが焦点となる。
ウォーシュ議長はフォワードガイダンスに慎重で、明確な将来指針を示さない傾向があるため、市場は発言のニュアンスを細かく読み取ろうとしている。SMBC信託銀行の市場関係者は「追加利上げの可能性を示唆するかが最大の注目点」と指摘する。
一方、日銀は9月17〜18日の会合で利上げ継続姿勢を示すとの見方が強い。OIS市場では年内に0.50%の利上げを決める確率が9割を超え、0.25%幅の利上げを2回行うとの予想が織り込まれている。円安が物価上昇を助長する状況下で、利上げペースの加速を示唆するかが注目される。
しかし、一般的に利上げは通貨高につながるはずが、今回は円もドルも買いづらい。背景には、日米ともに政権側が積極的な利上げを望まないとの見方があり、金融政策が政治的圧力で後手に回る懸念が消えないためだ。
インフレ圧力は強まっている。中東情勢の緊張で原油価格はWTIが一時106ドル台まで上昇し、米国では中間選挙を前に減税や給付など財政拡張の思惑が広がりやすい。日本でも食料品の消費税減税を含む税制改正大綱が閣議決定され、高市政権の財政拡張路線が続くとの見方が強い。財政拡張はインフレを刺激し、長期金利を押し上げる力が働く。それに加えて利上げをすると国債の利払い費用が上がるため、利上げを難しくする要因となる。
こうした状況から、日米ともに「利上げはするが十分ではない」との評価が市場で広がり、通貨が買われにくい。野村証券の松沢氏は「ウォーシュ議長が利上げ姿勢を示しても、ドル買いにつながるほどの強いメッセージにはならない」とみる。日銀についても、利上げを決めても市場が想定するほどタカ派姿勢を示さなければ円安圧力が残る。
結果として、日米が利上げを決めても、双方の通貨が強含む展開にはなりにくく、「円とドルの綱引き状態」が続くとの見方が多い。円相場は年内150円台での膠着が続く可能性が高いとされ、政策イベント通過後も方向感の乏しい展開が予想されている。
【商船株が強含みで推移している背景】
商船三井、日本郵船、川崎汽船の大手商船株はどれも7月初旬から8月下旬にかけて明確な上昇トレンドを描いた後、高値圏で横ばいが続ているものの、反落する気配が殆どない。その一つの理由がコンテナ運賃の上昇である。そしてその上昇にはちゃんとした理由がある。
アジア―北米間のコンテナ船スポット運賃が急上昇している。上海発米国東岸向けは11日時点で1万479ドルと約4年ぶりに1万ドル台を回復し、西岸向けも7339ドルと高値圏にある。いずれも7週連続で上昇し、輸送コストの増加が日本企業にも影響し始めている。
背景の一つが パナマ運河の通航制限だ。降雨不足により運河の水位が低下し、パナマ運河庁は通航枠を段階的に縮小。通常36枠が34枠、さらに32枠へと減る見通しで、船の待機時間が長期化している。エルニーニョ現象が深刻化すれば雨期の降水量不足が続き、通航制限がさらに強まる可能性もある。前回のエルニーニョ期(2023〜24年)には通航枠が通常の6割まで落ち込んだ。
運河の混雑により船の回転率が低下し、運賃上昇圧力が強まっている。実際、一部の船はパナマ運河を避けて喜望峰経由で迂回しており、航海日数の増加がコストを押し上げている。さらに アジアの港湾混雑も運賃上昇を後押しする。台風の連続発生で上海・寧波などの港では荷役が滞り、最長10日以上の遅延が発生。世界のコンテナ定時運航率は7月に56.4%まで低下し、上海では21%と大幅に悪化した。港湾混雑は船のスケジュール遅延を招き、利用可能な船腹が減ることで供給が引き締まる。一方で 輸送需要は底堅い。アジア発米国向けコンテナ輸送量は8月に前年同月比2%増と回復。ベトナムや韓国発が伸びる一方、中国発は関税強化の反動で減少したが、全体として荷動きは強い。米国の小売業界も9月の輸入量増加を見込んでおり、ピークシーズンが長期化しているとの見方が多い。9月24日に予定される米中首脳会談で関税緩和が進めば、輸送量増加を通じて運賃上昇圧力がさらに強まる可能性がある。日本企業にとっては米国向け輸送コストの上昇が続く懸念があり、海運市況の動向を注視する必要がある。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、昨日の陽線に続き、本日も下ひげを引いた短陽線で上げた。8月17日に始まった今回の調整は底打ちをしたように見えるが、どこまで反発するかは未知数である。まずは半値戻しが目標だが、反発力が弱いと1/3戻しくらいで失速する。ただし、3月31日安値@50,558円と7月29日安値@60,448円を結んだ上昇トレンドラインを9月11日から割り込んでいるので、反発はまだ安定的とは言えない。
33業種中23業種が上げた。上昇率トップ5は、石油・石炭(1位)、鉱業(2位)、繊維製品(3位)、海運(4位)、非鉄金属(5位)となった。
AI減速論・金利上昇・原油高という複数の逆風が続く
09月15日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -152.09 @52,421.20, NASDAQ -146.62 @26,186.41, S&P500 -37.00 @7,619.98, SOX -692.72 @11,131.28)。ドル円為替レートは154円台後半での動きだった。本日の日本株全体は上げる銘柄の方がやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が800に対して、下落銘柄数は685となった。騰落レシオは107.63%。東証プライムの売買代金は7兆4384億円。
TOPX -21 @4,037
日経平均 -9 @63,484
【米国株式相場】
9月14日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が反落し、前週末比152ドル安の5万2421ドルとなった。主因はAI開発の減速懸念で、半導体やサーバーなどAIインフラ関連銘柄に売りが広がったことだ。米アンソロピックのアモデイCEOが「安全確保のため最先端AIモデルの開発ペースを落とすべきだ」と訴え、オープンAIのアルトマンCEOやイーロン・マスク氏も賛同した。これにより、AI関連の成長期待が一時的に後退し、エヌビディアやキャタピラーなどが下落。半導体株指数(SOX)は5.8%安と大きく下げた。
一方で、市場全体は底堅さも見せた。AI需要は中長期的に強いとの見方が根強く、「最先端モデルの開発には巨額投資が不可欠で、設備投資は高水準を維持する」との声が市場関係者から聞かれた。下値では押し目買いも入り、ダウ平均は一時プラス圏に戻る場面もあった。
市場心理を冷やしたもう一つの要因が原油高である。サウジアラビアの東西パイプラインが攻撃を受け操業停止となり、さらにオマーンがイランとの会合延期を発表したことで、中東のエネルギー供給不安が強まった。WTI原油は5月以来の高値を付け、インフレ懸念が再燃した。
金融株にも売りが波及した。バンク・オブ・アメリカは、投資銀行業務の手数料収入が前年同期比で減少していると明らかにし株価が下落。オープンAIのIPO延期報道も金融株の重荷となり、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーにも売りが出た。
ダウ構成銘柄では、3M、シスコ、アマゾンなどが下落。一方、セールスフォース、アルファベット、IBM、マイクロソフト、ウォルマート、ディズニーなどは上昇し、相場全体の下支えとなった。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も反落し、前週末比146ポイント安の2万6186となった。マイクロン、ブロードコム、アーム、AMD、インテルなど主要半導体株が軒並み大幅安となり、AI関連クラウドサービスのコアウィーブなども下落した。
さらに、米長期金利(10年債利回り)が一時5%を突破したことも市場の重荷となった。長期金利は金融資産の評価基準であり、企業の資金調達コストにも直結するため、上昇が続けば株式市場や実体経済への影響は避けられない。2023年に同水準を付けた際もS&P500は1割超下落しており、今回も警戒感が強まった。
金利上昇は、AI関連のような高成長株の現在価値を押し下げるほか、米国債利回りの上昇で株式の相対的魅力が低下する。企業や消費者の借入金利上昇も需要を抑制する。住宅市場への影響は限定的との見方もあるが、政府財政への負担は確実に増す。米政府債務はGDP比100%超で、金利高止まりが続けば利払い費が膨らみ、財政悪化の懸念が強まる。
総じて、9月14日の米市場はAI開発減速懸念・原油高・金利上昇という三重の圧力を受けたが、非AI銘柄の買いが下支えし、下げ幅は比較的限定的となった。
【日本株式相場】
本日9月15日の東京株式市場で日経平均株価は小幅に3日続落し、6万3484円で取引を終えた。前日の米国市場で半導体株が大きく売られた流れを受け、東京でもAI・半導体関連の一角に売りが続いた。背景には、米アンソロピックのCEOが最先端AIモデルの開発ペースを落とすべきだと発言し、オープンAIのトップらも同調したことで、AI需要の伸びが鈍るとの見方が広がったことがある。14日にすでに関連株は急落していたが、15日もアドテストや東京エレクトロンなど一部銘柄に売りが残った。
市場の重荷となったもう一つの要因は金利上昇だ。米長期金利は日本時間15日午後に再び5%台へ上昇し、日本の長期金利も一時3.03%と約30年ぶりの高水準を付けた。原油高によるインフレ圧力が債券売りを誘発したほか、ブルームバーグが高市政権による防衛費のGDP比3.5%への引き上げ検討を報じ、財政悪化への懸念が国債売りを強めたとの見方もあった。
一方で、相場は一方向に弱いわけではなく、前場には日経平均が600円超上昇する場面もあった。前日にオープンAIの上場延期観測で急落したソフトバンクグループ(SBG)が急反発し、1銘柄で日経平均を350円ほど押し上げた。AI減速論についても「過度な悲観は不要」との声が増え、最先端モデルの開発が鈍ってもハイパースケーラーなどの設備投資は簡単には縮まらないとの見方が広がった。キオクシアや村田製作所など、前日まで売られていた銘柄に買い戻しが入った。
ただし、金利上昇が続く環境では株式の割高感が意識されやすく、後場に入ると買いの勢いは弱まり、日経平均は再びマイナス圏へ沈んだ。TOPIXは0.52%安の4037で終え、銀行や保険など金利上昇の恩恵を受けやすい業種も買いが広がらなかった。JPXプライム150指数も下落した。
市場全体では値上がり銘柄が800と過半を占め、医薬品など出遅れ株への資金流入も見られた。中外製薬や武田薬品などが買われ、業績の安定性が改めて評価された。AI関連の不安がやや後退した一方、金利上昇や中東情勢の不透明感は依然として重荷であり、強い反転には時間がかかるとの見方が多い。
総じて、AI減速論・金利上昇・原油高という複数の逆風が続く中でも、日本株は一定の底堅さを保っており、個別物色が広がる展開となった。
【米国債券相場】
米国の長期金利が9月15日のアジア時間に急上昇し、10年債利回りは 5.03%台と2007年以来の高水準を付けた。背景には 原油高によるインフレ懸念、そして FRBの追加利上げ観測がある。14日の米債券市場でも利回りは5%台に乗っており、トランプ政権下で拡大する財政への不安が米国債売りを強めている。
さらに、近年の金利上昇には新たな構造的要因が加わった。巨大テック企業がAI向けデータセンター建設を急ぐ中、超長期の社債を大量発行して資金を調達しており、これが国債市場の需給を圧迫している。米投資銀行幹部は「AI企業の社債発行が米長期金利上昇の主要因の一つ」と指摘する。英LSEGによれば、2026年1〜8月の 20年超の米国債発行額は前年同期比26%減の2296億ドルだった一方、同期間の投資適格社債は78%増の2537億ドルと米国債を上回った。AI関連企業の発行額は急増しており、2024年160億ドル → 2025年435億ドル → 2026年は1〜8月で611億ドルと拡大。業種別シェアは24.1%に達し、エネルギーや金融を抜いて最大となった。
発行上位は アルファベット(172億ドル)、メタ(140億ドル)、オラクル(100億ドル)など。アルファベットは40年債を6.5%で発行し、円建てでも5765億円を調達。アマゾンは50年債まで発行している。投資家は国債より高い利回りを求めて社債に資金を振り向けており、結果として国債需要が押し出される「逆クラウディングアウト」が起きている。
米30年債利回りは9月に 5.3%台とリーマン危機前以来の水準に達した。コロンビア・スレッドニードルのフサイニー氏は「AI企業の巨額起債が米国債の利回りを押し上げている」と述べる。AI投資は数年前には存在感が小さかったが、今や市場の大きな部分を占め、需給の変化が金利を揺さぶっている。
世界的にも長期金利は上昇している。日本の10年債利回りは 3.035%と約30年ぶりの高さ、ドイツは3.5%台、英国は5.4%台といずれも十数年ぶりの水準。原油価格が1バレル100ドルを超えたことでインフレ懸念が強まり、債券売りが広がった。各国で財政拡張が進むことも金利上昇圧力を強めている。トランプ大統領が中間選挙で勝利した場合に成人1人当たり5000ドルを配ると発言したことも財政不安を招いた。
市場では「金利上昇はさらに続く可能性がある」との見方が根強い。AI関連社債の発行が続く限り、国債利回りの低下は起こりにくいとの指摘もある。UBS SuMi TRUSTの青木氏は「社債発行が落ち着かない限り米金利は下がりにくい」と述べる。金利上昇は消費者や企業の資金調達コストを押し上げ、景気や株式市場に逆風となる。投資家はリスク資産への姿勢を慎重化しつつあり、世界の金融市場はAI投資ブームと財政不安、原油高という複合要因に揺さぶられている。
【外国為替相場】
円相場では、ベッセント米財務長官による度重なる円安けん制発言が強い影響力を持ち始め、為替市場の地合いを変えつつある。従来は円高局面で輸入企業が積極的にドル買いを入れ、円安方向への圧力となっていたが、足元ではその動きが明確に鈍化している。国内勢の姿勢変化が、円先高観の強まりを示す。
9月14日のニューヨーク市場では原油高による日本の貿易赤字拡大が意識され、円は一時155円近辺まで下落した。だが翌15日の東京市場では154円台後半へ戻し、円安一方向ではない展開となった。市場では「ベッセント発言の効果が続いている」との見方が多い。
特徴的なのは時間帯別の値動きだ。日銀公表値を基にすると、9月以降は海外時間(夜)だけでなく東京時間(昼)でも円がじり高となる傾向が強まった。7月初めからの累計では昼・夜ともに4円超の円高となり、協調介入直後の8月初めより円買い圧力が増している。
背景には国内実需筋のドル買い減少がある。輸入企業は協調介入直後の急激な円高局面で大量のドル調達を進め、来期上半期分まで確保した企業もある。そのため「慌ててドルを買う必要はない」との声が広がり、通常なら円高時に増えるドル買いが大幅に減っている。ある銀行では、介入直後に殺到したドル買い注文が現在は「3〜4割程度」にまで縮小したという。さらに、円高が進めば調達済みドルの評価損が生じる「逆ざや」懸念もあり、輸入企業は慎重姿勢を強めている。りそなHDには「ドルを急ぎすぎたかもしれない」と悔いる声も寄せられている。外国為替の「リーズ&ラグズ:Leads and Lags」理論のラグズが起こっている。
投機筋の円売りポジションも縮小傾向だ。CFTCのデータではレバレッジドファンドの円売り越し幅は前週比で5割強減ったが、まだ中立には至っていない。過去の円高局面では買い越しに転じたこともあり、円買い余地は残る。
今週は日米の金融政策決定会合を控え、円相場の方向性を左右する重要局面となる。市場では「週末に152円台を上抜けるかが、ベッセント氏の影響力を測る指標になる」との声もある。原油高など円安要因は残るものの、輸入企業のドル買いが細り、円先高観が市場に浸透しつつある。150円台を試す展開も意識され、円安一辺倒の構図は崩れ始めている。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、過去5日間は安値を更新していたが、本日は上ひげを引いた短陽線で安値更新はなく、下げ渋りを見せた。このまま反発するとは限らないが、日経平均に対するウェイトが高い銘柄はAI関連銘柄や半導体関連銘柄などの成長株であるため、長期金利上昇に弱い。米国自身が招いている原油高経由の物価上昇と民間の巨額AI設備投資が投資資金を国債市場から奪う「逆クラウディングアウト」効果は長期金利を押し上げるため、長期金利には強い上昇プッシャーがかかる。
33業種中25業種が下げた。下落率トップ5は、石油・石炭(1位)、銀行(2位)、証券(3位)、保険(4位)、卸売り(5位)となった。
日経平均は続落したが、相場全体は反発した
09月15日
先週金曜日の米国株式相場は反発した(DJIA +509.19 @52,573.29, NASDAQ +251.31 @26,333.04, S&P500 +65.28 @7,656.98, SOX +209.83 @11,824.00)。ドル円為替レートは154円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プラムでは、上昇銘柄数が1,221に対して、下落銘柄数は309だった。騰落レシオは108.76%。東証プライムの売買代金は7兆2866億円。
TOPIX +30 @4,058
日経平均 -518円 @63,493円
【米国株式相場】
9月11日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が5営業日ぶりに反発し、前日比509ドル高の5万2573ドルで取引を終えた。前日に7月下旬以来の安値を付けていたことから自律反発の買いが入りやすかったうえ、原油高が一服したことで投資家心理が改善した。
原油価格の落ち着きは、中東情勢に関する報道が背景にある。英フィナンシャル・タイムズ紙が、湾岸諸国とイランがホルムズ海峡の航行問題を協議する見通しと伝えたことで、供給不安が和らいだ。米原油先物WTIは前日比2.4%安となり、原油高によるインフレ懸念が後退した。
同日発表された8月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇と市場予想通りだったが、コア指数は前月比0.3%上昇と予想を上回った。これにより、15〜16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まるとの見方が強まった。利上げが実施されれば、FRBのインフレ抑制姿勢が市場の信認を高め、金利上昇が落ち着くとの期待が広がった。米長期金利は前日に大きく上昇していたが、この日は低下する場面もあり、株式の買い戻しを誘った。
ダウ平均ではシスコシステムズ、IBM、ボーイングなどが上昇し、セールスフォース、アルファベット、アマゾンも買われた。一方、ユナイテッドヘルス・グループやアムジェン、メルクは下落した。
ハイテク株中心のナスダック総合指数も5営業日ぶりに反発し、前日比251ポイント高の2万6333となった。半導体株が買われ、マーベル・テクノロジーやインテルが上昇。メタプラットフォームズも堅調だった。
総じて、原油高の一服と金利の落ち着きが市場の不安を和らげ、前日までの下落局面から株式の買い戻しが広がった一日となった。
【日本株式相場】
本日9月14日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前週末比518円安の6万3492円と約1カ月半ぶりの安値を付けた。人工知能(AI)関連の成長期待が揺らいだことが主因で、午前には下げ幅が1200円を超え、取引時間中に6万3000円を割り込む場面もあった。米オープンAIの上場延期観測や、AI開発の減速を求める声が広がったことが投資家心理を冷やし、半導体・AI関連株が軒並み売られた。米フォーチュン誌は、オープンAIのサム・アルトマンCEOが「2026年はIPOをしない」と述べたと報じた。市場では以前から上場時期の遅れが意識されていたが、トップの発言が改めて売り材料となった。さらに、米アンソロピックのアモデイCEOが安全性の観点からAI開発の減速を呼びかけ、業界内で賛同が広がったとの報道もあり、AI需要の伸びが鈍るとの懸念が強まった。これらを受け、オープンAIに出資するソフトバンクグループ(SBG)は一時13%安と急落し、日経平均を1銘柄で500円以上押し下げた。キオクシア、イビデン、太陽誘電など半導体関連にも売りが波及した。
中東情勢の悪化も市場の重荷となった。サウジアラビアは原油輸送パイプラインが攻撃を受け操業停止したと発表し、オマーンはホルムズ海峡の通航管理を巡るイランとの協議延期を明らかにした。原油先物WTIは100ドル台で高止まりし、エネルギー価格の上昇がインフレ圧力を高めるとの懸念が強まった。原油高は企業のコスト増につながるため、株式市場のリスク回避姿勢を強めた。
加えて、米国の利上げ観測が一段と高まった。8月の米消費者物価指数(CPI)はコア指数が前月比0.3%上昇と予想を上回り、インフレの根強さが示された。FRBは15〜16日にFOMCを開くが、利上げは「ほぼ確実」との見方が広がり、10月・12月にも追加利上げが続くとの予測も出ている。米長期金利が上昇すれば株式の割高感が強まり、特にグロース株であるAI・半導体関連は売られやすい。
こうした三重苦の中でも、日経平均は朝方の急落後に下げ渋った。海外短期筋による先物の押し目買いが入り、9月末の中間配当取りを狙う買いも相場を下支えした。通信株など内需株は堅調で、ソフトバンク(SB)は株式分割考慮後の上場来高値を更新した。
東証株価指数(TOPIX)は反発し、銀行や保険など金利上昇の恩恵を受けやすい銘柄が買われた。JPXプライム150指数も上昇し、内需・ディフェンシブ株への資金シフトが鮮明になった。東証プライム市場では値上がり銘柄が1221と全体の7割を占め、売買代金は約7.3兆円と低水準だった。
個別では、キオクシアがAI開発鈍化懸念で大幅安。SBGはオープンAIの上場延期報道で10%超下落した。一方、川崎重工業は造船設備への450億円投資が好感され上昇した。地銀株も堅調で、七十七銀行は好決算と目標株価引き上げを受け上場来高値を更新。横浜FGや千葉銀行なども買われ、AI株から金利上昇の恩恵が期待できる地銀株へ資金が移る動きが見られた。銀行株全体は年初来で約50%上昇し、AI関連株に匹敵する上昇率となっている。背景には日銀の利上げ観測があるが、市場では「利上げ期待の行き過ぎ」や「銀行株への過度な資金集中」への警戒も出始めた。円安修正が進めば、円売り・銀行株買いのセット取引が崩れる可能性も指摘される。
総じて、AI関連の成長期待の揺らぎ、原油高、利上げ観測という複合的な要因が市場を圧迫し、日経平均は弱含みの展開となった。一方で内需株や銀行株には資金が流入し、全面的なリスクオフには至っていないものの、AI・半導体株の重さが相場全体の上値を抑えている。
【国債残高と矢野康治・元財務事務次官の警鐘】
2021年に「このままでは国家は破綻する」と警鐘を鳴らした矢野康治・元財務事務次官が、現在の財政運営に対し改めて強い危機感を示した。低金利が続いた過去には財政拡大への警告が「オオカミ少年」と受け取られたが、矢野氏は「オオカミはすぐそこまで来ている」と述べ、金利上昇が財政に深刻な影響を及ぼす局面が迫っていると強調した。
矢野氏は、高市政権の「責任ある積極財政」について、長期金利の急騰が円安・株安を招き、国民生活に大きな負担を残す恐れがあると指摘。政治家が退陣しても、住宅ローンや企業の資金調達コスト増といった実害は補償されないと述べ、財政運営のリスクを軽視すべきではないと警告した。
税収増や債務残高のGDP比低下についても「低金利と物価高による一時的な改善にすぎない」と説明。過去の低金利で発行した国債の借り換えが進めば利払い費は急増し、現在の年7〜8兆円から10年後には30兆円規模、金利が1%上昇すれば40兆円規模に達する可能性があると試算した。
財政には「ため」が必要だと強調し、不況や災害時に税収が落ち込んでも国民生活を支えるため、平時に歳出を抑え余力を蓄えるべきだと述べた。現在の積極財政はその余力を食い潰していると批判した。
政府が掲げる17分野への大規模投資については「対象が広すぎ、全産業に資金を配るようなもの」と指摘。成長投資は絞り込むべきであり、「成長が財源になる」という考えは願望にすぎないと述べた。名目GDPの伸びや税収増は物価高の影響が大きく、構造的な成長力の向上にはつながっていないと分析した。
消費税減税については「財源確保が困難で、物価高対策としても不適切」と批判。高所得者ほど恩恵が大きく、事業者の負担も増えるため、迅速かつ公平な給付の方が適切だと主張した。
選挙で積極財政が選ばれたとの主張に対しては「選挙で信任を得ても、政策の財源や影響を説明する責任は免れない」と述べ、国民の判断を軽視する姿勢を戒めた。
最後に、政府がデフレ脱却を宣言しない理由について「低金利を維持し財政拡大を続けたい意図がある」と指摘。物価高対策として消費税減税を行うなら、政府は物価上昇を認めているはずであり、整合性がないと批判した。日本は外から指摘される前に自ら政策を修正し、金融政策の正常化と財政規律の回復を急ぐべきだと締めくくった。
【日経平均日足チャートの解釈】
前日の「たくり線」に続き、本日も「たくり線」で続落した。ただし、本日の日経平均はソフトバンクグループの1銘柄だけで569円押し下げられた(米オープンAIの上場が2007年まで延期されたことが主因)が、全体的には上昇する銘柄の方が圧倒的に多かった。直近の下値抵抗線として意識されるのは6月11日安値@62,335円である。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、サービス(1位)、保険(2位)、その他製品(3位)、水産・農林(4位)、陸運(5位)となった。
中東情勢の悪化、原油相場高騰、日米欧の金利上昇、悪い材料で溢れている
09月11日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -316.56 @52,064.10, NASDAQ -171.62 @26,081.72, S&P500 -44.66 @7,591.70, SOX -317.15 @11,614.17)。ドル円為替レートは154円台前半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が509に対して、下落銘柄数は986となった。騰落レシオは105.61%。東証プライムの売買代金は8兆7192億円。
TOPIX -26 @4,028
日経平均 -1,260円 @64,011円
【米国株式相場】
9月10日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が4日続落し、前日比316ドル安の5万2064ドルと7月下旬以来の安値を付けた。中東情勢の悪化が市場心理を冷やし、原油先物価格の急騰が株式相場の重荷となった。イエメンの親イラン武装組織フーシによる港湾都市掌握、トランプ米大統領が戦闘終結は米中間選挙後になるとの見通しを示したこと、イランが地下施設で弾道ミサイル生産を再開したとの報道などが地政学リスクを高めた。
米原油先物WTI期近10月物は一時7%以上上昇し、103ドル台と5月以来の高値を記録。エネルギー供給の混乱懸念からリスク回避姿勢が強まり、株式売りが広がった。加えて、8月の米卸売物価指数(PPI)が前年同月比5.4%上昇と市場予想を上回り、インフレ圧力の強さが意識された。米長期金利は一時4.95%まで上昇し、2023年10月以来の高水準となった。金利上昇は株式の割高感を強め、売りを誘った。FRBの早期利上げ観測も強まり、9月利上げ確率は7割超へ上昇した。
ダウ平均ではIBM、エヌビディア、アムジェン、ナイキ、メルクなどが下落。一方、アップル、ウォルト・ディズニー、アルファベットは上昇した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も4日続落し、171ポイント安の2万6081となった。インテルやマイクロンなど半導体株が売られ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.6%下落した。
地政学リスクの高まり、原油高、インフレ指標の上振れ、金利上昇が重なり、米株式市場は広範に売りが優勢となった一日だった。
【日本株式相場】
本日9月11日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落し、前日比1259円安の6万4011円と約1カ月ぶりの安値を付けた。中東情勢の悪化による原油高騰と、日米を中心とした世界的な金利上昇が景気や企業業績の下押し要因になるとの懸念が強まり、投資家がリスク回避姿勢を強めた。人工知能(AI)・半導体関連株への売りが集中し、午前には下げ幅が2000円を超える場面もあった。
背景には、米国とイランの衝突が長期化するとの見方がある。イエメンの親イラン武装組織フーシによる港湾都市モカの制圧、イランの弾道ミサイル生産再開などが報じられ、供給不安から原油先物WTIは一時104ドル台半ばまで上昇した。
原油高は企業のコスト増を通じて業績悪化につながるため、株式市場の重荷となった。さらに、米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り、インフレ圧力の根強さが意識されたことで米長期金利は5%に迫る水準まで上昇。日本の長期金利も一時3%に達し、金利上昇に弱いグロース株、とりわけAI・半導体関連株が売られた。キオクシアは一時8%安、ソフトバンクグループも7%安まで下落するなど、これまで相場をけん引してきた銘柄が大きく値を崩した。
一方、円高が一服したことからトヨタやホンダなど輸出関連株には買いが入り、銀行や保険など金利上昇の恩恵を受けやすい金融株も買われた。海運市況が中東情勢で強含むとの見方から川崎汽船など海運株も上昇し、日経平均の下支えとなった。
市場では、トランプ米大統領が中間選挙に向けて財政支出を拡大する姿勢を示したことが「トランプ・インフレ」を招くとの警戒も強まった。米国債売りが進み金利が上昇するなか、株式の割高感が意識されやすい状況となっている。
テクニカル面でも弱気シグナルが点灯した。日経平均は「三角もちあい」の下値支持線を割り込み、チャート分析上は一段安の可能性が示唆される。さらに一目均衡表では「三役逆転」が成立し、トレンド転換の兆しが出ている。ただ、26週移動平均線(約6万3400円)を終値で維持したことから、下値抵抗が機能する可能性も残る。
今後の焦点は、11日夜に発表される米消費者物価指数(CPI)と、来週の日米金融政策決定会合だ。日銀は利上げ加速の観測が強まり、FRBも利上げ予想が7割を超える。中東情勢の混迷と金融政策の不透明感が重なるなか、市場は高い緊張感を保っている。
【外国為替相場】
9月11日の東京外国為替市場では、円売り・ドル買いが再び優勢となり、円相場は1ドル=154円40銭台を中心に前日比1円ほど円安が進んだ。9日に152円台後半まで円高が進んでいた流れは止まり、円安方向へ反転した。背景には、中東情勢の悪化による原油高と、米利上げ観測の強まりがある。
中東ではイラン関連勢力の動きが緊迫し、原油先物WTIは日本時間11日に一時104ドル台まで上昇した。原油価格が100ドルを超えたことで、日本の貿易収支悪化への懸念が高まり、円売り圧力が強まった。
米国のインフレ指標も円の重荷となった。10日に発表された米卸売物価指数(PPI)は前年同月比5.4%上昇と市場予想を上回り、インフレ圧力の根強さが意識された。これを受け、米短期金利先物の動きから算出される9月利上げ確率は70%超へ上昇し、ドル買いが強まった。
市場では「円高転換ではなく、一時的な円安修正にすぎない」との見方が多い。あおぞら銀行の諸我氏は、円売りの構造が変わらないため「当面は155円前後の推移が続く」と指摘する。関西みらい銀行の石田氏は、日銀の増審議委員が利上げに前向きな発言をしたものの、記者会見では慎重姿勢が目立ち、連続利上げ期待が高まらなかったことが円買い材料の出尽くしにつながったと分析した。
総じて、原油高と米利上げ観測が円の上値を抑え、円高転換にはなお高いハードルがあるとの見方が市場で広がっている。
【日経平均日足チャートの解】
日経平均の日足チャートを見ると、9月3日安値@63,773円を割り込み、さらに沈んだが切り返して、長い下ひげを引いた短陰線、「たくり線」で終えた。さらに追加の悪材料が出てこなければ自律反発する
ことを暗示している。
33業種中22業種が下げた。下落率トップ5は、非鉄金属(1位)、電気機器(2位)、石油・石炭(3位)、サービス(4位)、化学(5位)となった。
米国とイランの軍事的緊張の高まりで・・・
09月11日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -405.51 @52,380.66, NASDAQ -168.07 @26,253.34, S&P500 -37.16 @7,636.36)。ドル円為替レートは153円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が723に対して、下落銘柄数は783となった。騰落レシオは112.58%。東証プライムの売買代金は8兆3803億円。
TOPIX +8 @4,055
日経平均 +128円 @65,271円
【米国株式相場】
9月9日の米国株式市場では、地政学リスクと金利上昇が重なり、主要株価指数がそろって下落した。ダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比約405ドル安の5万2380ドル台と7月下旬以来の安値を付けた。背景には、米国とイランの軍事的緊張の高まりによる原油価格の急騰と、米長期金利の上昇がある。
米中央軍は8日、イランの石油輸出拠点であるカーグ島周辺やオマーン湾で原油タンカー5隻を攻撃したと発表した。これはイラン側が米軍艦に弾道ミサイル攻撃を行ったことへの対抗措置とされる。イラン革命防衛隊もペルシャ湾でタンカーを攻撃したと主張し、9日にはヨルダンの米軍基地への攻撃が伝えられるなど、双方の報復行動が連鎖している。
こうした軍事衝突の激化により、中東のエネルギー供給が滞るとの懸念が強まり、原油先物価格は急上昇した。米WTI先物の期近10月物は一時96ドル台後半と、6月上旬以来の高値を記録。欧州の北海ブレント先物も節目の100ドルを突破した。原油高はインフレ圧力を高めるため、金融市場全体に警戒感が広がった。
同時に、米債券市場では長期金利が上昇し、株式の重荷となった。10年債利回りは一時4.85%と2023年11月以来の水準に達した。米財務省は10日に実施する国債買い入れ消却(バイバック)の規模を最大60億ドルと発表したが、市場では70〜80億ドル規模を期待する向きもあり、失望感が金利上昇を後押ししたとの指摘がある。さらに、原油高によるインフレ懸念から、金融政策の影響を受けやすい2年債利回りも4.43%まで上昇した。
株式市場では、金利上昇と原油高の影響を受け、消費関連やハイテク銘柄に売りが広がった。ダウ平均ではアルファベット、ボーイング、P&G、ナイキ、セールスフォースなどが下落。新製品発表会で折り畳み式iPhoneを披露したアップルも値を下げた。一方、IBMやシェブロンは上昇し、エネルギー関連の一部には買いが入った。
ナスダック総合指数も3日続落し、前日比168ポイント安の2万6253台で終了した。半導体関連ではブロードコムやKLAなどが売られたが、個人向けAIエージェントの新サービスを発表したメタプラットフォームズは大幅高となり、半導体の一角にも買いが入った。
総じて、米国とイランの軍事衝突による原油高と、米財政運営への不安を背景とした金利上昇が市場心理を冷やし、主要株価指数の下落につながった一日だった。
【日本株式相場】
本日9月10日の東京株式市場では、日経平均株価が3日ぶりに反発し、終値は前日比128円高の6万5270円台となった。取引の大半は中東情勢の悪化を懸念した売りが優勢だったが、海外投機筋による日経平均先物への買いが大引け間際に強まり、指数は一転して上昇して取引を終えた。
市場を揺らしたのは、米国とイランの軍事的緊張の高まりだ。米中央軍は8日、イランの石油輸出拠点であるカーグ島周辺やオマーン湾で原油タンカーを攻撃したと発表。イラン側もペルシャ湾で船舶への報復攻撃を行ったと主張し、地政学リスクが急速に高まった。原油価格は上昇し、日米の長期金利も上昇したため、朝方の日経平均は一時950円超下落する場面もあった。前日の米国株市場でダウ平均が7月下旬以来の安値を付けたことも日本株の重荷となった。
しかし午後に入り、半導体関連を中心に買いが広がった。14時半ごろ、台湾のTSMCが8月の売上高を前年同月比53%増と発表し、32カ月連続の増加となったことが好感された。これを受けてアドテストやキオクシアなどAI・半導体関連株に買いが波及。韓国のKOSPIも底堅く推移し、日本株の下支えとなった。日経平均が弱含みの展開を続けていたことから、押し目買いも入りやすい地合いだった。
さらに、翌11日に株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を控えており、海外短期筋による思惑的な先物売買が活発化したとの見方もあった。中長期の機関投資家は、日米の金融政策決定会合を翌週に控えて様子見姿勢を強めており、短期筋や個人投資家の売買が相場を振り回す展開となった。
個別銘柄では、リクルート、村田製作所、レーザーテック、TDK、太陽誘電などが上昇。銀行株も買われ、三菱UFJは一時2%以上上昇した。米長期金利が4.85%まで上昇し、日本の長期金利も2.9%台に乗せたことに加え、日銀審議委員が利上げ継続を示唆したことが銀行株の追い風となった。一方、東京エレクトロン、フジクラ、イビデン、バンダイナムコHD、任天堂などは下落した。
総じて、地政学リスクと金利上昇が相場の重荷となる一方、半導体関連の好材料や先物主導の買いが指数を押し上げ、方向感の乏しい中で日経平均は小幅反発して取引を終えた。
【外国為替相場】
円相場は1週間足らずで対ドル8円ほど円高が進み、市場ではベッセント米財務長官の発言を契機に、日銀の利上げ加速や年金資金の運用方針の変化など、円安を支えてきた前提が崩れ始めたとの見方が広がっている。今回の円高は方向こそ異なるものの、2012年に超円高から円安へ転換した際の「政策変化を先取りする相場」の記憶を呼び起こしている。
運用会社GMXの石見直樹氏は、9月初旬に円売りから円買いへ転じた。きっかけはG20でのベッセント氏の発言で、日本に財政規律の強化や利上げを求める内容が伝わった。2日にはヘッジファンドが動き始め、CTA(商品投資顧問)がトレンドを増幅させたとみられる。市場では「ベッセント氏が円買いにつながる何らかの情報を持っているのでは」との臆測も出ている。
ただ、今回の円高は単なる恐怖ではなく、政策転換を先取りする動きだとの指摘がある。SBI FXトレードの斎藤裕司氏は、2012年の円高修正局面を例に挙げる。当時は日銀が物価目標を導入していたが、欧州危機によるリスクオフで円高が続いていた。転換点は10月のIMF・世銀総会で、財務省が円高是正を意識した発信を強めたことだった。11月14日の衆院解散決定を機に円高は最終局面を迎え、ヘッジファンドは政策転換の半年前から円売りを積み増していた。
今回も同様に、ベッセント氏の発言を契機に市場が先回りして動いている。日銀の利上げペースは半年に1度から3カ月に1度へ加速するとの観測が浮上し、政策金利が2%を超える可能性も取り沙汰される。さらに、GPIFが円資産を積み増すとの思惑も強まり、2013年の資産配分変更が相場に大きな影響を与えたことが再び意識されている。
CTAが円売りポジションをすべて解消すれば、円相場は148円程度まで円高が進むとの試算もある。円売り持ち高はピークから縮小しているが、まだ余地がある。今後の円高がさらに進むかどうかは、日米の金融政策会合で政策転換が現実味を帯びるかにかかる。構造的な円売り要因が消えたわけではないものの、ベッセント氏は「非対称な情報を持っている」と発言を続けており、市場では「逆らわない方がいい」との声も出ている。
一方、急速な円高は企業業績にも影響を及ぼしている。7月末の協調介入以降、円相場は1カ月強で10円ほど円高となり、主要企業の想定レート(155〜164円台)を上回る円高水準で推移している。製造業を中心に円高が逆風となり、業績予想の前提が揺らぎ始めた。
円安はこれまで製造業の利益を押し上げてきた。主要製造業20社の4〜6月期の営業利益増加額の9割は円安によるものだった。TDKや三菱電機など海外売上比率の高い企業は円安の恩恵が大きく、マツダや三菱自動車は円安効果を除くと実質赤字だった。円安は構造的な課題を覆い隠してきた側面があり、企業は為替耐性の強化を迫られている。
円高は輸入コストを下げ、内需企業には追い風となるが、上場企業全体では製造業の比重が大きく、円高が進みすぎれば業績悪化につながる。試算では1円の円高で経常利益が0.3〜0.4%押し下げられる。半導体関連の好調で27年3月期は増益が見込まれるものの、1ドル150円を割り込む円高は全体の業績を圧迫する可能性がある。
FX市場でもベッセント氏の発言が投資家心理を揺さぶっている。7月末の協調介入後、円高で損失が膨らみ、円売りを続ける投資家と円買いの順張りに転じる投資家に分かれている。155円前後が円安方向の抵抗線、150円が円高方向の分水嶺とされ、強制ロスカットが増える可能性もある。
為替の変動率は高い状態が続き、日銀会合や財政懸念、政治の不透明感が相場を揺らしている。企業や投資家は安定した為替環境を求めており、市場の不安を和らげる明確なメッセージが必要とされている。
【日経平均日足チャートの解釈】
日経平均の日足チャートを見ると、3日続落で始まりさらに下げ幅を拡大したが、売りが一巡すると切り返し始め、結局、下ひげを引いた陽線で小幅高となった。9月3日安値@63,772円が目先の下値支持線として意識される。
33業種中16業種が上げた。上昇率トップ5は、証券(1位)、サービス(2位)、銀行(3位)、保険(4位)、鉄鋼(5位)となった。
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