ブルベア大賞2004 「特別賞受賞」!! 『スイングトレード入門』 |
DVD『アラン・ファーレイの収益を拡大する「仕掛け」と「仕切り」の法則』 |
2011年3月発売/A5判 上製本 462頁
ISBN 978-4-7759-7145-1 C2033
定価 本体5,800円+税
著者●アラン・ファーレイ
監修者●長尾慎太郎
訳者●山下恵美子
アラン・ファーレイ |
『スイングトレード入門』が理論中心であったのに対し、本書では応用と実践に重点を置いている。市場の大暴落から生みだされる絶好の機会を見つけ、資金を増大させるにはどうすればよいのか。暴落後の環境を生き抜き、利益を出し続けるにはどうすればよいのか。そして将来的に発生すると思われるどんなシナリオにも対応できる低リスクの投資対象の見つけ方など、本書では現実に即したさまざまな戦略が紹介されている。
著者のトレーディングスタイルは『スイングトレード入門』の刊行当時からさらに進化している。それは市場が変化したからだ。この現代の電子化された市場で利益を得るためには、市場の変化に対する適応能力と自分だけのエッジ(優位性)を持つことが不可欠である。本書でファーレイが特に強調しているのが「ディフェンシブトレーディング」である。現実世界を生き抜くためのサバイバルガイドである本書では、彼の言うディフェンシブトレーディング戦略の威力を示す数多くの実例が紹介されているだけでなく、特定の市場で機能するさまざまなパターンや観察結果も紹介されている。
本書では洞察に富んだ最新のテーマが数多く取り上げられているが、特に重要なものは以下のとおりで、これらはすべて現在の、そして未来の市場で成功者となるために必要なものばかりである。
●クロスマーケット分析
●コンバージェンス−ダイバージェンス関係
●レラティブストレングス
●複数ポジションの管理
●リモートトレーディング
●リスク管理
ボラティリティの高い今日の市場を勝ち抜いて、明日の機会に備えるための信頼のおけるアドバイスが満載された本書は、トレードで暮らすための極秘ファイルと言ってもよいだろう。斬新な低リスクのマーケットプレー、実証された投資戦略に基づく利益の出る意思決定の仕方、高ボラティリティ市場で利益を保護するためのディフェンシブトレーディングなど、本物のプロのトレーダーが教えるマーケット戦略は勝者への近道を示してくれている。
群集心理に支配された今日の市場の非効率ばかりを追いかけるのはもうやめにしよう。重要なのは、高確率のトレードセットアップをいち早く発見して、それらが消滅する前に利益をごっそり稼ぐことだ。本書でそのための最新ツールを学ぶことで、市場に不意打ちを食らうことは二度となくなるだろう。
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あなたが市場の大暴落で大打撃を被ったトレーダーや投資家なら、本書はあなたのために書かれたものだ。
ゲームにカムバックしたいあなたがまずやらなければならないことは、
まず体についたほこりを払って、その次は本書を読むことである。
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監修者まえがき 序文 はじめに 謝辞
第1部 現代の市場の解析第1章 大暴落後の市場環境を生き抜くためにはパラドックス 悪魔のような市場 21世紀の非効率 サバイバリストトレーダー 自分のトレーディングエッジを見極めよ
第2章 不公平な競争環境
第2部 サイクル、ショック、季節性第3章 マーケットクロックトレンドの相対性 電子的市場における取引時間帯の特徴 カレンダー危機 オプションの満期 決算期 アグレッシブ−ディフェンス・サイクル ショックスパイラル
第4章 レラティブストレングス
第3部 収益性の再発見第5章 勝ちの本質正の期待値 サバイバリストのトレーディングプラン ヨーヨートレーダー 長期的収益性 本当の最終損益
第6章 サバイバリストのトレーディング戦略
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第4部 機会の管理第7章 仕掛け証拠金と資金配分 予測とリアクション 引き金を引く
第8章 ポジション、市場、トレーディングスタイル
第5部 エクスポージャーの管理第9章 ポジション管理ストップ サバイバリストのストップ戦略 ポジションのオーバーナイト 1日の終わりのチェックリスト
第10章 日中の相場の読み方
第6部 リスクとリワードの管理第11章 負けの本質パフォーマンスサイクル オーバートレーディング トレーディングにおける過ち ドローダウン 自己破壊 潮時を知る
第12章 資産の保全 用語集 |
さて、本書にも繰り返し書かれているが、『スイングトレード入門』が書かれたころと現在で大きくマーケット環境が異なっている理由の一つはアルゴリズム・トレーディング・プログラムの出現とその隆盛である。ここで言うアルゴリズムトレーディングとは収益を上げることを目的にヘッジファンドやブローカーのプロップが走らせるプログラムだけではなく、単に執行の最適化や効率化を目的にして使われる発注エンジンに至るまでさまざまなものがあるが、あらかじめ組まれたアルゴリズムに基づいて、マーケットをウオッチすると同時に自動で板を出し入れし、目的にかなった適切な執行を行うという点では共通している。
こういったプログラムは10年前はまだ非常に珍しいものであったが、その後急速に普及し、今では日本の市場でもきわめて一般的になった。これらは過去のマーケットデータに基づいて常に統計的に最適な行動を取るために、結果としてそれまでに存在したアノマリーやバイアスのかなりの部分は消えてしまったのである。このため、それらに依拠していたトレーディング手法はことごとく陳腐化し役にたたなくなってしまった。このため、以前はあれほど個人投資家にもてはやされていたデイトレードもファーレイはもうやらないと書いているし、それまででも論拠が怪しかった旧来のテクニカル分析のたぐいは完全に博物館入りしてしまい、もはや省みられることは永久にないと思われる。
本書はそういった新しい環境下において生き抜くすべが説かれている。詳細については目次や本文を参照していただきたいが、一つ一つが日本のマーケットに関する私の個人的な感覚や問題意識とかなり一致している。環境の変化は日本のマーケットでもまったく同様であり、私たちは自分たちの市場の現状についてもより詳しく知る必要があるはずだ。しかるにこれまでのところ、日本人で本書に書かれたような内容の相場書を書いた方は一人もいないようだ。その意味でも本書は貴重であり自信をもって薦められる相場書のひとつである。
翻訳に当たっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山下恵美子氏は丁寧な翻訳を実現してくださった。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2011年2月
長尾慎太郎
私がファーレイを初めて見かけたのはITバブルたけなわの産業展でだった。当時、彼はCNBCにもよく登場していたので顔は知っていた。2000年、アリゾナ州で開催されたある小さなセミナーで互いを紹介された。それから3年後、スコッツデールで開催された大きなトレーディング会議に出席したのを機に、親しい付き合いが始まった。
それ以来、ときにはビジネスパートナーとして、ときには互いの教育者として、付かず離れずの関係が続いている。この間、教育者、そしてトレーダーとしての彼に直に触れる多くの機会を得たが、市場を見つめる彼の鋭い目と、狂信的とも言えるほどのリスク管理への取り組みは尊敬に値するものがある。空前絶後のボラティリティーの高まりと市場の混乱のなかで脱落していくほかのトレーダーたちを尻目に、彼が生き残ることができたのは、まさに彼の持つこの哲学のおかげと言ってもよい。私の知るファーレイは単なる卓越した著者ではない。彼らはトレーディングの達人であり、エリートトレーダーなのだ。そして、もちろん、良き友人でもある。
2008年の大暴落から数年たった今、トレーダーも投資家も金融市場に対する自らのアプローチを見直し始めている。過去10年は、「バイ・アンド・ホールド」の投資家たちにとっては冬の時代であったのに対して、ファーレイのような「スイングトレーダー」たちにとっては輝ける栄光の時代であった。大衆はいつも間違った思い込みで失敗する。これは歴史が証明するところだ。この10年にわたってファーレイが提唱してきた市場戦略に注目しマスターする時期として、今ほどの好機があろうか。
ファーレイの最新作である本書は、前著『スイングトレード入門』を含むトレーディングの古典と並ぶ傑作として位置づけられることになるだろう。トレーディングを真剣に考えるトレーダーにとって貴重な参考書になるはずだ。『スイングトレーディング入門』の続編として待望された本書を、私の書棚は両手を広げて迎える準備が整っている。
ケリー・ジマンスキー(http://www.harmonicedge.com/)
こうした事件が起こるたびに、トレーダーたちは黙示録的世界の到来を予感させる変化への対応を強いられた。システムの変更、ルールの変更、収益性への道を阻む電子化の壁を乗り越えるべく、彼らは並々ならぬ努力をもって自らの戦略をさまざまな変化に合わせて変えてきた。しかしこの10年にわたる人間の手による市場環境から電子的市場環境への革命は、トレーディングコミュニティーの住人たちから有り金のすべてを奪い去った。その結果、彼らの大部分は夢を捨て、安全な趣味に逃避するはめになった。
『スイングトレード入門』で述べた概念がこの10年の状況にぴったりと一致するのには、私自身正直言って驚いている。1980年代の終わりから、私は同書で述べるテクニックを使ってトレーディングを行ってきた。だから、同書で述べるテクニックが価値のあるものであることは分かっていた。しかし、トレンド−レンジ軸、パターンサイクル、市場のクロス分析といった中核となる原理が、マッドマックスの近未来世界を読み解き、自分のプレーを現代の市場で日々繰り広げられる狂騒に対抗すべく調整するためのツールとなり得ることなど、予想すらしなかった。
この10年、テクニカル分析は、トレンドライン、移動平均線、ローソク足をことごとく崩壊させるソフトウエアプログラムに打ち負かされてきた。だが驚くべきことに、われわれの食卓に食事を運んできてくれるテクニカルシステムやパターン、ワークフローを葬り去るための方法をトレーディングボットが見つけだすたびに、新たな非効率への扉が開かれるのである。市場で生計を立てようとする真剣なトレーダーにとって、このもぐらたたきゲームは、物事をシンプルにしてくれると同時に、イライラの原因にもなる。一言でいえば、われわれは「今機能するもの」でプレーせざるを得ないということである。
『スイングトレード入門』は、古典的な市場原理に基づいて概念や戦略をマネジメントする際のトレーダーの役割に焦点を当てた。本書は概念そのものはと変わらないため、『スイングトレード入門』を読んでいない読者でも困ることはない。しかし、本書は『スイングトレード入門』の単なる焼き直しではなく、新しいパターンや指標をただやみくもに並べただけのものでもない。実は私は近年になってシンプル路線に舵を切り直し、用いる指標の数を極力減らし、常識をトレーディングに取り入れるようになった。
『スイングトレード入門』を読んでいない読者にも理解しやすいように、本書では必要に応じて『スイングトレード入門』の概念を繰り返し説明するが、『スイングトレード入門』をお持ちの読者はそれを参考書代わりに本書を読み進めてもらえば、理解度は高まるはずだ。中級トレーダーであれば本書を読むのにほとんど苦労はいらないはずだ。本書は『スイングトレード入門』よりもはるかに読みやすいものになっているのではないかと思う。これはこの10年、締め切りに追われながら TheStreet.com でコメントを書いてきた成果かもしれない。
本書は主として次の2つのテーマに焦点を当てている。
●『スイングトレード入門』が書かれた穏やかな時代とは打って変わって、市場はこの10年で激変し、それに合わせて私の戦略も大きく進化した。それを受けて、本書では『スイングトレード入門』で登場した概念以外の新たな概念も紹介する。また、『スイングトレード入門』では取り上げなかったり、触れるにとどめたリスクマネジメント、マーケットエクスポージャ、テープリーディングについては、徹底した議論を展開する。
●現代の電子化された市場で機能するディフェンシブ(防御的)な戦略について詳しく議論する。トレーディングボットによってもたらされる大きなリスクに対抗できない戦略は失敗する運命にある。こうしたリスクに対抗するための手段が「ディフェンシブ」な戦略だ。プログラムアルゴリズムとそれが指数先物やETF(上場投信)に与える影響を理解することは、現代の電子化された市場でプレーするうえで不可欠だ。
『スイングトレード入門』が概念重視であったのに対し、本書は応用に重点を置いた。各部の終わりに「現実世界」と題したケーススタディーを紹介しているのはそのためだ。『スイングトレード入門』では、そこで紹介されるパターンや観察がどういった市場シナリオにどう応用できるのかどうかを示す実例が少ないというお叱りを受けた。そこで本書はその点を反省し、応用に重点を置いた。
この10年で私自身トレーダーとして大きく進歩した。そのため、私の現在の市場戦略には、基本的な原理は変わらないにしても、『スイングトレード入門』には含まれていないまったく新しい要素がたくさん含まれている。こうした私の考え方や行動の変化は、『スイングトレード入門』を読み、そこで紹介された概念を今の市場環境にどう応用すればよいのかを知りたいと思っている読者にとって、大きなヒントになるはずだ。
私が本書を書いたのは2008年の信用危機の余波の真っただ中であるが、今後5年から10年の間に、世界市場は幾度となく変化するだろう。こうした変化にさらされても生き残れるような概念や戦略であるためには、ある程度の一般化は避けられない。その点はご了承いただきたい。
本書は6部構成である。
第1部では、この10年間に起こった市場構造の大きな変化について見ていく。激動の市場で生き残るためにはトレーディングエッジを持つことが重要になる。トレーディングエッジとは何なのだろうか、そしてそれをこの現代の電子化された市場で生かすにはどうすればよいのだろうかについて詳しく述べる。もうひとつ重要なのが「サバイバリストトレーダー」という概念だ。本書の全編にわたって登場するこの重要な概念についても詳しく説明する。
第2部は、『スイングトレード入門』でも述べたマーケットクロックについて詳しく見ていく。日中のサイクル、日々のサイクル、週ごとのサイクル、月ごとのサイクルをはじめ、決算発表期、オプションの満期、FRBの発表日、決算対策、市場カレンダーを構成する季節性の高いイベントといった具合に、市場には市場の時計というものが存在する。市場の季節性やそれが相場に与える大きな影響を完全に理解することなくして、今日の市場でトレードすることなど不可能だ。
第2部のもうひとつのテーマはレラティブストレングスという概念だ。市場の強弱サイクルは、トレードの執行やマネジメントの向上に欠かせない概念であり、ここ数年の私の最大のテーマでもある。これまで使ってきた指標の代わりに、チャートを見るときに私が今最も注視するのは5−3−3ストキャスティックスだけである。
第3部と6部は関連性が高い。第3部では、勝ちの本質について考える。長期的収益性、短期的収益性、さらにこれらの目標を達成するために必要な戦略について詳しく解説する。一方、第6部では、負けの本質、ドローダウン、自己破壊について見ていく。トレーディングの暗部をランダムに歩き回れば、「ゲームにとどまる」ために必要なものは自ずと見えてくる。リスクマネジメントとカラーリングテクニックは市場で生き残るための2大要素である。
第3部では、私が最近特に注目しているコンバージェンス−ダイバージェンス関係という概念も紹介する。市場データと市場の全体的な動きにおけるどの2点間においても、有効なコンバージェンス−ダイバージェンス関係が存在する、と話していたリンダ・ブラッドフォード・ラシュキの言葉を今でも思い出す。私はこの言葉の意味をずっと考え続けてきた。この一見単純な概念は、今では私のトレーディングと市場分析の中核をなすものになっている。
第4部は世界市場、トレーディング口座、資産配分について詳しく見ていく。『スイングトレード入門』ではすっぽり抜け落ちていたこのテーマを、本章では詳しく解説する。われわれは価格チャートだけを見てトレーディングしがちだが、市場で長く生き残るにはリアルタイムのティッカーテープを超えた構造的な意思決定が必要になる。ここでは、この厄介な作業に効率的に取り組む方法を紹介する。
第5部では、時間前戦略と時間後戦略、および独特の癖を持つ「日中のマーケット」について説明する。何にでもすぐに飛びつく大衆トレーダーや市場に取り付かれたトレーダーにとっては価値ある情報が見つかるはずだ。もちろん、私自身もこの分野の熱狂的なファンである。ギャップ、ニュースショック、トラップ、ミッドデイノイズ、ボラティリティをプレーするのに必要な戦略が見つかるはずだ。
第5部を読み進んでいくと、あることに気づくはずだ。実は本書はテクニカル分析の本ではなく、テープリーディングの本である。市場がどんなに変化しようと、市場という空間で唯一、操作、解体、制御、細分化できないものがティッカーテープである。ティッカーテープは収益性を目指すわれわれの熾烈な戦いのなかで最もパワフルなツールなのである。
読者のみなさんが本書から利益につながる新しいことを何かしら学びとってくれたなら、それ以上の幸せはない。本書の内容について疑問のある方は遠慮なく問い合わせてもらいたい。私はいつも扉を開けて待っている。
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