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日経平均株価を基軸とした市場分散 〜日経225先物とFXトレードの有効な戦略〜


西村貴郁コラム『USDJPYの東京時間での独自性に関して』

日経225先物、JGB(日本国債)先物、海外の指数先物、商品先物等様々な原資産を対象とした先物取引が行われているが、それぞれの市場の一日の流れを検証していくと、月ごと、曜日ごと、また時間ごとの様々な性格が垣間見れる。
その一端を為替市場(ドル・円)を対象にして見てみよう。

為替市場は24時間取引されている市場である。
ただし、大きくはアジア(東京)、欧州(ロンドン)、米国(NY)の時間帯に分けて考えることが一般的であろう。
では、それぞれの時間帯ごとにドル・円に何か顕著な特徴が見えるだろうか?

それぞれの市場の特徴を見るために、まずCME(シカゴマーカンタイル取引所)の通貨先物を通して、その売買高及びボラティリティ((高値−安値)の平均値を利用)から概ね下記のように、ざっくりと時間帯を分けてみよう(全て日本時間ベース)。

東京:am9:00からpm16:00、ロンドン:pm16:00からpm23:00、NY:pm23:00から翌am6:00

この時間帯を基準に、それぞれの市場の寄り付きにドルロングを行い、それぞれの市場の終了時に決済すると、下記のようなパフォーマンスとなる
(パフォーマンスの計測は2002年10月21日〜2009年3月2日、価格データはTradeStation Securities、また図表の縦軸は累積損益(円)、横軸は取引回数(回)、パフォーマンス結果はスリッページなし)。

<東京>
純利益額-31.92円、プロフィットファクター0.85、勝率48.22%



<ロンドン>
純利益額2.73円、プロフィットファクター1.01、勝率50.92%



<NY>
純利益額1.22円、プロフィットファクター1.00、勝率51.66%



これらの結果のみから考えると、ロンドンそしてNY市場に関しては、年によって若干の違いはあれ、大きな市場特性を見つけることはできなさそうである。
ただし、東京市場ではドル安(円高)の傾向が伺えそうだ。
ただ、これは考えてみると当然で、日本は貿易黒字国であり、基本的には輸出企業の米ドル売り需要の方が強くなるからである。
ただし、その傾向をもう少し詳細に見ると色々な特徴が伺える。
これらの傾向は色々な書籍等で触れられていることであり、ご存知の方々も多いであろうが、それをきちんと検証した長期データを示しているものはほとんど皆無である。

私たちシステムトレーダーは、巷で語られている必勝法の類いを必ず分析検証し、それが本当に機能するものなのか、機能しないものなのかを、冷徹に分析検証しなければならない。

では、一日を通すと円高・ドル安傾向にある東京市場で見受けられる様々な特性をパフォーマンスを見ながら検証し、そこに優位性があるかどうかを探ってみよう。

<ゴトウビのドル高傾向に関する検証>

よく知られているドル・円の特徴としてゴトウビがある。
ゴトウビとは、日付の最後が5か0になる日のことで、5日、10日、15日、20日、25日、30日を指し、実需のドル買いによりドル高の傾向があるという。
では、プロフィットファクターと勝率に絞り、そのパフォーマンス結果を見てみよう。
取引は単純に9時00分にドル買いエントリーし、16時00分にエグジットしたケースを想定する。

    日付プロフィットファクター勝率
    5日 0.72 39.62%
    10日 0.85 50.94%
    15日 0.53 44.23%
    20日 2.11 55.60%
    25日 0.38 30.00%
    30日 0.61 40.00%
上表を見ると、ゴトウビにドル高の傾向があるとは考えられないであろう。
ただし、東京市場をさらに細かい時間に分けて考える等の修正を行うことでパフォーマンスを改善できるかもしれない。

<曜日に関する検証>

曜日に関しても、土日の休日を挟むために2日分の決済予定として、月曜日と金曜日はドル買いが進みやすい等とも言われたりするが、曜日の効果は下記の通り。
この検証結果も9時00分にドル買いを行い、16時に決済を行った場合。

    曜日プロフィットファクター勝率
    月曜 0.95 47.35%
    火曜 1.00 49.85%
    水曜 0.58 44.75%
    木曜 0.82 46.42%
    金曜 0.93 52.32%
これも同様に、単純に曜日条件だけで売買を行っただけでは優位性は無さそうである。
ゴトウビ同様、何らかの他の条件を付加することでパフォーマンスが改善できるかもしれない。

<仲値決めの時間帯の検証>

東京市場では、毎日午前9時55分時点のインターバンク市場のレートを基準にして各銀行が顧客とレートを決めるときの基準値(仲値)を決定する。
午前10時の時点でその日の通貨の取引基準が決まる。
この時間帯も実需のドル買いによりドル高傾向になると言われている。
ではこの検証結果はどうであろうか?
毎日午前9時00分にドル買いを行い、10時の時点で決済することを考えてみよう。
プロフィットファクターは1.15、勝率は57.04%であるが、累積損益曲線を見るとパフォーマンスの数値以上に綺麗なカーブを描いていることが分かる。
検証期間の間、ほぼ右上がりの曲線状態を維持し、かつトレード回数が1600回以上確保できており、トレード回数も十分である。
ここに何か別のフィルターを入れることでパフォーマンスは改善するであろう。

<NY>
純利益額1.22円、プロフィットファクター1.00、勝率51.66%



以上、ドル円を利用し、システムにおける検証方法の一例を示した。
システムトレードを行うにせよ、裁量でトレードを行うにせよ、過去のデータをもとに、その手法が機能していたのか、していなかったのかを検証することは非常に重要である。
実際のセミナーでは、これらを含んだ検証をさらに詳細に進め、各市場独自の特徴やそれぞれの市場間に存在する関係をご紹介する予定である。

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