日本古来のテクニカル分析 罫線売買法セミナー

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チャンピオントレーダーが語る『投資戦略2007』

■ 術を用いるときの心得 ■

株式・商品・為替などの相場商品はリスク商品であり、そこでサバイバルするにはリスク管理が重要なことは言うまでもないことだが、そのリスク管理の技術の身に付け方は人それぞれである。リスク=危険といえば、それは我々の日常生活の中にたくさん存在している。そのひとつにぶっそうなご時勢を反映してか、護身術セミナーなども花盛りのようだ。

例えば、柔道・剣道・空手・合気道・拳法などの武道は心身の修養・修業を大きな目的としているが、それらの武道の基本を学び、段階を経て修練していくことで、体が丈夫になり、当然護身術としても役に立つ。それらの武道を始める動機として護身術の為にという人は居るであろうが、効用としての護身術は柔道・剣道・空手・合気道・拳法の道の一部であり、全体ではない。

武道は全体を幅広く修練することによって護身の心構えや技術が活きてくる。ところが、上述したようにこのようなご時勢になったことから、心の修養だとか体の練成だとかは置いておき、武道の効用である「護身の技術」のところだけを抜き取って即席に教えるセミナーが多くなっている。そうした場所で『術』のコツを覚えれば何も知らないよりはいいかも知れないが、生兵法は怪我の元という諺もある。例えば、人通りのない夜道を若い女性が帰宅するなら、家の人に迎えに来てもらうとか、危険に会わない用心が大事になってくる。

この場合、護身術を使う場面にならない、まず危険に近づかないということが第一のリスク管理で、次に危険が近づいた場合にそれをうまく避ける能力が第二、どうしても避けられない局面でそれを撃退する術を駆使するというのが第三番目である。さて、投資の世界を見渡すと、日本に於いても株式・商品・為替FXなどの投資セミナーは正に花盛りであり、そこで各講師や先生方がさまざまな投資技術やテクニカル手法を紹介されている。しかし、どんな技術や手法・アイデアも万能の道具ではなく、それを使う投資家が基本的な資金管理や自分の売買スタイルを磨く修練を経ずに市場に臨めば、薬ではなく毒の作用を齎すことを肝に銘じておくべきである。

■ 相場はパズルである ■

テクニカル分析の主幹を為すパターン分析、フォーメーション分析でさまざまなチャートを重ね合わせていくと、合同や相似形が至るところに顕れているが、それを一歩進めて研究すると、異なる市場の異銘柄同士が同一の軌道を辿って上昇、あるいは下降するばかりではなく、押し目や戻りなどを含んだ保合場面まで一致しているものが見つかる。

それが同じ期間内・時系列であれば同一セクター同業種の銘柄が同じような軌道を描いていることも珍しくはないし、そうであれば片方の銘柄をもう片方の銘柄の先行性指標として用いることは出来ないが、そのような相関性のある銘柄は両銘柄の鞘乖離幅を調べて鞘取りを行うことは出来る。株式と株式(例えば、住友金属鉱山とDOWAホールディングス)、商品と商品(ガソリンと灯油)、また商品先物に於いては同銘柄の限月間の鞘取りなどが知られている。が、あまり知られていないというより、気が付いていないのが、商品市場と株式市場の関連銘柄の時間差アノマリーや相関性である。

かつては商品市場と株式市場は逆相関の関係が存在すると言われていたが、金投資信託(ETF)の登場してからは、同じFUND資金の往来によるマネー増幅現象によって、商品の代表格である金市場と株式市場やその他の商品全体でも、近年は両市場ともに一致して上昇、下降する相関局面が多くなってきた。勿論、ある局面を境に逆相関の値動きにもなるが、その時間のズレによって面白い法則性が見出せ、価格予測や売買指針に使えるアイデアを一つ紹介しておこう。 他の人があまり考えもしない・気が付かない視点で相場を考える一如にしていただきたい。

昨年の4月〜5月に二点天井をつけて下降トレンドに転じた住友ゴム(東証コード5110)が底入れ、安値904円をつけたのは昨年7月18日で、そこから上昇に転じている。

東工取の東京ゴムは5月末〜7月に注目すれば三尊天井、5月末と6月上旬の時点の二点天井を一波動としてのトップと見て、その波動を壊す大きな亀裂(急落)のあとの戻り高値と捉え変則二点天井と見ることも出来るが、住友ゴムに遅れること約2ヶ月、そこから下落トレンドに転じた。その後、東京ゴム先限安値185円50銭をつけたのは住友ゴムに遅れること約4ヶ月、昨年11月24日である。7月18日を基点に上昇した住友ゴムと7月18日以降も11月24日まで下落を続けた東京ゴム、この間の約2ヶ月だけを見れば逆相関の関係にあったことになる。このズレた時間を操作することによって、チャートの相似形・合同形が嵌まると片方の銘柄がもう一方の銘柄の先行予測の有力な指標となる。

どうやるかといえば、両銘柄のチャートを重ね合わせるときに、住友ゴムチャートの安値日である7月18日基点を東京ゴム11月24日に移動させてしまうのである。上昇率に差があるのでダブっているデータの線を重ねるように係数を掛ける使い方もあるが、それをしなくてもずらしたことによって先行する軌道が方向性を示し、不思議なことに押し目の位置(日柄)などが一致することが多い。これは人間の思考や心理がチャートを形成していくからである。当たり前のことだが、この軌道追跡は明らかに機能しなくなってくる局面が出てくる。

その場合、時間が進むにつれて時間修正する方法か、他に予備連動銘柄を持っておく方法で対処する。例えば、この事例の東京ゴムには住友ゴムと同じ昨年7月18日に安値9.75をつけた米国株式市場のGOODYEAR TIRE RUBBER (NYSE)でも当て嵌まる。7月以降約5ヶ月間連動していた住友ゴムとGOODYEAR TIREの両銘柄は、12月以降の相関が崩れており、これは東京ゴムが底を売った11月24日からの軌道追跡5ヶ月以降は必ず修正が入ることを意味している。

このような商品市場の先行予測を示唆する株式市場の組合せは多々あり、シカゴ・東京コーンと穀物商社BUNGE LTD (NYSE)、NYコーヒーとSTARBUCKS CP (NasdaqGS)東京アラビカコーヒーとCOCA COLA CO THE (NYSE)などに、上述した操作+αを加えることで売買指針に大きな成果を得ている。

■ 東京金(TOCOM)と住友金属鉱山(東証コード:5713) トレード初傳 ■

さて、前項は相場を「他人と違った視点」で観測して売買する一つの応用事例を参考に附したもので、ここからが本日レポートの『株式・商品トレードの秘訣・初傳』の解説である。 両銘柄を用いた筆者が行っている「鞘取りの手法をリスク管理に応用」した売買術で、スイングトレード・デイトレードとして、投資初級者でも比較的簡単に取り組めるやり方なので以下にその考え方を紹介する。

まず、大きな流れを4年間の高安で見ると、住友金属鉱山は2003年4月安値350円から2006年4月高値1,790円まで1,440円上昇し、1/26現在1,580円。一方の東京金先限は同じく2003年4月安値1,225円から2006年5月高値2,587円まで1,362円上昇し、1/26現在2,544円となっている。1/26現在の両銘柄の鞘(東京金−住友金属鉱山)は964円。5年間をとれば、住友金属鉱山の安値は2003年4月で変わらないが、東京金の安値は2002年7月の1,150円であり、そこからの上昇幅は1,437円となり、両銘柄の上昇幅<住金鉱:1,440円・東京金1,437円>はほぼ同一である。両銘柄の売買単位は住友金属鉱山が1,000株単位、東京金が1枚=1,000g単位なので、1円の値動きは両銘柄とも1,000円の損益となる。金価格の上昇が住友金属鉱山の業績上昇に繋がって株価の上昇を齎したことに加え、米国株式市場に上場された金投資信託(ETF)の投資マネーが金に向かい金価格を上昇させるという相互に強い相関が認められることは言うまでもない。 この間、株式市場全体も上昇し、代表的商品の金ばかりではなく商品市場全体が上昇、かつて株式と商品は逆相関とされていた関係が変化してきたことは既に前項でも述べた通りである。従って、ここで仮に金価格が3,000円になり、住友金属鉱山が1,600円に留まっていて、単純にこの4年間と同じ上昇幅法則が働くとすれば、住友金属鉱山には裁定の買いが入って2,100円くらいに上昇して良いことになる。

しかし、実際の売買行動を考えていくには、もう少し綿密に両銘柄を分析していかなくてはなるまい。両銘柄この1年間の日々の鞘(東京金−住友金属鉱山)に限って見た場合は500円〜1000円と東京金が上昇して拡大したパターンになっている。(グラフ1) それ(日々の鞘)を20日平均でスムージングしたチャートが(グラフ2)で1/26現在933円である。問題はこの拡大傾向が継続するか否か、納まりのよい鞘が幾らと読むかで両銘柄の鞘取りを行う場合の戦略が変わってくることは分かるであろう。ここで言えることは長期間の予測になればなるほど難しいが、短期間のトレードであれば平均鞘から上に乖離した場合は東京金を売り、住友金属鉱山を買うオペレーション、逆に平均鞘から下に乖離した場合は東京金を買い、住友金属鉱山を売るオペレーションをすれば良いことは、誰でも納得出来ると思う。ここではそれを基本としながら、更に道具を用いて味付けをし、デイトレやスイングトレードをより有利に確率高く運用する方法を述べる。

トレードをするための道具として基本データの加工シート(別紙参照)を用いる。 以下、簡単に項目の説明をつけるが、特に難しいデータ加工は何もない。項目は多いが、流れを掴み、見るポイントを押さえれば、トレードには充分である。

    ア、昨年の12月29日を基準日(固定日)とする。
    イ、トレードの当日である。
    ウ、昨年の12月29日に入電したNY金期近相場の価格。
    エ、トレード当日に入電したNY金期近相場の価格。
    オ、トレード当日入電NY金と基準日12月29日入電NY金の変動率。
    カ、昨年の12月29日、東京外為9時(寄付)直後の値段である。
    キ、トレード当日、東京外為9時(寄付)直後の値段である。
    ク、トレード当日東京外為と基準日12月29日東京外為の変動率。
    ケ、昨年の12月29日、大納会の東京金終値である。
    コ、前述オに基づく変動率を東京基準値ケに掛けた理論変動幅。
    サ、前述クに基づく変動率を東京基準値ケに掛けた理論変動幅。
    シ、コとサの合計から求めた当日の理論変動幅
    ス、ケの大納会の東京金終値からシ:当日の理論変動幅を加減したもの。
    セ、オとクの合計、当日の理論変動率
    ソ、当日の東京金寄付値
    タ、トレード当日の始値とスの東京理論値との乖離差。
    チ、当日の東京金大引値
    ツ、当日の東京金大引前日比
    テ、当日東京金高値
    ト、当日東京金安値
    ナ、東京金高安差(当日東京金高値−当日東京金安値)
    二・ヌ・ネ・ノ、住友金属鉱山始値・高値・安値・終値 ハ、前日比 
    ヒ、住友金属鉱山高安差(当日住友金属鉱山高値−当日住友金属鉱山安値)
    フ、当日東京金昨年大納会比=当日東京金大引値−2,445円(昨年12月29日大引値)
    へ、当日住友金属鉱山昨年大納会比=当日住友金鉱山終値−1,527円(昨年12月29日終値)
    ホ、当日東京金期近換算値=(当日入電NY金(エ)×東京外為9時(キ)÷31.1035)
    マ、当日東京金期近換算値前日比
    ミ、両銘柄昨年大納会からの変動幅の当日比差=(フ−ヘ)
    ム、スイング・デイトレ売買基準判定 裁定(ミ)・鞘(モ)のアベレージ等から算出
    メ、スイング・デイトレ売買基準判定 裁定(ミ)・鞘(モ)のアベレージ等から算出
    モ、両銘柄の鞘=当日東京金大引値−当日住友金属鉱山終値
    ヤ・ユ、両銘柄の寄引の変動値幅(絶対値)

◆売買のコツ

1.データを入れ、単独トレードをする想定で相場観を決める。海外入電のNY金相場は決まっており、一般投資家はロコ市場の現物相場の動きを追えるわけではないので、変動要因は為替の方向(ドル高なら+、ドル安なら−)を予測する。*これで売買する訳ではないがデイトレでも数日のスイング短期売買でもシナリオや相場観を想定しておくことは有用である。

2.東京金が大幅に上昇しているのに、住友金属鉱山の上昇幅が鈍いときは住友金属鉱山を買い。あるいは寄付前から換算値で上昇が見込まれているとき、住友金属鉱山の買気配値を見て5番板に指値をしておく。買指値が通れば、+10円〜15円で売指値をしておく。(逆のケース=下落にも応用出来るが、上昇の場合の方がやりやすい)

3.■相場はパズルである■では、時間軸をずらして基準を変えるという作業で、初級者には分かりにくい点もあったと思うが、■トレード初傳■では、両銘柄とも基準を昨年大納会の値に決めてそれぞれの変動を計っているところがミソである。 比較するタ、の値が+であるということは、買気の強さが出ていると捉えればよい。金価格は様々な商品の中でも特に理論的に動く商品である。昨年末からのNY金変動率・為替変動率から弾き出した変動幅を加味した東京金先限理論値(ス)に一致してもよいところ、高いということは、同じ条件下で人気分がプレミアムとしてついているとザックリ考えておけば、我々一般投機家の鞘利用売買は事足りる。

両銘柄の鞘傾向は日々の鞘(モ)やその20日平均(グラフ2参照)で確認する。鞘平均の方向が上昇しているときは東京金の上昇力が強いということである。 が、東京金の場合、当日朝のNY金入電と為替で値が決まり、日中の変動自体はあまり大きくない(ナ、参照)。それに対して、住友金属鉱山の日中変動は恒常的に概ね東京金の2倍〜3倍弱ある(ヒ、参照)。これがこの両銘柄の売買で利用出来る一番のメリットで、よく機能し重宝している。応用技術は幾つもあるが、これも初傳基本技を述べておく。

(寄付前の相場観→1.)と東京金に上昇力あると見れば寄付値から+10円、下落圧力強いと見れば寄付値から−10円を当日仮の変動幅と想定しておく。(東京金の変動幅平均は概ね10円〜12円、住友金属鉱山変動幅平均は概ね25円〜30円) 東京金が前日比で+になっていて、寄付から+推移(例えば+3円〜+5円)しているときに、住友金属鉱山が前日比変わらずとか−推移になっている時点で、東京金を売り・住友金属鉱山を買う。理屈としてはポジション取った後、東京金の上昇が5〜7円したときに、住友金属高山の上昇は15円〜20円というように顕れる。つまり、東京金のように日中変動が少ない銘柄をアウトライト(片建)でデイトレするのはポジション取りが難しいが、変動が少ないことをヘッジに利用して住友金属鉱山でデイトレ鞘取りが出来る。実は東京金の日中変動は住友金属鉱山に比して小さいので、前日比はあまり関係なく機能するが、感覚的に判りやすいと思い、前記のようなケースを述べた。両銘柄の鞘は現在東京金の上昇力が強いものの絶えず開閉しており、通常、一気に50円・100円と空間を飛ぶような開き方になることは少ない。従って、ザラバ中に東京金と住友金属鉱山の間で前日比30円以上の逆乖離が生じたタイミングでの仕掛けであれば、ポジションを仕掛けた後で、その当日の値動きが緩慢であればオーバーナイト(スイング鞘取り)しても全く問題がなく、10円〜15円幅を取ることは難しくない。

4.完全なるシステムトレーダーであれば別だが、トレーダーが売買に必要なのは相場を捉える感性である。鞘を見る(捉える)のに単に両銘柄の鞘(=東京金−住友金属鉱山)(モ)をみて開いた縮んだと見るのではなく、(フ)(ヘ)のように昨年末から東京金は幾ら売られている(買われている)、同じく昨年末から住友金属鉱山は幾ら売られている(買われている)という視点で見ると、同じものでもまた違った相場が見えてくる。

安定した鞘関係がレンジ変えするにはある程度の時間がかかる。大きい小さいに限らず、相場はその間に「波」を打つ。その波のタイミングを捉えてサーフボードに乗るのがトレードである。住友金属鉱山の性質をずっと追っていれば単独で買うタイミングがどういうときかも、東京金というフィルターを通して見えてくる。条件はすぐに変わらないというアイデアがあれば(フ)(ヘ)を見て、1月4日、東京金は年末から3円しか下がっていないのに、住友金属鉱山は34円も下がっている。住友金属鉱山は割安ではないかとの連想が感性である。同様に1月12日・15日・17日などもそうだ。

但し、見るポイントはそこだけでは不十分だ。単純・単眼的に両銘柄の鞘が950円になった930円に縮小・960円に拡大したというように見ているだけでは気が付かないことが、基準値シートを見ることで分かってくる。(ホ)(マ)の東京金当限換算値及びその前日比をチェックしなければならない。1月4日(マ)は朝方18円安と分かっている。東京金の(フ)は3円安、(ヘ)は34円安(もちろん場中の板値で良いタイミングはもっとある)、1月12日換算比(マ)は17円高・東京金(フ)46円安に対し住友金属鉱山(ヘ)61円安、1月15日換算比(マ)は48円高・東京金(フ)6円安に対し住友金属鉱山(ヘ)33円安、1月17日換算比(マ)は3円高・東京金(フ)年末比変わらずに対し住友金属鉱山(ヘ)31円安、というように複眼的、立体的に相場パズルを解いていくことがトレードには役に立つ。 (ム)(メ)は裁定指針であると共にアウトライト取引のタイミングにも応用している。

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