バーナムの妻を演じるのは女優ミシェル・ウィリアムズ。著名トレーダーのラリー・ウィリアムズを父にもち、17歳にしてトレード競技会で優勝したことも。
その名は心理学用語、「バーナム効果」として聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 バーナム効果とは、例えば占いなどで聞いた「誰にでも当てはまることを、自分にだけ当てはまるように思い込んでしまう効果」のことを言い、 バーナムの言った「誰にでも当てはまる要点というものがある」という言葉にちなんで、アメリカの心理学者、ポール・ミールが名づけました。
バーナム自身にはいかがわしい興行師という一面もありましたが、本書でも触れられているように、大学に巨額の寄付をしたり、 博物館を設立したりと築いた富を社会に還元し、大衆に非常に人気がありました。 本書は、そのバーナムが1850年に著した『The Art of Money Getting, or, Golden Rules for Making Money』(1880)を訳出したものです。 真面目で、当たり前に、正しい方法でお金を増やすための20のルールを、バーナム自身の多彩な経験に基づいて披露しています。
本書の内容はどれもこれも、言われてみれば「当たり前じゃないか」という内容かもしれません。 しかしそれを本当に意識して、実行できている人は果たしてどれだけいるのでしょうか。
まさにあなたに当てはまる、いえ、誰にでも当てはまるごくまっとうな「富に近づく秘訣」です。 興行師バーナムらしい皮肉とユーモアに満ちたエピソードから、富と成功の法則をあなたのものにしてください。
●富への近道
アメリカのように人よりも土地のほうが多い国では、健康でありさえすれば、稼ぐのはさほど難しいことではない。 この比較的新しい国には、成功への道筋が何本もあって、人がまだあまり手がけていない仕事もたくさんある。だから、男でも女でも、まともな職業に就く気さえあれば、少なくともいまのところは、割のいい仕事を簡単に見つけることができる。 稼ぎたいと思うなら、まずは本気でそう決意することだ。あとはほかの目的を達成するのと同じで、適切な方法を取りさえすれば、簡単に稼ぐことができる。 しかし、稼ぐことは簡単でも、それを続けるのは至難の業である。そのことはみなさんも異論のないことだろう。
富への道は、ベンジャミン・フランクリンが言うように、「水車小屋への道と同じで、間違えようもない」 要するに、入るお金よりも出るお金を少なくすればいいだけの話で、ことはきわめて単純である。 ディケンズの名作『デイヴィッド・コパフィールド』に、楽天家の代表のようなミコーバーという人物が出てくるが、彼がこんなことを言っている。「年収20ポンドの人間が年に20ポンド6ペンス使えば、底なしに惨めだが、年収20ポンドしかなくても、年に19ポンド6ペンスしか使わなければ、最高に幸せになれる」
みなさんの多くは「そんなことは百も承知だ。節約こそが富への道だってことだろう。だけど、ケーキは食べたいし、同時に取ってもおきたいなんてのは無理な話だ」とおっしゃるだろう。 しかし、失礼ながら言わせていただくと、それは大きな誤解であり、こうした誤解から生まれる失敗が実に多いのだ。節約のことを何も分かっていないくせに、分かったつもりでいる人が多いのだ。 真の節約というものは誤解されやすく、実際、誤解したまま人生を送っている人が本当に多い。例えば、こう言う人がいる。 「私のうちも隣のうちも収入は大差ない。それなのに、隣は毎年貯金ができる、しかしうちは貯金ができない。なぜなんだ? 節約はちゃんとしているのに」 この人物は節約のことを分かっているつもりで、何も分かっていない。爪に火をともすような生活をしたり、洗濯屋の請求書から2ペンス負けさせたり、ちまちまとケチり、しみったれたことをするのが節約だと考えているのだ。節約はしみったれと同義語ではない。
もうひとつの誤解は、中途半端な節約をして満足していることだ。2ペンスお金がかかるところを0・5ペンスですますことができたら、その分ほかのところで無駄使いをしてしまってもよいと考えてしまうのだ。
その昔、灯油が発明されてもいなければ、そんなものがあるなんて思いもよらなかったころの話だ。 どこかの農家にひと晩泊めてもらったとしよう。おいしい夕食をごちそうになり、夕食後は読書でもして楽しもうかと考える。ところがそのころは明かりといえばロウソクしかないので、手元が暗くてとても本など読めはしない。困っている客を見て、そこの女主人が言う。 「ここらでは夜になったら本を読むのは無理ですわ。ことわざにも言うではありませんか、『船持ちでもなければ、一度に2本のロウソクを燃やせない』って。うちでは、特別なときでもないかぎりロウソクを余計に使うことはしませんの」
彼女の言う「特別なとき」というのはおそらく年に2回ほどしかない。当時は、賢い主婦なら、こうして何ドルか節約していたのだ。だが「余計な」ロウソクを使って読書すれば得られる情報が、何千本のロウソクよりも価値があることをこの女性は分かっていない。 問題はそれだけで終わらない。ロウソクを節約できてご満悦の女主人は、村に出かけて20〜30ドル使って装飾品を買ったって罰は当たらないなどと考える。そんな装飾品など、なければなくてもすんでしまうものだというのに。
こうした誤りは男の事業家にもよく見られる。 よく標的になるのは手紙の便せんだ。使い古しの封筒や書き損じの便せんを丁寧に取っておいて、可能なかぎり新品の紙を使うのをしぶる――そんな事業主をみなさんもよく見かけるはずだ。 それはそれで結構なことで、それによって年間5ドルとか10ドルとかの節約はできるだろう。ところが、たかが紙切れを節約しただけなのに、それで気が大きくなって、時間を無駄遣いしたり、お金のかかるパーティーを開いたり、馬車を乗り回したりするのだ。 これでは、フランクリンの言う「酒樽のふたをして、栓をしない」「小銭を惜しんで大金を失う」そのものである。
あるコメディの主人公は、こうした中途半端な節約をする人たちのことを「夕食のニシンを1ペニーで買って、4ペンスの馬車に乗って帰る連中」とからかっている。この手の節約をして成功できたためしを私は知らない。
本当の節約とは、出費をいつも収入以下に抑えることだ。古い服を少しだけ長く着て、新しい手袋を買うのを控え、古着を繕って使い回し、ときには質素な食事で我慢する。そうやって、不慮のできごとでもないかぎり、いつでも出費に対して収入に余裕があるようにすることなのだ。そして、1セントでも1ドルでも、余ったお金を銀行に入れて利子を稼ぐ。これを積み重ねていけば、きっと望ましい結果が得られる。 もちろんこうした節約をするには、ちょっとした訓練が必要かもしれない。しかし、一度慣れてしまえば、無駄遣いをするよりも、賢く貯金するほうが楽しくなってくる。
私のお勧めの処方せんは次のようなものだ。浪費癖や間違った節約の治療法として大変優れていること請け合いである。 それなりの収入があるのに、年末になると、収支が赤字だと分かったとする。そんなときには、
�/�枚のメモ用紙を用意して1冊にとじる �∋箸辰燭�金をそこに書き出していく ●メモには2つの欄を設け、一方には「必需品」と書く。あるいは「日用品」でもいい。 ●もうひとつの欄には「ぜいたく品」と書く。 �K萋�あるいは1週間に1回、使ったお金をどちらかに分類して書いていく これを続けていけば、「ぜいたく品」のほうが「必需品」よりも2倍、ときには10倍も多かったりすることに気づくだろう。本当に生活に必要なものは、稼ぎのほんの一部だけで足りるものなのだ。
訳者まえがき
富を築く心構え ●富への近道 ●稼ぐためのセンスを磨く ●健康こそ富の基盤
稼ぐための黄金ルール20 ルール1 ◆職業の選択を誤るな ルール2 ◆正しい場所を選べ ルール3 ◆借金をするな ルール4 ◆けっしてあきらめるな ルール5 ◆何をするにも全力であたれ ルール6 ◆運に頼るな、自ら努力せよ ルール7 ◆道具は最高のものを使え ルール8 ◆ないものねだりをするな ルール9 ◆何か有用なことを学べ ルール10 ◆希望は持て、ただし夢は見すぎるな ルール11 ◆一度にひとつのことだけに集中せよ ルール12 ◆何ごともシステマティックにせよ ルール13 ◆新聞を読もう ルール14 ◆「本業以外」に用心せよ ルール15 ◆うかつに保証人になるな ルール16 ◆宣伝せよ ルール17 ◆客は丁重に扱え ルール18 ◆客には気前よくせよ ルール19 ◆おしゃべりを慎め ルール20 ◆常に誠実であれ
黄金ルールのまとめ
ページのトップへ
原書:The Art of Money Getting, or, Golden Rules for Making Money