著 者 マーク・ミネルヴィニ
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山口雅裕
「ジラーはソーサー(=カップ・ウィズ・ハンドル)というパターンに光を当てた最初の人物だった」「チャートパターンに関する彼の仕事は、時代のはるか先を行っていて、今日でもなお貴重な発見がある」(『ミネルヴィニの成長株投資法』289頁より)
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— Mark Minervini (@markminervini) March 10, 2021
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— Mark Minervini (@markminervini) December 26, 2020
「米株は買い時」一致した2人のカリスマの判断(2020/4/18)
USインベスティングチャンピオンシップで優勝経験を持ち、『マーケットの魔術師【株式編】』でも取り上げられた“生ける伝説的トレーダー”のマーク・ミネルヴィニは、5年連続で3桁のリターンを上げ、年平均で220%、複利での総リターンは3万3500%に達した。この偉業を成し遂げるために使われ、時の試練に耐えてきたお墨付きのトレードシステムが本書で今、初めて明らかになる!
本書で、ミネルヴィニは株式トレード法であるSEPAを公開する。慎重なリスク管理や自己分析と忍耐があれば、この手法でほぼすべての市場で信じられないようなリターンが得られる。彼は一貫して3桁のリターンを得るために、どうやって正確な買い場を選び、仕掛け、そして資金を守るかについて、詳しく分かりやすい言葉で説明している。 株取引の初心者にも、経験豊かなプロにも、並外れたパフォーマンスを達成する方法が本書を読めば分かるだろう! 初心者にも理解しやすい教訓やトレードの真実、そして具体的な戦術と、要するに、アメリカで大成功を収めた株式トレーダーが30年のキャリアで得たことのすべてを隠すことなく公表している。あなたはそこから貴重な知識を得るだろう。本書で学べることとは、
「彼の本はあらゆる投資家の本棚になくてはならない本だ。本書は成長株投資についてこれまでに読んだなかで、最もまとまっている」――デビッド・ライアン(USインベスティング・チャンピオンシップで3回優勝)
「ミネルヴィニは私たちの世代で最も尊敬されている個人トレーダーの1人である。彼の経験やこれまでの鋭い相場判断は伝説的だ」――チャールズ・カーク(ザ・カーク・レポート運営者)
「ウォール街の驚異的なサクセスストーリーだ」――ベン・パワー(ユア・トレーディング・エッジ誌)
謝辞
目次
監修者まえがき
まえがき第1章 読むに値する序文
自分を信じて、夢を追え/そして、トレードで自由の身になる/上昇相場にも下落相場にもうまく対応/まず、自分に投資せよ/準備万端で機会に巡り合う/永続的な知識をつかめ/情熱を持って行動しよう/トレードを始める最も良いとき/分かち合うとき
第2章 初めに知っておくべきこと
運はいらない/少額から始めればよい/いや! 今度も同じだ/最大の難問は市場ではない/だれも代わりにやってはくれない/メンツが大事なのか、それとも利益を上げたいのか?/いくら続けても、完璧にはならない/私がつもり売買を好まない理由/トレードは仕事だ/ファンドマネジャーのような投資をしない/月並みな知恵からは月並みな結果しか生まれない/成功に必要なコスト/決めるということは何かを犠牲にするということ/トレーダーになるのか、投資家になるのか?/不愉快な日もあると覚悟しておく/記録は破られるためにある
第3章 明確な買い場分析――SEPA戦略
転機の訪れ/アイデアの融合/ようやく、ハイテクを利用/発見を生かす/リーダーシッププロフィール/SEPA――精密な戦略/SEPAのカギとなる5大要素/サポートが同時に出そろう買い場を探す/急成長株の特徴/急成長株は若い/会社の規模は重要/銘柄のスクリーニング/ひとつの手法に専念する
第4章 価値あるものは高い
PER――使われすぎて、誤解された指標/底値拾いで有頂天に/安値の落とし穴/高PER株を敬遠するな/アナリストは高成長にとまどう/何が高くて、何が安いのか?/フェラーリがヒュンダイよりも高いのには理由がある/株価を動かすのは価値ではなく、人々/価値を求めて/魔法の数字などない/警告――極めて低いPER/人を惑わすPER/崩れた先導株狙い症候群/PERは地合のバロメーター/PEGレシオ/PERの上昇を判断する/これらは何を意味するのか?
第5章 トレンドに沿ったトレード
トレンドを味方に付ける/並外れたパフォーマンスとステージ分析/株価のサイクル――4つのステージ/第1ステージ 底固め局面――無関心/第2ステージ 上昇局面――機関投資家の買い集め/第3ステージ 天井圏――機関投資家の売り抜け/第4ステージ 下落局面――投げ売り/株価の成熟サイクル/第2ステージを特定する方法/潮流に乗る――波のタイミングを計る/今、この山のどこにいるのか? ベースを数える/信頼していても、確かめる/トレンドの転換に用心/迫り来る災難を警告する金融株/耳に入ることではなく、目で見えることを信じよう/証券会社の投資判断/株価の大きな変化は重大な警告/帆に風をはらませる
第6章 カテゴリー、業種、上昇のきっかけ
先導株/大手ライバル企業――競争から目を離さないこと/機関投資家好みの銘柄/業績回復銘柄/循環株/出遅れ株には手を出すな/新たな強気相場をリードするのは特定の業界/技術革新は新たな投資機会を生む/移り変わる注目業種/先導株がくしゃみをすると、その業界が風邪をひくこともある/新技術も陳腐化する
第7章 注目すべきファンダメンタルズ
並外れたパフォーマンスの原動力/どうして利益なのだろうか?/予想とサプライズ/サプライズ決算/ゴキブリ効果/すべてのサプライズが同じ扱いを受けるわけではない/アナリスト予想の修正/利益が大きければ、注目度も高い/実際の利益を見る/利益の伸びの加速/増収増益銘柄を探す/増収増益ペースの確認/年間利益
/過去の水準を超える年を探す/業績回復銘柄を見つける方法/増益率の減速は危険信号
第8章 利益の質を評価する
営業外収益または一時所得/数字の操作に注意/1回かぎりの費用/在庫の評価減と売上高の移動/経費削減による増益に注意/利益率を測る/肝心なこと/会社発表の業績予想/長期見通し/在庫分析/在庫と売上高の比較/売掛金の分析/一貫しない開示情報/絶好調――コード33
第9章 先導株を追え
先導株に合わせる/買い場のない上昇/最も良い株が最初に安値を付ける/絶好の機会/長期的な成長サイクル/先導株の典型例/テクニカルの足跡を探す/まずどの先導株を買うべきか?/もろ刃の剣/先導株は今後の苦難も予告する/出遅れ株を避けて、先導株を買う/マスコミは無視しよう
第10章 百聞は一見にしかず
チャートは並外れたパフォーマンスを達成する役に立つか?/チャートを道具として使う/原因ではなく、結果/電車は定刻に来たか?/物事には順序がある/横ばい期間を探す/ボラティリティの低下パターン/ボラティリティが低下した回数を数える/テクニカルの足跡/ボラティリティの低下は何を物語るか?/オーバーヘッドサプライを見つける/どうして新高値近くで買うのか?/深押しパターンは失敗しやすい/横ばい期間の短縮/振るい落とし/需要があるという証拠を探す/横ばい前の急騰/ピボットポイント/スクワットと反落からの回復/どうすれば、ブレイクアウトがダマシだったと判断できるのか?/午前中の下落への対処法/総合すると/監視リストの準備/自然な反落とテニスボールの動き/ソーサー・ウィズ・プラットフォーム/3Cのパターン/なぜ方向転換するまで待つのか?/リバモアのトレード法/ダマシのリセット/ダマシのピボットのリセット/パワープレー/健全なファンダメンタルズと株価の準備態勢
第11章 知っている銘柄というだけで買うな
第1ベース/第1ベースが形成されるまで待つ/ほとんどの人が考慮しない第1ベース/すべてのカエルが王子様に変身するわけではない/市場の革新者から破産に至るまで
第12章 リスク管理1――リスクの性質
チャンピオンの共通点/失わないかぎり、相場で得た利益も自分のお金/健全な原則は明快である/ジャック師匠から得た教訓/損失を取り戻すには、もっと多くの利益が必要/2年の利益と1年の損失/自分で納得するために――損失調整の練習/市場が下す審判を受け入れる/自分がいつ間違っているかを知る/大きな間違いを避ける/不本意な投資家にならないこと/どこまで下がるのか?/カジノ体験/百万回の取引のうちの1回/何の違いがあるだろう?/なんて、うまい話だろう/間違いが本物の間違いになるとき/自分を愚か者と感じているなら、リスク管理をしていない/ほとんどの投資家が損切りできない理由
第13章 リスク管理2――リスクにどう対応して管理すべきか
生活習慣を変える/緊急時対応策/損失は期待利益の関数/どこで損切りすべきか?/トレーダーの大罪を避けよ/失敗を組み込む/許容できるリスクを常に、事前に決めておく/損切りのストップを守る/損切りのストップで生じるスリッページへの対処法/負けが続くときの対処法/確実に災難を招く手法/ペースを調整する/成功を足場にする/買い下がりとナンピン買い/逆指値をどこで引き上げるべきか/損益レシオが同じでも、意味が同じというわけではない/分散化をしても、身は守れない/私の苦労話
監修者まえがき
本書は、マーク・ミネルヴィニが自身の投資戦略の詳細を初めて明らかにした“Trade Like a Stock Market Wizard : How to Achieve Super Performance in Stocks in Any Market”の邦訳である。中学を中退して職を転々とし、さらに投資においても多くの失敗を重ねたものの、心折れることなく努力を重ね、ついには大成功を勝ち取ったミネルヴィニは、多くの投資家にとってスーパースターと言ってよい。その軌跡は、ジャック・シュワッガーが著した『マーケットの魔術師【株式編】』(パンローリング)で紹介されており、すでに多くの方がご存知だろう。
さて、ミネルヴィニの投資戦略はグロース投資に分類されるものであるが、それと対比されるバリュー投資の世界が“Security Analysis”という鉄板の戦略を持っていると比べると、グロース投資の世界では定番の投資手法というものが固まっていない。そうした状況下でもミネルヴィニの手法は「超グロース投資」とでも呼ぶべき、途方もなく大きな収益を狙った特異なアプローチである。これは本書のなかでも参照されたリチャード・ラブの“Superperformance Stock”、ニコラス・ダーバスの『私は株で200万ドル儲けた』(パンローリング)、そして、ジェシー・リバモアの『孤高の相場師――リバモア流投機術』(パンローリング)に書かれた手法に連なる、素晴らしく破壊力のある投資戦略なのだ。
ところで、バリュー投資は銘柄を選ぶが時期は選ばない。「下がりさえしなければ、別に上がらなくともよい」という達観したスタンスだからだ。このため、そのアプローチは価値分析を中心としたもので論理的にして理詰めである。これは忍耐と献身を要求されるが大変手堅いやり方だ。一方で、グロース投資は時期と銘柄を選ぶ。それもはなはだしく選ぶ。「じっと待ち構えていて急上昇する銘柄を狙い打つ」という猟師のようなスタンスだからだ。これはとても面白い。そこにはバリュー投資のような確実さはないが、一気に資産を増やせるかもしれないという夢がある。
だが、グロース投資による成果を単なる夢ではなく現実のものとするためには、本書にあるように、自分が買ったあとにだれか(特に「機関投資家」)が継続して買ってくれる銘柄を選ばなければならない。ところが、残念なことに機関投資家のトレードについて正しく書かれた解説は現状ほとんど見ることができない。特に、一般投資家向けに書かれた書籍・雑誌などでは全滅に近い。これは、やったこともないことをさも見てきたように書くライターも良くないと思うが、機関投資家が仕事として行う運用が個人投資家のそれとはあまりにも違うことにも一因がある。ファンドマネジャーやトレーダーとして実務を経験した人はそれほど多いわけではないし、そういった人は自身の仕事の内容について普通は何か書いたりなどしないから、実態はずっと誤解されたままで、とんでもなく見当違いの解説が世間に蔓延している。グロース投資で成功するためには、その部分の誤謬を回避する必要があるのだが、その意味でも本書は安心して読める内容となっている。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏はたいへん読みやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2013年11月
長尾慎太郎
ミネルヴィニは何年もかけて、自分を成功に導く手法を探し求めた。彼は優れた投資本や、ほとんどの投資家が存在を知らなかったリサーチから投資に関する珠玉の知識を掘り起こした。例えば、彼が引用する文献にはリチャード・ラブ著『スーパーパフォーマンス・ストックス(Superperformance Stocks)』がある。これと、ミネルヴィニが多くの相場サイクルを通じて学んだ経験を組み合わせたとき、どんな投資家にも役立つ貴重なアドバイスが詰まった本になった。彼は投資で成功するための重要な要素を、各章ではっきりと提示している。本書は内容をすべて理解するまで、繰り返し読むべきもののひとつだ。
最も良い節のひとつは、成長株のサイクルについて述べたところだ。読者は、株価が第1ステージから始まり、利益の急成長とともに株価も急上昇する第2ステージに進み、第3段階で天井を付けると、第4段階で利益の伸びが落ちるにつれて株価も上昇前の水準まで下げるという――ステージごとのファンダメンタル面とテクニカル面が理解できる。彼はチャートだけでなく、利益と売上高の表も使ってこれを示し、成長株が動いているときにファンダメンタルズで何が起きているかを示す。
最後の2章はリスク管理について述べられていて、おそらく最初に読むべき章だ。これらの章は極めて重要である。多くの投資家は適切な銘柄を買っているように見えるのに、利益をどうやって確定すべきかや、株価がポジションに逆行したときにいつ売るべきかを分かってないからだ。彼はほとんどの投資家が損切りできない心理的要素についても述べている。信じられるだろうか。彼の投資は50%しか正しくなかったのに、彼はひと財産を築き上げてきたのだ! それは彼がリスク管理をしっかり行っていたからだ。
私は投資家として成功するためには、ウォール街という大学を卒業するまでに、損失という高い授業料を払ってからしか利益を上げ始めることはできない、といつも思っていた。しかし、彼が成長株投資に関する最高の教科書を書いてくれたので、読者はそうした高い授業料を払わずに済むだろう。本気で努力して規律に従うならば、読者は彼のおかげで、本1冊の代金でアイビーリーグ並みの教育を受けることができる。あなたがベテラン投資家なら、この本は大学院生レベルの授業に相当し、私の投資知識が増えたように、必ずやあなたの投資知識も増えるだろう。彼はまた私の多くの時間を節約してもくれた。私が常に書きたいと思っていた本を書いて、私がけっしてマネのできない良い本を書いてくれたからだ!
読書を楽しんで、読者方全員が投資で成功しますように!
全米インベスティング・チャンピオンシップで3回の優勝者
デビッド・ライアン