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暴落時にすべきこととすべきでないこと

 通常、市場は一日に最大で0.5%ほど上下する。実際に、コックスは「S&P500の騰落率は取引日の53%で0.5%未満だ」と述べている。上下に1%動く日は全体の20%ほどである。平均すると週に一回だが、「予測不可能で、5日に一回といった類いの取引だ」。5〜10%の下落は皆さんが認識しているよりもはるかに多く発生する。その規模の下落は1950年以降、57回あった(これは3年に二回)。

 その間に10%以上、20%未満の下落は23回あった(3年に一回)。そして、過去75年間にS&P500が20%以上下落したのは11回である。

 いつものことが起きたとき、私のアドバイスはいつも同じだ。つまり、テレビを消し、自分の計画に従え。そして、ソファーのクッションをひっくり返して、余った現金を探せ。素晴らしい買いのチャンスがやってくるから。

 市場の暴落で「すべきこととすべきでないこと」についてより詳しく見ていこう。

シクリカルな市場がどうなっているかに注意しなければならない

 市場は驚くほど規則的に上昇し、下落する。市場は太陽系、季節、日の出、日の入り、月の満ち欠け、彗星の出現ほど厳密にスケジュールに従うことはないかもしれない。だが、市場は半周期的なサイクルで変動する。市場の調整や暴落も同じである。1950〜2014年までで、半分の年で10%超の調整があった。強気相場も弱気相場もそれぞれのスケジュールに沿って発生し、好きなだけ続き、そして、次に進む。それらが発生することを認識する以外に、できることはほとんどない。

感情的に反応してはならない

 自分の直感に負けてはならない。直感は理性を瞬間的に消滅させる原因となりかねない。前に書いた闘争・逃走反応(胸のつかえ、手の汗、高まる動悸、そして早まる脈拍)はストレスのサインである。不快感はバグではなく、意図された機能なのだ。この興奮は自分の体を奮い立たせ、危機に反応する準備をさせるようになっている。これは皆さんの祖先たちが生き残るためには素晴らしい仕事を成し遂げたが、資本市場では反対に作用する。要するに、アドレナリンはしっかりした判断やポートフォリオ管理の基礎とはならないのだ。

自分の計画にこだわらなければならない

 最初に、来年か、向こう数年は必要ないが、数十年後には必要になるお金に関する長期的な計画を立てた。2050年、皆さんは2025年4月に市場で何があったなど気にもしないだろう。短期は常に長期の妨げになる。2009年3月の安値でパニックになって市場から離れ、二度と戻れなくなった投資家の話を数え切れないほど耳にしてきた。これでは計画にこだわっておらず、優れた財務計画の姿ではない。

グルやシャーマンや評論家を頼ってはならない

 彼らは、皆さんの金銭的なニーズ、リスク許容度、税額区分、その他あらゆることがまったく知らない。私は20年以上金融テレビやラジオに出演し、このような人々に多く会ってきた。自分が話しをしていることを少しでも分かっているのはほんのわずかで、彼らの一般的なアドバイスはエンターテインメントを目的としているにすぎない。彼らの予測はマーケティングにすぎない。彼らをそのように見るべきだ。

自分の精神状態に注意しなければならない

 興奮しているだろうか、驚いているだろうか、ストレスが溜まっているだろうか。市場のせいで夜眠れないだろうか。外からの刺激に感情的に反応することと、何か重要なことを忘れているというぬぐい切れない感情との分かりにくい違いに気づかなければならない。自分の身体が何かを教えてくれるときがあるかもしれない。皆さんのポートフォリオは自分自身のリスク許容度に合っているだろうか。リスクの高い資産に眠れないほどの大きなイクスポージャーをとっているだろうか。環境が変化したのに、ポートフォリオは変化していないのだ。自分の潜在意識が何かに気づかせようとしているときを見通せるようにしなければならない。それは重要なことになる。

不快な状態で行動を起こしてはならない

 痛みを止めようとして下した判断は後悔することになる。精神が落ち着き、じっくりと考えられる状態のときに行動を起こすべきだ。金銭にまつわる重大な判断は注意深く、慎重に考え、計画に従って下すべきである。直近の市場の動きやニュース速報や見出しに反応するようになら、計画を立てていないことになる。これは本能的な恐怖に基づく反応であり、大惨事を招くことになる。

自分の周りで起きているパニックに注意しなければならない

 金融テレビのゲストの反応、そして過剰な反応を観てみればよい。彼らはどれほど感情的で耳障りだろうか。彼らの声は一オクターブ上がっているだろうか。彼らが汗をかいているのが分かるだろうか。リーマンショックの時期に、私はCNBCのアンカーであるマリア・バルティモロの声を聞くだけでその日の市場がどのくらい下落したかが分かったときがあった。市場とテレビのアンカーとの間でフィードバックループが起こる。それが分かるかどうか試してみるとよい。ただ、それに影響されないようにしなければならない。

市場のタイミングを計ろうとしてはならない

 皆さんはスキルも規律も能力も欠いている。運に恵まれるとしても、それは単なるまぐれであり、そのようなセレンディピティは将来もっと無謀で愚かな行動をとるきっかけとなる可能性が高い(カウボーイの口座については第4部で書く)。タイミング良く市場から飛び出し、タイミング良く市場に戻れる確率は低い。これに税金とその他費用が加われば、骨折り損となる。

降参のサインをさがせ

 必要最小数の投資家が降参し、カードを投げ、パニック売りをすると、市場は底を打つ。だれもがやがて「降参」と叫ぶ瞬間をとらえられるか、試してみるとよい。

短期と長期を混同してはならない

 生業としてアクティブのトレーダーをしているのでなければ、日々の動きは雑音だ。トレードのように投資をし、投資のようにトレードをすれば、損をする。

ユーモアセンスを持たなければならない

 これに関して私のお気に入りの考え方は、ひどい売りの最中に仲間のトレーダーからどうしているかと尋ねられた、あるファンドマネジャーから得たものである。 「赤ん坊のように眠ってる」と彼は静かに答えた。 「マジかよ。こんなとち狂った市場で、どうやって赤ん坊のように眠れるんだ」 「簡単だよ。二時間おきにうなされて起きて、おしっこ漏らして、泣きながらママを呼ぶんだよ」  このように困難な状況を茶化すユーモアはウォール街ではよく耳にする。だが、前述の優れたアドバイスに従えば、自分のポートフォリオが働いてくれているのを分かったうえで、ぐっすりと眠ることができる。

 次は、人々が前述のアドバイスに従うと何が起こるかを見ていこう。


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