著 者 ルイス・ナベリア、デビッド・R・エバンソン
監修者 長岡半太郎
訳 者 西田隼人
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ルイス・ナベリア(Louis Navellier)
資産運用会社「ナベリア&アソシエイツ(Navellier & Associates)」の創設者であり、ウォール街で最も著名な成長株投資家。彼のニュースレター『Breakthrough Stocks』『Market 360』『Accelerated Profits』『Growth Investor』『Platinum Growth』は、56万人以上の投資家に購読されており、何十年にもわたって強気相場でも弱気相場でも実証されてきた鋭く正確無比な銘柄選定能力は大きな信頼を得ている。また、ネバダ州リノに本社を置く「ナベリア&アソシエイツ」は運用資産総額14億ドルを超えている。著書に『成長株投資の公理 株で資産を築く8つの法則』(パンローリング)がある。
デビッド・R・エバンソン(David R. Evanson)
メディア業界、ウォール街などで30年以上の実務経験を有し、投資銀行、資産運用会社、プライベートエクイティ投資家、機関投資家向けブローカーなどと連携し、マーケティングやコミュニケーションに関するさまざまな課題に取り組んできた著名な金融ライター。5冊の著書のほか、大手メディアに多くの記事を寄稿している。
原題 The Sacred Truths of Investing : Finding Growth Stocks that Will Make You Rich
by Louis Navellier and David R. Evanson
監修者まえがき
まえがき ルイス・ナベリア
デビッド・R・エバンソンからの言葉 デビッド・R・エバンソン
第1部 基礎となるアイデア
第1章 強固な基礎を築くにはレンガを使え(立ち読み)
第2章 悲観主義は損失を生み、楽観主義は富を生む
第3章 アメリカはオアシス
第4章 経済学者の話は聞くな
第5章 強欲は善ではなく、忍耐こそ善である
第6章 アメリカの債務は持続不可能である
第7章 季節巡る市場
第8章 ブーマー世代の資産が市場にあふれ出す
第2部 成長株を見つけるためのフレームワーク
第9章 ファンダメンタルズを理解する
第10章 アルファとベータと偏差
第11章 すべてを統合する
第3部 成長株を求めて
第12章 住宅建設株で勝利する
第13章 独占企業を所有せよ
第14章 配当とは救いである
第15章 現代のつるはしとシャベル
第16章 無名は味方である
第17章 自社株買いで買え
第18章 10万%クラブ
謝辞
本書は、ウォール街を代表する成長株投資家ルイス・ナベリアによる最新の投資論である。著者の邦訳書としては、すでに2007年に『成長株投資の公理――株で資産を築く8つの法則』(パンローリング)が出版されている。それから18年を経て刊行された本書は、成長株投資の原理と実践を、現在の米国市場を題材として体系的に論じ直したものである。実際、成長株投資についてロジカルに何かを語れるのは、実務的には米国株だけだ。世界経済の成長を牽引する中心的なドライバーが米国である以上、それは自然なことである。
もっとも、投資の公理そのものは数千年前から何一つ変わっていない。驚くほど単純である。ベンジャミン・グレアムが100年近く前に『証券分析』(パンローリング)で明らかにしたように、投資の本質は、その対象が将来生み出すインカムと最終的な価値を見極めることにある。現在の価格がいくらであるかは、投資後の判断の基準にはならない。
ところが、実際には、多くの投資家が見ているのは価値ではなく、価格である。そして、その上げ下げを逐一観察して興奮している。赤の他人が別の赤の他人と何をどの価格で売り買いしているかなど、実は自分には何の関係もないはずだ。
そうした行為は、果たして投資にとって意味があるのだろうか。価格が上がった、下がったと騒ぐことが投資成果を高めるという話を私は聞いたことがないし、実際に効果がないのなら、本当にそれでよいのか考え直すべきだろう。真剣に投資へ取り組むのならば、そんなつまらないことをして遊んでいる余裕はないはずだ。
私自身、個人で保有している投資対象の現在価格を調べたことは一度もない。数年前に購入したものが半値になっているのか、2倍になっているのかも、全然知らない。しかし、それは私にとってどうでもよいことである。重要なのは、その投資対象がこれからも安定的にインカムを生み続けてくれるかどうか、それだけである。
成長株投資で言えば、企業の売上高や利益が伸び、その結果として将来のインカム生成能力が高まる可能性こそが投資判断の核心である。市場参加者の感情や需給によって価格は日々変動するだろうが、投資家はそこから意識的に距離を置かなければならない。それを報じるニュースも、投資家にとっては単なるノイズにすぎない。
読者が暇つぶしの娯楽として投資でもやってみようかという桃源郷の住人であるならともかく、自分や家族の未来のために投資を行うのであれば、著者が説くように、心理的な安定を保ち、無責任な他人の言葉に耳を貸さないことが何より重要である。
それを行動として守れるかぎり、投資とはけっして難しいものではない。方法論はすでに確立されている。原理原則を守って冷静に取り組むかぎり、成果はおのずとあとからついてくる。本書は、その当たり前の真理を改めて思い出させてくれることだろう。
本書の刊行にあたり、丁寧な仕事をしてくださった翻訳者の西田隼人氏、編集者の阿部達郎氏、そして本書を世に送り出してくれた後藤康徳氏に深謝する。
2026年7月
私が最後に本を書いたのは2007年のことだった。タイトルは『成長株投資の公理 株で資産を築く8つの法則』(パンローリング)。投資家の皆さんにとって、その本が志したとおりの役割を果たせていることを願っている。本書の執筆にあたって前作を読み返してみたが、前作の前提となっていた原則が今も変わっていないことを確認できた。そのとおりだ。素晴らしい成長株を見つけだすための私の手法は、長年たっても何ら変わっていない。
このこと自体が、それらの手法の強力さを証明するものであり、投資には、本当に聖なる真実が存在すると投資家に確信させてくれるはずだ。ウォール街は常に、あなたを豊かにするための新しいアイデアをひねり出している。SPAC(特別買収目的会社)を覚えているだろうか。しかし、こうしたアイデアは、結局のところ、一過性のものとなることが多い。時の試練に耐えたアイデアは、常に刺激的であるとは限らないが、最新の流行よりも有効であることが多い。
では、今回は何が違うのか。まず、素晴らしい成長株を見つけるための原則は変わっていないが、銘柄そのものが変わった。それは世界が変わったからである、それも劇的に。2007年当時、AI(人工知能)はまだ研究段階での話だった。ソーシャルメディアは黎明期で、フェイスブックはまだマイスペースと競合していた。リーマンショックが来ては去り、パンデミックが来ては去ったが、後者は職場のあり方を永遠に変えてしまった。その結果、本書では市場の先駆者となっている企業の例を数多く挙げている。アップルやマイクロソフトやエヌビディアに加え、ホーム・デポやマクドナルドやオラクルといった派手さはないが同じくらい重要な銘柄についても論じている。
しかし、素晴らしい成長株を見つけるための私の手法が今なお有効であるのは、それらがやはり変わることのない大原則の真実に基づいているからである。そこで本書では、これらの大原則とは何かを示し、それにふさわしい深みを持たせて解説した。例えば、最も重要でありながら最も目を引かない大原則の真実として、成功する投資家になるためには楽観主義者でなければならないというものがある。素晴らしい成長株の株価は長期的には上がるが、極度のボラティリティに見舞われる時期もある。エヌビディアは、AIを動かすチップを独占しているように見え、過去2年の株価もそれを反映している。しかし、2021年11月から2022年9月の間に、エヌビディアの株価は3分の2近くも下落した。そして、エヌビディアの株価が危機的な急落を見せたのはこれが初めてではなかった。2018年8月から同年年末にかけても株価は50%下落したのだ。
5年間に2回も株価が半分以下にまで落ち込んだ銘柄を持ち続けられるのは、一体、何のおかげだろうか。それはけっして恐怖ではない。楽観主義である。そして楽観主義は富を生み出す。エヌビディアについて楽観的であった人々は、2022年9月以来、実に1000%以上の利益を得ている。私は自分の教えを実践している。エヌビディアは2022年における当社の主要銘柄であり、今日ではポートフォリオで最大の構成銘柄となっている。そしてこれが、当社がここ40年近くで最高の年間成績を報告できた理由でもある。
楽観主義と同じくらい実体なく思えるかもしれない別の重要な原則は、アメリカは投資家にとってのオアシスであるということである。私たちが直面している現在の複雑な環境下では、このことが時として忘れ去られてしまう。本書では、国家としての私たちの特別な地位を支える構造的な要因を詳しく見ていく。すると、私たちがいかに、そしてなぜ、かつてないほどの富を築き続けているのかについて、実に驚くべき事実が浮かび上がってくる。
これらの聖なる真実の解説と並行して、素晴らしい成長株を見つける方法について深掘りし、その過程で私たちが長年保有してきた素晴らしい成長株を見極めていく。ある章では、ある企業への1000ドルの投資が一世代で1100万ドル以上に成長した経緯と、それが次の世代の終わりまでには10億ドルにまで成長するというシナリオを詳しく説明する。また、1000ドルの投資を100万ドルに変えた12社についても詳しく説明する。これらの銘柄は、私たちが親しみを込めて10万%クラブと呼んでいるメンバーである。
ただし、ここでどの企業がそのメンバーなのかというネタバレはしない。本書にある多くのアイデアを読み解いてほしい。これは『成長株投資の公理 株で資産を築く8つの法則』ではない。それよりも少しだけページの多い本だが、これがあなたをより賢明にし、私たちが生きている時代と国に感謝させ、そしてもちろん、その過程であなたをより豊かにすることを願っている。
ルイス・ナベリア
まず、投資に限らず人生全般に当てはまる聖なる真実についてお話ししよう。 私はカリフォルニア州エルセリートのナベリアストリートから1ブロック先にあるベイエリアで育った。通りに私の苗字が付いているが、私の家族は町で最も裕福であったわけでも、名誉市民であったわけでもない。また、先祖が特別な功績を残したわけでもない。
それはむしろ、長くそこに住んでいたことに関係している。エルセリートの多くの通りは、ゴールドラッシュ後にカリフォルニアに来た初期の入植者にちなんで名づけられた。町の最初の名前はルストで、これは1883年に移り住んできたドイツ系移民のウィルヘルム・F・ルストに由来する。サンフランシスコの地震と火災から避難してきた人々が定住するにつれて人口は増え、1917年に町はエルセリートと改名された。
私の曾祖父であり名前の由来でもあるルイスは、1880年代にこの地に移り住み、教師の仕事によって多くの土地を手に入れ、通りの名前にもつながった。当時、入植者には土地が無償で与えられていた。曾祖父も最初はかなりの面積を所有していたが、大恐慌の時期に多くを失った。彼はフランスのバスク地方のオロロン・サント・マリー出身である。これは私の気質にもすくなくない影響を与えていると思う。バスク人は非常に独立心が強く、体格もほとんどのヨーロッパ人より大きく、食文化を愛する民族として知られている。まさにそのとおりだ。
祖父はナベリアストリートに住んでおり、私たちは祖父の家の裏手にあるスコットストリートに住んでいた。家は互いに裏庭でつながっており、父と叔父は曾祖父の鶏小屋と庭があった土地に家を建てた。悲しくも曾祖父の鶏小屋には山猫が入り込んでしまい、大惨事になった。興味深いことに、父が建てた家はかつての庭の上にあり、井戸水を使っていたため、1980年代のカリフォルニアの干ばつのときには役立った。
父のアーネストはレンガ職人だった。したがって、少年時代の私はホッド運び(レンガとモルタルを職人に運ぶ作業)の手伝いに多くの時間を費やした。幸運だったのは、そもそもその機会が得られたことである。父は18歳にして第2次世界大戦の欧州戦線でB-26爆撃機のボールターレット砲手として従軍した。その任務の死亡率は極めて高かった。父は幸運だった。ボールターレット砲手というのは何人かのクルーが交代しながら務めるのだが、ほとんどのクルーが命を落としたからだ。父にとっては、レンガ積みという死の危険がないリズミカルな作業が、生涯にわたって十分に満たされる仕事だったのかもしれない。
さらに付け加えると、父はゴルフの腕も優れており、幾何学の知識が少し功を奏してパッティングの技術は他の追随を許さなかった。私自身はホッド運びが嫌いではなかったが、特別好きでもなかった。私はできるだけゴルフ場でキャディーの仕事をするように切り替えていった。より楽で、報酬も得やすいと感じたからだ。
だが、レンガ積みとホッド運びの仕事のなかにも、私に強烈な印象を残した側面があった。レンガ積みは、その気になれば高度に数値的な作業になったのだ。父が一定のペースで作業し続けられるように、私は父のペースに正確に合わせて、レンガを早すぎず遅すぎず渡さなければならなかった。日が進むについて父が疲れると、私はペースを調整した。父の作業速度は、1日の長さを教えてくれた。作業面積、積み上げの高さと安定性の関係、欠けたレンガの発生率、欠陥率が作業量に与える影響など、これらすべてを考える必要があった。そう、代数、幾何学、統計学、初歩的な微分方程式までもがレンガ積みのなかに組み込まれていた。最終的にこれらの学問は私のキャリアに大きな影響を与えることになった。
大学に進学することは、ほとんど既定路線だった。父はまだ移民としてのルーツを色濃く持っていたので、自分が到達できなかった域まで子供を進ませてあげたいという気持ちが強かった。そして、私は一人息子だった。
ベイエリアで育った私たちには、カリフォルニア州外の大学に行くという発想すらなかった。私はカリフォルニア大学バークレー校に合格したが、学位をより早く取得できるのでヘイワード校を選んだ。また、私の場合、バークレーであれば英語の補習コースを受けなければならなかったが、ヘイワードでは不要であったのも理由の1つである。これは私にとって重要だった。SAT(大学進学適性試験)では数学が上位1%だった一方で、英語は下位11%だったからだ。それゆえ、私はヘイワードに進学し、3年で学士号を取得し、翌1979年にはMBA(経営学修士)を修了した。そこで学んだ高度な数学は難しくも面白かったが、日常の問題解決に役立つとは感じなかった。しかし、統計学は違った。統計は結果そのものについて語ってくれる。そして当時こそ気づいていなかったが、統計に加え、さまざまな結果を予測する能力こそ、のちに私のキャリアの礎となった。
人生の成り行きは、時に数回の重要な選択や偶然の出会いによって決まるものだ。私の場合も例外ではない。カリフォルニア大学で私が指導を受けたある教授は、ウェルズ・ファーゴの仕事を請け負っていた。彼は新たに登場しつつあったインデックス商品を作るために、同社のメインフレームコンピューターを使っていた。そして、私に手伝わないかと声をかけてきた。
当時、私は計算尺とプログラマブル電卓を持っていたが、それはカリフォルニア大学の学生なら誰もが持っている道具だった。メインフレームコンピューターへのアクセスを得たことは衝撃だった。つるはしとシャベルで作業していたゴールドラッシュ時代の採掘者が、突然、ディーゼル駆動のパワーショベルを与えられたようなものだった。
私の仕事は、S&P500に500銘柄より少ない銘柄数で連動する指数を作ることだった。私はS&P500に正確に連動すると見込んだ320銘柄のサブセットを見つけたが、これは失敗だった。というのも、その320銘柄がS&P500に勝ってしまったからだ。なぜか。この問題は興奮と困惑が入り混じるものだった。
さらに深く調べると、いくつかのアノマリーや非効率性が見えてきた。しかし、とりわけ興味深かったのは、市場全体と相関がほとんどない銘柄群の存在だった。この概念は伝説的経済学者ウィリアム・F・シャープ教授によって提唱されたものであったが、当時はまだ萌芽期であった。当時の教科書では、ある銘柄と市場全体の相関を測る変数であるベータが、パフォーマンスの第1の決定要因だとされていた。しかし、シャープ教授は、市場全体と相関しない関係性は「アルファ」と定義されることを指摘していた。
私はアルファが実在し、アルファを使って株価や価値の評価ができることを証明しようと決意した。大学生の身でありながら、アルファの存在を証明することと、それを使って素晴らしい銘柄を発見することは、私の人生の目標となった。アルファの重要性については第10章で詳しく説明するが、アルファを統計的計算と組み合わせることで、並外れたリターンをもたらす銘柄を見抜くことができる。
カリフォルニア大学での日々が終わり、私は株の統計分析を続けながらも、生活のために働く必要があった。私は連邦住宅貸付銀行(FHLB)理事会で産業開発アナリストとして働き始めた。当時は、S&L(貯蓄貸付組合)は新たな支店を開設するごとに承認が必要であり、私はその支店が事業継続可能な場所にあるかを調査する仕事を担当した。
その後、1986年にS&L危機が発生すると、状況はより一層興味深くなった。私は、破綻を避けようと奔走する銀行の合併や買収を監督するチームの一員になった。この経験は私の記憶に強く残ったが、良い意味ではなかった。銀行会計の醜悪な裏側を見すぎたからである。現在の当社のポートフォリオに銀行株が少ないのも、多くの銀行が不良債権を巧妙に隠しているからだ。
私は1979年に連邦住宅貸付銀行理事会で働き始め、そのかたわら初めてのニュースレターを発行した。1982年にバロンズへ広告を出したところ、それがきっかけで理事会に副収入の存在を察知され、私は退職することになった。それまで出版はあくまで副業だったが、退職によって本気でビジネスとして成立させなければならなくなった。当初は典型的なブートストラップ型の出版社で、発行人も編集者もライターも封筒詰めも投函もすべて私1人が担当だった。
最初のレターはOTCインサイトという名前であった。その後、パートナーを迎えたが、別れたあと、ニュースレターをMPTレビューに改名した。MPTとは現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)の略で、私の学問的ルーツへの敬意を込めたものだった。
1983年にMPTレビューはエマージング・グロース(Emerging Growth)へと進化した。2019年には現在のようにブレイクスルー・ストック(Breakthrough Stocks)を旗艦とし、マーケット360、アクセレート・プロフィット(Accelerated Profits)、グロース・インベスター(Growth Investor)、プラチナム・グロース(Platinum Growth)を擁する出版事業へと成長し、総読者数は56万人を突破した。
出版物は変化してきたが、私のアプローチは揺らいだことがない。リスク・リワード指標を測定するクオンツ分析と、高い利益率と優れた利益成長と妥当なPER(株価収益率)に焦点を当てるファンダメンタルズ分析を組み合わせている。
クオンツ分析とファンダメンタルズ分析は通常、別物として扱われる。両者を組み合わせることは革命的とまでは言わないが、一般的でもない。特にクオンツ分析において、リワード(アルファ)とリスク(標準偏差)を測る場合には、細部に悪魔が潜んでいる。当社は50年近く株のクオンツ分析を続けており、その分析手法に磨きをかけてきた。その進化によってパフォーマンスは着実に向上している。
2024年末に本書が印刷に回される時点で、当社は最高の年間成績を記録した。これは市場に広く認識される前に並外れた成長性を持つ銘柄を見抜いたことが大きな要因となった。イーライリリー、ノボ・ノルディスク、エヌビディアなどがその代表例である。
私は出版が血に流れていると言われることもある(「血管にインクが流れている」と言う人もいる)。だが、アセットマネジメントも同様である。1987年、私はネバダ州リノにナベリア&アソシエーツを設立した。出版事業と同じく、ナベリア&アソシエーツ社の船出は慎ましいものだった。しかし約40年を経た今、同社は顧客資産10億ドル超を運用し、約20人の有能なアナリスト、ポートフォリオマネジャー、ストラテジスト、顧客サービス担当者を擁するまでに成長した。なお、私は2013年に同社の大部分を売却し、現在は主にファミリーオフィスとして友人と家族の資産を扱っている。
私が事業を始めたころの手数料体系は、今日とは大きく異なっていた。当時、多くのウエルスアドバイザーはコミッション方式の商品を販売していたが、時代とともに「AUMフィー」(運用資産残高に対する一定割合の手数料)へと移行していった。AUMモデルはコミッション方式より改善されており、今では一般化している。「ブローカーコミッション」という言葉は、「株式ブローカー」という言葉とともに過去の遺物となったのかもしれない。
自慢ではないが、当社は多くの適格投資家に対してAUMフィーを請求しておらず、代わりに利益の10%を後払いで請求している。コミッションからAUMへという流れは良い動きだと思うが、それでも不十分な点がある。AUMモデルを採用するアメリカ最大級のある投資顧問会社は「あなたが儲かれば、私たちも儲かります」と謳っている。
これは事実としては正しい。投資家の資産が増えれば、固定割合の手数料を取るアドバイザーも儲かる。これは数学的に確実である。
しかし、この論理には知的誠実さが欠けている。なぜなら投資家が損をした場合の話を誤魔化しているからだ。実際には「あなたが損をしても、私たちはまあまあ儲かります。あなたが損しても手数料は取れますから」なのである。
損失額の桁を考えれば、いかに不釣り合いかが分かる。運用資産100万ドルの顧客が1%のAUMフィーを払っているとしよう。残高が10%下落すれば、顧客は10万ドルの損失を被る。一方、アドバイザーの手数料収入は1万ドルから9000ドルに下がるだけだ。つまり、顧客の資産は10万ドル減るが、アドバイザーの収入は1000ドル減るだけである。顧客がどんなに損しようとも、アドバイザーはそこそこやっていけるのだ。
しかし、利益の一定割合を報酬として受け取るアドバイザーは、自らも痛みを共有するので、投資家と利害が一致する。この方式が完璧だと言うつもりはない。報酬体系に完璧なものなどない。ただし、この方式は投資家との強いパートナーシップを示すものであり、当社が強い自信を持っていることの表れでもある。だからこそ、この話をした。
この自信は、数十年にわたって磨き上げた分析に基づいている。その始まりは、父とレンガを積んでいたころかもしれないし、プログラマブル電卓にパンチカードを通していたころかもしれないし、深夜にニュースレターを封筒に詰めていたころだったかもしれない。だが、そのすべてが積み重なって、投資家に並外れたリターンをもたらす成長株を見つける戦略となった。この戦略は数々の投資の聖なる真実に支えられている。そして奇妙なことに、そのなかで最も重要な真実は最も数値的でない。それは、成功する投資家になるためには、楽観主義者でなければならないということだ。私はそうだし、昔からそうだった。そしてその楽観主義は、未来は必ず良くなると信じ続けた私の曾祖父、祖父、そして父のおかげである。彼らは正しかった。
私はアルファが実在し、アルファを使って株価や価値の評価ができることを証明しようと決意した。大学生の身でありながら、アルファの存在を証明することと、それを使って素晴らしい銘柄を発見することは、私の人生の目標となった。アルファの重要性については第10章で詳しく説明するが、アルファを統計的計算と組み合わせることで、並外れたリターンをもたらす銘柄を見抜くことができる。
私たちが誰であるか、そして、世界をどのように捉えるかは私たちのルーツに大きく左右される。確かに家系は重要である。しかし、それだけではない。それぞれの境遇のなかの偶然や出会いも大きな影響を及ぼす。私の場合、その両方が当てはまる。