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『
トレーディングシステムの開発と検証と最適化』
2006年1月16日発売
ISBN4-7759-7063-1 C2033
定価6,090円(本体5,800円+税5%)
A5判 上製本 286頁
著 者 ロバート・パルド
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子
ロバート・パルドは長年にわたってトレーディングシステムの最適化問題に取り組 んできた。汎用テストプログラム「アドバンスド・トレーダー(Advanced Trader)」 の作成者として知られ、数々のトレーディング戦略の開発者でもある彼は、1990年代 初めから最適化プロセスを、開発、テスト、結果の検証というあらゆる面から考察す るのに必要なすべての資質を備えた人物と言えるだろう。
最適化手法は一見、「勝てるトレーディングシステム」を見つけるための理想的な 方法であるかに思えるが、本書を読めば、それが難しい意思決定を伴うものであるこ とが分かってくる。
テストを行う目的は、そのルールと数式(つまり、戦略)を使って過去にトレーデ ィングを行っていたならば、どんな成果を上げていたかを知るためである。どんなシ ステムでもそのほとんどが、過去を検証することで構築されることを考えれば、過去 に起こったことを正しく認識しているかどうかを確認したいと思うのは当然だ。自分 の戦略が、勝てるのか、どれくらいのリスクにさらされているか、そして理想的な結 果を得るためにどれくらいの資金が必要なのかも知らずにトレードすることほど危険 なことはない。
しかし、テストには落とし穴もある。コンピューターの性能向上によって、パター ン、ルール、公式のあらゆる組み合わせをテストすることが可能になり、成功すると 思える戦略は確実に見つかるようになったと思われがちだ。しかし、経験によれば、 こういった方法による戦略はリアルトレーディングでは利益を出せないことが分かっ ている。「オーバーフィッティング(こじつけ)」と呼ばれるこの現象は、トレーデ ィングプログラムの開発者たちを悩ます難題である。ロバート・パルドは本書でこの 問題を詳しく解説するとともに、正しい解決方法を提示している!
最適化結果の評価もまた統計学的に健全なものでなければならない。結果を正しく 解釈できなければ、最良の解決策を導き出すことはできない。最適化は正しく行わな ければ意味のある結果を導き出すことはできないこと、正しく行わなければ信頼度の 低い結果しか得られず、引いてはそのシステムが損失につながることをパルドはよく 理解したうえで、初心者にも分かるように詳しく解説している。
トレーディングシステムをこれから開発しようと思っている人、または、すでにあ るシステムを検証したいと考えている人は、本書を読んで内容をしっかり理解するこ とから始めることをぜひもお勧めする。
監修者まえがき
謝辞
ザ・トレーダーズ・アドバンテージ・シリーズに向けての序文
はじめに第1章 最適化について 15
コンピューターテストの利点
最適化の利点
本書の構成第2章 トレーディングシステムの開発
ステップ1――トレーディング戦略の具体化
ステップ2――戦略を構成するルールの明文化
ステップ3――トレーディング戦略のテスト
ステップ4――トレーディングシステムの最適化
簡単な最適化の例/ウォークフォワード分析/簡単なウォークフォワードテストの例
ステップ5――システムでトレーディング
ステップ6――リアルトレーディングパフォーマンスとテスト結果との比較
システムがうまく機能しない理由/粗雑なテスト/不利な状況/結果が利益になる場合
ステップ7――トレーディング戦略の改良第3章 トレーディングシステムの構成
トレーディングシステムを用いる理由
定量化能力/検証能力/客観性/一貫性
エントリーとエグジット
リスクマネジメント
エントリーリスク/エントリーリスク/オーバーナイトリスク/トレーディングリスク/利益目標/オーバーナイトギャップが利食い注文に及ぼす影響/トレーリングストップ/オーバーナイトギャップがトレーリングストップに及ぼす影響/エントリーフィルター/マネーマネジメントルール/アドバンスト戦略
まとめ第4章 シミュレーションのルール
シミュレーションを正確に行うことの重要性
現実に即したシミュレーション
取引コスト/サーキットブレーカー/オープニングギャップ/オーダーのチェック/執行命令/重大な日価格データ
株価/現物市場/先物市場/一代足/つなぎ足/修正つなぎ足/データのマージ処理(データの融合)/まとめテストウィンドウのサイズ
統計学的条件/サンプルサイズと誤差/トレードサンプル数はどれくらい必要か/安定性/自由度/トレーディング頻度/モデルの寿命市場のタイプ
ブル相場/ベア相場/周期的相場/保ち合い相場/効率的市場適切なデータの使用
第5章 サーチと評価
サーチ法
グリッドサーチ法
優先ステップサーチ法
直系サーチ法/遺伝学的サーチ法/サーチ法全般における問題点
評価法の重要性
どういった評価法を用いるべきか/複数の評価基準を用いる評価法/複数モデルの平均を用いる評価法/テストランの評価/パフォーマンス分布/テストスペースの形状第6章 テストの実行
予備テスト
計算/トレードリスト/まとめ
理論チェック
パフォーマンスチェック
多市場多期間テスト
バスケットの選択/期間の選択/データのセグメント化/テストの実行第7章 トレーディングシステムの最適化
最適化
最適化の枠組みの設定
パラメータの選定/スキャンレンジの選定/サンプルデータの選定/モデルの評価基準の選定/テスト結果の評価基準の選定/まとめ
多市場多期間最適化
最適化に対するモデルの反応/パフォーマンスの向上とは/意思決定マトリックス
ウォークフォワードテスト
ウォークフォワードテストの目的/ウォークフォワードテストの設定/ウォークフォワードテストの例
ウォークフォワード分析
ウォークフォワード分析の目的/ウォークフォワード分析のまとめ/ウォークフォワード分析の例/堅牢なモデルか/どれくらいのリターンを期待できるか/リスクについて/まとめ/ウォークフォワード分析の評価第8章 パフォーマンスの評価
投資手段としてのトレーディングモデル
先物取引におけるリスクの大きさ/ほかの投資手段との比較
リスクの評価
必要資本
利益の評価
リワード・リスク比率/資本利益率/モデル効率
トレーディングの一貫性
損益分布/トレード分布
最大ドローダウン
最大連勝第9章 オーバーフィッティングのさまざまな側面
オーバーフィッティングとは
オーバーフィットした予測モデルのケース/オーバーフィットしたトレーディングモデルのケース/オーバーフィットしたトレーディングモデルを見分けるためのコツ
オーバーフィッティングの要因
自由度/データサイズに基づく自由度/自由度と信頼度/サンプルサイズ/トレードの評価/最適化の評価/プロフィットスパイク/オーバースキャン/スキャンレンジの縮小化
ウォークフォワードテスト
まとめ第10章 リアルトレーディングの評価
投資収益率
貧弱な戦略/市場の縮小
最大損失
資本の保護
リアルトレーディングパフォーマンスとテストパフォーマンスとの比較 テスト特性とトレーディング特性との比較/テスト特性を理解しよう パフォーマンスのパターンとゆがみ 予期せしない利益/連敗/小康状態 まとめ
原書: Design, Testing, and Optimization of Trading Systems by Robert Pardo
さて、システムトレード、あるいはメカニカルトレードなど、呼び名はいろいろあるものの、いわゆる運用者である人間の裁量を一切介さない売買の多くは、過去のデータを確率統計的な観点から分析し、そこから得られた帰結に基づいて、システムがマーケットをウオッチしながら適宜売買を行うという構図になっている。この手法は原則として、人間の心理的なバイアスを受けることなく売買が行われるために、精緻なリサーチを行い、堅牢なツールを作り込みさえすれば、ほとんどの条件下では期待値どおりのリターンが得られるというメリットがある。まさに現代のマーケトにおける「聖杯」だと言えよう。
このアプローチは、うまく扱える人間にとってはあまりにも容易に結果が出るために、日本のマーケットにおいても近年非常な勢いで利用者が伸びている。私は仕事柄、さまざまなマーケットの運用者と意見を交換する機会が多いが、個人投資家、機関投資家を問わず、トレードシステムの具体的な構築法に対する関心が最近非常に高いことを実感している。とくに個人投資家においてはその傾向が顕著であり、現に私の周囲では、多くの個人投資家がシステムトレードを利用して驚くべきパフォーマンスを達成しているのである。近い将来、日本の株式市場や先物市場において、利益を得ることを目的にマーケットに参加する資金のかなりの部分は、こうした冷静で感情を持たないコンピューターによって売買されるようになる(あるいはすでにそうなっている)と、私は確信している。
だが、ここでひとつ面白いのは、同じマーケットで売買しているにもかかわらず、各々のトレードシステムは設計者の個性を色濃く反映するという点であろう。メカニカルなアプローチといえども、その構築の過程で設計者のマーケットにおける知識や経験がボトルネックになることが多いためである。読者におかれても、本書の内容を理解し、自分なりのシステムを生み出したあとでも、日々の売買の実践からフィードバックして、改良を重ねられるようにお勧めしたい。私の知るかぎりシステムトレードにおける成功者は、皆そういった道程を歩んできているからである。読者の成功を祈る。
最後に、翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。山下恵美子氏には、正確な翻訳をしていただいた。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書のようなマニアックな書籍が発行される機会を得たのは、採算性に目をつぶっても良書を世に出したいというパンローリング社長の後藤康徳氏の熱意のおかげである。
2005年12月
長尾慎太郎
先物・オプション業界はすでに揺籃期を脱し、成熟期に入ろうとしている。つまり、開拓マシンとしての役割りを終え、最もアクティブな世界市場の中心的存在へと変貌しつつあるということである。通貨市場におけるEFP(現物と先物のポジションを交換する)取引の導入によって、現物市場も先物市場も当事者にとって利便性の高いものになると同時に、先物市場は世界穀物の正式な値決めの基準に使われるようになった。株式ポートフォリオのヘッジ、クロスレートの設定、スワップ取引、インフレ指数連動債の購入も、今やトレーダーや投資マネジャーは電話1本で実行可能だ。古くから存在した制度間の違いも、ほとんど消えつつある。
しかも、これはほんのプロローグにすぎない。伝統的なオープンアウトクライ市場にも電子の波は確実に押し寄せ、今現在でも、ピットでの取引から事後処理に至るまでのすべてがコンピューターで行われている。「プログラムトレーディング」は、コンピューター化されたティッカーテープを分析し、自動的に売買を執行する手法であるが、これもまた避けることのできない変革プロセスの氷山の一角にすぎない。注文執行がすべてコンピューター化され、執行に関してだれにも苦情を言えなくなる日は、もう目前まで来ている。やがては、オーダーさえ出さなくてもすむ日がやって来るだろう。
市場の変革に伴って、市場関連の書籍もまた進歩した。しかし、トレーディングについて書かれた書籍の多くは入門書の域を出ない。高度な読者向けに書かれたものさえ、取引についての細々とした記述や市場のメカニズムについての説明を含むものが多い。経験豊富なプロのトレーダーやアナリスト向けの内容に焦点を絞り込んだ書籍が少ないのが現状だ。こういった状況のなか、ザ・トレーダーズ・アドバンテージ・シリーズはまさに、彼らの待ち望んだ書籍を提供するものである。
本シリーズの書籍はすべて、その道のプロと優れたリサーチアナリストの手によって書かれたものだ。内容は主として先物、現物、株式の各市場を対象とするものだが、価格予測にも応用可能である。本シリーズで扱う題材にはトレーディングシステムと各種テクニックも含まれるが、これらはすべて、価格予測とトレーディング技術を磨くうえで不可欠なものばかりであるため、本シリーズに含めた。
クリエイティブで最先端の内容を扱う本シリーズは、新しいテクニック、既存のトレーディング手法の徹底分析、未解決問題への新たな取り組み方を提示するものである。本シリーズでは、概念は明確で分かりやすく説明し、例題と図表をふんだんに取り入れるという一貫した姿勢が貫かれている。また、不必要な基礎的資料を含んでいないため、ボリュームは薄く、要点を明確に述べているのがシリーズ全体の共通点である。読者には注意深い読みと考察が求められるが、本シリーズを読破することで、市場分析と市場予測のあらゆる分野に対する理解は、類書とは比較にならないくらい高まるだろう。
1992年7月、バミューダにて
ペリー・J・コーフマン
最適化手法は一見、勝てるトレーディングシステムを見つけるための簡単で理想的な方法であるかに思えるが、本書を読み進めるにつれて、重大で難しい意思決定を伴うものであることが分かってくるはずだ。
テストを行う目的は、そのルールと数式(つまり、戦略)を使って過去にトレーディングを行っていたならば、どんな成果を上げていたかを知るためである。どんな手法でもそのほとんどが、過去の状態(非常に特殊な状態であろうと、一般的な状態であろうと)を検証することで構築されることを考えれば、過去に起こったであろうことを正しく認識しているかどうかを確認したいと思うのは当然のことである。アイデアをバックテストすることは当たり前のことと言ってもよいだろう。戦略を、成功するかどうかも、どれくらいのリスクにさらされているかも、そして望む結果を得るためにどれくらいの資本が必要なのかも知らずにトレーディングに用いることほど危険なことはない。
ところが、テストには落とし穴もある。コンピューターによる計算能力の向上によって、パターン、ルール、公式のありとあらゆる組み合わせをテストすることが可能になり、成功すると思える戦略は確実に見つかるようになったと思われがちだ。しかし、経験によれば、こういった方法による戦略はリアルトレーディングでは利益を出せないことが分かっている。最近になって「オーバーフィッティング(こじつけ)」と呼ばれるようになったこの現象は、トレーディングプログラムの開発者たちを悩ます難題である。ボブ・パルドは本書でこの問題を詳しく解説するとともに、正しい解決方法を提示している。
最適化結果の評価もまた統計学的に健全なものでなければならない。結果を正しく提示・解釈できなければ、最良の解決策を導き出すことは不可能だ。最適化は正しく行わなければ意味のある結果を導き出すことはできないこと、正しく行わなければ信頼度の低い結果しか得られず、ひいてはトレード損失につながることを本書の著者はよく理解したうえで、詳しく解説している。
トレーディング手法をこれから開発しようと思っている人、あるいはすでにある手法を検証したいと考えている人は、まずは本書を読んで内容をしっかり理解することから始めることをぜひもお勧めする。
1992年7月 バミューダにて
ペリー・・コーフマン
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