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ウィザードブックシリーズ Vol.294

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アルファフォーミュラ 相関のない戦略で構成する最強ポートフォリオ アルファフォーミュラ
相関のない戦略で構成する最強ポートフォリオ

著 者 クリス・ケイン, ローレンス・A・コナーズ
訳 者 山口雅裕
監 修 長岡半太郎

2020年3月発売
定価 本体5,800円+税
A5判 190頁
ISBN 978-4-7759-7265-6 C2033

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著者紹介目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アルファフォーミュラとは3つの組み合わせ
\鑪
行動ファイナンス
市場の原理に基づくポートフォリオ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

低ボラティリティと高アルファの「聖杯ポートフォリオ」
投資の「聖杯」!

アルファフォーミュラとは、…衫姪投資戦略、行動ファイナンス、B1原理に基づくポートフォリオの構築――から成る(アルファとは「市場平均を超えるリターン」のこと)。

本書では、投資家がよく陥る行動バイアスによって何度も同じような動きが相場に現れることから、それらは予測可能であることを述べる。次に、この予測可能な動きに基づいて、相関のない4つのトレード戦略を作る。それは市場における第1原理(〇埔譴肋緇困垢襦↓∋埔譴浪射遒垢襦↓市場は緊張状態に陥る)に基づいたもので、本質的にまったく異なる相関性のない戦略である。最後に、それらの4つの戦略を合わせることで、アルファフォーミュラ・ポートフォリオが完成する。

ここで重要となるのは、第1原理である市場が違う性格を見せる3つの時期に、うまく機能する戦略を少なくとも1つ見つけることだ。つまり、…拘の強気相場でうまく機能する戦略、∋埔譴下落するときに空売りをする戦略、市場が緊張状態に陥るときに安全な避難先に資金が流入することで利益を得る戦略――である。これでポートフォリオを構成すれば、分散という投資の「聖杯」も利用でき、その利点を最大限に生かすことができる。

つまり、本書のアルファフォーミュラとは次のようなものである。
●第1原理によるポートフォリオの管理
●短期での平均回帰と長期でのトレンドの継続という時間枠に沿った市場の傾向から利益が得られるように分散した戦略の考案
●市場にこのような傾向があるのは人間が固有の行動に基づいているということを論理的に説明
●相関がない複数の戦略を1つのポートフォリオにまとめ、市場を一貫して上回るリターンと低ボラティリティと高いアルファの達成

本書を参考に読者も「聖杯」を手に入れることができるだろう!


著者紹介

クリス・ケイン(Chris Cain)
公認テクニカルアナリスト兼クオンツトレーダーで、現在はコナーズ・リサーチ社で定量分析を行う上級研究員。コナーズ・リサーチ・トレーダーズ・ジャーナルに毎週投稿し、トレードシステムの設計と開発の専門家でもある。また、ウェブサイトの https://tradingmarkets.com/ingMarket で、「トレーダーのためのPythonによるプログラミング」コースを立ち上げて指導を行っている。10年間、金融機関で債券トレードの経験があり、さまざまな債券のイールドカーブ全体でマーケットメーカーを務めた。現在は、クオンツトレード、投資、データサイエンス、コーディング、行動ファイナンスに情熱を注いでいる。妻のリンゼイとニュージャージー州ホーボーケンに住んでいる。

ローレンス・A・コナーズ(Laurence A. Connors)
資産運用会社のLCAキャピタルとマーケット調査会社であるコナーズ・リサーチのCEO(最高経営責任者)。投資業界で40年近い経験があり、1995年以降に投資情報の提供会社のコナーズ・グループを含め、売上高数百万ドル規模の投資関連企業2社を築き、コナーズ・グループは2009年にアントレックス非上場企業指数から10大急成長私企業の1社に二度選ばれた。1982年にメリルリンチに入社し、後にDLJのバイスプレジデントを務めた。彼の考えや洞察はウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、バロンズ、ブルームバーグのテレビとラジオ、ブルームバーグ誌など、数多くのメディアに引用されている。妻のカレンとニューヨーク市に住んでいる。

The Alpha Formula: High Powered Strategies to Beat The Market With Less Risk 原書:The Alpha Formula: High Powered Strategies to Beat The Market With Less Risk
by Chris Cain, Laurence A. Connors


立ち読みコーナー(本テキストは再校時のものです)

目次

監修者まえがき

第1章 クリス、この取引先を失ったら、ぶっ飛ばしてやる!
第2章 アルファフォーミュラにようこそ(立ち読みページ

第1部 トレンドフォロー、平均回帰、どうして価格はそんな動きをするのか
第3章 トレンドフォローがうまく機能する理由
第4章 平均回帰がうまく機能する理由

第2部 戦略
第5章 ライジングアセット戦略
第6章 CRウイークリー・ミーン・リバージョン戦略
第7章 CRダイナミックトレジャリー戦略
第8章 ETFアバランチ戦略

第3部 アルファフォーミュラ・ポートフォリオ
第9章 アルファフォーミュラ・ポートフォリオの構築
第10章 アルファフォーミュラ――資金管理のより良い解決法

付録
付録1 トレンドフォローはリスクを減らす
付録2 RSI――定義、計算法、過去データで見るエッジ
付録3 Quantopian.comユーザーのためのパイソン用のアルファフォーミュラのソースコード
付録4 コナーズ・リサーチ・トレーダーズ・ジャーナルで最新のリサーチを入手したい読者は無料の電子メールに登録を
付録5 出所とさらなる謝辞
付録6 ローレンス・A・コナーズによるその他の著書

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監修者まえがき

 本書はコナーズ・リサーチ社の上級研究員であるクリス・ケインとローレンス(ラリー)・コナーズが著した“THE ALPHA FORMULA : Beat the Market with Significantly Less Risk”の邦訳である。コナーズ本人もしくは関係者が著わしたトレード関係の書籍はたくさんあり、日本でも数冊が翻訳・出版されている。それらの多くは短期のスイングトレードの話が中心であるが、本書は個人投資家向けの書籍としては珍しい投資戦略ミックスに関する教科書である。ここで対象とされているのは定量的な分析に基づく投資の枠組みであり、長期のトレンドと短期の平均回帰という2つの単純な原理が用いられている。

 ここで以下に、本書の4つの基幹戦略を簡単に紹介する。

 第5章の「ライジングアセット戦略」は、アセットアロケーションの話である。ここでは各資産のトレンドを用いて機動的に資産配分を変える方法が述べられている。なお、同様の方法は『アセットアロケーションの最適化』(パンローリング)でも解説されており、単に過去平均のリターンや分散を用いる場合よりもパフォーマンスを向上させることが可能である。

 第6章の「CRウイークリー・ミーン・リバージョン戦略」は、短期の平均回帰の話である。人々の恐怖と過剰反応に依拠する戦略はその有効性を簡単には失うことがない。この分野をさらに詳しく知りたい方はコナーズの著書である『「恐怖で買って、強欲で売る」短期売買法――人間の行動学に基づいた永遠に機能する戦略』(パンローリング)を参照されたい。

 第7章の「CRダイナミックトレジャリー戦略」は、債券のデュレーションを考慮に入れた戦略だ。この考え方は個人投資家にはあまりなじみがないがリスク管理上は極めて重要な知識・技術であり、この章だけでも本書を読む価値があるだろう。類書はほとんど存在しない。超絶にオススメである。

 第8章の「ETFアバランチ戦略」は、ETF(上場投資信託)を使ったショート戦略の話だ。ショート戦略は恒常的にポジションを取るべき戦略ではないが、選択肢として持っておくと時として大きなリターンをもたらす。これら4つの戦略を組み合わせることで堅実なパフォーマンスが実現できる。

 ところで、一般に機関投資家における政策アセットミックスの決定では、マクロ関連の情報や理論に基づくビルディングブロック法や現実のポートフォリオから逆算するインプライドリターン法による期待リターンの推定を行うが、どのみちこれらの推定値に基づく枠組みは、理解が容易で説明がしやすいという長所を持つ反面、必ずしも精度が高いわけではない(実際には「超長期的にはそれほど外れるわけではないように思えるような気がする……」程度のものでしかない)。本書で述べられている単純な原理に基づく投資戦略ミックスのデザインは、これら機関投資家が使っているものとはまったく違う系統のものになるが、個人投資家が比較的短期に資産形成を行うための方法論としてはこちらのほうが使い勝手ははるかに良いだろう。私なら自分の個人資産の保護と拡大のためには迷うことなくこちらを使う。

 最後に、翻訳にあたっては以下の方々に感謝の意を表したい。山口雅裕氏はこれまでの訳書同様、分かりやすい翻訳を行っていただいた。そして阿部達郎氏には丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が発行される機会を得たのは、パンローリング社の後藤康徳社長のおかげである。

 2020年2月

長岡半太郎



第2章 アルファフォーミュラにようこそ

 アルファフォーミュラは次の組み合わせから成る。

●定量的投資戦略
●行動ファイナンス
●第1原理に基づくポートフォリオの構築

 本書では、投資家が最も陥りやすい行動バイアスのいくつかについて触れ、それらがどのように予測可能で、繰り返される相場の動きを生み出すことがあるかについて述べる。
 次に、この相場の動きを使って、トレードルールと過去データによる良好な検証結果が備わっていて、相関がほとんどない4つのトレード戦略を作る。それぞれの戦略は市場における第1原理、つまり、自明の事実に取り組む。ここから無相関で本質的に異なる戦略が得られる。最後に4つの戦略を合わせると、アルファフォーミュラ・ポートフォリオが完成する。

第1原理とは何か

 第1原理とは、基本的で自明の事実のことをいう。それらは明白で論争の種にならない事実で、だれもが同意できる事実だ。
 第1原理に基づく考え方では、これらの基本的で自明の事実に取り組むことによって問題に対処する。この種の考え方は哲学者のアリストテレスからトーマス・エジソン、ニコラ・テスラに至るまで、だれもが使ってきたものだ。歴史に残る大きな技術革新の背後には、時にこの考え方が見られる。
 第1原理に基づいて考えると、しばしば創造性が解き放たれて、難しい問題や複雑な問題に対する新しい解決策が浮かぶ。これは一種のリバースエンジニアリングであり、たいていは複雑な問題を単純な公理と「事実」に分解して、個別に取り組めるようにすることだ。

市場に当てはまる第1原理

 複雑な世界の金融市場について考えるとき、相場がどこに向かっているのかや、自分のお金をどのように投資するのが最も良いのかについて、さまざまな信念や考え方や相場観がある。
 多くの投資家は複雑な問題を解決するための理論的枠組みを作ろうとするとき、当然のことだが、「類推で考える」か、一般的な信念や仮定によって考えるか、成功事例に従って考える。
 本書では、「そうした考え方をするのではなく、ポートフォリオ管理の複雑な問題を単純で自明の事実に分解する」。つまり、第1原理に基づいて考える。
 市場における3つの第1原理は単純で、次のとおりだ。

1.市場は上昇する
2.市場は下落する
3.市場は緊張状態に陥る

 これらのありふれた考えは自明であり、反論するのは非常に難しい。
 ポートフォリオは基本的に何十年にもわたって同じ方法で構築されてきた。つまり、主観的なファンダメンタルズ分析、説得力のあるストーリー、配分比率を固定した資産配分など、第1原理ではない多くの手法を用いてきた。これらの手法はどれも事実ではない!
 市場に「上昇の時期」や「下落の時期」や「緊張の時期」があるというのは自明の事実であり、これらは一組の確実なトレード戦略を構築するために使うことができる。これらの事実から出発することが、多くの異なる市場環境で長期にわたって有効なポートフォリオを構築するための第一歩である。
 それでは、3つの第1原理について1つずつ掘り下げて、それぞれの傾向について述べていこう。

第1原理その1――市場は上昇する

 私たちは世界中の市場、特に株式市場はその歴史を通じて長期的に上昇トレンドを形成することが多かったことを知っている。ほとんどの強気相場は数年続き、ボラティリティが比較的に低いという特徴がある。
 私たちはこの上昇の流れを利用した戦略を持ちたい。

第1原理その2――市場は下落する

 資産価格は上昇するだけでなく、下落もする。この弱気相場は通常、強気相場ほど長続きせず、ボラティリティも高いことが多い。これは弱気の局面のときにボラティリティを測れば、経験的に確認できる。この点については本書の後半で説明する。
 私たちは価格が下落する時期を利用する戦略を持ちたい。

第1原理その3――市場は緊張状態に陥る

 第1原理の最後は、市場参加者がときどきパニックに陥ってリスク回避に大きく動くと、市場は緊張状態になる。
 こうした時期には、「安全な避難先」とみなされている資産の需要が高まる。歴史を通じて常に安全な避難先とみなされた資産の1つは米国債だ。
 理想的には、ポートフォリオの一部をこれらの「安全な避難先」に常に割り当てておき、市場の非常時に利益を得られるようにしたい。

第1原理を念頭に置いて、ポートフォリオを構築する

 私たちの目標はこれら第1原理の3つの時期に、少なくとも1つの戦略がうまく機能するようにポートフォリオを構築することだ。
 ここには、…拘の強気相場でうまく機能する戦略、∋埔譴下落するときに空売りをする戦略、市場が緊張状態に陥るときに安全な避難先に資金が流入することで利益を得る戦略――が含まれる。
 ポートフォリオをこのように設計することで、分散という投資の聖杯も利用できる。
 投資業界では分散の重要性について、調子の良いことがいろいろと語られる。残念ながら、多くの「分散された」ポートフォリオでは、2008年のように極端な市場イベントが発生したときに、彼らの主張するように資産を守ることはできない。第1原理を念頭に置いて戦略を立てれば、それらは本質的に異なるため、分散の利点を最大限に生かすことができる。
 これによって本書で説明するように、ポートフォリオ全体で世界有数のパフォーマンスが得られる。

過去の市場の傾向と矛盾しない戦略を立てる

 私たちは第1原理、つまり市場における明白な事実に基づいた戦略を持ちたいというだけでなく、私たちが市場の性質と考えていることも戦略に利用したい。具体的には、戦略の時間枠を過去の相場の動きと一致させたい。
 私たちやほかの多くの研究者による数十年の研究によれば、相場の動きは短期(数日から数週間)では平均回帰して、長期(数カ月から数年)ではトレンドが続くと考えている。これについてはあとに続く章で、統計による証拠と行動バイアスの説明を使って詳しく述べる。

何が自分にアルファをもたらすのかを理解することが重要

 本書のもうひとつのテーマは、戦略が過去データによる検証で「うまく機能する」だけでは不十分で、なぜうまく機能するのかを知っておく必要があるということだ。私たちはアルファ(市場平均を超える運用能力に基づくリターン)の源泉が何なのか、そしてもっと重要なことだが、これまで良い結果をもたらしてきたアルファを今後も変わることなく維持できそうかどうかを理解することを目指している。そうすれば、結果をデータマイニングから守ることができる。
 これらの戦略が過去にうまく機能し、今後もうまく機能し続ける理由の説明は主として行動ファイナンスによる。先ほど述べた市場の2つの傾向(「短期での平均回帰」と「長期でのトレンドの継続」)が生じる主な原因は人間の行動にある、と私たちは考えている。
 次章以降では、これらの市場の傾向を生む人間の行動について詳しく説明するが、まずここで簡単に触れておこう。

1.短期での平均回帰は、市場が短期――通常は2〜3日から2〜3週間――の間に「あまりにも速く一方向に行きすぎる」傾向によって生じる、と私たちは考えている。  特に株式市場でこうした値動きが起きると、その後は平均回帰する傾向がある。この「あまりにも速く一方向に行きすぎる」傾向の少なくとも一部は、下落局面での損失回避や上昇局面でのFOMO(Fear of Missing Out。機会損失の恐れ)を含めて、短期的な恐怖・強欲が原因で生じる。このせいで、市場参加者はしばしば群衆行動に走ることがある。

2.私たちは長期的には市場でトレンドが継続しがちなのも、人間行動に原因があると考えている。この行動を簡単にまとめると、ニュースや出来事に対して最初のうちは反応が鈍いが、上昇トレンドや下降トレンドが形成され始めると、プラスかマイナスのフィードバックが繰り返されて、新近性バイアス(前の出来事よりも最近の出来事を不合理なほど重視すること)や強欲や群集行動が生じて、長期的な過剰反応が起きる、と説明できる。この長期的な過剰反応によって、「合理的」と見られる期間よりもはるかに長くトレンドが続きやすい。

 この行動サイクルについては第3章と第4章で詳しく説明する。行動面を理解すれば、そこから得られるエッジ(優位性)とアルファを使って、戦略とポートフォリオを構築する方法がもっとよく理解できるからだ。

聖杯

 分散――これは投資で唯一のフリーランチだ。ほとんどのトレーダーや投資家はこの話を聞いたことがある。
 ほとんどの人は投資対象を分散する必要があることを頭では理解している。要するに、それは理にかなっている。「1つのかごにすべての卵を入れるな」という考えは単純で、直感的に理解できる。
 しかし、本当に分散された銘柄か戦略を1つにまとめたときに、具体的にどれだけの効果があるかはあまり理解されていないことが多い。簡単に言えば、分散された戦略のポートフォリオでは、各戦略のリターンを加重平均したリターンが得られる。だが、ポートフォリオ全体のリスクは大幅に下がる。
 リスクがどれほど下がるかは、各戦略の相関がどれほど低いかで決まる。戦略同士の相関が低いほど、分散によるリスクの低減効果は高まる。

レイ・ダリオのようになろう!

 世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツの創設者で億万長者のレイ・ダリオを見さえすればいい。最近の著書、『PRINCIPLES(プリンシプルズ)――人生と仕事の原則』(日本経済新聞出版社)で、彼は分散の威力について語り、これを投資の「聖杯」と呼んでいる。
 彼は、投資対象を追加していくと、ポートフォリオのボラティリティがどのように低下して、リターン・リスクの指標がどのように高まるかを示すチャートを、いろいろな相関関係で作ってほしい、と後輩の1人に頼んだ。
 次の文章は分散の威力に関するダリオ氏のひらめきについて説明した部分を『PRINCIPLES』から抜粋したものだ。

 「この単純なチャートを見たとき、私はアインシュタインがE=MC2の関係式を発見したときに感じたに違いないほど心を打たれた。15〜20の無相関で良いリターンの流れがあれば、期待リターンを減らすことなく、リスクを劇的に減らすことができることが分かった」

 彼はさらにこの洞察を「投資の聖杯」と呼んだ。
 そして、次のように述べた。「理論上は、この新しい方法で、リターンをリスク1単位当たり3〜5倍向上させることができる。そして、許容できるリスク額に基づいて、必要なリターン額を調整できる。言い換えると、私たちはゲームで負けるリスクを下げながら、ほかの人々よりも多くのお金を儲けることができる……。この方法がうまくいったことで、私は人生のすべての側面に当てはまる原則を学んだ。バランスが取れていて、レバレッジを使った、無相関の良い投資を少数行うことが、許容できない損失にさらされずに、多くの利益を得る最も確実な方法だ」
 次の図は彼が引用で言及したものだ。私たちはこれが金融分野すべてのなかで、最も強力な図の1つだと考えている。
 この図2.1をしばらく見つめよう。非常に強力だ。Y(縦)軸は仮想ポートフォリオの標準偏差で、リスクを表す。X(横)軸は、ポートフォリオ内の異なるリターンの流れの数を表す。ここで「リターンの流れ」とは、異なる資産クラスや異なるトレード戦略などを表している。
 下降線は、相関が異なるリターンの流れを1つにまとめると、ポートフォリオの全リスクにどう影響するかを示している。

この図表2.1で重要なポイントは次の2つだ。

1.リターンの流れ同士の相関が低いほど、分散によるリスク低減効果は劇的に高まる。60%の相関を表す線よりも、0%(無相関)を表す線のほうがはるかに速くリスクが下がっていることに注意してほしい。
2.最初に追加した2〜3のリターンの流れはあとで追加したものよりもリスク低減効果がはるかに高い。リターンの流れを追加するほど、リスク低減効果は小さくなる。最初の4つの資産でどの線も大きく下がるが、5つか6つの資産で水平になる。

 結論は何なのか? リスク調整済みリターンで測った本当に優れたパフォーマンスは、真に分散された少数の資産から成るトレード戦略によって達成できるということだ!
 これはとても強力な考え方で、以降のページで説明していく。

これから見ていくこと

 第3章と第4章では、市場が長期的にはトレンドを形成し、短期的には平均回帰する傾向について検討する。私たちは定量的な証拠を示して、これらの市場の傾向につながる行動バイアスについて触れる。本書の後半では、これらの傾向から利益を得ることを目指す。何十年もの研究から、未開拓の広大な分野の1つは、定量分析で裏付けられた行動ファイナンスの利用だと分かる。

 残念ながら、行動ファイナンスの一部は、少数のサンプルで行った調査で自説を主張をする社会科学者の影響を受けてきた。彼らの多くは何十年にもわたって、相場でどれだけ儲けているかというタクシー運転手の話や、投資テーマが新聞や雑誌の表紙に何回登場したかなど、定量化されていないバカげた話に頼っていた。

 幸いにも、こうした時代は終わり、研究者がハードサイエンスと統計によって理論を裏付ける時代に代わった。本書を通して分かるように、定量化された手法と行動ファイナンスの最も良い部分とを組み合わせると、アルファが得られる。

 第5章と第6章では、市場は上昇するという第1原理を用いる。ここでは価格が上昇している世界の資産を買う、ライジングアセット戦略を学ぶ。

 また、強気相場での調整後に株価が平均に回帰する傾向を利用して株を買う、CR(コナーズ・リサーチ)ウイークリー・ミーン・リバージョン戦略を学ぶ。

 これら2つの戦略を組み合わせると、市場が上昇する時期に利益を得る方法がいくつか手に入る。

 第7章では、市場が緊張状態に陥るという第1原理に焦点を当てて、CR(コナーズ・リサーチ)ダイナミックトレジャリー戦略を紹介する。この戦略ではいつでも安全な避難先とみなされる資産である米国債をトレードする。

 この戦略は名前が示すように、市場の状況に応じて柔軟にポートフォリオのデュレーションを調整して、米国債に対して一定のイクスポージャーをとる。これによって、市場が緊張状態に陥る時期には安全資産から利益を得ることができる。

 第8章は、市場は下落するという第1原理に基づいている。ETF(上場投資信託)アバランチ戦略では国外も対象とするETFをトレード候補に選んでおき、長期の下降トレンドにあるETFでシグナルが点灯したものを空売りする。

 第9章は「アルファフォーミュラ」について説明する。これまで述べた4つの戦略を組み合わせて、マルチ戦略ポートフォリオを構築する。第1原理を念頭に置きながら、市場の上昇時期、市場の下落時期、市場の緊張状態に陥る時期に資金を割り当てる。

 最終的には、図表2.2のような最適化されていないポートフォリオが出来上がり、アルファフォーミュラ・ポートフォリオに50%のレバレッジをかけると、図表2.3のようになる。

パフォーマンスの重要な結果の一覧

1.大きなリターン アルファフォーミュラ・ポートフォリオの年間リターンはレバレッジをかけない場合でもかけた場合でも、SPY(S&P500ETF)や60%SPY/40%AGG(iシェアーズ・コア米国総合債券ETF)よりも大きい。

2.小さいドローダウン レバレッジをかけていないほうの最大ドローダウン(最大資産からの下落率)はわずか−7.1%だった。これに対してSPYでは−55.2%、60/40(60%SPY/40%AGG)では−34.7%だった。このように資金を維持できれば、人生が変わる!

3.低リスク これらの大きなリターンは、標準偏差で見ても最大ドローダウンで見ても、非常に低リスクによって実現されている。

4.高いシャープレシオ リターンが大きく、リスクが低いため、シャープレシオは当然ながら著しく高くなる。アルファフォーミュラ・ポートフォリオでは、SPYで0.35、60/40で0.53だったのに対して、レバレッジをかけていないもので1.29、かけているもので1.24だった。

5.大きいアルファ 本書の中心概念であるSPYと比べた年率アルファは、レバレッジをかけていないほうで6.5%、かけたほうで9.5%だった。これはアルファは存在しないと多くの人が信じている世界では見事な数字だ!

6.低ベータ アルファフォーミュラ・ポートフォリオのベータ(市場全体に対する感応度)は0に近い(正確には0.07)。これは、ポートフォリオのリターンがアメリカの株式市場に依存も相関もしていないことを示している。

まとめ

 まとめると、アルファフォーミュラとは次のようなものだ。

●第1原理によってポートフォリオを管理する。
●短期での平均回帰と長期でのトレンドの継続という時間枠に沿った市場の傾向から利益が得られるように、分散した戦略を考案する。
●市場にこうした傾向がある理由は人間に固有の行動に根ざすということを論理的に説明できる。
●相関がない複数の戦略を1つのポートフォリオにまとめて、市場を一貫して上回るリターンと低ボラティリティと高いアルファを達成する。

 これがアルファフォーミュラだ。それでは、先に進もう!


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