文庫化にあたって
コンサルティング力が求められる時代になったと実感します。
スピードのこの時代、考える力を持って短時間で正しい答えを導き出し、それを具現していく。今まで以上にコンサルタントが必要とされる世の中になってきたようです。とはいえ、ビジネスパーソン全員がコンサルタントになれるわけではなく、またその必要もありません。要はコンサルタントの問題解決手法を体得できればよいのです。
本書では、著者のコンサルティング経験をベースに、できるだけ内容をシンプルに翻訳し、忙しいビジネスパーソンの方々がスキマ時間を使ってケーススタディの1、2題を解き、本書の解説を噛み砕いて自らの血肉にできるよう仕上げました。
コンサルタントをしていて実感したのは、日本のビジネスパーソンの実力が相当高いということです。仕事を完遂する力、知っている領域で問題解決する力は世界でも十分通用します。一方で、一人前になるための下積み時間が長すぎる……。MBA(経営学修士)などの「特急券」を持って、30代前半からバリバリ経営者として経験を積める欧米企業と比較すると、ちょっともったいない気がします。
一部のベンチャー企業を除けば、日本では経営幹部として活躍し始めるのは早くて40代から。でも、その世代になったとき、それまで基本手法を身につけてこなかったせいで、累積経験や実務知識でしか問題解決ができない。コンサルタントとして仕事をしながら、こういった場面に何度も遭遇してきました。
経営幹部になる前に、世界標準の戦略思考を身につけておく。世界のビジネス界で一般常識のように使われている用語を知り、世の中の事例や、自社のケースに置き換えながら、しっかり自分の言葉として使えるようになっておく。
自分と同世代の30代の方々、そして経営幹部として働き始める40代以上の方に、そのためのネタ本を提供したい。その思いで入門編を書きました。
例えば、マーケティングの4Pという考え方は、今では本当に多くの人が知っているフレームワークです。
最適なマーケティング活動を行うために、四つのP「Product(商品)、 Price (価格)、Place(販売チャネル)、 Promotion(販売促進)」に分けて検討する。でも、実際にそれを身近なケースに当てはめ、具体的にどんなことを考えたらよいのかというレベルまで踏み込むと、実はよく分からないという方も多いと思います。
もしあなたがその一人だとしても、恥じることはありません。そのためにこの本があるのです。本書では、一般的に知られている戦略やマーケティングの基本的な思考方法について、ケーススタディ形式で解説しています。ビジネス用語を覚えるだけでなく、明日からそれらを使えるようになる本。単なる教科書ではなく、すぐにでも使える実践マニュアルを作り上げたつもりです。
具体的には、ケーススタディ形式で出題された現実的な問題に、四つの選択肢が用意され、そこから正解を選び出すという形で進みます。その過程で、ビジネス課題の解決に不可欠な「基本手法」をマスターできるようになっています。
さて、本書は2005年9月にゴマブックスから出版された『ビジネス力養成講座 入門編』を加筆・修正して文庫化したものです。当時、世の中をにぎわした企業のトピックスを題材に例題を作成しているため、新鮮さに欠ける点があるかもしれません。
しかし、各問題が問う本質は、時代に関係なく共通しています。今回、文庫化に向けて原稿を読み返しながら、企業を取り巻く諸問題の根っこが同じであることを再確認しました。読者の皆さんも同じ感覚をもって、各問題に取り組んでいただけたらと思います。
前置きはこれぐらいにして、さっそく問題に取り組んでみましょう!
2008年1月 斎藤広達
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