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ウィザードブックシリーズ Vol.265

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株式トレード 基本と原則 株式トレード 基本と原則

著 者 マーク・ミネルヴィニ
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山口雅裕

2018年7月発売
定価 本体3,800円+税
A5判 上製 334頁
ISBN978-4-7759-7234-2 C2033

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目次監訳者まえがき序文

生涯にわたって使えるトレード力を向上させる知識が満載!

ミネルヴィニは『マーケットの魔術師 【株式編】』でも取り上げられた伝説のトレーダーである。

ミネルヴィニは、ほんの数千ドルからトレードを始め、口座の資金を数百万ドルに増やした。分かりやすく言うと、口座に10万ドルがあったとすると、わずか5年で3000万ドル以上にまで増やし、総リターンが3万3500%という驚異のリターンを達成したということだ! その間、年平均では220%のリターンを上げ、損失を出したのは1四半期だけだった。

また、その後も全米インベスティング・チャンピオンシップで年率155%のリターンで優勝するなど、長期にわたる驚嘆すべきパフォーマンスを上げ続けている。

そのミネルヴィニの3冊目に当たる本書は、株式投資のノウハウに本気で取り組む気持ちさえあれば、リスクを最低限に維持しつつ、リターンを劇的に増やす方法を学ぶことができるだろう。ミネルヴィニは時の試練に耐えた市場で勝つルールの使い方を本書で段階を追って示し、投資成績を向上させて素晴らしいパフォーマンスを達成するために必要な自信もつけさせてくれるだろう。

あなたがこの本で学ぶことは次のとおり。

マーク・ミネルヴィニはミネルヴィニ・プライベート・アクセスというオンラインのプラットフォームの創設者である。会員はリアルタイムで彼といっしょにトレードをするという、ほかでは得られない経験ができる。また、マスター・トレーダー・プログラム・ワークショップをライブで行っていて、出席者は実践的な教育を受けて、彼の有名なSEPAトレード法を学んでいる。

ミネルヴィニをアメリカで最も成功した株式トレーダーの1人にしたトレードルールや秘密のテクニックを惜しげもなく明らかにしている本書を読めば、あなたは自分のトレードでミネルヴィニの手法を使って、文字どおりトレード大会のチャンピオンのようにトレードをする方法を学ぶことができるだろう!


著者紹介

マーク・ミネルヴィニ(Mark Minervini)
成長株投資のマネーマネジャー。ジャック・シュワッガーのベストセラー『マーケットの魔術師【株式編】増補版』で取り上げられ、一躍有名になる。数千ドルを元手に5年間で資金を数百万ドルまで増やした。著書には『ミネルヴィニの成長株投資法』『成長株投資の神』(いずれもパンローリング)がある。http://www.minervini.com/。

■本書への賛辞

「ほとんどのトレーダーやマネーマネジャーは、ミネルヴィニの最悪の年のリターンが彼らにとって最高のリターンであるとしても大喜びするだろう」――ジャック・シュワッガー(ベストセラーの『マーケットの魔術師』シリーズ[パンローリング]の著者)

「ミネルヴィニは私たちの世代で最も尊敬されている個人トレーダーの1人である」――チャールズ・カーク(カーク・リポート主宰者)


■立ち読みコーナー(本テキストは再校時のものです)

目次

監修者まえがき

序 章 トップトレーダーのように考えてトレードをするための第一歩
第1章 常にトレードプランに従う
第2章 すべてのトレードで、まずリスクを考える
第3章 期待リターンよりも大きなリスクを絶対にとらない
第4章 自分のトレードの真実を知る
第5章 間違いではなく、資金を複利で増やす
第6章 株式をいつ、どうやって買うか――その1
第7章 株式をいつ、どうやって買うか――その2
第8章 最適な結果を得るためのポジションサイズ
第9章 いつ売って利益を確定するか
第10章 並外れた成果を上げるための8つのカギ
第11章 トップトレーダーの思考法

謝辞
著者について


■監修者まえがき

 本書は、マーク・ミネルヴィニによる2冊目の著作である“Think & Trade Like a Champion : The Secrets, Rules & Blunt Truths of a Stock Market Wizard”の邦訳である。日本でもよく知られているように、ミネルヴィニは「マーケットの魔術師」のひとりであり、前著も『ミネルヴィニの成長株投資法――高い先導株を買い、より高値で売り抜けろ』(パンローリング)として5年前に翻訳されている。だが、成長株投資の解説書であった前著に対し、本書は具体的な戦略・戦術を詳細に説くものではない。これはメタな観点、つまり俯瞰的な立場から株式投資に必要な世界観を示したものであり、初心者向けの相場書として好評を博している『システムトレード 基本と原則――トレーディングで勝者と敗者を分けるもの』(パンローリング)の中級者向けバージョンと言ってよい。

 一般的な理解とは異なり、良い投資戦略を開発することは簡単ではないが、実はそれほど難しくはない。投資家にとって良好なパフォーマンスの獲得が難しい原因は、素晴らしい投資戦略が作れないことではなく、それを継続して実行できる適切なメンタルモデルを意思決定者が持ち合わせていないことにある。実際、優れた投資戦略が組織由来の理不尽な干渉によって葬り去られるのを私はこれまで数多く見てきた。投資家個々人においても、人の性格はそれを変えるのは容易ではないが、メンタルモデルはその重要性を理解しさえすれば、考え方次第で一夜にして切り替えることができる。この本は、投資の世界のモノの見方を、昨日までとはまったく異なったものに変えてしまうきっかけとなり得る。

 さて、著者の得意とする成長株投資を行うには、ほかの投資手法とは少し異なったアプローチが必要である。まず、クロスセクションの情報ではなく、時系列データの解析が重視される。なぜなら成長株はピアグループ内の相対比較の力学によってではなく、スタンドアローンで動くからである。だから、成長株投資は「銘柄を選ぶ」ゲームというよりは、「タイミングを計る」要素が強い。

 また、成長株投資の銘柄選択やモデル構築においては、プレシジョン(適合率)ではなくリコール(再現率)が大切で、勝率は低くても構わない。なぜならここでは右に長いテールを持つポジティブスキューのリターン分布を人工的に作ることがカギだからだ。したがって、成長株投資はロスカットやピラミッディングといったマネーマネジメントと常にセットで語られる。これらの特徴ゆえに、成長株投資はほかの投資手法と比べ明確なアルゴリズムとして提示することが難しく、このため多くの解説はテキストの記述によって行われてきた。これをもって成長株投資を単なる主観に基づいた再現性に欠けるものとして顧みない向きも多いが、まさにそのことが成長株投資が機能し続ける大きな理由なのである。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏はたいへん読みやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2018年6月

長尾慎太郎

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■序章 トップトレーダーのように考えてトレードをするための第一歩

「人は1日中考えているとおりの存在になる」――ラルフ・ウォルドー・エマーソン

 この本を書いた目的は、不変のルールと確実なテクニックに従ってトレードを管理できるようになるためだ。極めて難しくて分かりにくい疑問に対する答えもいくらか見つかるだろう。例えば、短期間で含み益が得られた銘柄をどういうときに保有し続けて、より長期的に見て利益を狙うべきかや、いつ損切りの逆指値に引っかかる前でさえ損切りすべきか、どうやって最適なポジションサイズを決めるか、いつ、どういう方法で売買すべきか、弱点を改善して成功に必要な基礎固めをしっかり行うためにトレード後の分析で何を検討すべきか、などだ。

 私の最初の著書『ミネルヴィニの成長株投資法――高い先導株を買い、より高値で売り抜けろ』(パンローリング)では、私のSEPAトレード戦略を学ぶことに関心がある読者に基本を教えた。私がこの本を書くことにしたのは、最初の本の下巻を書きたかったからではけっしてない。だが、最初の著書で紙面の都合上、割愛せざるを得なかったことも多く含んでいる。

 以降のページでは、33年の経験と実践に基づいて、トレードで成功する秘訣を明かすことにする。私はこの貴重な戦略を用いて、アメリカの投資大会で優勝し、数千ドルを数百万ドルの大金に変えることができた。

 私と異なり、あなたには30年の経験はないかもしれない。しかし、あなたには非常に役立つこと、すなわち、習得時間を劇的に短縮できることがある。それは私の知識から始められるということだ。これは、私よりも大きな成功を収める機会があることを意味する。

 おそらく、あなたは今考えているだろう。ミネルヴィニはトレードが今よりも簡単だった時代に投資家として優勝したのだ、と。あるいは、生まれつき才能があった、あるいは有利になる育てられ方をしたのだ、と。だが、それほど真実からかけ離れていることはない。私は貧しい家庭で育ち、ほとんど教育らしい教育を受けていないし、資金もわずかしかないなかでトレードを始めた。今日の手数料は1トレードにつき5ドルか10ドルにすぎないが、当時は数百ドルもした。売買スプレッドは今日ではわずか数セントだが、当時はしばしば2ドルか3ドルの開きがあった。そして、何よりも、優れた知識を得る方法がほとんどなかった。今日では、かつてはウォール街の選ばれたプロだけが利用できたツールや知識も含めて、必要なことは何でも直接、手に入れることができる。株式投資をするには願ってもない時代だ。

 しかし、知っておくべきことがある。適切な知識を持ち、努力と訓練を積み重ねても、必ずしもトレードでの成功に近づくわけではない。必死に努力をしても、間違ったことをやり続けていれば、悪習とまったく誤った手順が身につくだけだ。本書では正しいやり方――いったい何をして何を避けるべきか―を学ぶ。

 あなたの能力は自分が想像しているよりもはるかに優れている。保証する。あなたは自分の可能性の一部しか使っていない。それは人生についても、トレードについても当てはまる。本気でやれば、だれでも株式投資で素晴らしい成績を収められる。それには正しい知識、学ぶ過程を大事にすること、そしてやり抜く意志が必要だ。これは一夜にしてできることではないが、適切なツールと正しい心構えがあれば達成できる。

 どちらかを選ぶ

 株式市場においても人生においても、私たちは勝つか負けるかを自分で選んでいる。ウソではない。私たちは負けたいから負けるのであり、勝つと決めたときに勝つのだ。この発言は不正確か、まったく不適切だと思う人もいるだろうが、私はこれが真実だと知っている。30年以上もフルタイムで株式のトレードをしてきて、私は意識的であれ無意識にであれ、負けたくて負ける人々を見てきた。そして、一念発起して自分は成功すると決めて、平凡なトレーダーから並外れたトレーダーに変身した人々も見てきた。間違いなく、勝つのは自分で選んだ結果だ!

 これが受け入れられないのであれば、運命には逆らえないと考えていることになる。そして、それが本当なら、何かで成功しようと頑張ることでさえ無意味だ。運が良いかどうかを見ているだけですむはずだ。

 だれもが並外れたトレーダーになる可能性を秘めている。なれるかどうかは、知識と成功したいという意欲と本気で取り組む意志があるかどうかだ。何よりも、自分の能力を信じる必要がある。あなたは間違いなく、トレードで自分が考えているよりもはるかに大きな成果を収めることができる。しかも、いわゆる専門家の主張よりもはるかに小さなリスクで、だ。しかし、勝つのは自分が選んだからだということを信じるまでは、自分の能力を百パーセント発揮することはできない。結果に対して全責任を引き受けていないので、自分の運命をコントロールすることはできない。したがって、完全には自立できていない。勝つことを選ぶ人々は模範となる成功者を探して、成功に至る道筋を考え、つまずいたときにはそれを貴重な経験として受け入れる。彼らは計画を行動に移して、結果から学び、勝てるまで微調整を続ける。

 勝者とは勝てないことに我慢できない人々だ。初めからそういう人もいれば、平凡なことにうんざいりして、自分の夢には手が届かないという考えはもう捨てようと決意する。この態度は子供のころに言われる、潔く負けを認めよ、という言葉にはおそらく反するだろう。だが、私の経験では、「潔く」負ける人は、間違いなく負けやすい人だ。勝者のようなトレードをしたければ、勝者のように考える必要がある。成功は自分で選んだ結果だと確信するまでは、一時的に勝っても最後には負ける。それはあなたが人として負け犬だという意味ではない。それは単に、勝つことの真実をまだ学んでいないか、受け入れていないという意味にすぎない。勝者は重大なことを運に任せたりしない。彼らは勝つと決めたら、毎日、その目標を見据えながら生きるのだ。

 1990年に、私は株式投資家として勝者になると決めた。それは私がトレードを始めて7年近くたってからのことだ。そのとおり、7年もたってだ! 私は7年も遊び半分だったのだ。そして、あなたの推測どおり、そのときまでの私の成績は遊び半分の人間に対して、だれもが予想するようなものだった。1990年3月に、私は世界一の株式トレーダーになると固く誓った。私はそのとき以来ずっと、そのことを一時も忘れたことはない。

 2匹のオオカミの話

 あなたにも私にも、だれの心にも2人のトレーダーがいる。1人は建設者で、規律に従って手順を大切にする。建設者は手順に焦点を合わせて、手法の完成度を高めようとする。彼らは正しい手順を踏めば、結果はついてくると信じている。判断を誤っても、それは貴重な教訓を絶えず提供してくれる師匠とみなす。誤った判断は励ましととらえる。こんな失敗はもう二度としないぞ、と思うのだ。手順は絶えず改善され続けているので、建設者は常に楽観的で、良くも悪くも結果が出る日を待ち望んでいる。

 もう1人は破壊者だ。彼らは自己中心的で、結果にこだわる。そして、結果がすぐに出ないと落ち込む。判断を誤れば自分を責めるか、ほかの人か何かのせいにしようとする。ある戦略で勝てなかったり、苦しい期間を経てようやく勝ったりしたら、その戦略はすぐに捨てて新しい戦略を探す。本気で手順を改善しようとはけっして思わないのだ。あなたの想像どおり、彼は言い訳ばかりで、めったに結果を自分で引き受けない。そのため、長く使える優れた手法はけっして作り上げることができない。

 しかし、私が最初に言ったことを思い出してほしい。あなたはこれら2人のどちらか一方ではない。だれもが人に対して愛して同情することもできるだけでなく、憎むことと危害を加えることもできるのと同じように、あなたの心には建設者も破壊者も同時にいるのだ。そこで、どちらがあなたの結果を決めることになるだろうか。

 これに答えるために、ピーマ・ショードロンが書いた私のお気に入りの1冊『テイキング・ザ・リープ(Taking the Leap)』から引用しよう。

 「アメリカ先住民の祖父は孫に、世の中の暴力と虐待についてや、どうしてそういうことが起きるのかを話していた。祖父によれば、それは2匹のオオカミが心のなかで争っているからだ。1匹は復讐心や怒りに満ちていて、もう1匹は理解があって親切だ。どちらのオオカミが争いに勝つの、と孫は尋ねた。すると、『それは自分がエサを与えることに決めたほうだ』と祖父は答えた」

 というわけで、これはあなたの心のなかでも起きている。私は自分を判断力のあるトレーダーだと考えている。まず、私は自分の心に建設者と破壊者がいることを自覚している。しかし、私は建設者を養って、破壊者を飢えさせることに決めている。毎日、これを意識しておくことは、戦略やトレードの仕組みよりもはるかに重要だ。たとえ、優れた戦略を持っていても、破壊者を養っていたら意味がないからだ。

 映画で私のお気に入りのひとつは、『トゥー・フォー・ザ・マネー』の一場面だ。アル・パチーノ演じるウォルター・エイブラムズはギャンブルで堕落して、ニューヨークでスポーツ賭博の情報会社を経営している。彼は才能がある新入りと連れだって元ギャンブル依存症の会に出かける。このマシュー・マコノヒー演じる新入りのブランドン・ラングは障害を抱えていたが、エイブラムズに見いだされて、のちにジョン・アンソニーという名で売り出すことになる。会の出席者で、かつてギャンブル依存症だったレオンという人物の話を聞いたあと、エイブラムズは次のようなスピーチをする。これは本当に笑えるうえに、面白い。また、よく当たってもいる。

レオン、あんたの言いたいことは分かる。本当だ。あんたの話は聞いた。俺が説明してやろう。俺の経験では、あんたの問題はギャンブルなんかじゃない。まったくの思い違いだ。ちょっと失礼な言い方になるが、レオン、あんたはポンコツなんだよ! 欠陥車と同じで、初めからダメなところがあるんだ。俺もあんたも、この部屋にいるみんなもだ。俺たちはみんな、ポンコツなんだ。俺たちはほかのみんなと同じに見えるが、違うところがある。それは俺たちには共通する欠陥があるということだ。 ギャンブル好きはほとんどが勝つためにギャンブルをしに行く。ところが、俺たちは負けるために行くんだ。潜在意識では、俺は……。チップをごっそり持っていかれるときほどスカッとして、生きてるって感じることはない!

 がっぽり入ってくるときじゃない。ここにいる連中はみんな、俺の言いたいことが分かるはずだ。たとえ勝っても、そのうちに全部吐き出すことになる。 だけど、負けたときとなると、それはまた別の話だ。負けたとき、と言っても、ケツの穴がちぢみ上がるような負けのことだ。分かるだろう? ガンと知ったときくらい、ひどく悪い夢を見続けて、これで20回目だ! そして、突然、気づく……。自分はまだここにいる。まだ、息をしている。まだ、生きてるとね。俺たち、ポンコツはいつも、わざとヘマをやるんだ……。だって、生きてるって、いつも実感しなきゃいけないからさ。レオン、あんたの問題はギャンブルなんかじゃない。問題は、自分が生きてるって実感したいという感情のほうなんだ! そこが問題なんだよ。

 この本では、トレードで成功するために大切なツールを学ぶ。しかし、実際にうまくやれるようになる前に、まず頭でそれができるようになる必要がある。私は経験で知っている。貧しい家庭で育ち、教育もほとんど受けられなかったので、私には頼れるものが事実上何もなかった。その結果、私は貧困心理――私の行く手をはばむ思考法――から抜け出す方法を学ばなければならなかった。だが、貧しくない人でもこの心理に陥ることがある。多くの人は失うのが怖いか、自分の過去のせいか、自分を偽っているせいで、自分にそれほどの値打ちはないと感じている。たとえ裕福でも、人生を楽しんでいなくて情熱もなければ、つまらない人生だ。そうした不幸は貧困心理の産物なのだ。

 あなたが何かに打ち込めるのならば、大成功をするためにできることは何でもすべきではないか。頑張って賢明なトレードをすれば、成功に値する。しかし、それには忍耐と正しい心構えが必要だ。自分のお金を完全にコントロールするつもりがないのなら、この本でさえ読まないほうがよいだろう。どうしてか。この本は自分のトレードと人生を自ら引き受けて、結果に対して全責任を負うことについて書いたものだからだ。全責任を負えない人が、どうして百パーセント効果的に反応できるようになれるだろうか。

 ここに書かれている成功のためのプランは私や私のやり方をまねたほかの多くの人の役に立った。それはあなたの役にも立つだろう。ただし、新しい考えを受け入れることができて、株式のトレードで大成功を収めるのは才能があるからでも、名門大学で金融論を学んだからでもないという現実を認める場合に限って、だ。成功のためのプランは、成功は疑いなく選択の結果だという強い信念から始まる。このことを信じられたら、あなたは最初の教訓――レオンのような人間になるな――を学んだことになる。

 内なるコンパスを合わせる

 株式のトレードで大成功するために、か弱い老婦人を襲うつもりはあるだろうか? きっと、この質問には不意をつかれたに違いない! 本当の質問は、あなたはどうしてそうしないのか、だ。答えは、それがあなたの信念体系――あなたの価値や基準――に反するからだ。

 何かで成功するためのカギは、自分には能力があると信じていて、その信念体系に沿った行動ができるようになることだ。保証しよう。自分の信じていることと一致した行動を取るようにならないかぎり、自分の能力を完全に発揮することはできない。あなたは大きなリターンを得るためには、大きなリスクをとる必要があると信じているだろうか。もしそうであれば、低リスクで高リターンという戦略は興味を引かないかもしれない。トレードでは、自分の信じていることと戦略が合っていなければ、葛藤が生じる。それでは成功はおぼつかない。

 例えば、私が使うシステムは大きな含み損を抱えるが、たまに大きな利益が出て、含み損を解消するものだとしよう。その場合、たとえそのシステムで利益を出せて、ほかのだれかには有用であっても、私は間違いなく負ける。私はそんなシステムにそれほど長く従うことができないからだ。それはリスクに関する私の信念に反するので、私には含み損をずっと抱え続ける自信などない。

 私の戦略があなたにとって、理にかなっているのなら、それは大変喜ばしいことだ! 私の戦略を使ってほしい。それはきっと、あなたに正しい方向を示すだろうし、有益なルールでトレードを始められるだろう。あとは、適切な判断を下して行動を起こせるかどうかは、あなた次第だ。どんな戦略を選ぶにしても、それに完全に従うことができて自滅しないですむように、必ず自分のしていることを信じよう。

 あなたは何かをしたあと、「一体、私はどうしたんだろう? してはいけないと分かってるのに、どうしてやってしまったんだろう?」と思ったことはないだろうか。それは自分の信念体系に合わせなさい、という危険信号だ。長い目で見れば、勝つのは常に信念体系のほうだからだ。大成功を収めるためには、行動は自分の信念に合っていなければならない。目標は一貫性だ。

 成功を見習う

 私の最初の著書『ミネルヴィニの成長株投資法』ですでに知っている人もいると思うが、私のSEPA(スペシフィック・エントリー・ポイント・アナリシス=明確な買い場分析)戦略はリーダーシップ・プロフィールに基づいて、有望銘柄を特定するためのものだ。SEPAでは、1800年代後半以降のヒストリカルデータを使って、急成長株に共通する特徴をまとめている。それは過去に非常に大きく上昇した銘柄の特徴を洗い出して、将来にほかの銘柄よりも大幅に上昇しそうな銘柄の条件を特定しようとする試みに基づいていて、現在も継続中だ。私がSEPAで行ったことは、簡単に言えば、成功を見習うことだ。

 まだ20代だったころ、私はアンソニー・ロビンズ(有名な自己啓発のコーチであり、人間行動に関する専門家)のセミナーに行き、とても貴重な教訓を学んだ。レオナルド・ダ・ヴィンチのような絵を描きたければ、まずは彼のように考えられるようになる必要がある。どんなことでも、結局は自分の考えに引きずられるからだ。過去の偉大なトレーダーを見習いたいと思ったとき、私は彼らのように考えられるまで、彼らについて学べることはすべて学ぶ必要があった。そこで、私は本を読んで、伝説的なトレーダーたちの研究を始めた。私は彼らの成功を見習えるように、彼らの考えが頭に浮かんで、彼らのように考えられるようになりたかった。私は繰り返し何度も彼らの本を読んで、それらの情報を完全に自分のものにしようとした。

 私は、トレードで成功するためには、だれかをそっくりまねすべきだ、と言いたいのではない。しかし、まず知識を本当に自分のものにしてからしか、その考え方を身につけることはできない。基礎となる貴重な知識があるのに、どうして一から自分で積み上げ直す必要があるだろう。アイザック・ニュートンは1677年に、「私が人よりも遠くを見たとすれば、それは巨人たちの肩の上に立っているからだ」と言ったことで有名だ。キュービズムの創始者の一人であるピカソを思い出そう。彼は父親の個人指導を含めて、伝統的な美術学校で学んだ。しかし、いったん描画法を自分のものにすると、彼はそれらを超えることができた。

 随分昔のことだが、初めて採用した見習いの一人に、カナダ出身のダレンという青年がいた(読者のなかには私たちのマスター・トレーダー・ワークショップのひとつで彼に会ったことがあるかもしれない)。彼は弟子以上の存在だった。私には息子はいないが、彼は息子のようだった。もっとも、私とは少ししか年が離れていなかったが。彼は私のトレード手法を学びたいと考えていた。そこで、私と同じような成果を出すために私の信念体系を手本にすることに専念していた。

 彼はしばらく、私の家に泊まっていた。滞在中、彼は私の習慣を調べて、最初は気づかれない程度に、しばらくするともっと大胆に私のまねをし始めた。当時、私はボディービルをしていたので、非常に特殊な食事をしていた。彼はかなりやせ型で、筋力トレーニングはしていなかったが、私とまったく同じ食事をして、私のビタミンとプロテインを取り始めた。初めのうちは大して気に留めなかったが、そのうちに私のかなり個人的な習慣までまねをし始めていることに気がついた。

 ボディービルダーとして、私は定期的に体毛をそっていた。ある日、リビングルームにいると、ブーンという音が聞こえてきた。音の方向に行くと、バスルームからだった。私はドアをノックして、何をしているのか尋ねた。彼がドアを開けると、白くてガリガリの足の毛をすっかりそって、立っていた。

 「何をやってるんだ? 君はボディービルダーじゃないだろう!」

 「関係ない」と、彼は言った。「あなたがそったら、僕もそる。あなたのやることは、僕もすべてする。あなたが緑色の椅子に座っていたら、僕も緑色の椅子に座る。あなたのようなトレードをしたければ、あなたと同じように考えなきゃいけない。そのために、あなたのやることすべてを、僕もやるんだ!」

 最初、私は、「この子はおかしいんじゃないか」と思った。だが、彼は天才だと気づいた! 私は他人の信念体系を手本にすることが大切だと悟ったところだったが、彼はその考え方を直感で理解したのだ。彼は本当にだれかを理解したければ、「他人の靴をはいて歩く」ということわざにもあるように、その人の立場に身を置く必要があると分かっていた。私から学べることはすべて学ぼうという姿勢があったから、彼は私の戦略を研究するだけでなく、私の規律も採り入れることにしたのだ。まもなく、彼は定期的にジムに通い、筋力トレーニングまでやり始めた。

 やがて、その規律は実を結んだ。彼は私とトレードをした一番初めの年に、160%のリターンを挙げた。それから、彼は1人で3桁のリターンを数年続けて、その後、株式トレーダーとして大成功した。彼の成功はひたすらトレードに専念したおかげだ。彼はだれにも負けないひたむきさで打ち込んだ。彼にとっては、何よりも考え方が重要だった。

 手順を大切にする

 この序文を書いていると、『ミネルヴィニの成長株投資』を読んだトレーダーから電子メールが届いた。彼は本の内容を褒めていたが、トレードでは苦労しているという。彼は、「うまく説明できない」と書いていた。

 そして、自分を責め始めて、自分にはトレーダーとしての才能がないと思うと続けていた。行間を読むと、ほかの人は大勝できても自分には無理だと確信しているのが分かった。

 私は、このメールはできるだけ穏やかに私を責めているのだと受け止めた。

 私は彼や彼のような人たちに、自分にはトレードの才能がないという考え方を捨ててほしいと思っている。自分の能力を疑うようになったときは、自分には知性か適性か特別な才能が欠けているから「分からない」のだという信念を捨てなければならない。メールをしてきたトレーダーは私やあなたと同じように、成功に必要なものを1つを除いてすべて持っている。その1つとは、あることを受け入れる気持ちだ。あなたの推測どおり、それは、勝つのは自分で選んだ結果だという、すべての基礎となる強力な信念だ。それを受け入れることができるまでは、うまくいったり、いかなかったりの繰り返しで、トレードでの大成功とは無縁だと断言できる。

 最初からトップの地位にいる者はだれもいない。ヒトゲノムにトレーダー向きのDNAはないし、トレードに特に向いた天賦の才能というものもない。「天性の」株式投資家はいないのだ。実は、トレードは極めて天性に反する行為だ。そう考えるのは私だけではない。「どういうわけか、生まれついての投資家がいる」と思っている人々に対して、著名な投資家のピーター・リンチは自身の著書『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド社)のなかで、「私の揺りかごの上に相場情報は流れていなかったし、株式欄から私の歯が生えてきたわけでもない」と言っている。

 ドイツのベルリンの心理学者チームが1990年代初期にバイオリンを学んでいる生徒たちを調査した、という話を聞いた人もいるかもしれない。具体的には、彼らは幼児期、青春期、成人期における練習の習慣を調査した。どのバイオリン奏者たちも5歳ぐらいから学び始めて、練習時間はほぼ同じだった。しかし、8歳で練習時間に差が出始めた。20歳になるまでに、一流奏者は平均で1万時間以上の練習をしていたが、そこそこの奏者は4000時間しか練習をしていなかった。

 興味深いことに、「生まれつき才能がある」奏者は現れなかった。生まれつきの才能が役に立っているのならば、ほかの奏者たちよりも少ない練習時間で一流奏者のトップに浮上してくる「天才」がいると思われる。しかし、データはその逆を示していた。心理学者たちは練習時間と達成度の間に、統計的に有意な関係を見つけた。近道はない。天才はいない。一流奏者たちは、それほど優れていない奏者たちの2倍以上の練習をしていたのだ。

 要するに、トレードで大成功するためには訓練を積まなければならないし、それには時間がかかるということだ。しかし、そうするだけの価値は十分にある。生まれつきの才能や能力がどんなものであれ、マーケットで成功するためには、どれだけ時間がかかろうと学習曲線を伸ばそうという、ひたむきな努力と意欲が必要だ。

 成功するためには時間を費やすだけでは足りない。結果を検討し、手法を調整し、一歩ずつ進むことで向上しようとする粘り強さが必要だ。『才能を伸ばすシンプルな本』(サンマーク出版)で、著者のダニエル・コイルはこの手順を「深い訓練」と名づけている。つまり、同じことを何度も繰り返すだけでなく、結果を見て調整をし、より意味のある訓練をするのだ。

 株式トレードで大成功すると決心したからといって、それだけですぐに優れた成果を生み出すことはできない。あなたは法科大学院に2〜3カ月通ったあと、ほとんど実地の経験もないままに、法廷で裁判を担当するだろうか。実際にそうして裁判で負けたら、驚くだろうか。あるいは、医学部で2つの講座を取っただけで手術をしようとするだろうか。実際にそうして患者が治らなければ、驚くだろうか。もちろん、こうした筋書きはバカげている。しかし、たとえ私がマクドナルドのキッチンに入って、フライ用の器具を使おうとしても、火のつけ方すら分からないだろう。どうしてか、分かるだろうか。それは、私が知性や特別な才能を欠いているからではなく、必要な知識と経験を身につけていないからにすぎない。

 しかし、証券口座を開けば、すぐに途方もない利益を得られると思う人たちもいる。彼らは思ったような結果が得られないと、言い訳をするか、あきらめるか、過大なリスクをとり始める。彼らは、トレードで成功するには専門知識が必要で、それを身につけるには忍耐が必要だとはめったに思わない。

 私がトレードを始めたときは、ひどいトレーダーだった。最終的に成功したが、それは生まれつきの才能によるものではなかった。ひたむきな努力と身につけた規律によって、今日の私があるのだ。そして、今日でさえ、私が自分の規律を破れば、成功は容易に失敗と化すだろう。

 どの世界でも大成功をする人はみんな同じ姿勢で取り組む。つまり、目標を実現するか死ぬまでやり続けるという姿勢だ。彼らにやめるという選択肢はない。そういう姿勢で取り組まないと、厳しい状況になったら、おそらく投げ出してしまうだろう。

 自分のトレード手法を定める

 戦略とは、毎回ではないが全体として見れば、自分の役に立つもののことだ。夫婦関係と同じように、戦略には忠実でなければならない。浮気をしていて、結婚生活がうまくいくだろうか。トレードの戦略でも同じだ。忠実でなければ報われない。

 バリュー投資、成長株投資、スイングトレード、デイトレードのすべてが得意になることはまずないだろう。すべてを得意になろうとすれば、結局は平凡な何でも屋で終わる可能性が高い。1つの戦略で利益を得るためには、ほかの戦略を犠牲にしなければならない。自分のトレード手法がほかの手法よりも良い成果を出せるときには、相場サイクルに乗ることができる。しかし、困難に遭うたびに別の手法に変えて、不利な局面に対処することはできない。何かに秀でるためには、1つのことに焦点を合わせて、それを専門にしなければならない。いわゆる「運用スタイルの逸脱」は避ける必要がある。

 決めていたスタイルから逸脱して、ほかの手法に頼るのは、自分の戦略と目標を明確に定めていないからだ。そのため、どんなときでも自分の手法を貫くことができないのだ。短期トレーダーであれば、短期間で利食いをしたあと、その銘柄がさらに2倍になっても、大して気にしないようになる必要がある。あなたは株価チャート上のある範囲でトレードをし、ほかのトレーダーはまったく別の範囲でトレードをするかもしれない。それでも、両者とも成功することは可能なのだ! だが、あなたがより長期的な投資家ならば、含み益が短期的にかなり大きくなっても、より大きな値動きを追い求めるうちに、その含み益のすべてが消えることが何度もあるだろう。成功のカギは、特定のスタイルに焦点を合わせることだ。いったん自分の手法や目標を定めたら、トレードプランどおりに動いて成功することがはるかに簡単になるだろう。やがて、ほかの手法を犠牲にして、自分の得意な手法に集中したことが報われるだろう。

 何を優先させるかを決める

 人生におけるどんなことについても言えることだが、トレードで大切なのは単に自分が何を望むのかを知ることではなく、最初に何を望むかを知ることだ。成功の秘訣は自分の欲求に優先順位を付けることだ。人はたいてい同じことを欲している。愛、幸せ、自由、友情、尊敬、金銭的な報酬などだ。だれでも人生で良いことを手に入れたがっていると言ってよいだろう。私がここで言っているのは、トレードでの成功者になるとか、一流の料理人なるとか、一流のテニス選手になるとかといった具体的な目標のことだ。これら3つのすべてを達成することは可能だ。

 しかし、人生ですべてを手にする秘訣は、目標を1つずつ追求することだ。自分がまず達成したいことを考えて、最初の目標を達成するまで、次の目標に移らないことだ。どうしてか。あまりにたくさんのことを追求しようとすると、すべてが中途半端に終わり、どれも十分な経験を積めないからだ。専門家には高い報酬が与えられるが、幅広い分野について少しずつかじっても、せいぜいパーティーでの会話がうまくなる程度だ。

 何かをものにするには、ほかのことを犠牲にする必要がある。だから、何を最初にするかを決めなければならない。リストを作って、優先順位を決め、それに従って追求しよう。焦点を絞り、それを成し遂げたら次の大きな目標に移ろう。

 私がここでしているアドバイスは、アンバランスであれということだ。そのとおり、あなたの読み間違いではない。何かで大成功を収めるためにはアンバランスである必要があるのだ。これは最近の考え方とは逆だ。最近は仕事と家庭生活で特に言われることだが、バランスの取れた生活をすべきだと言われる。もちろん、それが目標だ。今日では私の生活で、妻と娘よりも優先することは何もないし、優先する人もだれもいない。しかし、あなたが株式トレードで大成功を収めようと考えているのであれば、そこに集中して努力しなければ、大きな成果は上げられない。

 トレードを始めたころの私は意図的にバランスを欠いた生活をしていた。私は1日に12時間のトレーニングをするオリンピック選手に似ていた。トレードを続けながら、食べて、飲んで、一息ついていたのだ。それしか考えていなかった。1つのことだけを追求するという、かたよった生活だった。これが恐ろしい話に思えるのなら、おそらく最高の一流トレーダーになることはあなたの本当の願望ではないだろう。これは、仕事と並行して空き時間や暇なときに投資をして、利益を出したりトレードの成績を向上させたりするのが不可能だという意味ではない。

 厳しい訓練をしている時期に、同じようにバランスを欠いた生活を送っている専門家の例はいくらでも見つかる。緊急治療室のベッドでほんの数時間しか眠らずに、1日に16時間働く臨床訓練中の医師のことを考えてみるとよい。

 平凡な努力で腕を上げることはできない。全精力を注ぐ必要があるのだ。それがいつまでも続くわけではない。しかし、最初のうちは、トレードのような困難なことに打ち込むときには、そのことだけに集中して努力しなければならない。株式市場で大きなリターンを得たければ、トレードを優先させなければならない。

 行動を起こす

 何かの目標を達成しようとするときに、最もやってはならないことは先延ばしにすることだ。すべてが「完璧」になったら始めよう、と自分に言い聞かせる人は多い。もちろん、私は学べることはすべて学ぶようにと励ましはするが、それを先延ばしとは言わない。歩き回りながら、「いつか始めよう、おそらく近いうちに。でも、今すぐではない」と考えているのなら、それが先延ばしだ。

 私の『ミネルヴィニの成長株投資』の本を読んだ人から電子メールを受け取った。彼は私のルールに従う「用意ができた」と書いていた。ただし、まずはデイトレードを試しているという。彼は本当に規律を身につけるまで、もっと失敗を重ねておく必要があると感じていた。私の手法に取り組む用意ができるのはそれからだ、というのだ。私はそれがどういう意味かまったく理解できない。理解できたのは、彼がまだ正しい訓練をしようと決めていないということだけだった。

 何かに打ち込むのを先延ばしにすればするほど、もっとあと回しにすることは容易にできてしまう。困難にぶつかりそうになることが分かれば分かるほど、ぐずぐず踏ん切りがつかなくなるのと同じだ。先延ばしを打破するには行動しかない。行動を起こさなければ、何も実現しない。完璧な用意ができたと思うとき、つまり、すべてに対して答えが見つかったと思うときまで待つつもりなら、いつまでたっても始めることはできない。何もしないで失敗をしないでいるよりは、不完全であっても何かをするほうがよい。人は夢を見ることも、プラス思考をすることも、計画や目標を立てることもできる。しかし、行動をしないかぎり、何も実現できない。知識や夢や情熱を持っているだけでは不十分だ。自分の知識で何をするかが重要なのだ。始めるのに最もふさわしいときは今だ!

 居心地の良いところから一歩踏み出そう

 人生では、少ないほうが居心地が良く、多いほうが居心地が悪い、という普遍的な原則があるように見える。可能性は未知の豊かな場所に広がっている。自分にとって居心地の良いところから踏み出すといっても、それは大きなリスクをとるということではない。最初は不自然と感じるか、直感に反すると思うようなことをして、自分の可能性を広げる必要があるという意味だ。だが、まだ泳ぎ方を学んでいるときにアカプルコの絶壁から海に飛び込むかのように、安全でなじみのあるところから直接、まったく不可能と思えるようなところに飛び出す必要はない。これは実力を付けて快適さを獲得していく過程であり、その過程で居心地の良い領域を拡大させていくということだ。

 同心円を描けば、中心の円が現在で、居心地の良いところだ。あなたは中心の「1番目の円」という、すでに知っていることから始める。その最初の段階から、いくらか経験を積んで、自分自身について学び、自分の規律を高め始める。しかし、1番目の円は出発点にすぎない。トレードか価値がある何かで大成功を収めたければ、いつまでもそこに立ち止まっているわけにはいかない。

 楽器の演奏かスポーツができるようになるまでの大変な努力を考えてみよう。それには何時間もの練習と、技術を身につけるのを助ける良い教師やコーチからのフィードバックが必要だ。時間をかけてそれらに専念すれば、ベートーベンの曲を華麗に演奏したり、野球の強打者になれるほどにまで腕が上がるだろう。株式トレーダーとして、自然に感じることから踏み出して、不自然だと感じていたことができるようになれば、それも極めて自然なことになる。とはいえ、1番目の円から4番目まで一気に飛ぶことはできない。必要な時間と労力を費やして、能力と自信を付ける必要がある。スキルと経験という基礎を築かずに先を急げば、災難を招くことになる。

 どんな試みでも、初心者から次の段階に進むとき、まずは1番目の円から2番目の円まで能力を引き上げるものだ。すると、2番目の拡大した円が新たに居心地の良い領域になる。そのときには、おそらく銘柄選別の基準をさらに洗練させて、今では過大なリスクにさらされずに、より大きなポジションを取ることができる。さらに多くの経験と情報を得ると、3番目の円に移り、今度は4番目の円が次の目標になる。これが続いていくのだ。

 ラルフ・ウォルドー・エマーソンが言ったように、「新しい考えによって視野が広がると、精神は元の水準にはけっして戻らない」。同様に、前の限界を超えて自分の能力を伸ばせたら、元の考えという狭いところに戻りたいとは思わないだろう。振り返ると、自分がトレードでいかに成長して成熟したかに驚くだろう。とても難しく不可能にさえ思えたことが、今や自分の手の届くところにあり、新たに拡張した居心地の良い領域になっている。訓練を重ねて規律を身につけると、この新たに獲得した能力は第二の天性と呼べるほど普通になる。このように、何かをものにするには一度に一歩ずつ進むしかない。

 3番目の水準の知識を追求する

 知識には基本的な水準が3つある。1番目の水準は、あるアイデアが他人から提示されたときの知識だ。だれかから何かを聞くと、それを自分の考えと比べて評価する。この情報には複雑な感情を抱くかもしれない。おそらく、同意するところも同意できないところもあれば、どう理解すればよいのかよく分からないところもあるだろう。2番目の水準は、聞いたことが真実だと確信したときの知識だ。今や、それはひとつの信念になっている。信念はアイデアよりも強力だが、まだ最も強い水準の知識ではない。3番目の水準は知恵という認識の最も強力な形だ。これは内面化した知識だ。自分で直接、経験したので、それが真実だと分かっているものだ。

 この本で、あなたは多くのアイデアに接する。私が話していることが真実だと確信すれば、あなたはおそらくそれらを2番目の水準に移すだろう。私は長年にわたって試行錯誤を繰り返し、汗と涙を流してきた。あなたがこれらのアイデアを受け入れて、自分のトレードに取り入れたとき、それらはあなたの知識の一部になり、直感的で無意識のうちに使われて、疑いのないものになる。目標は、訓練と自分の経験を通してのみ得られる3番目の水準の知識、すなわち知恵を獲得することだ。

 近道はない。どんなに多くの本を読み、いかに多くのワークショップに参加しても、経験は増やせない。すぐに大きな成果が得られないからといって、がっかりしないでほしい。いかに多くの知識を吸収しても、いかに賢くても、ウォール街という大学で時間を費やす必要があるのだ。

 私がトレードを始めてから利益を出せるようになるまで、6年もの長い年月がかかった。もっとも、これらの困難な時期を通じて、私は自分の戦略にこだわり続けた。私はまるで魔法の手法があって、それが秘密の場所に隠されているかのように、手法を次々に変えることはなかった。前に述べたように、私は自分で納得できる戦略を決めると、それを実行する能力を高めることに集中した。私はぶれることなく、規律を固く守り、ルールに忠実に従った。粘り強さは知識よりも大切だ。そして、経験から学び続けるかぎり、勝利は粘り強い人々にもたらされる。

 実際にトレードを行うなかで正しい知識を身につけるのは、必ずしも難しいことでも、ストレスを感じることでもない。有益なルールと戦略があれば、まず成功に至るまでの過程を受け入れて、そこから学ぶという展開に身を任せることができる。物事は順調に進んでいて、すべては展開すべきとおりに展開していると信頼できる。

 これからが始まり

 慎重に進めて、ようやく序章の終わりまでたどり着いた。あなたは思い切ってやるつもりがあるだろうか。

 この問いで、私たちはこの議論を始めたところに戻る。あなたは選ばなくてはならない。「勝つか・負けるか」を選ぶという決心をするのだ。まず、あなたは自分が成功に値すると、自分に言い聞かせる必要がある。前にも指摘したが、自分の成功を信じていないために、自分の力を十分に発揮できない人々がいる。それは若いときにしたことで、今は後悔していることに関係しているのかもしれない。あるいは、育ち方に関係があるのかもしれない。いずれにしろ、彼らは自分が成功に値しないという誤った信念体系を持ち続けている。このことに心当たりがある人は、自分を許して過去のことは忘れ、今こそ、前に進むときだ。

 あなたは情熱を傾けて成功するに値する人なのだ。それはあなたが打ち込む価値のある大きな目標だ。あなたは、自分が興味を持ち、あなたの知性を試されるようなことを成し遂げ、またそれを行ったりするのに値する人物なのだ。トレードはもちろんそうした難題のひとつだ。それはどんな金銭的な報酬よりも大きな価値がある。それは自尊心や恐れを乗り越えながら、生涯にわたって自分をコントロールすることを意味する。一方、家名か経歴か教育か、あるいは秘密の「血統」のためかで、自分は成功に値すると思っている人々もいる。マーケットは、それは間違っていると、彼らに教えるだろう。そして、それはおそらく厳しい教訓になるだろう。成功法はただひとつ、必死にがんばることと謙虚であることだ。株式市場では、謙虚でない人々は打ち負かされる運命にある。

 しかし、すぐに変わることはできる。ちょうど喫煙者が最後のタバコを消せば、元喫煙者になれるのと同じだ。あるいは、アルコール依存症の人でも、飲んでいるものを置いて、二度と一滴も飲まないでいることができるのと同じだ。だから、妨げとなる信念や行動を変えれば、変わることができるのだ。責任を引き受けて、今日から始めれば、自分の夢と運命を変えることができるのだ。

 しかし、あなたは最初にどちらかを選ばなければならない。

 並外れたトレーダーになるにしろ、並みのトレーダーになるにしろ、それはあなたが決めることだ。ここで、今すぐに決めよう。今よりも最適なときはない。おそらく、この本を手に取ったのは、そう決めたいからだろう。だから、これまでの人生で経験したことのすべてと、将来達成したいことのすべてが、この瞬間に出合ったのだろう。自分の人生があまり気に入っていないのならば、それは自分以上に他人に影響されてきたからだ。今、決めよう! 決めたら、さあ、第1章のページをめくろう。



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