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バリュー投資アイデアマニュアル [第2版] 得意分野を見極めるための戦略の宝庫

バリュー投資アイデアマニュアル [第2版]

得意分野を見極めるための戦略の宝庫
The Manual of Ideas : The Proven Framework for Finding the Best Value Investments 2nd Edition by John Mihaljevic

著 者:ジョン・ミハルジェビック

監修者:長岡半太郎

訳 者:井田京子


定 価:本体2,800円+税

体 裁:A5判/400ページ

発売日:2026年5月

ISBNコード:978-4-7759-7349-3

  • 目次
  • 著者紹介

あなたに合ったバリュー投資法が見つかる
実に多様で多彩なバリュー投資
ウィザードブック史上、日本株への言及が最大

 著者が編集長を務める「MOI(ザ・マニュアル・オブ・アイデア)」は、世界の一流投資会社やマネーマネジャーにとって最先端のリサーチとアイデアを得るために欠かせない情報源であり、購読者リストはさながら金融業界の著名人の名簿になっている。MOIは、世界のトップマネーマネジャーのためにアイデアを収集・選別し、有望なものだけを絞り込んでくれる「じょうご」であり、一流バリュー投資家が大きな利益につながるアイデアを生み出すときの考えの一端をうかがい知ることができるものにもなっている。

 第2版の本書も、最高のバリュー投資のチャンスを見つけ、分析し、実行するための実績ある枠組みを読者に惜しみなく公開している。ウォーレン・バフェット、ハワード・マークス、ジョエル・グリーンブラットといった100人以上に上るトップファンドマネジャーへのインタビューに基づき、超一流のバリュー投資家の多彩な考え方を初心者にも分かりやすい形で書かれている。ぜひ、自分に合う投資法の基礎となるものを見つけだしてほしい。

 本書の内容は以下のとおり。

  • バリュー投資の魔術師が安くて良い株を探すためのさまざまな方法。ベンジャミン・グレアムの「しけモク」戦略やジョエル・グリーンブラットの「魔法の公式」など。
  • そのほかのテクニック。隠れた投資を持つ会社への投資、小型株や超小型株投資、イベントドリブン投資、スタブ株投資、海外でのバリュー投資など。
  • アイデア創出アプローチの利用と誤用に関する掘り下げた議論と投資候補に問うべき重要な質問。
  • 投資の重要な教訓を明確にし、独自のアイデア創出を具体的に示すリアルタイムのケーススタディー。
  • 世界中のトップファンドマネジャー100人以上との新たな独占インタービューから得た知恵と洞察とアイデア。
  • 主要な概念を明確にし、本書の内容をより利用しやすくする新しい図表。

 素晴らしいアイデアは投資の生命線であり、本書もそのことに注力している。本書を読み、自分だけの新しく、収益性の高いバリュー投資法を編み出してほしい。

9つの戦略マトリックス 投資の本質 資本配分者としての自覚と逆転思考 投資の地平を広げる

+画像クリックで拡大します

本書への賛辞

「敬愛される著者で投資家のジョン・ミハルジェビックによる傑出したガイドは、さまざまな投資家の説得力ある事例とともに、バリュー投資を成功させるための多様な道を鮮やかに照らし出している。普遍的な重要性をもった本書はあらゆるレベルの読者に力を与えてくれる」

――クリストファー・ツァイ(ツァイ・キャピタル・コーポレーション社長兼最高投資責任者)


「本書は時の試練に耐え、私の正当なバリュー投資の本棚に永遠の場所を確保している。ミハルジェビックは、才能ある書き手として、投資を始めたばかりの人だけでなく、生涯の仕事としてきた人たちにも新たな学びをもたらすだろう」

――スコット・ミラー(グリーンヘブン・ロード・キャピタル創業者)


「多くの投資本には、重要な最初のステップである調べる価値のあるアイデアの見つけ方が書かれていない。ミハルジェビックは、世界屈指の投資家たちから得た知恵を、投資アイデアを生み出すための実用的で再現可能な枠組に凝縮した。バリュー投資戦略を掘り下げた本書は、魅力があるのに見過ごされがちな多くの分析候補を常に持っておくためのツールを与えてくれる」

――ロバート・E・ロボッティ(ロボッティ&カンパニー・アドバイザーズ社長兼最高投資責任者)


「バリュー投資は成長株からディープバリューまで幅広いが、核となる原則は1つしかない。本書は、この分野のさまざまな情報源や学派から得た知恵を見事に凝縮している」

――エリオット・J・ターナー(RGAインベストメント・アドバイザーズ最高投資責任者)


「ジョン・ミハルジェビックは、バリュー投資の概念と実践について史上最も考えている1人だろう。本書は彼の考えや、彼が言及する何十人もの大成功を収めた投資家たちの考えに触れたい投資家や研究者にとって必読の書である。これは、バリュー投資の特別に良いアイデアのマニュアルである」

――エドガー・ワッケンハイム3世(グリーンヘブン・アソシエーツ会長)

目次

監修者まえがき
第1版のまえがき――トーマス・S・ゲイナー
第2版のまえがき――ガイ・スピア
序章

第1部 考え方

第1章 資本配分者としての自覚を持つ――資本を最も適切な場所に配置する
パッシブ投資とアクティブ投資
資本配分者の役割
オーナーとしての考え方
銘柄選びの枠組み
本章のポイント

第2章 逆から考える、常に逆にしてみる――勝つためにはまずゴールする
大衆に従う
破綻さえしなければ……
エルゴード性――終わりなきゲームで勝つ
エントロピー――熱力学の教訓
本章のまとめ

第2部 アイデアの創出

第3章 ベンジャミン・グレアム式の割安株――純資産価値が明確なのに大幅に割り引かれているもの
その方法はなぜうまくいくのか
グレアム流投資の利用と誤用
グレアム流割安株を探すためのスクリーニング
スクリーニング後にディープバリューの投資候補を絞り込む
グレアム流割安株を見極めるために正しい質問をする
本章のまとめ

第4章 サム・オブ・ザ・パーツ――複数の収入源がある会社への投資
その方法はなぜうまくいくのか
見過ごされがちな資産を持つ会社への投資――利用と誤用
複数の資産を持つ会社のスクリーニング
スクリーニング後に隠れ資産を探すための実績ある方法
隠れ資産を持つ会社について正しい質問をする
本章のまとめ

第5章 複利成長企業とGARPとグリーンブラットの魔法の公式
その方法はなぜうまくいくのか
安くて良い会社への投資――利用と誤用
安くて良い会社を探すスクリーニング
スクリーニングのあとに――どこまで改善できるのか
グリーンブラット式の割安な会社に関して正しい質問をする
本章のまとめ

第6章 ジョッキー株――素晴らしい経営陣とオーナー経営者と「アウトサイダー」と優れたCEOとともに利益を上げる
その方法はなぜうまくいくのか
ジョッキー株への投資――利用と誤用
ジョッキー株のスクリーニング
スクリーニングのあとに――素晴らしい経営者のリストを作る
経営者に関して正しい質問をする
本章のまとめ

第7章 スマートマネー――スーパー投資家のポートフォリオからチャンスを見つける
スーパー投資家がスーパーなのには理由がある
スーパー投資家のまね――利用と誤用
スーパー投資家が所有している会社のスクリーニング
バフェット村のスーパー投資家
スクリーニングのあとに――スーパー投資家はその会社のどこに魅力を感じたのか
本章のまとめ

第8章 原石――注目されていない小型株と超小型株のチャンス
その方法はなぜうまくいくのか
小型株への投資――利用と誤用
有望な小型株や超小型株のスクリーニング
スクリーニングのあとに――それ以外の魅力ある小型株や超小型株を探す方法
小型株の見通しに関して正しい質問をする 本章のまとめ

第9章 スペシャルシチュエーション――イベントドリブン投資のチャンスを探す
なぜその方法はうまくいくのか
スペシャルシチュエーション投資――利用と誤用
スペシャルシチュエーションを探し出す
スペシャルシチュエーションに関して正しい質問をする
本章のまとめ

第10章 スタブ株――レバレッジの高い会社への投資や投機
その方法はなぜうまくいくのか
スタブ株への投資――利用と誤用
スタブ株のスクリーニング
スクリーニングのあとに――悪徳弁護士もどきの手法
スタブ株に関して正しい質問をする
本章のまとめ

第11章 グローバル投資――自国以外で価値を探す
その方法はなぜうまくいくのか
海外株への投資――利用と誤用
海外株のスクリーニング
スクリーニングのあとに――地域の専門家に便乗する
外国の株に関して正しい質問をする
本章のまとめ

参考文献

監修者まえがき

 本書は、ジョン・ミハルジェビックが主宰するMOIグローバルの知見を基に、代表的なバリュー投資の手法を整理したガイドブックである。初版の邦訳刊行から12年を経て、今回改訂版として再び世に問われることとなったが、その有用性はいささかも変わらない。

 バリュー投資とは、まず投資対象の「価値」を見極めることから始まる。それを市場の評価である「価格」と照らし合わせ、その乖離に基づき判断を下すのである。しかし、本書が示すように、価値の測り方は一意ではない。投資対象や手法によって、その評価法は驚くほど異なり、さらに重要なことに、投資家ごとに導き出される価値は本来異なるのである。

 投資はあくまで目的をかなえるための手段にすぎない。手段は目的から逆算されるのが必定であり、人によって目的が異なる以上、価値判断もまた個々に異ならざるを得ない。

 例えば、将来のマイホーム取得を願う者にとって、REITや不動産関連株は、不動産価格に連動する手段として高い価値を持つ。また、海外移住を夢見る者ならば、居住希望国の通貨や資産が価値を持つだろう。あるいは、病や障害を抱え働くことが困難な人であれば、インフレ耐性があり定期的なインカムを生む資産こそが、ほかには代えがたい価値となる。他人の目には無価値に映るものでも、自身の目的という文脈においては、そこに確固たる価値が存在するのである。

 そもそも、投資には価値判断が不可欠である以上、あらゆる投資は広義のバリュー投資と言える。それは一般には「価値に対して価格が安いものを買う」安全で堅実な手法と理解されているが、バリュー投資の本質はもう一点、その自己統治性にある。

 価格が不特定多数の他人の気まぐれに左右されるのに対し、価値の判断は各人の内面に根ざすものである。つまり、バリュー投資によって、私たちは投資判断とその結末を、赤の他人の手から自分自身の手に取り戻すことになる。このように投資とは、利益追求という1つの旗の下で、全員が同じ方向へ走るような底の浅いものではけっしてない。どこかに儲かる話はないかと外に答えを探す前に、自らの目的は何か、そのために何をすべきかを徹底的に考え抜くことから、すべては始まるのである。

 ゆえに、人それぞれに個性があるように、投資の正解もまた人によって違う。それは無機質な解を求める作業ではなく、経路依存的で極めて属人的なアート(芸術)の側面を持つのである。だからこそ、経済的合理性の世界ではあり得ない「全員が勝利者」という状況もまた成立し得るのだ。私たちが芸術作品の一見不完全な独自性に美を見いだすように、投資には人それぞれの成功がある。多数決の論理で決まる価格ではなく、自らの内にある価値評価によって判断を下すバリュー投資は、投資のあるべき姿を体現するための哲学なのである。

 本書の刊行にあたり、初版に続き丁寧な翻訳を担ってくださった井田京子氏、丹念な編集と校正を施してくださった阿部達郎氏に、心より謝意を表する。また、本書を世に送り出してくれたパンローリング株式会社代表取締役・後藤康徳氏に、謹んで御礼申し上げる。

 2026年4月

長岡半太郎

第1版のまえがき(トーマス・S・ゲイナー)

 著者に本書のまえがきを頼まれたとき、私はうれしく光栄に感じ、その場で快諾した。私は彼の仕事を尊敬しているし、彼との知的交流を高く評価している。それに、彼が執筆しているニュースレター「マニュアル・オブ・アイデア」から長年にわたって大いに学んでいる。

 ミハルジェビックが執筆したものは探究心にあふれ、より良い投資家になるために常に知識と理解を追及している。しかも、彼はそれを自分だけの経験にとどめない寛大さがある。彼は知的で熱心な投資家から学ぶ姿を自ら示して手本となっているだけでなく、それに関する考察まで紹介してくれている。

 彼が学ぶ姿を見ることで、私たちはどうすればさらによく学ぶことができるのかも知ることができる。

 本書には、著者自身のエピソードや、どのようにして現在の地位を得たかについても書いてある。そのセクションを読めば、学びと知識と創造性を追求する姿勢が人の本来の姿、あるいは、あるべき姿を表していることが分かるだろう。

 また、彼には謙虚さがある。投資にはさまざまな考え方があり、会社の価値を理解し、それが将来どう変わるのかを予想するのにもさまざまな手法があることを理解している。そして、その答えが環境や投資額によって変わることもよく分かっている。

 私は、投資家として最も価値ある行動は読書だと思っている。私は小さいころから読書が好きで、そのように育ててくれた両親に感謝している。チャーリー・マンガーも、最高の投資とは本を読むことだと書いている。ほんの何ドルかで、著者があなたのためにその本を書くに至った何年もの経験を手に入れることができるからだという。まったく同感である。

 本書を勧める理由は、投資の技能について体系的に考えるための洞察とモデルと手法を与えてくれるからである。みんな良いバリュー投資家になりたいと思っているが、ツールや手法は人によって違う。しかし、私たちは常に学び、新しいことを取り入れながら向上していくことができるし、そうすべきだろう。

 本書は、まさにその手助けをしてくれる。各章には成功した投資家の取り組みが具体例を用いて紹介されている。投資で成功することは、厳しくて孤独な作業でもある。また、判断の基となる証拠や資料は過去のものだが、リターンは将来得るもので、将来は過去とは異なることと似たことが同時にある一種のパラドックスになっている。

 投資家は、そこを見極めていかなければならない。そしてそのときに、本書で紹介する概念を読み、学び、考えることが助けになる。

 この難問に、楽しみながら挑んでほしい。

(マーケル・コーポレーション社長兼最高投資責任者)

第2版のまえがき(ガイ・スピア)

 私がバリュー投資家として歩み始めてから四半世紀余りが過ぎた。この間に、バリュー投資に関する文献は飛躍的に増えたことは、この分野の真価と成熟を反映している。

 1990年代半ばに、意欲的なバリュー投資家の必読書は限られていた。ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』(パンローリング)、フィリップ・フィッシャーの『株式投資で普通でない利益を得る』(パンローリング)、ピーター・リンチ、ジョエル・グリーンブラット、セス・クラーマンなどの名著、あとはバフェットとマンガーの株主への手紙くらいだった。これらの文献が、投資の原則と実践を理解するための貴重な洞察を与え、しっかりとした基礎を築いてくれた。

 しかし、今日では幸運にも選び切れないほどたくさんの本が出版されており、さまざまな視点やアプローチを網羅した優れた本が大量にある。プラク・プラサドやサイモン・コールドの本のように新しくて強力な分析ツールを教えてくれるものもあれば、ウィリアム・グリーンの素晴らしい本のように偉大な投資家の体験から幅広い人生の知恵を伝えているものもある。

 とはいえ、このような豊富な選択肢にも問題はある。膨大な本のなかから本当に役に立つアイデアをどうやって選べばよいのだろうか。その答えとして、ミハルジェビックの本書以上に優れた案内役はないと思う。この本は、時の試練に耐え、世界の偉大な投資家たちの手法を詳細に示した権威ある指南書として確固たる地位を築いている。 

 ミハルジェビックは、このような本を書くのにまさに適任と言える。彼の投資人生は、イェール大学での厳格な学術訓練から始まった。ここで彼はノーベル経済学賞受賞者で、トービンqで知られるジェームズ・トービンの研究助手を務めた。彼自身はCFA(認定証券アナリスト)を取得し、投資銀行の勤務経験があり、何よりも卓越した投資家でもある。

 さらに、本書の内容はミハルジェビックが設立したMOIグローバルでの活動によって、より充実したものになっている。MOIグローバルは、世界中の最も優れた投資家たちとつながり、彼らから学ぶためのコミュニティーで、過去20年にわたってバリュー投資のリーダーたちの戦略、枠組み、哲学を丁寧に掘り下げ、その知恵を投資を学ぶ人たちのために提供してきた。

 ただ、本書を極めて特別なものにしているのは、その例外的な幅広さと深さにある。ダニエル・ローブのスペシャルシチュエーション戦略から、ジョエル・グリーンブラットの定量的戦略まで、アイデア創出のための幅広い戦略を探求している。また、これらの戦略をただ紹介するのではなく、それを使うための実践的なツールと合わせて複雑な概念を初心者にも経験豊富な投資家にも分かりやすく説明している。

 本書の価値が持続する理由は、市場のトレンドやサイクルを超越する内容にある。トーマス・ゲイナー、ハワード・マークス、フランソワ・ロションを含む幅広い分野の優れた資本配分者への独占インタビューから得た洞察からは、企業統治、株主価値の創造などさまざまなことを学ぶことができる。これらの教えと、多様な投資スタイルの探求が、単なる銘柄選択を超えた総体的な視点を与えてくれる。

 第2版の本書は、すでに強固な基盤のうえに、最新の事例や分析を取り入れ、今日の複雑で変動の激しい市場にも適応するものになっている。彼が強調する再現性のあるアイデア創出のプロセスと、リスク管理にかかわる洞察は今日の投資環境に対応するために特に重要だと思う。

 また、今回追加された「逆転思考」の章は、故チャーリー・マンガーが好んだ概念を取り上げ、投資で成功に至る途中で失敗を避ける方法について書かれている。ミハルジェビックは、この重要な概念を、ハワード・マークスの一次的思考と二次的思考、マイケル・モーブッシンのエクスペクテーション投資、ダニエル・カーネマンの2つの思考モデル、ルカ・デランナのエルゴード性、クリストファー・ツァイが投資に結び付けたエントロピーの法則などの強力なツールやメンタルモデルと巧みに結び付けて紹介している。

 本書を読み進めていけば、これが単なる書物ではなく、最高レベルの講座だということが分かるだろう。本書は、投資の明快で構造的で思慮深いアプローチを教えるだけでなく、投資のスキルを真剣に向上させたい人に指針とインスピレーションを与えてくれる。

 情報があふれる一方で知恵が不足しがちな現代において、本書は規律と深い思考に基づく投資の道を照らす灯台のような存在と言える。投資の成功は正しい株を選ぶだけでなく、正しい考え方と姿勢を育てることだと思い出させてくれる。

 本書は、好奇心と批判的な視点を持って読むことを勧める。本書の教えは、あなたの投資プロセスを向上させるだけでなく、投資そのものに対する見方を変える可能性がある。

 2025年2月 スイス・チューリッヒにて

(『勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語』[パンローリング]の著者)

序章

 バリュー投資は時には孤独な試みだが、その一方でたくさんの友情と、そこから得た新しい経験が私の人生を豊かにしてくれた。バリュー投資の世界は多様で、活気があり、世界中に広がっている。私は、チューリッヒプロジェクト(ファンドマネジャーと資産配分者のためのワークショップ)、アイデアウイーク(サンモリッツで行われる投資家の集会)、ラティスワーク(ニューヨーク市にあるイェールクラブで開かれる知的な投資家のためのフォーラム)、MOIグローバル(知的な投資家のためのリサーチ中心の会員組織)などに深くかかわっていることをありがたいと思っている。

 ウォーレン・バフェットと故チャーリー・マンガーの驚くべき成功をもたらした投資と人生の哲学を信奉する人たちは、世界中のほぼすべての国にいる。彼らの多くは、それぞれの才能とそれぞれの文化とそれぞれの環境で、それぞれのバリュー投資の手法を編み出して成功している。アメリカのクリス・ブルームストラン、カナダのプレム・ワスタ、ドイツのフランク・フィッシャー、スイスのガイ・スピア、スペインのフランシスコ・ガルシア・パラメス、チェコのダニエル・グラディス、インドのラフール・サラオギ、シンガポールのフロリアン・ワイディンガー、オーストラリアのエイドリアン・ワーナー、日本の安治郎などはそのほんの一部である。

 MOIグローバルでは、本書の第1版と第2版の準備として、何百人ものファンドマネジャーに10年以上かけてインタビューを行い、アイデア創出というテーマに関する知恵を探してきた。本書には私がMOIグローバルの会長として学んだことが盛り込まれており、今日、最も成功している投資家たちのアイデア創出のプロセスを垣間見ることができる。インタビューの相手は、チャック・アクレ、クリス・デービス、チャールズ・デ・ボー、ジャン・マリー・エバラード、トム・ゲイナー、ジョエル・グリーンブラット、ハワード・マークス、マイケル・モーブッシン、モニッシュ・パブライ、ボブ・ロボッティ、フランソワ・ロション、チャック・ロイス、トム・ロッソ、ガイ・スピア、マレー・スタール、エドガー・ワッケンハイムといった大物はもちろん、前途有望な次世代のバリュー投資スーパーインベスターのファンドマネジャーからも詳しく話を聞いている。インタビューはラティスワーク(https://www.latticework.com/)やMOIグローバルのYouTubeチャンネルで見ることができる。

 第1章と第2章では、バリュー投資家の考え方に焦点を当て、株をパソコンの画面上でうねる線にすぎないと思っている人たちや、ケインズの美人投票に夢中になってしまう人たちの考え方との違いを見ていく。また、逆転の原則を適応すると投資家は破壊的な失敗を避けられることで、驚異的な成功が可能になることについても述べる。

 第3章から第11章は、バリュー投資のアイデア創出プロセスを分析し、9つの分野に分けて紹介する。これらは、�.哀譽▲犲阿離妊�ープバリュー、�▲哀蝓璽鵐屮薀奪箸遼睨,慮�式、��小型株のバリュー投資、�ぅ汽燹Ε�ブ・ザ・パーツ(隠れた価値)、�ゥ后璽僉偲蟷餡箸�買っている株、�Ε献腑奪�ー株、�Д好撻轡礇襯轡船絅─璽轡腑鵝↓┘好織岾堯↓�外国でのバリュー投資――などである。これらの分野には重複する部分もあるが、投資のアイデアに対するアプローチは少しずつ違っている。各章では、アイデアを生み出すための正しい方法と、誤った方法を検証し、スクリーニングのための洞察を示し、定量的なスクリーニングのあとにすべきことを紹介し、正しい質問をするためのキーポイントを明らかにしていく。そうすれば、アイデアを生み出すための実践的な指針に基づき、本質的なバリュー投資の原則に沿って検討することができるようになる。

 私の投資に関する考え方に影響を及ぼした人すべてに言及することはとてもできない。ただ、特別大きな影響を与えてくれたメンターが何人かいる。まずは、ノーベル経済学賞受賞者の故ジェームズ・トービン教授である。教授は、私がイェール大学で彼の研究助手を務めていたとき、リスクと資産配分に関する彼自身の思考を学ぶ機会を与えてくれた。また、イェール大学のデビッド・スウェンセンCIO(最高投資責任者)が主催する学生とファンドマネジャーが一緒に学ぶ独自のゼミは、私がバリュー投資の道を歩む後押しをしてくれた。アクアマリン・キャピタルCEO(最高経営責任者)のガイ・スピアは、投資と人生にかかわるたくさんの知恵を与えてくれた。そのほかにも、私が手本とするウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガー、ジョエル・グリーンブラット、トム・ゲイナー、モニッシュ・パブライからは、彼らの著作に加えて、MOIグローバルのコミュニティーを通じて学ぶ機会を得た。彼らはバリュー投資の世界に最大の影響を及ぼした人たちであり、その英知を公開してくれたことに大いに感謝している。

 個人的には、ずっと支えてくれている両親と愛するジュディス、私が最も必要としているときに陽気にじゃましてくれる子供たち、マークとミアとマテオに感謝している。

 この第2版を楽しんでほしい。あなたは知恵を求めて生涯学習の道を歩む仲間だと思っている。ぜひ、あなたの考えやフィードバックを聞かせてほしい。

 感謝をこめて。

 2025年2月 スイス・チューリッヒにて

ジョン・ミハルジェビック(john@moiglobal.com)

著者紹介

ジョン・ミハルジェビック(John Mihaljevic)
MOIグローバルの会長兼Latticework.comの編集責任者で、CFA(公認証券アナリスト)。MOIグローバルは招待者限定のイベントや会員向け出版物を通じて、生涯学習への情熱を持つ知的な投資家のコミュニティーを育成している。2005〜2016年までプライベート・パートナーシップのミハルジェビック・パートナースLPを運営し、バリューインベスター・クラブの最優秀投資アイデア賞の受賞経験もある。デビッド・スウェンセン・イェール大学CIO(最高投資責任者)の下で資本配分の訓練を受け、ノーベル賞受賞者ジェームズ・トービンの研究助手を務めた。スイスのチューリッヒ近郊に在住。

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