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『テイラーの場帳トレーダー入門』
2008年8月8日発売
ISBN 978-4-7759-7108-6 C2033
定価2,940円(本体2,800円+税5%)
A5判 上製本 206頁
著 者 ジョージ・D・テイラー
監訳者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子
私のトレーディング手法やトレーディング哲学はジョージ・ダグラス・テイラーが考案した短期売買技術を基礎にしたものが多い。そのため私は短期売買の参考書として彼の著書『ザ・テイラー・トレーディング・テクニック』を読むことを多くの人に勧めてきた。まず、第15章の「アドバイス」を2〜3回じっくりと読むこと。そうすれば、テイラーの言おうとしている主題を理解するうえで役立つと思う。――“マーケットの魔術師”のリンダ・ブラッドフォード・ラシュキ(『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』の著者)
1950年代、シカゴ商品取引所の穀物トレーダーが「場帳による手法(ブックメソッド)」という手引書を出版した。そのトレーダーこそが、本書の著者であり、今や伝説となっているジョージ・ダグラス・テイラー、その人である。テイラーは、穀物市場が3日サイクル(「買いの日」「売りの日」「空売りの日)で動き、そのサイクルは価格の上昇と下落を測定することで追跡可能だという確信を基に、穀物価格の個々の上下動を克明に記録し、その場帳(ブック)を常に持っていた。彼の手法のネーミングはこのブック(場帳)に由来する。穀物価格の上下動を場帳に記入するだけというこの単純な手法が現代の市場でも十分通用することは驚くべきことである。――ジョージ・エンジェル(『ウィニング・イン・ザ・フューチャーズ・マーケット』の著者)
テイラーの手法が画期的だったのは、はじめに価格変動には特定のリズムがあるという見方を取り、立会日を「買いの日」「売りの日」「空売りの日」と3つのパターンに分けたことである。そしてそのリズムを把握するための方法として、独特な場帳の記録方法を用いたのだ。この、チャートに拠らず場帳のみによってマーケットの状況を把握しトレードの意思決定行うというやり方は、著名な相場師の多くが採用している方法でもある。
さて、マーケットにかかわる情報がこれだけ氾濫し、かつリアルタイムの情報が瞬時に世界中を飛び回る現代においても、マーケットの状況を微細に至るまで正確に把握することはだれにもできはしない。つまり、どれだけ優れたトレーダーであっても、状況の把握からトレードの意思決定のプロセスにおいては、かなり大胆なデフォルメがなされていると言ってよいのである。
そのためのツールは、人によっては場帳であったり、チャートであったり、あるいはファンダメンタルズ分析やテクニカル分析であったりするのである。そしてマーケットの状況を正しく把握できるか否かは、そのデフォルメのありようが適切か否かに因る。つまり、各々の分析手法やモデルや道具などが、不必要な情報を排したうえで必要な情報のみを残していれば理想的なのである。
その意味では、テイラーの手法のようにチャートを排し、場帳における特定のパターン認識のみに基づいてトレードを繰り返すというアプローチは、多くのトレーダーにとって迷いの少ない優れた方法といえる。一般に理解されていることとは異なり、判断に利用する情報は多ければ多いほど良いのではない。むしろ十分なだけ少ない必要がある。これは特に初心者と上級者にとっては特にそうである。なぜなら初心者はあまたある雑多な情報のなかで、何が重要で何が重要でないのかの区別がつかない。したがって、その混乱を避けるために情報を絞る必要があるからである。そしてすでにその区別をつけることができる上級者にとっては、情報がはじめから必要なものに限られていることは、迷いを断ち、意思決定を迅速に行うために不可欠な事項である。
本書は裁量トレードにおいて何らかの規範を身につけたい初心者にとって、あるいはすでに一定のトレード経験があるものの多くの情報の処理に戸惑う中級者にとって、共に良い指南書である。多くのトレーダーによって優れていることが実証済みのテーラーの手法を用いることで、読者はマーケットの見方に関して新たな視点を獲得し、トレード技術を飛躍的に向上させることになるだろう。
最後に、本書の出版に当たっては、翻訳者の山下恵美子氏、編集者の阿部達郎氏、パンローリング社の社長である後藤康徳氏に感謝の意を表したい。本書は時間の検証に耐えたトレード手法の優れた解説書であり、日本においても末永く読まれることを願うものである。
2008年7月
長尾慎太郎
このメソッドは市場に対する将来の予測が基本になっている。したがって、例えば、あるトレードについての行動を説明しようと思った場合、近い将来の「動き」も同時に説明しなければならない。
例えば、買いポイント前後の動きを説明する場合、反復説明が多くなるひとつの理由としてはこういった事情が挙げられる。さらに、買いポイント前後の動きを説明するためには、そこに至るまでの動きも説明しなければならない。なぜなら、その動きこそが市場の次なる動きを予測させるためのカギとなるからである。
理論と実践はけっして相反するものではなく、互いを補完しあうものである。理論だけ、あるいは実践だけでは不十分であることは、理論だけ、あるいは実践だけを行ってみればよく分かるはずである。例えば、実践を無視して理論だけ重視すれば、いざ実践の段になると「途方に暮れる」だろう。
理論は分かっていても経験の乏しいトレーダーにとって、このメソッドは実践面での強力な助っ人になり得るものである。一方、これまで運と鋭い観察眼、直感、経験だけを頼りにトレードを行ってきたベテラントレーダーは、本書を通じて若干の理論を身につけることでパフォーマンスの大幅な向上を見込めるはずである。
本書は基本原理に基づく市場予測を基本にしているが、読者は本書に書いてあることを一字一句厳密なルールとして受け入れなければならないわけではない。本書は目標値周辺の動きを長期にわたって観察した結果を基に書かれているため信頼のおけるものではあるが、トレーダーたる者、ひとつの理論にかたくなにこだわってはならない。投機で成功するためには、ひとつのルールにとらわれることなく、状況の変化に応じて変幻自在に自らを変える柔軟性が必要である。しかし、予期したとおりのことが起こったときにどう動けばよいかを知っているトレーダーは、予期しないことが発生したときにもどう動けばよいかが分かるものである。
本書では、あふれんばかりの情報の山から必要な情報だけをかき集めなければならないという労力を読者に強いることがないように、また無駄な時間を使わせることがないように、読者が関心を持ち読者に役立つと思える情報のみをコンパクトにまとめた。
ジョージ・ダグラス・テイラー
監修者まえがき
本書は、ジョージ・ダグラス・テイラーが場帳に基づくトレード手法について著した“The Taylor Trading Technique”の邦訳である。この原書が世に出たのは古く、すでに古典と言ってよいと思うが、テイラーのトレード手法は世に出てから多くのトレーダーに影響を与え、リンダ・ブラッドフォード・ラシュキをはじめとしていまなお多くの支持者を擁している。
序文
本書を執筆している最中に感じたのは、投機というきわめて実践的な題材を理論的に説明することの難しさである。
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