発行書籍一覧 > パンローリングライブラリー一覧 > ← / →
リチャード・D・ワイコフ 定価 本体648円+税 文庫判 約288頁 2009年2月14日発売 ISBN 978-4-7759-3067-0 C0133 ★ワイコフ3部作、文庫復刊!★
No.1『板情報トレード』 No.2『スイング売買の心得』 No.3『相場勝者の考え方』
原書 『STOCK MARKETTECHNIQUENumber Two』
著者のリチャード・D・ワイコフは、伝説の投機家ジェシー・L・リバモア(『孤高の相場師リバモア流投機術』)やジョージ・D・テイラー(『テイラーの場帳トレーダー入門』)とほぼ同時代を生きたトレーダーだ。
1929年のバブル崩壊後、大恐慌期のアメリカで、短期売買の正しいテクニックを一般的に広めるために創刊された雑誌『ストックマーケットテクニック』。同誌の発行には「大恐慌の悲劇が繰り返されないように」という強い思いがあった。事実、1929年の高値から33年の安値まで、ダウ平均は87%ほど暴落し、回復するまでに約20年を要したのだ。
本書は米国の真剣なトレーダーたちから支持された雑誌の重要な記事を抜粋して構成されている。したがってどこから読んでもかまわない。主な内容は次のとおり。
●値動きの原理 ●他人の意見に左右されることの愚 ●損切りの重要性 ●トレード実践での心構え
ここには、ワイコフが伝えようとした「相場の短期的変動から収益の蓄積を狙う株式トレード」の哲学が凝縮されている。『新マーケットの魔術師』でインタビューされたリンダ・ラシュキをはじめ、多くの「マーケットの魔術師」たちから尊敬されているワイコフ。ぜひ彼の金言をトレーダーとして自立するために生かしてほしい。
※本書は『ワイコフの相場大学』(パンローリング刊)を文庫化したものです。
■スプリング反転パターン 『究極のトレーディングガイド』(ジョン・R・ヒル著) P.161より
スプリングやアップスラストという概念はR・D・ワイコフが最初に提唱したもので、スプリングとは、買いが売りを上回ることを意味するもうひとつの表現である。この概念に従ってできるかぎりトレードを機械的なものにするために一連のルールが考案された。その基本ルールとは、①価格が先の安値を割り込んで新安値をつけ、すべてのストップを一掃する、②売り物で尽くしのところに玄人筋の買いが入ると値が大きく飛ぶ、③これが直近2日間の終値を上回る長大陽線となる――というものである(左図参照)。
※スプリングのルールやアップスラストの詳細等については、『究極のトレーディングガイド』をご覧ください。
彼は「トレード(投機)」と「投資」を完全に分けて考えており、彼自身のやり方を「投機」であると自ら認めたうえで、いかにして株式投機で成功を収めるかについて言及している。もっとも、彼は投機をギャンブルとは考えておらず、科学的な方法に則って行うべきビジネスと位置付けている。
ワイコフのトレード手法の特徴は、ティッカーテープ(現在でいうところのティックデータと解釈していただいてかまわない)の解読に尽きるであろう。つまり、直近の株価や出来高の動きから需要と供給を読み取り、将来の株価の動きを予測することにある。
ただし、ワイコフは単にチャートのパターン(形状)によって値動きを予測するチャート信奉者ではない。例えば、多くの銘柄の状態から相場全体のトレンドを判定し、そのうえで最良の銘柄を選択する方法についても解説を行っているのだ。これは、過去の値動きを徹底的に研究し尽くしているからこそ可能なことであり、単なるテクニカル分析の枠を超えて、現代でいうシステムトレードに通ずるものがあるのではなかろうか。
様々な価格データを瞬時に入手することのできる現在ならまだしも、本書は実用的なコンピュータの存在しない80年前に書かれたものであるというから驚きである。これだけの研究を行うために彼がどれだけの時間を費やしたのかは想像に難くないであろう。
本書には、トレードで利益をあげるために必要なほとんどのことが書かれている。しかし、基本から順を追って解説しているというよりは、むしろいたる所にヒントが散りばめられているといったほうがよいかもしれない。本書を何度も読み返し、そのなかから必要な情報は自分自身で読み取ることをお勧めしたい。
本文の執筆時点では、世界同時株安が起こったばかりであり、偶然にも本書『相場勝者の考え方』が書かれた前後に発生した大恐慌と状況が酷似している。
読者の方々はこの状況をチャンスととらえ、ぜひとも本書を参考に今後の相場を乗り切っていただければ幸いである。
※DVD 斉藤正章のデイトレ戦略!! 「日経225先物自動売買システムトレードセミナー」