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ウィザードブックシリーズ Vol.188

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ワン・グッド・トレード
シンプルな戦略に裁量を加味して生き残れ




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『裁量トレーダーの心得 初心者編』 NEW!!

『一芸を極めた裁量トレーダーの売買譜』

2011年11月発売/A5判 590頁
ISBN 978-4-7759-7155-0 C2033
定価 本体5,800円+税


著者 マイク・ベラフィオーレ
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子

News!!
"Stock Trader's Almanac 2012" 年間優秀書籍の一冊として、本書が掲載されました!

著者紹介 | 目次 | 関連書籍  ◆立ち読みコーナー 監修者まえがき ・ はじめに ・ 第13章 (本テキストは再校時のものです)
原書

『One Good Trade』

プロップファームでは「普通の人が普通の戦略を使ってトレードしていた」!!
「トレードする銘柄」はそのときそのときに1つあれば十分
システムと裁量の絶妙なサジ加減で、デイトレードは今も儲かっていた!
ついでに、システムトレードのカモり方教えます!

プロップファーム(トレーディング専門会社)はいまや米国の株式取引全体の50%から70%を占めると言われている。プロップファームがウォール街のほかの会社と大きく違う点は、顧客を持たないことで、会社の共同経営者と従業員のためにのみトレーディングを行っているということである。つまり、会社が顧客というわけだ。プロップファームの利益は、会社がその会社のトレーダーに賭けたお金からのみ生み出される。トレーダーが間違えれば、会社は損失を被り、トレーダーが正しければ、利益を得る。プロップトレーディングの世界は精神的にも心情的にも厳しいが、良いトレード銘柄を見つけ、タイミングよく利食いし、損失を限定するという極めてシンプルな戦略さえ理解していれば、得られるものは大きい。

本書では、著者のマイク・ベラフィオーレが友人と共同設立したプロップファームの内情を明らかにしながら、プロップトレーディングの問題点や成功するトレーダーと退場するトレーダーの違いを解明していく。彼の会社で開発したスキルや戦略をどう活用すればトレーディングを成功へと導くことができるのかは、本書を読み進めていくうちに明らかになり、個人トレーダーにとっては大いに参考になる。

プロップトレーディングの世界を紹介しながら、プロトレーダーの成功の秘訣と、著者がこれまでのトレーディングキャリアを通して学んできた市場に関する重要な教訓を、いろいろなタイプの人物を例に取って示していく。彼らの一部は成功しているが、多くは退場していく。彼らの成功例や失敗例は個人のトレーダーにとっても貴重な教訓になることばかりである。また、レンジ相場からのブレイクアウト、支持線・抵抗線プレー、揉み合いパターンなどの簡単で分かりやすいトレーディング戦略も豊富に紹介されている。

もっと重要なのは、トレーディングを成功に導くために不可欠なスキルであるにもかかわらず見落とされることの多いスキルの説明だ。これらのスキルには、〇埔譴鮠錣亡道襪靴覆らトレーディング機会を見つける、規律に従ってトレードを執行する、リスク・リワード・レシオを考慮したうえでの合理的な賭け、ぅ肇譟璽瓢饂困療切な管理――などが含まれる。

また、システムトレード全盛の時代にあって、システムにすべてお任せではうまくいかないことを実践のなかから会得したベラフィオーレのプロップファームは、裁量をどのように加味すればよいのかについてや、さらに、システム特有の欠点を突いてシステムトレーダーから利益をかすめ取る方法まで編み出している。

優れたトレーダーになるには、「規律」「トレーディングのセットアップを記載した分厚いプレーブック」「豊富なトレーディングスキル」が不可欠だ。本書では、個人トレーダーにも必須のこの3つのスキルを身につける方法が詳細に分かりやすく示されている。

■本書への賛辞

「一流プロップファームの内情はどうなっているのか。彼らは戦略をどのように開発し、新人トレーダーをどのように教育し、ストック・イン・プレーをどのように選び、トレーディングという心理ゲームとどう戦っているのか。プロップファームというプロの世界のことを知りたい人にとって、本書は最高の書籍だ」
――コーリー・ローゼンブルーム(CMT[米テクニカルアナリスト協会公認資格]、トレーダー心理サイト『アフレイド・トゥ・トレード』の社長)

「ボラティリティの高い今日の市場で成功するトレーダーになるためには何が必要なのかを、劇場の最前列の席で見ているような分かりやすさで伝える本書はほかに例を見ない。途方もないほどの富を得るトレーダーもいれば、大失敗するトレーダーもいる。その理由が実例をふんだんに使ってストーリー仕立てで説明されている。向上心のあるトレーダーにとって、本書は偉大な教訓のぎっしり詰まった宝箱のようなものだ」
――ティム・バークィン(トレーダーインタビューズ・ドットドムの共同創立者)

「本書はプロップトレーディングの世界の内幕を明らかにしたたぐいまれな本だ。トレーディングを始めたばかりの人にとって、トレーディングで成功するため必要なこと――には勤勉、復活力、規律、継続的な内省、自分自身に試練を与え適応する勇気――を知る貴重な1冊になるだろう」
――ジェイソン・ガードナー(カーシュナー・トレーディング・グループのCEO兼トレーディングヘッド))



■著者 マイク・ベラフィオーレ(Mike Bellafiore)

ニューヨーク市にあるプロップファームのSMBキャピタルの共同設立者。SFOマガジン誌にトレーディングに関する記事を多く発表するとともに、CNBCとザ・トレード・ドットコムにレギュラー出演、初のネット専門の経済テレビネットワークであるストックツイッツTVでも4つの番組のホストも務める。

彼のトレーディング戦略はスティーンバーガー博士の『悩めるトレーダーのためのメンタルコーチ術』(パンローリング)で紹介され、彼のトレーダートレーニングプログラムは雑誌やテレビで特集を組まれた。また、SMBブログでマーケットの話題やトレーディングに関しての助言を定期的に執筆している。ニューヨークで開催されたトレーダーズエキスポ2009では講演を行った。コネチカット大ロースクール卒業。

◎ブレット・N・スティーンバーガー博士による本書への賛辞

「プロップトレーディングの世界と、生涯にわたる成功を達成するのに必要なことを、これほど正直に紹介している本はほかにはない」

■目次

監修者まえがき
はじめに
謝辞

第1部 プロップトレーディング会社ってどんなところ?

第1章 やつらはすごい
プロップトレーディングの世界へようこそ/会社の最大の資産――それはトレーダー/確実に利益を出せるようになることが出発点

第2章 ワン・グッド・トレード
悪い売りとは/あなたは投資家ではなくて、トレーダーなのだ/7つの原則/適切な準備/勤勉/忍耐力/各トレード前に綿密な計画を立てる/規律/コミュニケーション/重要なトレードの再現/マネー・メーカーのワン・グッド・トレード

第3章 適合性
どんな人が採用されるのか/採用手順/プロップファームは次の偉大なトレーダーを必ず見抜けるのか/ベテラントレーダーの採用に関する賛否両論/そのトレーダーに合う会社/自分に合う会社


第2部 成功のためのツール

第4章 成功のピラミッド
まずは独創性を捨てよ/学習曲線を耐えよ/毎日良くなるように努力する/思慮深い質問をせよ/トークショップ/日々の作業計画を作成せよ/敗北からの復活/過ちを繰り返すな/市場を軽んじるな/基本的なプレーを習得せよ/注文を素早く出せるようになれ/全神経を集中させよ/感情の制御/耳寄りな話

第5章 トレーダーはなぜ退場するのか
市場の声を聞かない/トレーディングが好きじゃない/逆行しても損切りしない/非現実的なことを期待する/お金を稼ぐよりも正しくあろうとする/自分は投資家ではなくトレーダーであることを忘れるな

第6章 明日もトレードするために生き残れ
Jトーマ――奈落の底からCNBCのスターへ/予測ばかりするのはやめよ/自分を信じる/自分自身をクビにする/急ぎすぎる/だれでもオーガスタの会員になれるわけではない


第3部 技術を身につけよ

第7章 ストック・イン・プレー
「ストック・イン・プレー」とは?/良いデイトレード向き銘柄とは?/なぜストック・イン・プレーをトレードするのか/正しい銘柄を選ぶことの重要性/ブラックボックスアルゴリズムは恐るるに足らず/学習曲線の短縮/ストック・イン・プレーの見つけ方

第8章 テープリーディング
テープはあなたに語りかけてくる/私には夢がある/免れた損失/高頻度トレーディングとの戦い/テープリーディングの基礎/ツールボックスにもっとプレーを入れておこう/リスクを限定しながらタイミングよく「増し玉」する/チャートと恋に落ちる/テープはどう読めばよいのか

第9章 スコアリングで利益を最大化する
日中の最大損失を設定する/時間帯に基づくトレーディング/堅実性/適切なサイジング/比較は百害あって一利なし/頭の回転を速くせよ/最後まであきらめない/トレードの正しい側に立つには時間がかかることもある/条件分岐を設定する/自分にとっての最高のプレーを知る/スランプから抜け出す方法/チータとトレーダー


第4部 トレーダーの脳の中身

第10章 トレーダー教育
トレードの見直しにはビデオを使う/一流のトレード心理学者のテクニックを学ぶ/メンタリング(指導)/デスクのトレーダーから学ぶ/そしてもちろん、私たちには豊富な資金がある/トレーディングルールは断固して守らせる/プロップデスクでの冗談の言い合い/トレーダーの統計量/シークレットプロジェクトX――トレーダーを上達させるための最新兵器

第11章 最高の教師
今の自分に満足するな/高い意欲を持て/物事は明確に伝えよ/まずしっかりとした基礎を築き、その上に積み上げていく/あなたはトマトと言い、私はトメェートと言う/自分の内面を見つめる/忍耐力を鍛えよ/タフになれ/犠牲の精神を持て/揺るぎない価値観を持て/生徒を信じる/学ぶことに終わりはない

第12章 市場への適応
アジアの金融危機/インターネットブーム/2001年の戻り/9.11/2000年代初期の弱気のサイクル/スプレッドの縮小/そしてハイブリッドの時代はやってきた/上昇相場/住宅ローン危機/原油価格とガス価格の急騰/崩壊の淵に立つ金融界/ETFの爆発的人気/sTrades2Hold

第13章 成功するトレーダー


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■監修者まえがき

 本書はマイク・ベラフィオーレによる“One Good Trade : Inside the Highly Competitive World of Proprietary Trading”の邦訳である。ベラフィオーレはニューヨークにあるプロップハウスのひとつSMBキャピタルの共同経営者であり、彼自身もトレーダーである。したがって、これはプロップハウスについて専門家が書いた非常にけうな書籍ということになる。プロップハウスは日本ではその存在さえほとんど知られていないし、ましてや一般の投資家がその内情について知る機会はまったくないと言ってよい。その意味では、原著が2010年に出版されたばかりで、その解説書が迅速に翻訳されて日本で読めるようになったことは大変意義のあることだと思われる。

 さて、ベラフィオーレの経営するSMBキャピタルでは、テープリーディングに基づいて米国株をデイトレードしている。その中心になるのは一方向に走りやすい特性を示す銘柄を選択したうえでのモメンタムトレードである。このトレード手法では、銘柄やユニバースを固定したうえで行われるほかの多くのトレード手法とは異なり、速い動きを見せる銘柄の特定さえ適切であれば、基本技しか知らない初心者でもなんとか利益をたたき出すことが可能である。その具体的なやり方は多くのページを割いて著者が解説している。

 しかし、本書が真に素晴らしいのはそういったスペシフィックな技術の解説だけにあるのではない。ベラフィオーレが情熱を持って書き下ろしたのは、トレード技術を他人に学びながら効率良く習得していくにはどうするのが一番良いのか、という教訓なのである。つまり、本書はトレードにおける「学び方」の教科書なのだ。

 ここで、「なんだ、勉強の方法ぐらい自分はすでに知っている」などと言ってはいけない。私の知るかぎり、実際にはトレード技術の正しい学習法を知っている入門者は少ない。なぜなら、トレードは一見特殊な知性や能力を必要としないように見えるために、それが基礎的なことから繰り返し練習して身につけていくたぐいの技術であると認識されることがないからだ。それゆえほとんどの人は、表面的な知識を得ただけですぐにそれができるかのように錯覚してしまうからである。

 ベラフィオーレは本書で、トレード学習の成功例、失敗例を多く挙げることによって、あるべき師弟関係や正しい学習態度についての解を示した。トレードは技術であり、したがって良き師匠について謙虚な態度で修練を続ければ、だれにでも習得可能なものなのだ。それはありとあらゆる技術体系において成立する普遍的な真理でもある。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山下恵美子氏は正確な翻訳を実現してくださった。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2011年10月

長尾慎太郎




■はじめに

 2008年の秋、米国の金融システムがまさに崩壊寸前というとき、23歳の知り合いのプロップトレーダーの1日の稼ぎは3万ドルに達しようとしていた。1998年を振り返ると、大手銀行を解雇された20歳そこそこのプロップトレーダーたちは、チャートやCNBCを見ることもなく、ニュースフィードもなく、ある者はエアコンさえない部屋で、1日に1万ドルから2万5000ドル以上を稼ぎだしていた。1998年から現在までの間に何が起こったのだろうか。それは、インターネットブームの到来と技術の進歩である。これによってプロップトレーディングは爆発的に増加した。ところが、プロップトレーディングについて書かれた本は皆無だった。本書は記念すべき第1号ということになる。

 4年前、私は子供時代からの友人であるスティーブ・スペンサーとプロップトレーディング会社を立ち上げた。電話もなく、無からスタートした私たちの会社SMBキャピタルは、今では60人以上のトレーダーを抱えるまでに成長した。本書にはこの12年間にわたって市場がプロップトレーディングについて私に教えてくれた貴重な教訓がすべて含まれている。市場から得たこれらの教訓を、実在のトレーダーの実例を交えながら読者のみなさんに分かりやすく紹介していく。登場するトレーダーのなかには少数ではあるが成功した者もいるが、ほとんどは失敗している。

 まず第1章では、マネーメーカーに代表される成功したトレーダーの例を見ていく。元プロゴルファーのマネーメーカーは人並みはずれた集中力の持ち主だ。その集中力で日々市場を打ち負かしている。ベールに覆われてきたプロップトレーダーの世界の内側を知ることで、どういった人がプロップトレーダーとして雇われるのか(典型例としてジョー・バイデンの話を紹介)、われわれはどうトレードしているのか(これは市場ごとに異なる)、トレードする銘柄をどう選択するのか(パフォーマンスは選んだ銘柄によって決まる)、ゲームの流れを変える市場の基本原理(ワン・グッド・トレード)、私たちの優れたトレーディング技術(これこそがトレーディング)が分かってくるだろう。成功するプロップトレーダーになるために本当に重要なものが何なのかは、これらを通じて自ずと明らかになるはずだ。

 トレーディングとは一言でいえば、技術を磨き、規律を守ることに尽きる。ところが残念なことに、予測し、増し玉し、保有することで「ザ・マン」になることがトレーディングであると思っている人があまりにも多い(このあと紹介するクラビーは、原油の上昇を予測したにもかかわらず、1セントも儲けられなかった)。常に利益を出すトレーダーは、正しい準備を行うといった小さなことを毎日コツコツやる人だ。これが結果に影響を及ぼすのだ。

 プロップファームの共同経営者として、私は今では自分の時間のかなりの部分をトレーダーの教育に費やしている。もちろん今でもトレーディングは活発に行っているが、今の私はトレーダーというよりもむしろトレーディングコーチと呼ばれるにふさわしいかもしれない。本書では、私が自分の生徒に教えていることと、わが社のトレーダーたちから学んだことを紹介する。例えば、適応することの重要性だが、経験豊富なトレーダーであるポイント・アンド・クリックは適応能力がなかったために今ではニュージャージーで保険を売っている。

 プロップトレーディングの世界において私が注目したもののなかには、私自身やほかのプロップトレーダーたちの犯した過ちも含まれる。偉大なトレーダーは優れたパフォーマーだ。そして、優れたパフォーマーは日々進歩しようと努力する。トレードする日は市場から学ぶ絶好の機会なのである。私を含むプロップトレーダーの犯した過ちは、われわれが進歩できるようにと市場がわれわれに与えてくれたプレゼントのようなものだ。読者のみなさんにはわれわれの失敗から多くのことを学んでもらいたい。

 本書ではプロップファームがどう運営されているのかを、わが社SMBキャピタルを例に取って説明する。SMBとそのトレーダーたちはテレビドキュメンタリー「ウォール・ストリート・ウォーリアーズ」で特集されたことがあり、CNBCにはレギュラー出演しており、ストックツイッツTVでは4つのレギュラー番組を持っている。SMBはとても楽しい場所だ。本書では共同経営者の立場からさまざまな学習経験やエピソードを紹介する。

 常に思うことだが、トレードすべき銘柄を知らないトレーダーがあまりにも多すぎる。本書では、ストック・イン・プレーの見つけ方について説明する。また、新人トレーダーの多くはテープ(レベル2スクリーンの右側に表示されるリアルタイムの取引リスト。その銘柄に関するすべての取引状態が時々刻々と表示される。タイム・アンド・セールス・ウィンドウとも呼ばれる)の読み方を知らない。これが結果にどんな悪影響を及ぼすかについても説明する。また結果を変えるための技術についても紹介する。

 ある講演を行ったあと、粋な身なりの紳士からプロップファームで働くことの利点について聞かれた。これについては1章を使って答えていく。また新人トレーダーはスーパートレーダーから学ぶのが一番良いとよく言われるが、この神話のウソを暴いていく。新人トレーダーや成長過程にあるトレーダーがパフォーマンスの向上を図るためには、「スコアリング」の方法を理解する必要がある。さらに、損失を限定する、スランプを脱する、自分にとってベストなものに集中することも重要だ。

 プロップデスクで働くことは多くの人にとっての夢だ。しかし、その夢の仕事を手に入れたあと、どうすれば成功できるのかを彼らは知らない。ブルームバーグ、CNBC、フォックステレビではプロたちが得意げに持論を繰り広げる。しかし、新人トレーダーたちの多くは情報に圧倒され、どうすれば進歩できるのか皆目見当もつかない。第4章では、UCLAのバスケットボールチームの名コーチだったジョン・ウッデンの昔ながらの教授法を使った貴重な方法を提示する(成功のピラミッド)。

 市場の基本は、これまでのトレーディングと指導の経験を通じて、私の上司である母なる市場によって私の頭の中に叩き込まれてきた。市場の基本を知らないトレーダーはカチカチと音をたてる時限爆弾のようなものだ。われわれにとって1つひとつのトレードがワン・グッド・トレードでなければならないのはそのためだ。デューク大学のバスケットボールチームのコーチであるシャシェフスキーはプレーヤーたちに「次のプレー!」とエールを飛ばす。SMBではわれわれは常にワン・グッド・トレードを意識する。1にワン・グッド・トレード、2にワン・グッド・トレード、そして、3にワン・グッド・トレードだ。われわれはトレードを評価するとき、ワン・グッド・トレードを構成する7つの原則に従ったかどうかで評価する。

 この12年間、私はいろいろな市場を乗り切ってきた。それぞれの期間ごとに最もうまくいったセットアップを紹介する。最も重要なのは、これほど多くの市場でなぜ利益を出すことができたかである。それはそれぞれの市場に合った方法でトレードしてきたからである。つまり、適応力である。

 トレーディングの世界へようこそ。この世界は、自分で意思決定することができ、毎日が新鮮で、利益に上限はなく、おもしろい仲間もたくさんいる。私にとってプロップトレーディングほど素晴らしい仕事はない。

 成績があまりかんばしくない成長過程にあるトレーダー。将来トレーダーになろうと考えている人。本書はそんなあなたのために書かれたものだ。成功するのに必要な無数の小さなことを教えてくれたのは市場だ。これらの多くは、持てる能力を十分に発揮できていない人々が軽視していることだ。生き馬の目を抜く熾烈なプロップトレーディングの世界は、母なる市場が要求する技術のすべてを極めたエリートパフォーマーだけが堪能できる愉快でスリル満点で魅力的な世界だ。これよりこの世界の内側をご案内しよう。



■第13章 成功するトレーダー

 現在SMBキャピタルで教えているトレーディングシステムは、市場のさまざまな変化を経験するなかで絶えず見直してきたものだ。私たちはストック・イン・プレーをトレードする。私たちは日中に見つけた重要な水準――つまり売り手と買い手の間で取引が最も盛んに行われる価格――を中心にトレードする。ブルとベアが壮大なせめぎあいをしている個所を探す。一定の価格で多い出来高が発生するのを見つけたら、それが私たちがトレードする水準だ。この水準を上回ったら買い、下回ったら売る。

 市場にあまり動きがないときのお勧めのプレーがスキャルピングだ。決算発表時期やトレーディングが活発化する時期は、重要な日中の水準を見つけ、その近くでポジションを建てることを勧める。そのトレンドが日中に破られるまでそのポジションは保持する。これがTrades2Hold戦略だ。しかし、私たちのシステムは必要があれば明日にでも変える準備は常にできている。これがトレーディングなのだ。

 今はデイトレーダーにとって最高の時期だ。ビル・キャラが彼のブログ、キャラ・コミュニティ(http://carecommunity.com/)で最近書いたコメントは、プロップデイトレーダーである私の琴線に触れるものだった。「『けっして』という言葉は使うのも聞くのも好きではないが、『バイ・アンド・ホールド』の時代はけっして戻ってきそうにない。グローバル化、電子通信、リアルタイムの執行システムなどの導入によって、トレーディングの世界には永続的な変化がもたらされた可能性が高い」。これが本当なら、私の電子取引技術の価値は今後ますます高まっていくはずだ。

 世界中がつながり、データ(特にトレーディング関連のデータ)の転送速度が向上した今、米国の電子株式トレーダーがデイトレード戦略を使ってハンセン、上海、日経などの各指数をトレードできない理由はない。SMBではトレーダーたちにこうした機会を提供できるように取り組みを始めている。ドバイワールドの破綻後、アジアをトレードしていれば、どれほど大儲けできていただろう。私たちの目の前に広がる新たなトレード機会を想像してみてほしい。

 私は自分のトレーディングに自信がなくなることがよくある。このことをスペンサーにメールで話したことがある。スランプは5日から7日続く。何をやってもうまくいかない。もうこれでおしまいなのか。それとも踏ん張るべきなのか。時折こうした思いに駆られながら、私はこの12年間を生き抜いてきた。これからの10年も、またこんな思いに時折悩まされながらトレードを続けていくのだろう。これまでいろいろな市場を乗り切ってきたが、市場を前にするといつも身の引き締まる思いがする。

 こうした思いはスランプの時期には持つべきではないと思うが、成功するトレーダーのほとんどがそうであるように、私は最初は自分に厳しい。そして何時間かたつと、落ち込むことに疲れてくるため、スランプを抜け出す方法を考え始める。

 次の皮肉めいたツイートは、2009年末にスランプに陥っていたベテラントレーダーについて書かれたものだ。

 Omarm784@smbcapital:同じデスクのベテラントレーダーたちは、トレーディングが難しくなったと言って最近たくさん会社を辞めていった。あなたもトレーディングが難しくなったと思う?  私はそうは思わない。Jトーマが話してくれた保守的なトレーダーにまつわるエピソードをひとつ紹介しよう。彼と同じトレーディングクラスのひとりが共同経営者の会社に行き、辞めたいと申し出た。そのとき彼は次のように言った。「今の市場にはもうトレードできるチャンスはない。だからどうトレードしようと儲けることはできない」。彼が辞めたのは1998年9月で、インターネットブームが始まる直前のことだった。辞めたクラスメートが父親のプラスティック工場で働いている間、Jトーマは100万ドル以上儲けた。

 私がスランプを脱する方法はいつも同じだ。まず最大サイズを減らし、自分にとって最高のトレーディングセットアップに集中し、数字を出していくだけだ。私が集中的にトレードするのはその市場で私にとって最もうまくいくトレーディングパターンだ。これを数日間続ける。2回目にプラスになった日、私は自信を取り戻し、スペンサーにメールで辞めると言ったことなどすっかり忘れている。そしてその翌日は少しだが前日より良い結果が出る。そしてその翌日も前日より少しだけ成績が上がる。気がつくと、3週間連続してプラスの日が続いている。今はやや自信過剰気味になり、自信を少し抑えなければならないほどだ。

 私は市場に適応し、その時点で自分にとって最もうまくいくトレードのみに集中する。そしてそれらのセットアップのリストを作る。あとはそれに従ってトレードするだけだ。リスクを管理することで、勝ちトレードが自然に現れるようにする。金融番組ではだれも話さないようなことでも、お金儲けに関係することならどんなに小さなことにもこだわる。自信を取り戻し、自分を立て直す。私が12年間プロトレーダーでいられたのはこうしたことをやってきたおかげだ。

 12年のキャリアを通じて、ほとんどは必要に駆られてのことだが、私は常に自分に再投資してきた。レラティブ・ストレングス・トレーダーから始め、次は買いバイアスのモメンタムトレーダー、そして押し・戻しトレードを習得し、次は逆張り、上昇トレンドプレー、そしてショートサイドからのモメンタムトレーディングも習得した。買い気配値と売り気配値のスプレッドの縮小を克服し、市場のハイブリッド化に順応し、NYSE(ニューヨーク証券取引所)株のトレードも取り入れ、空売りを学んだ。インターネットバブル期に私のスイングトレードはまったく機能しなかったが、市場を呪ったりはしなかった。その代わりに、モメンタムトレードを学んだ。インターネットバブルが崩壊しても自分を哀れんだりはしなかった。何回かの歴史に残る押しや戻しをプレーすることで1年間を何とか耐え抜いた。市場の停滞期におけるスキャルピングは私には向かなかった。その代わりに逆張りで利益を出し、そのおかげでトレーダーとしても成長することができた。2009年、モメンタムトレーディングが機能しなかった。Trades2Hold戦略を考案したのはそのためだ。

 スランプに陥ってもそこから抜け出す方法は必ずある。ただし、その方法を見つけるためには、鏡に映った自分の姿を見て、何がうまくいかないのかを考え、うまくいくパターンを見つけださなければならない。一貫して利益を出すトレーダーになったあとでも、自分のシステムは常に手直しし続けることが重要だ。プレーは毎週、毎日、場合によっては日中でも微調整する必要がある。これがトレーダーの生き方なのだ。

 8分の1の時代や寄り付きから引けまでに25%動いたIT株を懐かしむのではなく、市場の変化に感謝しなければならない。市場は変化するたびに、あなたをトレーダーとして成長させてくれるのだ。あなたの口座を破産させないものがあなたをトレーダーとして成長させてくれるものだ。

 失敗した人の例や第1章の「やつらはすごい」から学んだように、トレーディングとは技術と規律を身につけることである。第10章の「トレーダー教育」で見てきたように、今の新人トレーダーは本当に恵まれていると思う。トレーニングによって学習曲線を短縮することができ、トレーダーとしてどれくらい良くなれるのかを知ることができるからだ。本書では、母なる市場に耳を傾けること、そして市場のルールに従うことが短期トレーダーにとっていかに重要であるか、また予測がいかに無意味なことであるかを再三述べてきた。偉大なスポーツ選手と同様、成功するトレーダーはワン・グッド・トレードのような基本を大事にする。息の長いトレーダーになる人は、成功のピラミッドで見たように小さなことを毎日たくさん行う。この積み重ねが常に利益を出すトレーダーと市場から排除されるトレーダーとの違いを生むのだ。

 今ここでこうして本書を執筆しながら、この12年間のことを思い出している。この12年間、いろいろな市場でトレードしてきた。難しい時期のマーケットもあった。不安になるほど長期にわたってまったく利益が出せない時期もあった。それでも明日もトレードを続けるために私は戦い続けた。私が今のようにバランスの取れたトレーダーになれたのはそのおかげだ。私はウォール街で一番のトレーダーではない。それにはほど遠い。しかし、目の前にどんな市場が現れてもうまくトレードできる技術は身につけた。これまでの人生で成し遂げてきたことのなかで、これほど大きなものはない。読者のみなさんが成功するトレーダーになることを心より祈っている。

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参考書籍


一芸を極めた裁量トレーダーの売買譜

魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門

投資苑

スイングトレード大学

スイングトレード入門

ゲイリー・スミスの短期売買入門

マーケットの魔術師

新マーケットの魔術師

規律とトレーダー

ゾーン

トレーダーの心理学

悩めるトレーダーのためのメンタルコーチ術


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