1940年代、週刊コミック・ストリップ『ザ・スピリット』でコミック表現の可能性を押し広げ、黎明期から業界を牽引してきたウィル・アイズナー。彼が1978年に発表した『神との契約』は、世界にかつてない衝撃を与え、志ある漫画家たちを従来の枠組みから解放し、コミックが「ノベル」へと進化する時代の幕開けとなった。
自らを「グラフィック目撃者」と称し、その眼で時代を記録し続けたアイズナーの本作は、作者自身の悲劇――愛娘の死――を反映した心揺さぶる物語から始まる。
敬虔なユダヤ教徒であるフリメ・ハーシュは、最愛の子どもを失ったことで、神との関係に苦悩し、問いを投げかける。彼の切実な葛藤は、大恐慌に揺れる1930年代のニューヨークをモデルにした架空の通り「ドロプシー街」の忘れがたい住人たちの生と死、心の痛み、そして答えのない人生をそれでも歩む姿へと重なっていく。
1978年、ひっそりと世に送り出され、のちにアメリカの表現世界に革命をもたらすこととなったウィル・アイズナーの先駆的作品『神との契約』。アイズナー生誕100周年(2017年)を記念して本国で刊行された特別エディションが、ついに邦訳化。すべての原画を高解像度でリマスターし、その力強い筆致と言葉、そして革新的な構成を、濁りのない鮮明さでダイレクトに届ける。巨匠の芸術的ビジョンにどこまでも忠実に作られた、手元に置く喜びを満たしてくれる至高の一冊。
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