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失敗の投資法 資産を破壊するアイデア、数字、行動を避ける

失敗の投資法

資産を破壊するアイデア、数字、行動を避ける
How Not To Invest by Barry Ritholtz

著 者:バリー・リソルツ

監修者:長岡半太郎

訳 者:藤原玄


定 価:本体2,800円+税

体 裁:四六判/672ページ

発売日:2026年3月

ISBNコード:978-4-7759-7347-9

  • 目次
  • 著者紹介
  • 注釈

上位2%の投資家になるには「間違いを犯さないこと」
「間違うな」「誤るな」は正しいことをするよりも重要

 本書は、お金に関して、多くの人がつい犯してしまう誤りを減らすことを目的としている。

 その誤りには、些細な間違いから大失敗まであるが、あらゆる誤りを減らしてほしい。

 あなたが何千、何万もの正しいことのできる傑出した人物だとしても、本書に書いた幾つかの間違いを犯してしまえば、あなたのポートフォリオは破壊され、大切なお金を失い、貧相な老後が待ち受けている。

 多くの投資家がしょっちゅう犯している凡ミスを回避する方法を学べば、より豊かで、ストレスの少ない人生が送れ、心配のない老後が待ち受けている。

 ヒトの直感に反することになるかもしれないが、誤りやミスを避けることは、得点を重ねたり、テンバカー銘柄を当てるよりもはるかに重要である。

 本書は、多くの人々が犯すお金にまつわる間違いを避けるのに役に立つシンプルな考え方や幾つかの道具とモデルを示している。それらを学んで実行するだけで、98%の普通の投資家よりもずっと先を行くことができる。

 また、誤りを減らせば、やがて、あなたのお金が増えていく。

 われわれみんなは必ず間違いを犯す。みなさんが誤りを減らし、もし誤りを犯したとしても、その代償を小さくする手助けをするのが本書の第一の目的である。

投資で「しないこと」リスト

投資は「敗者のゲーム」である ハロー効果の罠 なぜ市場は予測不可能なのか? 権威の罠

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本書への賛辞

「本書は、投資においてなすべきことと、なすべきでないことの貴重なガイドだ」

――レイ・ダリオ(ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者)


「ウォール街やメディアが発するさまざまなナンセンスな投資アドバイスに対する価値あるガイドブックであり、有効なことが証明された投資戦略の実践的な入門書である」

――スコット・ギャロウェイ(『漂流アメリカ』[パンローリング]、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』などの著者兼NYUスターン・スクール教授)


「この世に多くある損をする方法をどうすれば避けることができるのかについて、リソルツはそれらを面白おかしく初心者にも分かるように伝えている」

――リチャード・セイラー(行動経済学者でノーベル賞受賞者)


「成功は優れた判断を下すのではなく、誤った判断を避けることが重要であることを示している。投資で成功するためにはミスを減らす必要がある。リソルツはその方法を伝授してくれている」

――アニー・デューク(『確率思考』著者)


「本書は賢い投資の秘訣を面白おかしく明らかにしている。リソルツはバカげた誤りを回避するだけで、投資家の90%をアウトパフォームできることを示している」

――ジム・ウィアント(ETFコム創業者)


「リソルツは率直なコミュニケーションスタイルと鋭い知性を存分に発揮し、投資家を迷わせる誤った考えやデータを分析している。投資の落し穴を避ける最初のステップは、それが落し穴だと認識することだ。本書は素晴らしい指針となるだろう」

――ピーター・マローク(クリエイティブ・プランニング会長兼CEO)


「これほど学び、大笑いしたのは『投資家のヨットはどこにある?』(パンローリング)以来だ」

――ウィリアム・J・バーンスタイン(エフィシエント・フロンティア・アドバイザーズ)


「本書が気に入った。本書はより賢い投資家、言い換えれば、バカではない投資家になるための市場に関する確かなアドバイスが満載で、とにかく読んでいて楽しい」

――ジャック・シュワッガー(『マーケットの魔術師』[パンローリング]シリーズ著者)


「リソルツは、われわれが繰り返し陥る誤った考えや誘惑の多くを詳細に伝えている。本書が将来そのような誤りの1つでも避ける役に立てば、同じ重さの金と同じだけの価値を持つだろう」

――メブ・ファーバー(カンブリア・インベストメント・マネジメント共同創業者兼CIO)


「古典となる運命にある1冊だ」


「すべての投資家が本書を読むべきだ」

――W・ウィリアム・マクナブ(バンガード元会長兼CEO)


「本書は印象的な物語や豊富な証拠を用いて、市場のプロも含めた多くの者たちが将来を予測する能力を欠いていること、そしてシンプルな戦略にこだわるほうがうまくいくことを示している」

――マイケル・J・モーブッシン(モルガン・スタンレー・カウンターポイント・グローバル、コンシリエント・リサーチ部門長兼コロンビア・ビジネス・スクール非常勤教授)


「リソルツが株式市場の落とし穴をめぐる楽しい旅に読者を誘っている。彼のユーモアと機知はこのいまだかつてない時代を乗り越える役に立つ」

――モリー・ヨング・ファスト(ファストポリティクス・ポッドキャスト司会者)


「非常に面白い投資本だ。リソルツは30年にわたるキャリアを通じた経験を基に、長期的に富を築くために避けるべき落とし穴を説明している」

――ニック・ハナウアー(セカンド・アベニュー・キャピタル)


「ウォール街、金融メディア、財務アドバイス業界のあらゆる誤り、そしてこのナンセンスの沼地を進まなければならない人間に対する強烈で見事な批判である」

――アンソニー・スカラムーシュ(スカイブリッジ・キャピタル創業者)


「いま本書を読み終えて、将来避けるべき投資における最大の誤りを認識するようになった。それは本書が伝える素晴らしい教訓を実践できないことだ」

――ロバート・チャルディーニ(『影響力の武器』『PRE-SUASION』の著者)


「これはユニークな1冊だ。私はたくさんの本を読んできたが、本書は最高かもしれない」

――エド・ハイマン(エバーコアISI創業者兼会長)


「リソルツは投資における幾つかの誤りについて警告している。悲観的な意見に耳を傾けることや文脈を無視した大きな数字を取り上げることなどだ。そして、その点を生き生きとした逸話を用いて強調している。注意せよ。さもなければ、自分が彼の将来の著書に登場することになるかもしれない」

――クローディア・サーム(ニュー・センチュリー・アドバイザーズ、チーフ・エコノミスト)


「何をすべきでないかを知ることは、時に従来のハウツー本よりもはるかに価値があり、啓発的となる」

――ジェームズ・オショーネシー(オショーネシー・ベンチャーズ創業者)


「必読だ。リソルツの知見は賢明で率直で、今日あまりに蔓延している常識に対するシンプルかつ素晴らしい反論である」

――ジャック・ブレナン(バンガード元会長兼CEO)


「リソルツの投資しない方法に関する新鮮で偏見のない研究によって、読者は投資の方法についてより明確な視点を得られるだろう」

――パース・トール(ライフ・プラス・リバティ・インダイシズ創業者)


「素晴らしい。本書は読みやすいし、非常に優れた投資本だ。優れた小説のように夢中になれる、素晴らしい1冊だ」

――ロバート・アーノット(リサーチ・アフィリエイツ創業会長)


「富を築く最善の方法は愚かな誤りを犯さないことである。金融界で最も賢い人物の1人であるリソルツは、この素晴らしく面白い1冊で大人の投資家が理解すべきすべてを教えてくれている」

――シーラ・ベア(FDIC元会長)


「投資は手術より簡単だ。では、なぜ投資家は外科医よりもはるかに多くの誤りを犯すのだろうか。リソルツの洞察力に富んだ面白い本書を読めば、その答えが分かるだろう。本書で、自分自身の誤ったアイデアに気づき、それを取り除く方法を学べるかもしれない」

――マイヤー・スタットマン(サンタクララ大学レビー・スクール・オブ・ビジネス・グレン・クリメク・プロフェッサー・オブ・ファイナンス)


「リソルツは今日の金融界で最も情熱あふれる面白い書き手の1人だ。知識が豊富で、恐れを知らないリソルツよる本書はすべての真剣な投資家には必読の1冊だ」

――エディ・エルフェンバイン(ファンドマネジャー兼クロッシング・ウォール・ストリート編集者)


「本書でリソルツは、金融で成功するためには、複雑な戦略を追いかけるよりも、一般的な誤りを回避するほうが効果的だと教えている。ある程度の複雑さは非常に役に立つと生涯を通じて考えてきた私でも、リソルツはほとんどの投資家に適切なアドバイスを送っていると思う」

――クリフ・アスネス(AQRキャピタル・マネジメント創業者兼マネジング・プリンシパル、CIO)


「リソルツにとって常識とは異国の言葉である。彼は生涯を通じた投資やポートフォリオの邪魔をし、傷つけ、広く信じられている考えを真向から否定する」

――ピーター・ブックバー(ブリークリー・ファイナンシャル・グループCIO)


「リソルツは楽しく、挑発的な調子でわれわれの愚かさを映し出す。彼は本当に賢い人で、自分の知識を喜んで共有してくれる。富を築く最善の方法はお金を無駄にしないことだ。まずはリソルツの言葉に耳を傾けてみよう」

――ジェフ・マッケ(投資家、作家)


「リソルツは、投資や市場や不合理性や人間の行動に関して、私がおよそ20年にわたって頼りにしている思想家である。本書は彼の機知と知恵を分かりやすくまとめたものである」

――オム・マリク(ベテランのテクノロジーライター兼ハイテク投資家)


「リソルツは30年にわたって、認知的な市場の推論、行動経済学、証拠に基づく結果を声高に唱えてきた。本書は歴史的な1冊である。彼は自分自身や他の者たちの投資の失敗から学んだこと、そしてバカにならず、凡ミスを避ける方法を教えてくれる」

――ジェフリー・A・ヒルシュ(ストック・トレーダーズ・オルマナク編集長)


「リソルツは過去数十年で最も洞察力にあふれる金融ライターの1人だ。本書は役に立つだけでなく、面白い。リソルツの機知と洞察がすべてのページで輝いている」

――ダン・グリーハウス(ソウラス・オルタナティブ・アセット・マネジメント・チーフストラテジスト)


「情報の仮面をかぶったゴミにあふれかえる世界で、リソルツがわれわれが投資と呼ぶこの危険な旅路における最高の率直なガイドであり続けてくれることを幸運に思う」

――サム・ロー(TKer.com創業者兼編集者)


「本書は、講釈やヒーロー崇拝を省いて、お金と市場の仕組みに関する実際のストーリーを買っている。注意深く読めば役に立つだろう。リソルツは真面目で面白く、読者の味方であることは明々白々だ」

――デイブ・ナディヒ(金融フューチャリスト)


「リソルツは金融界で最も優れた知性の持ち主の1人だ。彼がコンテンツを生み出すたびに、私は彼の洞察力とさまざまな話題を見事に語る能力に驚かされる。だれもがマネしたくなる素晴らしい才能である」

――ジョー・ファミー(ゾーア・キャピタルLLCファンドマネジャー)


「リソルツは何十年にもわたって培った知恵を本書に凝縮し、誤りを避けることが長期的な成功の鍵であることを示している。明快さと機知をもって、彼は誤った情報や感情的な罠を回避するための実践的なアドバイスを提供している。もっと自信を持って市場を乗り切りたいと思う者にとって必読の書だ」

――ラクシュマン・アチュータン(ECRI共同創業者)


「リソルツほど現代の投資家を啓蒙してきた人物はいない。本書は機知に富み、スマートで、洞察力にあふれ、謙虚でもある。まるで筆者のようで、今日の知識のある投資家には必読の1冊である」

――カレブ・シルバー(インベストペディア編集長)


「本書はまだあまり例を見ないサービスジャーナリズムの貴重な1冊で、普通の人々のためにウォール街の異国情緒を丸裸にしている。私は友人や家族のために本書を何冊も買うつもりだ」

――ローベン・ファーザット(パブリック・ラジオズ・フル・ディスクロージャー司会)


「リソルツは、長年にわたるプロのファンドマネジャーとしての経験と人間の行動に対する興味を、個人の投資に関するコントラリアンな視点へと転換している」

――ジョナンサン・ミラー(ハウジングノーツ・コムCEO)


「何をすべきでないかに基づいた投資のハウツー本は矛盾しているように思うかもしれない。だが、リソルツの優れた手腕にかかれば、前向きな調べとなる。偉そうだが謙虚で、真面目だか面白く、とても真剣なリソルツは、直感に反する思考が素晴らしい結果を生み出す様子を正確に描き出している」

――ダニエル・グロス(『ポップ、ダムマネー』などの著者)


「リソルツは、投資家がウォール街や金融評論家や投資家自身によくあるワナを回避する手助けをする先駆者である。本書にあるリソルツのとても面白い投資のヒントを銘記しておけば、たくさんのお金を稼ぎ、その過程で多くのトラブルや心労を回避できるようになるだろう」

――ニール・カイザー(ブルームバーグ・オピニオン)


「真面目すぎない、素晴らしい投資本だ」

――デビッド・ダニング、アン・ウォルグリーン、チャールズ・R・ウォルグリーン・ジュニア(ミシガン大学スタディ・オブ・ヒューマン・アンダースタンディング教授、心理学教授)

試し読み

(本テキストは再校時のものです)

  • 投資の成功は大脳辺縁系で決まる
  • 暴落時にすべきこととすべきでないこと
  • ウォール街のプロが新型コロナでパニックの一方、個人投資家は
  • 神経経済学 爬虫類脳は何を考えるのか
  • 人間の脳は投資には向いていない

目次

監修者まえがき
まえがき モーガン・ハウセル
序文――とにかくバカにならないようにする
本書の利用法

第1部 誤った考え
第1章 お粗末なアドバイス
第2章 メディアの狂気
第3章 詭弁――誤ったアイデアの研究

第2部 誤った数字
第4章 経済の数字が分からない
第5章 市場の騒乱
第6章 株式ショック

第3部 誤った行動
第7章 回避可能な誤り
第8章 感情的な意思決定
第9章 認知障害

第4部 優れたアドバイス

結論
謝辞
注

監修者まえがき

 本書は、リソルツ・ウエルス・マネジメントの共同創業者にしてCIO(最高投資責任者)で、ブルームバーグ・ラジオの番組の司会も務めるバリー・リソルツの著した『How Not to Invest : The Ideas, Numbers, and Behaviors That Destroy Wealth-and How to Avoid Them』の邦訳である。これは、投資の世界において、私たちがいかに「してはならないこと」に無駄な時間やエネルギーを費やし、自らを苦境に立たせているかという厳しい現実を冷静に示している。

 日本を代表するクオンツの一人であった私の上司は、かつてこう語っていた。「投資なんてけっして難しいものではなく、理に従い、当たり前のことを普通に淡々とやっていれば自然に結果が出るのに、ほとんどの人はわざわざ奇をてらったことをやって自滅していく。まことに奇妙なことだ」と。

 確かにそのとおりだと私も思う。講談「受難の村正」において、師匠正宗の言に従い川底に突き立てた村正の刃に、上流から流れてきた藁屑が触れた瞬間、何の力みもなくそれが自然に二つに切れる描写がある。投資もまたそうあるべきであろう。余計な策を弄さず、ただただ原理原則に則って自然体で活動を行っていれば、その成果は自ずと手に入るはずのものなのである。そこに迷いや不思議が入り込む余地はない。

 だが、個人投資家、機関投資家を問わず、多くの人は間違った方向に全力疾走し、遠回りをしている。その原因は知識不足ではなく、人間のエゴや金融業界に存在する根深い構造的問題にある。どれほど努力しても成果が得られないのは、努力が足りないのではなく、やり方が間違っているからだ。ほかの分野ならだれもが気づくこの道理が、投資の話になると業界の利害や虚飾に覆い隠され、ほとんど認識されることがない。

 多くの人が盲信している投資の常識は実際にはデタラメであり、正解はまったく違うところにある。本書はそうした誤解を指摘し、不都合な真実を書き切った啓蒙の書である。本当のことを言っても業界から社会的な制裁を受けず、むしろ信頼を得ることができるアメリカの金融業界の懐の深さに、私はいささか羨望の念を禁じ得ない。

 投資で巧者たるに必要なのは、何も特別な技術や知識ではなく、ただ余計なことをしないことだけだ。そこに邪念は不要である。本書を通読すれば、それまで視界を遮っていた霧がウソのように晴れ渡ることだろう。

 2026年2月

長岡半太郎

まえがき モーガン・ハウセル

 バリー・リソルツの名前を初めて耳にしたのは二〇一〇年だ。私はカナダのバンクーバーで開催された投資会議に参加し、そこで彼は基調講演を行った。

 この手の会議に参加したことはあるだろうか。講演者を務める基準はかなり低く、パワーポイントの図表と自己宣伝ばかりの退屈な四五分を過ごすのだ。最後に聴衆はやっと終わったと感じて拍手する。

 だが、リソルツは違った。彼の講演はけっして忘れないだろう。彼の講演はお金だけでなく、コミュニケーションに対する私の考え方を変えてくれた。

 忘れがちだが、現代の金融解説のほとんどは専門家の言葉を引用するプロのジャーナリストが行ってきた。専門家たちには、たくさんの聴衆を前に、長時間にわたり規制や編集を受けずに話をする機会はほとんどない。

 リソルツは最初にそれを行った人物の一人である。彼は私が高校生だったころから投資に関するブログを書いていたことを指摘すれば、互いに時の流れを感じるだろう。彼のビッグ・ピクチャー・ブログは何年も時代の先を行き、次の二つの理由から現在の金融ニュースの読み解き方をひっくり返した。

●読んで面白い
リソルツは、たとえ物議を醸す場合でも恐れずに自分の意見を率直に話す。それ以上に、彼はストーリーテラーである。投資を味気ないデータのブラックホールではなく、人間の行動に関する騒々しい物語として伝えれば、喜ばれるだろう。かつて歴史家のデビッド・マカルーは「ポップ」ヒストリーへの批判に反論して、「人々が読みたいと思うように歴史を書いても何ら害はない」と述べた。リソルツはそれを金融でやったのだ。

●彼は自分が話していることを理解している
アメリカでも急成長を遂げている資産運用会社の一社の創業者であるリソルツの意見は上辺ばかりの理屈ではない。彼は現場の第一線で、強欲と恐怖に反応する実在の人々の荒々しく、予測できない特性に取り組んでいる。常に正しい者などいない。だが、象牙の塔から偉そうに語っているとリソルツを非難することはできない。

 その結果、多くの人々が金融の解説に求めるものが得られる。つまり、経験豊富で賢く、正直な友人と気軽にビールを飲んでいる感覚だ。

 バンクーバーに話を戻すと、リソルツは中国については悲観的だと語った。当時は議論を巻き起こす問題である。理由を問われると、ほかの講演者ならおかしな専門用語や理論を捲し立てるだろう。リソルツはマイクに口を寄せ、囁くように聴衆にこう語ったのだ。「あのね、連中は共産主義者だよ」

 私は、リソルツが投資を知性やデータによるゲームではなく、感情と行動のゲームだと考えているところが気に入っている。これが重要なのは、?\気靴い?ら、??行動はぐちゃぐちゃではないがめちゃくちゃで、予測不可能で、人によってさまざまであり、そしてデータとは異なり、シンプルな答えはない傾向にあるから――だ。われわれの行動がどのようにわれわれに誤りを犯させるのかを理解することは、正しい方法を伝えるデータよりもはるかに価値がある。

 本書はそれを教えてくれる。皆さんも私同様に楽しめることだろう。

 二〇二五年 冬

序文――とにかくバカにならないようにする

 本書はお金にまつわる誤りを減らすことを目的としている。ちなみに、それは皆さんの誤りだ。些細な間違いから大失敗まで、あらゆる誤りを減らすのだ。投資家が日常的に犯している誤りを回避する方法を学ぶだけで、より豊かでストレスの少ない人生を送れる。

 私の役割は、私が学んできたことを共有することで、投資家が犯す資本にまつわる一般的な誤りを回避できるようにすることだ。そのような凡ミスを回避することで、皆さんの経済的な満足度は九割方の人々を上回るだろう。

 金融作家の多くはこのようなアプローチをとらない。典型的な投資本は「ハウツー」に終始する。それらは何十もの章を通じて、経済的に成功するために学ぶ必要がある、あらゆることを教えようとする。この一〇〇の戦略を実行せよ、そうすればお金持ちになれるぞ、と。

 この方法論は現実世界ではうまくいかない。たとえすべてを正しく行っても、幾つかの誤りを犯せば、それまでの苦労がすべて台無しになる。

 次の真実は直感に反するものだ。誤りを回避することは勝つことよりも重要である。この素晴らしい見識は、チャーリー・エリスが一九七五年に「ザ・ルーザーズ・ゲーム(The Loser's Game)」というタイトルでファイナンシャル・アナリスト・ジャーナルに発表した。投資はテニスのようなもので、ほとんどの人々が凡ミスで負けるとエリスは述べた。「敗者のゲーム」に勝つ方法は単純に失敗を減らすことである。誤りを減らし、相手に自滅させればよい。一〇年後、エリスはこのテーマを著書『敗者のゲーム』(日本経済新聞社)に昇華させた。

 本書もそれをしようとしている。ソーシャルメディアやレディットのミームや二四時間流れるニュースという現代の環境のなかで、ほとんどの投資家を台無しにする多くの誤りを回避する方法をお伝えするつもりだ。

 もっと簡潔に書けば、「誤りを減らせば、利益は増える」。

 バークシャー・ハサウェイのチャーリー・マンガーは、「驚くべきことに、とても賢明であろうとするのではなく、とにかくバカにならないようにすることで、われわれは長期的に大きな優位性を得られる」と述べている。

 私は投資家が犯す最も一般的な誤りを見直していく。多くの者たちが固く信じている、不利益につながる神話を明らかにする。最も裕福で最も誤りを犯しやすい投資家から得られる教訓だけでなく、私自身の誤りも含め幾つかのお気に入りの誤りもお伝えする。

 人間は誤りを犯しやすい。それは人間が人間であることの特性である。将来を見通し、さらには過去や現在を理解するわれわれの能力には限りがある。われわれは皆誤りを犯す。本書はそれを減らす役に立つだろうし、誤りの代償も小さなものとなるだろう。

 目標はマンガーの目標と同じである。「とにかくバカにならないようにする」

本書の利用法

 過去三〇年、トレーダー、ストラテジスト、そしてファンドマネジャーとして、私は市場に関する考えをリアルタイムで公表してきた。それらの考えや経験をほかの投資家たちに本当に役立つ何かにまとめ上げたいと思っていた。

 有益な枠組みを見つけることが最初の課題だった。ワシントン・ポストやブルームバーグやザ・ストリート・コムに至るまで、私はお金や投資に関するコラムを一〇〇〇本近く書いてきた。さらに、二〇二四年一二月三一日時点で、ザ・ビッグ・ピクチャーには四万三一五八本の記事を載せている。だが、この有益な枠組みでは理解しにくいことが分かった。

 直近の休暇後、これらすべてのコラムとブログ記事をふるいにかけたら、ひとつのパターンが浮かび上がってきた。こりゃ驚いた。すべての記事が投資にまつわるデタラメを次々に暴いていた(当初、本書の題名を『デバンキング・インベストメント・ブルシット(Debunking Investment Bullshit)』にしようと提案した。だが、私の上品なイギリス人の編集者はこのアメリカ人の下品さには我慢がならなかったようだ)。一九九〇年代以降、行動面の誤りを詳細に分析し、お金にまつわる神話を暴露することが私の仕事の核心になった。投資家は不吉な予言をする者たちを無視し、予測は忘れ、ウォール街とはかかわらず、信用できない情報源は手放し、義理の兄の株式情報に耳を傾けさえしなければ、より豊かになれるだろう。

 私の投資で「してはならないこと」のリストは増えていった。高価な金融商品は避けること、ほとんどのSPAC(特別買収目的会社)やIPO(新規株式公開)とはかかわらないこと。自分のポートフォリオ(なぜコモディティを保有しているのか)を理解すること。アクティブのファンドマネジャーを信用しないこと。自分の脳さえ信用できないのだ。脳は投資のために作られていないので、脳は皆さんをだましてお金を失うことになる誤りを犯させる。

 「してはならないこと」のリストを読み進むと、本書の構造が明らかとなった。つまり、投資しない方法。これは、神話や間違いや投資家が犯す誤りを回避するシンプルな手引きである。

 前世紀を通して、われわれは資本市場とリスク、人間の特性とわれわれの行動について多くを学んできたにもかかわらず、投資となるといまだお粗末な人々があまりに多い。

 その理由は単に誤りが多すぎることだ。

 事実に疑う余地はない。つまり、ほとんどの投資家が優秀でないのではない。避けられる誤りを犯しすぎるのだ。野球では、低打率の原因はホームランが少ないことではない。ポップフライや内野ゴロや三振が多すぎるのだ。チャーリー・マンガーの言葉を振り返れば、賢明であろうとするのではなく、とにかくバカにならないようにすることである。

 これは、投資家として成功するための分かりにくいが極めて重要な秘訣だ。私は数十年にわたって自分の投資が上達してきたことを観察し、その成功の要因は賢くなったことではなく、バカにならなかったことにあると考えている。

 多くの人が「本のタイトルに否定的な文言を使うな」と私に警告した。私は、そのような問題を回避できるようになるための優れたアドバイスを本書にたくさん盛り込むことで、この非礼の埋め合わせをしたいと考えている。一つのしてはならないことに対して、数多くのすべきことを提案している。それらは役に立つだろう。

 本書は四部で構成されている。誤った考え、誤った数字、誤った行動、優れたアドバイスである。この誤った事柄を取り上げるそれぞれの部はさらに三つの章に細分される。誤った考えでは、損をするアドバイス、それを広げるメディア、そしてわれわれをだますために用いられる詭弁に目を向ける。誤った数字では、数字や統計や確率に対するわれわれの不快感が、現実世界で株式や市場や経済の動きに対する理解を乏しいものにする様子を説明する。誤った行動はどうだろうか。これは誤った数字や考えが形に現れたお金に関するわれわれの考えや行動である。

 それぞれで論を進めるなかで、問題から解決策へ、否定的なことから前向きなことへ、と歩を進める。われわれが犯す誤りを指摘するのは簡単である。だが、投資家である皆さんにとって最も価値があるのは、そのような高く付く誤りを犯さないようにする方法だ。

 第4部の優れたアドバイスでは、具体的な戦略も含め、皆さんがそのような誤りを最小限に抑えられるようになるための概要を示す。目的は皆さんが学んだことを利用可能な解決策にまとめることである。皆さん個人の経済状態や投資成果を大いに改善できる。

 本書の四つの部の教訓に従ってほしい。そして、所得が増え、幸せな引退生活を迎えることで私への感謝としてほしい。

著者紹介

バリー・リソルツ(Barry Ritholtz)
リソルツ・ウェルス・マネジメント(RWM)の共同創業者で、会長兼CIO(最高投資責任者)。2003年、リソルツは市場に関するブログでは初となるザ・ビッグ・ピクチャーを立ち上げ、閲覧者は延べ2億7500万人にも上る。また、リソルツはブルームバーグ・ラジオで最も人気のある長寿番組のマスターズ・イン・ビジネスの司会も務めている。前著『ベイルアウト・ネイション(Bailout Nation)』は、ベスト・ビジネス・ブックス・オブ・ザ・イヤーやインベストメント・ブック・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、ファースト・アメンドメント・アワード・フォー・アウトスタンディング・ジャーナリズムを受賞した。

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