2011/09/12 21:04 更新
アセアン経済の概要です。その11
JFA様の転載記事です。
東南アジアの各国の経済情報を、
現地の視点からお伝えしています、アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、
「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。今回はタイの医療事情に関してです。
読者の皆様もすでにご存知かと思われますが、
日本の医療現場の崩壊が叫ばれて久しくなっています。
妊婦さんのたらい回しで死亡する事件や
若手医師の過酷な労働実態浮き彫りとされたり、
老いた親を高齢者が介護する老老介護の報道など、
なんともやり切れない、悲しいニュースが多くなっています。
これも一部の人が一部の人へ過剰に仕事を押し付けたり、
逃れられない環境を与えていることが、
一因ともなっているようです。
そこには、(本来であれば)色々な選択肢があったケースでも
答えが見出せずに悲しい結果と終わるケースとなっており、これらも早急に解決しなければならない問題としつつも
日本だけではもう難しい状況になっているかもしれません。
さて今回はタイの医療事情を解説します。
● タイの医療ツーリズム タイ証券取引所上場企業=医療機関??
海外での生活と言うと、言語の壁や文化習慣の違いと言ったことの前に
「病気になったらどうしよう」
「トラブルになったらどうしよう」
「不衛生な環境であったらどうしよう」
と言った万が一のことを考える方が多いのではないかと思われます。
しかしながらタイの企業では病院も上場していて、「病院セクター」には13の病院が上場しています。
※タイ証券取引所(SET)2011年3月のデータより
一般のタイの中間層が利用する公的な医療制度は
まだまだな不十分な医療水準のタイなのですが、
一部高級私立医療施設のレベルは非常に高いことで知られています。
バンコク病院(Bangkok General Hospital)、
バムルンラード病院(Bumrungrad Hospital)などは在バンコクの日本人であれば ほとんどの方が知っている有名病院です。
ちなみにバンコク病院などの高級私立病院では、外国人患者一人に
きちんと通訳の方が同伴。
担当医師に病状を説明してもらえ、さらに20カ国以上対応と言うことで、
日本語はもちろん、中国語、アラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、
と世界中から来る外国人患者を誘致しています。
実際に訪問してみると、入口には高級リムジン。
中にいる患者さんも富裕層のような方々も見かけます。
明らかにインド、中東、アフリカなどから来ている方、
アメリカ、ヨーロッパの言語も聞こえてきたりと
正にインターナショナルな世界になっています。
アメリカ、ヨーロッパでは高い医療費と比べてタイでは観光も出来、
医療サービスも安いことからタイで検査し、
治療して帰国するケースも増加しているとの事。
病院内には和食レストラン、スターバックスやマクドナルドが入り、
無線LANも飛んでいます。
入院施設もまた豪華で、衛生管理も徹底しているとのこと。
● メディカルツーリズムに関して
日本でも医療費の高騰が叫ばれていますが、抜本的な改革は先送りされています。
このような状態が続けば、重大な病気はやはり、
日本でお願いしたいと考える方でも、
タイやシンガポールで低価格で出来る検査レベルの医療サービスで、
実際に現場を見られた方ならば
受けたい日本人も今後増えるのではないかと考えます。
※ちなみに医療の検査や治療目的で
「旅行」+「医療サービス」を受けに行くことを”メディカルツーリズム”と言います。
この”メディカルツーリズム”とは、
「観光」と「医療サービス」をセットにしたパッケージツアーのことで、
5つ星一流ホテル並みの施設とサービスに加え、
高度な医療技術も低価格で提供するものが一般的。
ただし「メディカルツーリズム」と一言でいっても様々で、
臓器移植をするために海外の医療を受けることから始まり、
美容整形やレーシック(近視手術)、健康診断、がん検診、
などが手軽に受けられるという理由で海外へ行くことまで含まれます。
またアジア各国では
インド、シンガポール、タイ、マレーシアなどの医療機関が観光庁や保健省と組み、
キャンペーンやマーケティングを展開しているケースもあります。
これらの実情は、実際に目で見ないとなかなか伝わらないですし、
実感として分からないと思いますが、是非、観光ついでに一度はタイにある高級病院を「元気なうちに」
視察されることをお勧めします。
巨大な施設の中に、5つ星クラスの対応、コンシェルジュのようなサービスで
対応してくれる医療機関が東南アジアのタイにはあるのです。
●東南アジア、随一の医療企業グループ バンコクドュシットメディカルサービス(BGH)
こちらバンコク病院は、いまでは新病棟が建設され
1階がアラビア語専門病棟、2階が日本語専門病棟と言うように拡張されています。
2006年、2007年ごろからは
中東やインドからの患者が大幅に増え、タイ観光庁でもタイを医療ハブ地域として成長させるための支援を発表しています。
日本人のみならず、中国、香港、インド、アラブからも積極的に患者を誘致。
入国の際のビザの発行・延長の業務の簡素化、診察・支払いまでの時間短縮などサービスの向上に加え、
タイ特有の観光を加えたスパ・マッサージなどの付加価値を加えた
医療サービス・治療費の安さで毎年業績を伸ばしています。
またこの、
タイの私立高級病院のバンコクドュシットメデイカルサービス(BGH)は積極的に事業を拡大していて、
各地の地場病院の買収を進めています。
201年12月にはタイ国内にある地場病院の2病院を買収したことを発表しています。
買収したのは
Phyathai Hospital パヤタイ病院
Paolo Memorial Hospital パオロメモリアル病院の2病院です。
結果BGHグループは2011年第2四半期以降東南アジアでトッププレイヤーの病院グループとなります。
BGH会長のPrasert Prasarttong-Osoth氏は
8つの医療施設を今回取得する予定で、27の医療施設で4639のベッド数、1日20000人まで診察可能としています。
BGHでは富裕層を中心に患者を集めていて2010年末時点で19病院の施設を保有
(17の病院はタイ国内、2病院はカンボジア国内)しています。
2992病床を保有し10000名の患者を診察可能としています。
そして、
2011年2月には
タイの高級私立病院最大手バンコク・ドゥシット・メディカル・サービス(BGH)は、
同業大手バムルンラード・ホスピタルの株式11.1%を取得したことを発表しました。
これまでもタイの高級病院、中級病院を買収し続けてきた同社ですが
いよいよライバル会社の病院の株式を取得する動きになっています。
バンコク・ドュシット・メディカル(BGH)は大株主がバンコクエアウェイズ航空会社経営の財閥
Dr. Prasert Prasarttong-Osothファミリーが経営しています。
バムルンラード病院(BH)はバンコク銀行(BBL)の大株主ソーポンパニット財閥系となっています。
●そうは言っても海外の病院なんて危険極まりないのでは???
と感じる方もいらっしゃるかと思います。
そういう方もいらっしゃるでしょうから、
無理に海外の医療機関を勧めるわけではありません。
ただし、今後日本の医療現場は保険制度も、医療制度も大きく変化せざるを得ない、
危機的な状況であることも言われています。
このまま、赤字経営の医療機関を増やしたまま、問題を放置したままだと、
中国人の富裕層の方は積極的に治療しても、一般日本人は後回しと言う事態が起きる可能性は誰も否定できません。
また医療レベルを客観的に見る指標としては
JCI 認証と言われるものがあります。
※JCI 認証とは??
国際病院評価機構(JCI)の評価する医療機関の国際的な信用度の指標のことで、
認証されると、その医療機関は医療水準やサービスが
国際的なレベルでみても見劣りがしないことを
証明することが出来ます。
また外国人患者は、評価基準が明確化されていることで安心して
その病院を訪れることが出来ます。
JCIの認証は1994年から始まり、
現在までに認証を受けた医療機関は世界36カ国で250ヵ所以上に及んでいます。
2010年12月、
タイのラマ9世病院では、アメリカの医療施設評価合同委員会から訪れた
アンナ・テレサ・デ・ミレンダ女医より、タイでもっと高い得点で
国際医療機関水準を満たしている証明となる
JCI(Joint Commission International)認定を
受けたコトを発表しています。
最近JCI認証を受けるタイの病院が増加しています。
他にもラムカムヘン病院でも350床の入院施設を備えており、国際基準を満たしたとして
今回JCI認定を受けています。
● JCI認証を受けている病院一覧 2011年2月現在 Joint Commission Internationalホームページより参照
[バンコク病院グループ] 2007年
Bangkok Hospital Medical Center 2007年
Bangkok Hospital Pattaya 2009 年
Bangkok Hospital Phuket 2009年
[BNH病院] BNH Hospital 2009年
[バムルンラード病院] Bumrungrad International 2002年
[チェンマイラム病院] Chiangmai Ram Hospital 2009年
[ラマ9世病院] Praram 9 Hospital 2010年
[ラムカムヘン病院] Ramkhamhaeng Hospital 2010年
[サミティベート病院グループ]
Samitivej Srinakarin Hospital 2007年
Samitivej Sriracha Hospital 2008年
Samitivej Sukhumvit Hospital 2007年
[シンパエット病院] Synphaet Hospital 2010年
[ベチャタニ病院] Vejthani Hospital 2010年
[ヤンヒー病院] Yanhee Hospital 2011年 以上9病院になります。
さて、日本ではいくつの病院が国際的な医療水準のある病院として
認証されているのかと言うと
日本では
Kameda Medical Center 2009年 亀田総合病院
NTT Medical Center Tokyo 2011年
2病院のみとなっています。
この記事で、日本の医療機関の水準が劣っていると言うことを言うつもりは
毛頭ありません。
日本の医療水準は世界的に見ても高水準であることは間違いありません。
しかしながら世界へ発信するマーケティング能力や
医療をサービスとして捉え顧客満足の高いサービスを提供するノウハウ、
経営能力などに関しては
疑問点を付けざるを得ないのが現状です。
また無理に外国人患者を「日本へ誘致」することも、あまり必要ないような気がします。
しかしながら医療レベルの高い国であるにもかかわらず、
日本の悲しい報道などを見るに付け、「何かがおかしいのではないか?」「他の選択肢もあったのではないか??」と考えることも日々あります。
高度成長期には「多数が一人の老人を支える社会」で十分機能していたものが、すでに「二人が一人の老人を支える」
「一人で一人の老人を支える」時代に入ろうとしています。
この
日本の厳しい医療・介護事情の中で、
病院をどうしてつくっていくか、議論を深めるたり、選択肢を考える時代に来ているかもしれません。
これは投資うんぬんと言うよりも、自己が老後を含めて どの方向性へ進んでいくのかを考える上でも重要なことだと考えます。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
2011/09/09 21:02 更新
アセアン経済の概要です。その10
JFA様の記事の転載です。
東南アジアの各国の経済情報を、
現地の視点からお伝えしています、アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、
「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。
今回はインドネシアの通信事情に関してです。
通信産業は既に日本では無くてはならないものに成長しています。
オフィスや仕事場には当たり前のようにパソコン、FAX、電話があります。
一方でようやくインフラ開発の分野が有望になって伸びつつあるのが、インドネシアです。
今回はそのインドネシアを取り上げます。
人口が2億3000万人を越えるインドネシアは
2010年度の一人当たりGDPが3000USドルを越えました。
2011年2月に、インドネシア中央統計局は
インドネシア国内の2010年の実質国内総生産(GDP)伸び率が
2009年の前年比+6.1%だったことを発表しています。
また、1人当たりのGDPは3004.9USドルと
初めて3000ドルを突破したことも発表しています。
このインドネシアの一人当たりのGDP伸び率は以下のようになっています。
1188ドル (2004年)
1300ドル (2005年)
1636ドル (2006年)
1916ドル (2007年)
2238ドル (2008年)
2329ドル (2009年) ※データは全てJETROから参照
日本のGDPはまったく成長していない中で、
インドネシアは2004年の一人当たりGDPからおよそ3倍にも伸びているのです。
日本からはやや遠く感じるインドネシア。
以下に概況をまとめます。
国・地域名 インドネシア共和国 Republic of Indonesia
面積 1,922,570平方キロメートル(日本の5.1倍)
人口 2億3,137万人(2009年政府推計)
首都 ジャカルタ 人口922万人(2009年政府推計)
言語 インドネシア語
宗教 イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教ほか
ジャカルタ市内を回ると、ホテルやショッピングセンターでは英語が通じますが、
やはり基本はインドネシア語です。
またジャカルタの北部とジャカルタ南部での街の様子がかなり違います。
今後BRICsに次ぐ巨大国家となることが予測されているインドネシア。
国家の成長段階で経済的な転換点とされる
「1人当たりのGDP(国内総生産)3000ドル」を越えていくと
中間層が伸び、高付加価値製品である自動車などの購買できる層も増えていき、
国民の消費生活が急速に変わり始めるとされています。
また、日本が3000ドルを超えたのは高度経済成長期の1975年前後ですが、
人口の多いBRICsは、ロシア、ブラジルに続き、
中国が2008年にこの壁を突破しています。(中国国家統計局発表は2009年1月)
それでは、本題の通信業界を解説します。
●インドネシアの通信企業・テレコムニカシ(TLKM)
携帯電話キャリアのテレコムニカシ(TLKM)。
日本で言うところのNTTドコモのような企業です。
テレコムニカシはインドネシア政府52.4%保有する国営企業ですが2009年度は、
売上 64,596B IDR 64兆5960億ルピア
純利益 11,332B IDR 11兆3320億ルピアとなっています。
(※インドネシア証券取引所(IDX)データ参照)
参考に、日本で、ほぼ全ての人が知っている携帯電話加入者数トップの
NTTドコモは、
資本金 9496億7950万円(2010年3月31日現在)
売上高 連結:4兆2844億400万円(2009年度)となる大企業です。
このNTTドコモの携帯電話契約数が約5734万契約で、
日本国内の携帯電話市場における市場占有率が約48.8%となっています。
※2011年1月末時点 電気通信事業者協会 (TCA) 事業者別契約数より引用
さて、テレコムニカシは、インドネシア証券取引所以外にも、
ロンドン証券取引所、ニューヨーク証券取引所に上場しています。
インドネシア最大の総合情報通信企業であり、
2009年末時点での携帯電話加入者は8160万人もいる企業です。(NTTドコモの1.42倍!)
固定電話なども含めた加入者総数は 前年比+21.2%で合計 1億510万人と言う数字。
(※テレコムニカシ社HPより参照)
顧客単価などはまったく違うために、
一概にテレコムニカシの加入者数だけを見るのはよくありませんが、
日本はこれから少子高齢化社会、またこれ以上人口が大きく増えることを期待するのは
(非常に残念ながら)難しいのが現状です。
それよりも右肩成長する携帯電話市場の方が、
過去日本の経済がたどって来た方向を見ていく上で、
「インドネシア携帯1位の企業がどこまで大きくなるのか?」
と言うのは非常に面白いことではないかと考えます。
● 携帯通信の2位 インドサット(ISAT)
インドネシアの携帯電話キャリア2位は、
なんと中東の国カタールの資本になっています。
2009年度末のデータでは
売上 18,392B IDR 18兆3920億ルピア
純利益 1,498B IDR 1兆4980億ルピア となっています。
1967年に、インドネシア政府と米国ITT社の合弁企業として設立され、
2002年12月シンガポールのテマセク・ホールディングス傘下シンガポールの通信企業
シンガポール・テクノロジーズ傘下のSTテレメディアに売却しています。
しかしこの株式部分を
2008年にはカタールの通信会社カタール・テレコムが
STテレメディアが保有する株式40.8%を取得したことで、
テマセクの出資は解消され、カタール企業が大株主となっています。
● 携帯通信の3位 エクセル・アクシアタ(EXCL)
こちらはマレーシア企業の出資になっています。
携帯電話サービス3位XLアクシアタ(旧社名はエクセルコミンド)です。
1989年に設立され、Rajawaliグループ(PT Grahametropolitan Lestari)と
外国の投資家によって改編されてPT Excelcomindo Pratamaとなります。
1996年より本格的に通信事業参入し、ジャカルタ、バンドン、スラバヤのエリアから
サービスを開始。2005年にジャカルタ証券取引所に上場をしました。
2011年現在の大株主であるアクシアタ・グループ(Axiata Group)はマレーシアの通信大手です。
テレコム・マレーシアの移動体通信事業を中心とするTM International社が
2008年にマレーシア証券取引所(BRUSA)へ上場して、09年3月にAXIATAと社名変更しています。
アクシアタ・グループが展開する携帯キャリア事業は
東南アジアを中心に新興国各国に広がっていて、
マレーシア携帯キャリア セルコム
スリランカ携帯キャリア ダイアログテレコム
インドネシア携帯キャリア XLアクシアタ
バングラディシュ携帯キャリア アクシアタ・バングラディシュ
シンガポール携帯キャリア モバイル・ワン
など以外にもインド、イラン、パキスタンなどの企業へも出資しています。
日本では、ほぼ携帯キャリア3社で固定されていますが、
今後海外旅行先などで、携帯電話を利用したり、シムカードを購入したりする機会があるかもしれません。
(※シムカード SIM CARDはSubscriber Identity Module Cardの略称で、
GSMやW-CDMAなどの方式の携帯電話で使われている固有のID番号が記録されたICカードで、
世界各国多くの携帯電話ではこのカードを差し込めば携帯電話が使えるようになります。)
また日本で既に開始している3G携帯通信サービスにより、
携帯からネットショッピングができる時代に来ていますが、
新興国各国のモバイルショッピングはこれからです。
その際には、その国の携帯電話キャリアのブランドや、
どのくらいの普及度なのかを見ると、
その国が現在どのレベルにあるのかを見ることができるでしょう。
日本ではブームが去ってしまった携帯ゲームも、
もしかしたらアジア新興国ではブームになる可能性もあります。
そういう視点で「今後どのような時代が来るのか、またどのように対応するべきか」を
考えながら世界の経済を見るのも面白いかと考えます。
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
2011/09/07 20:56 更新
アセアン経済の概要です。その9
JFA様の転載記事です。
東南アジアの各国の経済情報を、
現地の視点からお伝えしています、アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、
「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。今回は再びタイランドについてです。
タイに関するインターネット業界の特集です。
●東南アジアではオンラインゲームが普及している
任天堂やソニーエンターテイメントが日本では有名ですが、
東南アジアではコピー商品が大変多く、新作ソフトもすぐにコピーされています。
(これは音楽、映画などの産業も同じような構造になっています。)
そのため東南アジアのゲーム企業はオンラインでユーザーを取り込み、
オンライン上で課金するスタイルで伸びている企業も存在します。
タイ証券取引所に上場する企業でアジアソフトと言う企業があります。
タイに本社を置くアジアソフト社は東南アジアでも有数のオンラインゲーム会社。
2010年度の業績は 売上 15億3900万バーツ(およそ45億円)
純利益では 2億6400万バーツ(およそ8億円)
※タイ証券取引所HPデータ参照
この企業は2008年にタイ証券取引所に上場。
タイを中心にしてシンガポール、マレーシア、
ベトナムでオンラインゲームを展開しているのです。
韓国や日本からゲームの版権を買い取り、ラグナロク・オンラインなどの事業権を買い、ユーザー数を拡大中です。
また、今後は携帯電話とソーシャルオンラインゲームの関心度を強めています。
特にスマートフォン、フェイスブック関連のゲーム事業に関しては
様々なプラットフォームを通じて
「Andoroid」「iPhone」「Black Berry」のゲームサービスへ広げていく計画です。
アジアソフト(AS)の
2011年度売上予測は18億バーツとしていて
2010年度の売上の15億バーツを越えるとしています。
売上の95%はオンラインゲームの課金システムからで
残り5%はセキュリティ関連ビジネスとしています。
●東南アジアではフェイスブックも伸びている。
日本ではまだ加入者数が伸びていないフェイスブックですが、
東南アジア各国では
2008年末ごろから急速に普及し始めていて、
世界の国別フェイスブック人口の中でも東南アジアでの浸透率は高いのが特徴です。
バンコクやジャカルタでも若い学生が熱心に友人と携帯電話・スマートフォンを通じて
コミュニケーションをしている光景を良く見かけます。
国によって利用パターンが異なるケースなどもありますが、
新興国でもインターネットの普及によって、海外のサービスが急速に広まることが証明されています。
インドネシアは世界2位。 3517万人 / 2億3000万人 総人口に対する加入率 15.2%
フィリピン 2265万人 / 9100万人 24.8%
マレーシア 1022万人 / 2700万人 37.8%
タイ 842万人 / 6600万人 12.7%
シンガポール 229万人 / 470万人 48.7%
ベトナム 155万人 / 8800万人 1.7%
データ参照元(2011年2月時点http://www.facebakers.com/facebook-statistics/)
このようにフェイスブックの認知度が高まるにつれて
フェイスブックや、ソーシャルネットワークをビジネスに使おうとする動きも出ています。
日本で流行しているグルーポンの動きもまさに「口コミ」が
ビジネス、購買行動へ結びつけるインセンティブとなっており、
そのビジネスモデルを真似た動きも東南アジアでは動き始めています。
● タイでのグルーポン ENSOGO
タイでは不動産・自動車販売企業がENSOGOと言うサイトを注目をしています。
ENSOGO:エンソーゴはタイ・インドネシア・フィリピンで展開中。
見込み顧客の購入スピード、大量顧客獲得方法として利用する企業が増えています。
社名はEntertain, Social and Go.の頭文字を取っています。
この分野はタイでは
ソーシャルコマースとも言われ、ソーシャルネットワーク(口コミ)と
Eコマースの連携による
販売戦略が東南アジアでも進んでいます。
ENSOGOの代表Tom Srivarakul氏は
タイランドで最初にソーシャルコマースを立ち上げています。
こちらのサイトでは
50〜90%の割引価格が表示され、消費財、エステ、高価格帯商品、
などが並びます。
また2011年1月は自動車メーカーのFordとキャンペーンを
提携、販売台数を伸ばしています。
ENSOGOでは2010年度は250社だった提携企業数を
2011年度は3000社〜4000社のパートナー会社と組み、50万人の会員数を目指します。
● 東南アジアでのECコマース
東南アジアでもネット環境が整いつつあり、
タイ・バンコクでは4M〜12Mのスピードが
保てるようになってきています。
(※業者にもよるが月額費用はおよそ1500円〜3600円ほど。)
この動きを見据え、
2009年には楽天がタイ現地ECコマース大手のタラート社の
株式66%を取得していて、タイでのEC事業へ参入しています。
「Tarad dot com 」はPawoot Pom Pongvitayapanu 氏が設立した
EC企業で2010年末時点で
店舗数はおよそ20万店舗で会員は200万人を越えています。
他にもタイの通信企業である、
トゥルーコーポレーション(TRUE)が運営するECサイトが運営する「We love Shopping」と言うサイトも
会員数を拡大しています。
タイの地場系大型小売店舗「セントラル・デパート」「ザ・モールグループ」なども
2010年よりECコマース事業へ参入していて
今後タイのインターネットショッピング市場は
大きく伸びる市場であると予想されています。
日本のITバブルが発生したのが1999年〜2001年です。
当時、日本国内のインターネット関連企業の実需投資や株式市場における関連企業の株価の異常な高騰が発生しました。
「ドットコム会社」と呼ばれる多くのIT関連ベンチャーが設立されましたが、
2001年にかけてこのブームとバブルは終焉しました。
このような流れが、東南アジア各国で今後起こるかもしれませんし、
まったく起こらないかもしれません。
しかしながら、中間層が増加し、欲しいものを次々と消費していくアジアの人々は
今後、過去の日本のように、成長する市場と消費欲、右肩上がりの未来を抱いています。
このようなマーケットに注目する日本企業は、いずれですが、もっと現れても良いと考えています。
ガラパゴス化と言われて久しい日本ですが、東京に戻るたびに、
日本の各企業のプロダクツやサービスは世界の消費者に受け入れられるモノを持っていると確信しています。
インターネットによる販売は国を越え、文化を越えて成長しています。
世界中で「考えもしなかった事件」「考えもしなかったイベント」
「まったく予想もできなかった企業」
が次々と登場してくるかもしれません。
インターネットを利用したビジネスはまだアメリカ中心になっていますが、
アイデア次第では日本、中国、インド、インドネシアなどからでも新たなスター企業が出てくるかもしれません。
若い方を中心にしてそのような国を越えた動きが次々と出て行って欲しいと考えています。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
2011/09/05 20:51 更新
アセアン経済の概要です。その8
JFA様よりの転載です。
東南アジアの各国の経済情報を、
現地の視点からお伝えしています、アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、
「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。今回はタイのファッション事情に関してです。
読者の皆様もすでにご存知かと思われますが、
ユニクロ・ブランドを展開するファーストリテイリング社の代表、柳井社長は
積極的な海外進出を開始していて、東南アジアでも
シンガポール進出(2009年出店)を皮切りにマレーシア進出(2010年出店)を進めていて
タイでもバンコクに2011年末までに進出を計画しています。
※2011年9月9日OPENとなりました。
ファーストリテイリングの社名は英語で「素早く(提供する)」を意味する
"Fast" と 「小売業」を意味する "Retailing" を組み合わせた造語で、ファストフード的に素早く商品を提供できる
小売業(=ファストファッション)を目指して名付けられたものであるとしています。
企業理念は「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。だそうです。
●タイのファッション誌を見てみると
タイ・バンコクの大型書店に入ると、女性ファッション誌の中で
「SCawaii !」「ViVi」「Ray」と言った日本で見かけた女性誌が置いてあります。
日本にお住まいの女性の方なら、一度は本屋さんなどで手に取ったことがある雑誌ばかりでは
ないでしょうか。
これは真似て作った女性誌ではなく、タイの上場企業である
サイアム・スポーツ・シンジケート、
SIAM SPORT SYNDICATE(SPORT)社の子会社である、Inspire Entertainment社
が正式に日本の版権を買い取り、
タイで事業展開しているファッション雑誌です。
こちらの企業は雑誌販売、印刷、スポーツ新聞の発行などをおこなっています。
この雑誌の中ではざっくりとですが、
日本のファッションモデルさん7割、タイ人ファッションモデルさん3割の比率で
日本の最新ファッションを取り上げています。
企業側発表ですが、この3誌合計で毎月40万部を発行しているとのこと。
日本で雑誌が売れないと言われている中、この人気振りは凄まじいものがあります。
それだけタイの女性の方は、日本のファッションに憧れを抱いているのです。
しかし中身を見ていくと
もうタイ人の美人なのか日本人の美人なのか分からないほど、
タイのトップクラスのファッションスタイルは変わらなくなってきています。
また、バンコクではすでに複数の日本のヘアアーティストの方やファッションデザイナーの方も
来タイしていて、タイ人の富裕層、若い層に大変な人気となっています。
日本のファッショントレンドがタイで非常に人気なのです。
●日本のトレンドやファッションは受けるのか?
少し話がそれますが、
これまで日本の農産物やプロダクトは高級過ぎる、ハイスペック過ぎるとして
売れないと言う固定観念があり、日本の外食系企業も進出を控えてきていましたが、
ここに来て、タイのバンコクを含めて東南アジアでは
日本食や日本製品を好むアジアの人が多いことに気づいた企業が増えてきました。
2005年にタイへ進出した大戸屋を筆頭にして、日本の外食産業が次々とアジアへ展開しています。
特にバンコク都内には日本のラーメン店が続々と進出していて大盛況になっています。
タイ人の方に受け入れられることが大前提ですが、
かなり好評のようです。
またこのブームを引っ張っている事業家の一人がオイシ(OISHI)グループの創業者であった
タン・パーサコンティー氏。
緑茶事業をヒットさせ、日本食チェーンもヒットさせ、タイのテレビ・コマーシャルでも良く見かける存在です。
ちなみにタン氏はOISHIの事業は2010年に代表を勇退していまして、
シリワタナパクディー氏率いるタイビバレッジ社(THBVE)へ売却済みです。
日本の緑茶も当初タイ人に受け入れられるのか、と言うところから、
タイ全土に緑茶ブームを起こしたのもタン氏です。
その後も次々と事業を広げ、お寿司を食べ放題できる「オイシ・ブッフェ」や
しゃぶしゃぶとお寿司の食べ放題の「シャブシ」も
ヒットしています。タイ人の日本食ブームを仕掛け、高めたのもタン氏です。
2010年後半には日本のラーメン店舗を集結させ、日本で有名な「大勝軒」などを誘致。
日本の有名ラーメン店6店を集めたラーメン店街「ラーメンチャンピオン」を運営開始しました。
日本の有名ラーメンがバンコクでも気軽に食べられるようになっていると言う驚きの日本食ブームです。
●タイの消費財・ファッションの財閥グループであるサハ・パタナビブン(SPC)
また、アパレル関連で言えば
サハ・グループと言うのはタイでは大変有名な企業で大手ショッピングセンターや
コンビニエンスストアなどでもサハ・グループの商品は豊富に見かけます。
サハ・パタナビブンは、サハ・グループの旗艦企業として活躍していて、
タイ・ワコール社、ライオン・タイランド社、イトーキン、ジャノメなど日系による合弁企業も数多くあります。
2010年には
薬局チェーンを展開するツルハホールディングス(北海道札幌市)が
サハ・パタナインター・ホールディング(SPI)と提携しています。
タイの現地出店を進め、日本の化粧品、トイレタリー製品を相互供給していくとしています。
また社員人材の交流、人材育成、市場調査も進めるとしています。
2011年には
大王製紙株式会社と、ベビー用紙おむつ市場での事業拡大を推進するために、2011年1月、
サハグループを主要パートナーとする合弁会社
「エリエール インターナショナル タイランド」を設立しました。
このサハ・グループは、
タイにある華僑財閥の一つであるチョークワタナー財閥により経営されていて
タイ国内向け製品、海外向け製品など、3万点以上の製品を生産するまでに成長しています。
関係子会社、提携会社含めおよそ300社。
代表的な商品には、
選択用洗剤の「パオ」
ベビー用シャンプーの「コドモ」
コンビニエンスストア「108SHOP」
タイでシェアNo1の即席めん「ママー」 と言ったものがあります。
以上のように日本のブランドも次々と東南アジアへ進出を開始しています。
もちろん東南アジアですので
日本のように上手く行かないケースも多々あります。より綿密な事業調査やリサーチ、ヒアリング、
マーケティングは重要であると考えます。
しかしこの域内にいる人口は5.5億人と言う規模です。
日本の人口はいずれ1億人を切り、8000万人台へ落ち込むことが予想されています。
長期的に見れば、この5.5億人は6億人となり、
中間層も大きく増加していきます。
日本の製品がどのくらい受け、どのくらい売れていくのかは、その企業のやり方次第ですし、未知数ですが
すでに先行している企業のように、果敢に挑戦して、成功している事例を研究することは
間違いなく、役に立つことだと考えます。
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
2011/08/31 20:49 更新
アセアン経済の概要です。その7
JFA様からの転載記事です。
東南アジアの各国の経済情報を、現地の視点からお伝えしています、
アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。今回は少し視点を変えてインドについてです。
インドに関するゼネコン・インフラ開発の特集です。
読者の皆様もすでにご存知かと思われますが、
日本に距離的に近い中国と比較されつつ、2050年には世界で人口1位となり、超大国へ変貌すると言われるインド。
世界銀行元総裁のジェームズ・ウォルフェンソン氏も
「中国とインドが2050年前後に米国と日本に取って代わり、世界経済の動向に大きな役割を果たすようになる」と発言しています。
●凄まじい広さのインドのニューデリー インディラ・ガンジー国際空港
こちらのメルマガで視覚的にお伝えするのは難しいですが
入国管理ゲートに進む場所から、すでにインドの巨大さをイメージさせるほどの巨大スペースが待ち構えます。
この空港の名称はインディラ・ガンディー元首相に由来し、
Indira Gandhi International Airport を略してIGIAと呼ぶこともあります。
この空港ターミナルが完成する前までは驚くほど古く、汚い国際空港と呼ばれていましたが、
世界の窓口となる空港建設を進め、無事完成。新第3ターミナルが2010年7月に開業しています。
空港内の天井の高さ、ゲートの数から度肝を抜く大きさとなっています。
不衛生なイメージのあるインドとは思えない空港の広さ、
設備の巨大さはバンコク・スワンナプーム国際空港や、シンガポール・チャンギ国際空港に匹敵、それを上回る広さです。
カフェ、外貨両替所、WiFi施設、携帯電話も均等な間隔で並んでいます。
また自動販売機も用意されていてスナック菓子と飲料水が購入できるようになっているのです。
●大混雑のデリーメトロ
空港を出て、デリー市内を訪れると、日本のJICAが円借款で支援して建設されたデリーメトロが
6路線すでに誕生しています。(2011年3月時点)
このデリー・メトロ(Delhi Metro, Delhi Mass Rapid Transit System (MRTS))は
インド・デリー市内の渋滞緩和を目的として建設された大量輸送機関で
初乗り8ルピー〜30ルピーとなっています。
運行時間は午前6時〜午後23時までで女性専用車両もあります。
朝夕だけではなく、昼間でも大混雑していて、インド人であふれていました。
女性専用車両はやや空いています。
まだ建設途中の箇所が多く、駅でもほとんどが完成となっていないものが多いのですが、
いずれ日本の地下鉄のように、巨大なインフラになることが計画されています。
まさに日本がかつて通った道を突き進んでいます。
●何故 東南アジア各国・アセアンと関連性がある??
さて、
読者の皆さんは、BIMSTECと言う経済用語をご存知でしょうか。
南アジアの各国で経済連携する枠組みベンガル湾多分野技術・経済協力イニシアチブ
Bay of Bengal Initiative for MultiSectoral Technical and Economic Cooperation (BIMSTEC) のことで、
南アジアの各国が自由貿易協定の枠組み完成へ向けて
交渉を続けています。
BIMSTECは1997年にベンガル湾周辺の
タイ、インド、バングラデシュ、スリランカの4カ国で発足した国際協力の枠組みでしたが、
ミャンマー、ネパール、ブータンも加わり、2010年末の構成国は7カ国になっています。
貿易・投資、技術、交通・通信、エネルギー、観光、漁業の
6分野での協力を提唱しています。
各国は
FTA実現へ向けて5000品目をまず関税自由化へ進める方向を示していて、
2012年の半ばまでに実現を図るとしています。
アセアンと比較してまだまだ関税障壁の多い南アジアの各国ですが、
これらの地域は今後、インドを中心にして巨大経済圏となる可能性の高い地域となっています。
タイやマレーシアで生産されたプロダクトが南アジアの消費者へ
運ばれる時代となってきています。
このように、日本がTPPで論議している間にも世界では次々と自由貿易協定の枠組みが進んでいます。
●イタリアンタイ・デベロップメント
タイの企業もインド進出を開始しています。
特にイタリアンタイ・デベロップメント社(ITD)は海外事業売上比率が40%以上となっていて
主に挙げるだけでも、
インド・バンガロール市の鉄道建設、デリーメトロの駅舎建設事業、
コルカタ空港旅客ターミナルビル建設
デリーメトロ鉄道建設など
幅広くインドのゼネコン事業に関わっています。
また
イタリアンタイ・デベロップメントはインドへの進出以外にも
ミャンマーやバングラディシュにも進出している大型ゼネコン企業です。
タイの建設最大手イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)は2010年11月に
ミャンマー軍事政権との交渉でミャンマー南部の湾口都市ダウェイでの
大型開発事業580億ドルの交渉がまとまったと発表しています。
2011年1月には
バングラディシュの首都ダッカの高架高速道路建設を
バングラデシュ政府から受注したことを発表しています。
北郊のバングラディシュのハズラット・シャージャラル国際空港と
ダッカ市南部を結ぶルートで、全長25.5Kmとなっています。総工費は20億USドルで
25年間運営する権利を持ちます。
またタイの住宅不動産大手で
バンコクを中心に住宅開発・販売を手掛けるプルックサー・リアルエステイト(PS)社も
インドのバンガロール、ムンバイ、チェンナイで住宅開発事業を展開しています。
※Asia-Pacific Housing Journal誌より
シンガポールの資本やマレーシアの資本もインド進出を開始しています。
このように巨大な人口を誇るインドに対して大きなチャンスと見て
アジアの各国はインド進出の攻勢を強めています。
テスコ・グループやカルフール・グループ、アメリカのウォルマートなど、
欧米の大型小売事業者もインドの現地法人と提携しながら10億人を越えるマーケットに対して
攻めの姿勢を崩していません。
ひるがえって日本。
進出を検討し始める日本企業も増えてきていますが、ほとんどはまだ大企業が中心でして
インドに関してはまだまだ進出を現実化している企業は少ないようです。
中国全体で進出済みの日本企業は1万778社と言われていますが、
(帝国データバンク2010年10月発表)
インドで進出している日本企業は672社(帝国データバンク2011年2月発表)で、
アジア各国に比較してまだまだ少ないのが現状です。
まだまだインドには不安要素が多いと言われていますが、
将来、長期的に見れば確実に大きく成長を予感させるインドのインフラでした。
インドと言うと貧しいイメージやカースト制度と思い浮かべてしまうかもしれませんが、
その認識はすでに時代遅れとなっていまして、
2050年には世界一の人口大国、経済大国になる可能性もあることを
知っていただければ幸いです。
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
2011/08/29 20:46 更新
アセアン経済の概要です。その6
JFA様の転載記事です。
東南アジアの各国の経済情報を、現地の視点からお伝えしています、
アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。今回はタイの農産物事情に関してです。
読者の皆様もすでにご存知かと思われますが、
世界の農産物価格が高騰し、新興国、中東、アフリカなどでは貧困層の得る食糧価格が上がり、不満が高まり、
それが反政府デモ、民主化要求へつながっています。
世界の農産物価格の数値を参照するために、
国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)のフード・プライス・インデックス
のチャートを見てみると、
その上がり方は一目瞭然でして、2008年リーマンショック後から回復して急激に上昇しています。
※FAOフードプライスインデックス(Food Price Index)は
55の農産物商品価格の推移をまとめた指数になっています。
オーストラリア産の農作物の値上がりや
世界各地で発生している洪水、穀物・飼料の輸出禁止などで世界的な食糧不足、農産物価格の上昇しているのです。
この影響で
新興国や貧困国では食料価格は上がり続けていて、一般消費財までに及んでいます。
●タイの農業財閥チャロンポカパーングループ(CPグループ)
タイ国内のみならず東南アジアで展開する食品財閥チャロンポカパーン(CP)グループは
農業ビジネス最大手で、小売事業、通信事業、不動産事業などを手掛けるコングロマリット企業に成長しています。
CPグループが行うアグリビジネスは、タイ国内、近隣東南アジア諸国から、インド、中国などの
今後人口増加していく国などへ進出を拡大。
中国華僑の謝家:ジアラワノン・ファミリーが基礎を作った巨大財閥として知られていて、バンコクの街中のスーパーのあらゆる
場所で卵、鶏肉、豚肉、加工食品などのパッケージにこのCPグループのマークがついています。
その中で食品部門を主に扱うCPフーズ(CPF)はタイ証券取引所にも上場していて
タイ国内では卵、鶏肉、豚肉などの畜産、コメの生産、冷凍食品の製造、
海外向けには飼料、鶏肉、豚肉の加工用食品の販売、魚介類、エビなどをメインとした輸出をしています。
●タイのコンビニエンスストア最大手CPオール(CPALL)
また別会社ではCPオール(CPALL)と言う企業が
タイ国内でセブンイレブンを展開しています。
2010年度は出店店舗数で台湾を抜き、セブンイレブン店舗数で世界で第3位の規模に成長しています。
※2010年末時点では5660店舗。この数字は台湾を抜き、日本、アメリカに次いで世界第3位の店舗数となっている。
CPグループでは
タイの国内向けとしては自社直営の小売店「CPフレッシュマート」の出店数も増加させています。
このCPフレッシュマートはCPブランドの食料品を中心にレトルト、加工調理
済みの食品を小売販売しています。
大規模小売店舗と競合しない地区で展開し、宅配サービスもしています。
長期的にも将来的にも、
世界的に穀物や食糧に対する需要の増加、アジアの人口が今後も増え続けること、
中間層の増加で食卓が豊かになっていくことを予測する専門家が多いのですが、
人の口に必ず入る、必要とする食糧を握っている企業が強いのは明白です。
またCPグループの両社の株価は2009年以降急速に上昇しています。
CPFでは直近の業績は(※2010年度の業績タイ証券取引所データ)
売上 1925億バーツ(およそ5775億円)
純利益では 135億バーツ(およそ405億円)となっています。
時価総額は2010年度末で 1857億バーツ(およそ5571億円)となっています。
CPALLでは直近の業績は(※2010年度の業績タイ証券取引所データ)
売上 1410億バーツ(およそ4230億円)
純利益では 66億バーツ(およそ198億円)となっています。
時価総額は2010年度末で 1763億バーツ(およそ5289億円)となっています。
CPFの3年前の時価総額は239億バーツ(690億円)でした。その後株価が5倍となり、その影響が時価総額へ反映されています。
●タイのツナ缶を生産する企業も大きく成長しています。
2010年の7月に
タイのツナ缶・水産大手タイ・ユニオン・フローズン・プロダクツ(TUF)は、
フランスの水産大手MWブランズの全株式を6億8000万ユーロで
米投資会社トライランティック・キャピタル・パートナーズから買収・取得することを発表しています。
これまではツナ缶の生産規模は世界2位でしたが、買収後は年産50万トンとなり、
世界最大規模となります。
こちらのTUFはタイ屈指の水産加工大手で
2010年度の売上728億900万バーツ (およそ2180億円)
純利益では28億7300万バーツ (およそ86億円)
となっています。
製品別の売り上げ構成は直近でツナ缶製品37%、冷凍エビ23%、
魚介類缶詰10%、ペットフード缶詰9%、その他。
すでにグローバル企業となっていて、国・地域別での販売別シェアははアメリカで49%、ヨーロッパで13%、日本で12%、
タイで11%と、知らずに皆さんの食卓にもこのTUF社の製品が届いていることもあるのです。
●天然ゴムの価格も急上昇でタイのゴム生産企業も大きく成長。
またゴムの世界も、日本では見えにくいですが、
ゴム価格も2009年以降から大きく価格が上昇しています。
ゴムには天然ゴムと合成ゴムの2種類があるのですが、
この天然ゴムは東南アジア域内で70%が生産されています。 その中でもタイ、インドネシア、マレーシアの3カ国が
主な生産国となっています。
皆さんが普段使っている長靴、ゴム製品、耐震用設備、タイヤ、医療用手袋などは
東南アジア製品が多数あるかもしれません。
この天然ゴムが多く取れるタイでのゴム生産最大手の企業がスリトラン・アグロ・インダストリー(STA)です。
ここ1年で株価9倍。また生産量を既存の倍にする計画です。
シンガポール証券取引所(SGX)にもダブル上場を果たしました。
そして、
スリトラン・アグロインダストリー(STA)では2011年度は大きく増産体制に入ります。
シンガポール証券取引所(SGX)に上場すると同時に、シンガポールに支社を設置し、
天然ゴム取引のハブのシンガポールにて、活動の場を広げるとしています。
日本では食糧自給率などの論争がありますが、そもそも既に周りで使われている食品、製品は海外から入って来ている
ものが多いことに気づくことが先かもしれません。
そもそも、食糧危機の前に、日本はエネルギー関連の供給を止められれてしまえば
それを動かす電力、自動車、電車などのインフラがまず止まってしまいます。
安全保障のためのコメ自給率の確保と言うのは、よく分からないのです。
「自国の自給率をカロリーベースで食糧自給率を計算しているのは日本のみ」、
「エネルギー自給率が4%しかない国ではそもそも食糧自給率になんの意味もない(原油の輸入が止まれば、それで動く農業は壊滅する)」
と言う反論を日本の論点の中で野口悠紀雄氏が述べています。
日本の政治かも既得権益を守ろうとする団体も、まさに点でしか物事を見てないために、
今後もグローバルな世界はすぐ隣に来ているにもかかわらず、
他のアジアの国々よりも、行動や対応が極めて遅い国になろうとしています。
超高齢化社会へ向けて、金融国家へ向かうのならば、円高のうちにこれらの企業へ投資すべきでしょうし、
観光立国を目指すのであれば、そのためのサービスや語学研修などを既存のホテルや観光地へ打ち出すべきです。
そして
「農業、製造業で生き残るのだ!」と言う意見も、様々な方法で生き残りを模索する必要が出てきそうです。
なかなかグローバルな世界で保護政策一辺倒の意見を通用させるのは難しいと感じます。
逆に日本のクオリティ、生産管理技術は素晴らしいものがあります。
その管理方法、ノウハウ、コントロールなどの部分を売る方向へ持っていくのもありかと考えます。
美味しい牛乳をそのまま売るのではなく、
美味しい牛乳を作る・育てるノウハウを提供する、魚を売るのではなく、
魚の釣り方、育て方を売る。
また、本当に美味しい牛乳はアジアに住む富裕層へ向けてマーケティングを施策し
高い付加価値を与えて販売していく。
もちろん、アイデアベースの考えなので、ご批判、反論はたくさんあるかと思われます。
しかし実際にアジアの人々は欲しているにも関わらず、「なんで日本は売り込みに来ないのだろう?」と首をかしげています。
こういう考え方も一つの進むべき方向として考えられるのではないでしょうか。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
2011/08/26 20:36 更新
アセアン経済の概要です。その5
JFA様の転載記事です。
東南アジアの各国の経済情報を、
現地の視点からお伝えしています、アセアン・ジャパン阿部です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。今回は再びマレーシアについてです。
マレーシアを含めた格安航空会社の特集です。
●東南アジアのLCC ローコストキャリア
日本では「格安」と訳されていますが、
海外ではバジェットエアー、ローコストキャリアと呼ばれ
低価格で飛べる飛行機として、かなり普及しています。
タイの国際空港スワンナプーム空港の出発便の掲示板にはそれはもう、
たくさんのLCCの
会社が飛ばす便で埋め尽くされています。
皆さんもご存知のように、エアアジアと言う会社が国際空港となった羽田空港からマレーシアの首都クアラルンプールまで
5000円キャンペーンをおこない、
東南アジアまでキャンペーンとは言え、5000円で行ける時代を作り上げました。
東京では深夜、タクシーで東京都内から郊外へ走ればすぐ5000円など飛んでしまいます。
このエアアジア。
実はマレーシア証券取引所(BRUSA)に上場する株式会社です。
エアアジアの代表トニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は
2001年、経営破綻状態にあった航空会社を
わずか1リンギット(約30円)で買い取り、格安航空会社として再生したのが始まりです。
エアアジアはその後、急速に東南アジアで成長、拡大。
長距離路線を運航するエアアジアXのほか、
タイ・エアアジアとインドネシア・エアアジアなど
グループ全体で20カ国以上で展開していて、130路線以上に就航しています。
まさに、わずか9年であっという間に東南アジアを代表する航空会社へ成長させました。
● 5099 エアアジア AirAsia Berhad (KUL:AIRA)
AirAsia Berhad (AirAsia)は 輸送サービスセクターで
マレーシア企業の格安航空会社で。東南アジアでは最大の格安航空会社となる。
赤色がコーポレートカラー。2004年11月にブルサ・マレーシアへ上場している。
2006年には格安専用空港ターミナルもマレーシア・クアラルンプール国際空港の近くに開業している。
子会社関連ではCrunchtime Culinary Services Sdn Bhd 機内食サービス企業
AA International Ltd 投資事業
AirAsia Go Holiday Sdn Bhd 旅行ツアー事業
AirAsia (Mauritius) Limited 航空機リース事業
Airspace Communications Sdn Bhd 出版・メディア事業
AirAsia X 長距離国際線事業
エアアジアの2010年度の業績は大きく伸びています。
Air Asia マレーシア
低価格航空会社エアアジアでは第4四半期の純利益で8倍になったとしています。
航空便の平均搭乗率は82%となっていて、
前年比で79%からまたUPしています。
プロモーション効果もあって、東南アジア路線も好調でこれまで先進国の観光客が
利用していたものが、マレーシア、タイ、インドネシアの各国民の
利用率が上がっているとしています。
2010年度の通年では
売上39億9000万リンギ(およそ1200億円)となり、
純利益では10億6000万リンギ(およそ30億円)で 前年5億4900万リンギ(15億円)から大きく伸びています。
ライバル他社では
オーストラリアのジェットスター、
シンガポールのタイガーエアーですが、これら企業を大きく引き離しています。
2010年通年でエアアジア・グループでの乗客数は2570万人となり、13%UPでした。
●日本もようやくLCCを積極導入の方向へ
そして、今後も追い風となるニュースも出ています。
国土交通省は2011年2月に、
マレーシアの航空会社の成田空港への乗り入れを、同空港の発着枠が年27万回に拡大する
2013年に自由化することを発表しています。
日本の航空会社も、成田からマレーシアの空港に何便でも乗り入れ可能になります。
今後マレーシアの格安航空会社も羽田空港のみならず、成田国際空港へ乗り入れるようになるかもしれません。
格安航空会社と言うと、まだまだ日本ではイメージが良くないのかもしれませんが、
すでに時代は、バジェットエアーと、通常の航空会社の二極化へ進んでいます。
近距離でしたら、手厚いサービスは不要で、
チケットレス、フードレスでも十分、ほどほどで満足する乗客も多数いることをエアアジアは証明しています。
その余剰金額をホテルの代金や旅行内の買い物、お土産で消費するようになっています。
また国内人口と消費が縮小していくことがすでに明らかになっている日本では
今後、急増するアジアの中間層、海外旅行客を取り込む必要が出ています。
メディアでは中国人の富裕層しか取り上げていませんが、東南アジアには合計で5.5億人の人口があり、
当然、一部の富裕層が存在します。
彼らへ向けたPRはまだまだ少ないのが現状です。
日本政府観光局によると、2010年の訪日外国人861万人のうち、
シンガポールやマレーシア、タイなどの
東南アジア各国の日本観光訪問者数は、それぞれ過去最高値を更新しているのです。
●進化する東南アジアの国際空港
マレーシアの国際空港、クアラルンプール国際空港に降り立つと、欧米人から東南アジアの人々まで
多様な民族、国の人でごった返しています。
このような風景は、
シンガポール・チャンギ国際空港やタイ・スワンナプーム国際空港でも見られます。
クアラルンプール国際空港は1998年に誕生し、国際線・国内線メインターミナルと
少し距離が離れた場所にLCC専用ターミナルがあります。
またこの空港のメインターミナルからはクアラルンプール市内まで電車が開通しています。
市内にあるKLセントラル駅まで降りると日本語の標識も見ることが出来るのです。
東南アジア各国では、
長期的に見て予想されるヒト・モノ・マネーの自由化に対応するために、いち早く
航空産業を成長戦略の柱に据えています。
その結果として各航空会社の払う、空港発着使用料減免を決定したり、LCCを拡充するなどの支援をおこなってきました。
このあたり、日本の空港使用料は高く、また航空自由化にも遅れを取っています。
イギリスの調査会社・スカイトラックスの2010年度空港満足度ランキングでは
チャンギ国際空港(シンガポール)
クアラルンプール国際空港(マレーシア)
スワンナプーム国際空港(タイ)と言った東南アジアの国際空港に負けています。
関西国際空港が12位となるなど、こちらも出遅れ感が否めません。
ただし様々な課題がありつつも、
航空産業の政策が課題と言うことは、
「政治が変われば」その方向性が大きく変わる可能性も残されています。
観光立国を目指すと言われつつ、だいぶ時間が経っていますが
日本には四季があり、様々な変化が楽しめる国です。また
日本の各地、名所は海外に誇れる観光資産を持っているだけに、この状況を変えられる政治家を待望するしかありません。
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部俊之)
2011/08/24 20:18 更新
アセアン経済の概要です。その4
東南アジアの各国の経済情報を、現地の視点からお伝えしています、
アセアン・ジャパン阿部です。
JFA様への転載記事です。
日本経済の行き詰まりが深刻化する中で、
財政の面、経済の面、人材の面、生活設計の面からも
「日本国内だけで考えていく」時代ではなく、
「世界とのつながりを考えていく」時代に入ってきた
と感じています。
今回はタイからマレーシアへ動いて、
マレーシアの金融事情を解説します。
2010年度からのニュースですがここ最近、
日本の金融機関がイスラム金融業界を開拓するため、マレーシアの金融機関との提携を進めています。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
タイは仏教国で、マレーシアやインドネシアには主にイスラム教徒が多く住んでいます。
そしてここ最近
中東マネーが東南アジアへ流れ込んでいます。イスラム金融の技術が高いマレーシアでは特にその勢いがあり、
イスラム教の教義にのっとった金融システムでイスラム教の顧客向けに
金融サービスを提供しています。
●イスラム金融とは何か???
イスラム金融と言う難しいキーワードが出てきましたが、
シンプルに回答すると、金利と言う概念を回避させるなどして、イスラム教の教義に反しない方法で
金融システムを構築する仕組みです。
主なものでは、
1 預金 (商品を介在、または損益分配の概念を用いる)
2 保険 タカフル
3 債券 スクーク
他にも不動産、投資商品、REIT、投資ファンドなどもあります。
またイスラム金融に則した指数も開発され、この指数に含まれる銘柄はイスラム教の教えに反しない
企業活動をしている会社に限定されます
これらの企業にはシャリア(Sharia)、イスラム法に沿った企業運営が求められます。
イスラム株価指数はシャリアに従っている企業の銘柄から
構成以下のような活動が主な企業は含まれません。
・銀行などの利子の授受のある金融機関
・アルコール ・タバコ ・ポルノ
・賭博・ギャンブル ・武器製造 ・生命保険
・豚肉やハラル(イスラム教の戒律に則した食物)以外が含まれる食品
そして、そのイスラム金融の技術・ノウハウを求めて、日本の金融機関もマレーシア商業銀行との
提携を進めています。
●マレーシアの金融機関と邦銀の提携
マレーシア:RHB BANKと三井住友の提携
2010年12月、三井住友銀行は、マレーシア金融大手4位のRHB銀行と業務提携したと発表しています。
三井住友銀行が2011年春に現地法人を開業するのに伴い、RHB銀行の店舗網を使って
イスラム金融サービスや取引先企業の資金をまとめて管理する「キャッシュ・マネジメント・サービス」や
「トレードファイナンス」、「コーポレートファイナンス」などを協働するとしています。
※三井住友銀行プレスリリースより引用
RHBバンクの2010年12月時点の総資産は1293億2500万リンギで、
マレーシア国内で第4位の銀行となります。
マレーシアの金融機関資産額上位は、(2010年末時点のデータ マレーシア証券取引所(BRUSA)より)
1位 メイバンク(マレーシアバンク)
2位 CIMB (旧社名ブミプトラコマース)
3位 パブリック・バンク
4位 RHBバンク
5位 AMMB ホールディング
となります。
また2011年1月には
マレーシアの金融機関最大手メイバンクは日本のみずほコーポレート銀行と
新たな業務提携覚書を締結しました。
マレーシア・ナジブ首相が「マレーシア経済改革プログラム(ETP)」を発表する中で、金融分野が
主要成長分野として特定されたことを受け、日本企業によるマレーシアへの投資は
今後増加することが見込まれます。
またマレーシアはアジアのイスラム金融の中心であり、
イスラム教の教義にのっとった食品:ハラル産業を始めとする
イスラムビジネスの中心地として急拡大することも予想されていて、イスラム金融への足がかりとしたい考えです。
メイバンクは1960年に設立され、総資産約3470億リンギット(約9兆円)、
世界14カ国にオフィスを構えるマレーシア最大規模の金融グループとなります。
商業銀行、投資銀行、イスラム金融、リース、
保険、アセットマネジメント等総合金融サービスを提供しています。
またマレーシア金融機関自身も周辺国へ勢力を伸ばしています。
東南アジア各国でモノ・ヒト・マネーの動きが活発化する中でのグローバル展開を進めています。
●マレーシア金融機関の海外進出
そしてマレーシアの金融機関は積極的に東南アジアで進出を開始しています。
まずはシンガポールの証券会社を買収しています。
マレーシア国内銀行最大手のマラヤン・バンキング(メイバンク)が、
シンガポールの証券会社、キム・エン・ホールディングス株44.6%を7億9800万Sドル(19億リンギ)で買収、
筆頭株主となることが明らかになりました。
(19億リンギはおよそ600億円) ちなみに第3位の株主は三菱東京UFJ証券で28.05%となっています。
これによりメイバンクは、東南アジア諸国連合(ASEAN)で証券トップ5社に入ることになります。
メイバンクはASEAN域内では商業銀行としては大きな資産を抱えるものの、
証券業務や投資銀行業務の事業範囲はマレーシア国内での活動がメインでした。
タイでのキムエン証券(タイ)ではタイ証券取引所(SET)の取引の12.7%のシェアを誇り、
マーケットリーダーになっています。
キムエンホールディングスは
タイ以外にもベトナム、マレーシア、インド、フィリピン、インドネシアで展開中です。
また、資産規模2位のCIMB銀行は2010年末時点でタイの金融機関、
インドネシアの金融機関を傘下に収めています。
CIMB銀行グループは以下の4カ国で展開中。
マレーシア CIMB銀行
シンガポール CIMB銀行
タイ CIMBタイ銀行 (旧行名 バンクタイ(BT))
インドネシア CIMBニアガ銀行 (旧行名 リッポー銀行&ニアガ銀行)
このように、東南アジアの国、マレーシアではイスラム金融のノウハウや技術が先行しています。
現在、マレーシアはイスラム金融ハブと言っても過言ではありません。
その背景には政治主導で、マレーシア国内でイスラム金融の最先端技術を導入し、発展させるために、
マレーシアは経済発展の国家戦略として
イスラム金融の成長を支援してきたという背景があります。
やはり、(日本ではどうかはさておいて、)
優秀な政治リーダーがいて、ある一定方向のビジョンを打ち出す必要があるのではと考えます。
マレーシアやインドネシアではイスラム教徒が多く存在していて、金融にもその影響が深く入り込んでいます。
グローバル化する流れで、あなたの会社の取引先がイスラム圏の方になる可能性も十分にあります。
その際には、イスラム教の文化についても最低限知っておかねばならないことを
学ぶ必要性も出てくるでしょう。
今後、東南アジアでは金融機関の提携や、合併が増えていく流れですが、このイスラム金融の分野も
注目していただければ幸いです。
※追記
こちらを書いた後にすぐマレーシア金融機関1位と2位の銀行の下位銀行買収合戦のニュースが入りました。
このようにアンテナと情報を得ておくだけでも
世の中で(特にアジアで)どのようなことが起きつつあるのか、分かりやすくなるのではないでしょうか。
「2011年5月のニュース」
UAEの金融機関であるアブダビ・コマーシャル・バンク(ADCB)が売却を計画している
マレーシア金融機関の5位RHBキャピタル(RHBCAP)株(発行済み株式25%)
の購入に関して
マレーシア資産1位マラヤン・バンキング(メイバンクMAYBANK)と
マレーシア国内2位の金融グループCIMB(CIMB)が
取得を目指すと発表しています。
※上記記事は震災前に投稿した記事です。
(アセアンジャパン・コンサルティング代表 阿部