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羽根英樹
イベントドリブントレード入門 通信講座『イベント投資倶楽部』主宰。
兼業投資家。投資歴30年以上。現在は株の売買をメインに、年2〜3割のペースで資産を増やし現在の運用資産は数億円となる。 1993年からコモディティ市場でサヤ取りを始める。コモディティの出来高が減ってからは、サヤ取りの技術を応用し、リスク管理を徹底したトレードを実践している。現在はイベントトレードをメインに売買し着実に利益を積み重ね過去十年以上年間プラスを維持し続けている。
サヤ取りの秘密を暴露しすぎと一部の投資家から怒られた話題の本『サヤ取り入門』のリニューアル版『サヤ取り入門 [増補版] 』は、発売以来ベストヒットを続けている。そのほか、著書に『マンガ サヤ取り入門の入門』、『マンガ 商品先物取引入門の入門』、『イベントドリブントレード入門』(全てパンローリング)などがある。

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書評:5歳から始める金融・投資の勉強法

02月10日


私も普段から交流のある某哲也さんによる新刊『5歳から始める金融・投資の勉強法』。本書は単なる子供向けの金銭教育本にとどまらず、人生の選択を有利に進めるための「思考法」を説いた一冊です。


元パチプロという異色の経歴を持ち、元手1000万円を5億円規模まで増やした某哲也さんによる親子で学ぶ金融・投資教育の指南書です。
哲也さんは「確率と期待値」を理解し、金融・投資知識を少し身につけるだけで、人生は「イージーモード」になると言います。
本書の最大の特徴は、投資を「お金儲けの手段」としてだけでなく、人生の選択における「判断基準(期待値)」を養うツールとして位置づけている点にあります。

画期的な家庭内システム「パパ証券」
本書の白眉は、著者が考案した「パパ証券」という仕組みです。これは、子供が貯金をした際、同額分の高配当株を「親がバーチャルで購入したこと」にして記録し、実際に配当金が出たら、その分をお小遣いとして子供に渡すというシステムです。
この仕組みには以下の優れた教育効果があります。

• 投資体験の早期化: 実際の売買は伴わずとも、子供は「保有し続けることで資産が増える(複利効果)」や「企業の成長(増配)」を、12年間という長期スパンで体感できます。
• 入金投資の威力: お年玉やお小遣いをコツコツ「入金」することが、将来的に大きな資産を生むという、投資の王道を肌感覚で学べます。
• リスクの排除: 子供の資金は元本割れしません(親が管理上のリスクを負うため)。子供は成功体験を通じて、投資への肯定的なイメージを持つことができます。

2. 年齢に合わせた段階的なカリキュラム
本書は、「5歳から」というタイトル通り、子供の成長段階に応じた具体的なアクションプランが提示されています。
• 5歳〜小学校入学前(計算力の筋トレ): 投資の基礎となるのは「計算スピード」です。簡単な四則演算を「筋トレ」のように反復し、数字への苦手意識をなくすことを最優先します。
• 小学校低学年(お小遣いと確率): お小遣い帳で資金管理を学びつつ、ボードゲームなどを通じて「確率のブレ」や「不運」を経験させます。
• 小学校高学年(四季報通読): 本書の驚くべき提案は、小学生に『会社四季報』を通読させることです。著者が編み出した「省エネ型・四季報の読み方」は、「配当利回り」「売上・営業利益の推移」「配当性向」の3つの関所(チェックポイント)を通すだけで、子供でも優良なバリュー株を発掘できる手法です。
• 中学生以降(指標の理解と開示資料): PERやPBRといった指標の本質的な意味(ニワトリとタマゴの関係など)を学び、企業の開示資料を読むことで、投資家としての視点を養います。

3. 「高配当収益バリュー株投資」の哲学
著者が推奨するのは、頻繁な売買を繰り返すトレードではなく、「高配当収益バリュー株」を長期保有するスタイルです。これは、「安く放置されているが、利益は成長している企業」に投資し、配当を受け取りながら是正(株価上昇)を待つ手法です。
著者は自身を「怠け者」と称し、だからこそ手間のかからない、再現性の高い手法を追求しています。重要なのは「安く売らないこと」であり、株価変動にメンタルを揺さぶられず、企業の本質的価値(期待値)を信じて保有し続ける姿勢です。

4. 親にとっても学びの多い「人生の攻略本」
本書は「子供を投資家にするための教育書」ではなく、「お金にも働いてもらう仕組み」を生活に取り入れる提案書です。 著者は、投資には「破産確率」の管理が不可欠であり、期待値が高くても全財産を賭けるような行為は避けるべきだと説きます。こうしたリスク管理の思想は、投資だけでなく人生のあらゆる局面で役立つでしょう。
「投資経験がないから教えられない」と悩む親御さんにこそ、本書はおすすめです。親自身が本書を通じて学び、子供と一緒に成長していくプロセスそのものが、最強の金融教育になるからです。
金融教育が不足していると言われる日本において、本書は親子で「資本主義のルール」を学び、豊かで自立した人生を送るための羅針盤となるおすすめの一冊です。

某哲也氏、なごちょう氏と私の三人で2月28日投資戦略フェアに登壇します。当日は某哲也氏のサイン会も予定されています。是非お越しください。



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書評:市場の神話にだまされるな

01月28日



本書はPSR株分析でおなじみのケン・フィッシャーの著作。ここでは私が特に面白いと感じた2つの章、「小型バリュー株の優位性」および「ニュースメディアとの付き合い方」という2つのトピックを中心に述べる。

まずは小型バリュー株の優位性。
多くの投資家は、「小型バリュー株は本質的に優れており、長期的には他の株式よりも高いパフォーマンスを上げる」という神話を信じている。しかし著者は、この考えを「流行を追いかけている以外の何物でもない」と断じる。
著者が提示する現実はシンプルだ。「どのカテゴリーをどれほど深く愛そうとも、それが最も優れているなどということはあり得ない」。歴史を振り返れば、大型グロース株、ハイテク株、金融株、新興国市場など、市場を主導するカテゴリーは常に循環しており、永遠の勝者は存在しない。
この循環を生み出すメカニズムとして、著者は「需要と供給」の重要性を強調する。
1. あるカテゴリーの人気が高まり株価が上昇すると、投資銀行家や企業はその需要に応えるために新株発行やIPOを行い、供給(株式)を増やす。
2.供給が増えすぎると、やがて需要を上回り、株価は下落に転じる。
3. 逆に人気がなくなれば、自社株買いや倒産によって供給が減り、需給バランスが改善される。
このように、資本主義の基本である価格決定メカニズムを無視して、「特定のスタイルが常に勝つ」と信じることは、資本主義そのものを否定することに等しいと著者は警鐘を鳴らす。

ニュースメディアとの付き合い方。
「ニュースで話題になっていることはすでに株価に織り込まれているから、見る価値がない」あるいは「メディアは偏向しているから無視すべきだ」と考える投資家は多い。しかし、著者は「投資家にとってニュースは友人である」と述べ、正しく解釈すれば優位性をもたらすと主張する。
著者が説くメディア・リテラシーの要諦は以下の通りである。
1. センチメント(市場心理)の指標として使う ニュースは事実を伝えるだけでなく、市場参加者が今何に注目し、どのように感じているか(センチメント)を映し出す鏡である。極端な高揚感や悲観は、相場の天井や底を示唆する重要なサインとなり得る。
2. メディアの「事業構造」を理解する メディアは営利企業であり、広告収入を得るために「注目」を集める必要がある。人間は進化論的に「危険」に対して過敏であるため、メディアは本能的に注目されやすい「悪いニュース」を優先的に報じる傾向がある。したがって、「悪いニュースばかりだ」と感じても、それは世界が悪いのではなく、メディアが利益を最大化しようとしている結果に過ぎない。
3. 現実と期待のギャップを見抜く 株式市場を動かすのは「現実と期待のギャップ」である。メディアが報じる期待(コンセンサス)を理解し、それに対して現実がどう動くかを確率論的に考えることが重要である。
結論:バイアスを排除し、事実に基づいた投資を
本書が提示するのは、特定の銘柄選びのテクニックではなく、市場を曇りのない目で見つめるための「思考の枠組み」である。著者は、「永遠の愛に堕ちてはならない。愛とはバイアスのもう1つの形であり、現実を見えなくしてしまう」と語る

取り上げた2つの章以外にも多くの神話の裏の真実が述べられている。多くの投資家に当たり前に思われていたことが実は間違いであることが突きつけられる書。






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