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優利加

2003年8月から個人投資家に株式トレード技術の指導をする「優利加塾」を開講。2007年4月から准教授として大学及び大学院にて「数理ファイナンス」、「金融工学」、「ファイナンス概論」、「経営財務」などの科目を講義する一方、学部生及び大学院生の「演習(ゼミ)」の指導も行っている。モットーは「自他共楽」と生涯現役の株式トレード。著書の『 生涯現役の株式トレード技術』は、2006年2月出版以来、続々と感動の声が殺到。 ブルベア大賞2006 大賞を受賞。

「生涯現役のトレード日記」

日経平均、2日連続の長陽線で続伸

01月31日
先週金曜日の米国株式相場は大幅反発した(DJIA +564.69 @34,725.47, NASDAQ +417.79 @13,770.57, S&P500 +105.34 @4,431.85)。ドル円為替レートは115円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は上昇した。東証1部では、上昇銘柄数が1,715に対して、下落銘柄数は417となった。騰落レシオは92.96%。東証1部の売買代金は3兆2130億円。

TOPIX +19 @1,896
日経平均 +285円 @27,002円

先週末の米国株式相場の大幅反発を受けて、本日の日本株全般も続伸した。日経平均は一時400円超上げ幅を拡大する場面があり、3営業日ぶりに終値ベースで27,000円台を回復した。業績期待が高い半導体関連銘柄だけでなく、コンテナ事業を核とした好業績を背景に大手海運株の上昇が際立った。

日経平均の日足チャートを見ると、2日連続の長陽線で続伸した。ただ、1月27日の長大陰線1本で下げた分をまだ回復していない。また、下向きの10日移動平均線も回復していないので、下げ止まったかどうかはまだまだ判定できない。

33業種中25業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、精密機器(2位)、サービス(3位)、鉱業(4位)、鉄鋼(5位)となった。
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自律反発狙いの買いが優勢

01月28日
昨日の米国株式相場は小幅続落した(DJIA -7.31 @34,160.78, NASDAQ -189.34 @13,352.78, S&P500 -23.42 @4,326.51)。ドル円為替レートは115円台半ばの前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は反発した。東証1部では、上昇銘柄数が1,926に対して、下落銘柄数は219となった。騰落レシオは89.26%。東証1部の売買代金は3兆3464億円。

TOIX +34 @1,877
日経平均 +547円 @26,717円

米国株式相場の続落はまだ止まっていないが、日経平均は昨日までの3日間で1400円を超える急落となり日経平均の25日移動平均線乖離率が-7.4%まで拡大していたため、本日は自律反発狙いの買いが優勢となり大きく反発した。また、米長期金利の上昇期待を背景にドル高・円安が進み1ドル=115円台となったため、自動車など輸出関連株が買われたこととも日本株全体を押し上げた。さらに、日本株の取り引き時間中に米株価指数先物が堅調に推移していたことも日本株の買い安心感を増した。

現在の急激な世界的な株価調整は米国の高まる物価上昇基調(=インフレ)を抑え込むためにFRBが金融政策を引き締めの方に転換しつつあることが最大の原因である。では、なぜ米国で物価上昇が起こっているかと言うと、コロナ禍が原因となる人・物の供給制約とアメリカ経済の急回復であるが、この2つの要因による物価上昇圧力は必ずいずれ弱まる。そうなればそれ以上金融政策を引き締める必要性もなくなるため、さらなる金利上昇懸念も沈静化してくる。ということは、その時までに米金利上昇懸念を原因とする株式相場の調整は完了する。その時は今年9月頃になるというのが有力な見方である。

日経平均の日足チャートを見ると、昨日の長大陰線に対して本日は陽線で反発して「はらみ線」となった。もし、数日以内に昨日の長大陰線の始値よりも上に浮上できれば、「はらみの上抜け」となり当面の安値を確認したことになる。

33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、化学(2位)、パルプ・紙(3位)、輸送用機器(4位)、鉱業(5位)となった。
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米利上げが3月に早まることがほぼ確実となったため・・・

01月27日
昨日の米国株式相場は小幅続落した(DJIA -129.64 @34,168.09, NASDAQ +2.82 @13,542.12, S&P500 -6.52 @4,349.93)。ドル円為替レートは114円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は大きく続落した。東証1部では、上昇銘柄数が87に対して、下落銘柄数は2,067となった。騰落レシオは87.69%。東証1部の売買代金は3兆8216億円。

TOPIX -49 @1,842
日経平均 -841 @26,170円

1月26日まで引いた米連邦公開市場委員会(FOMC)後に、パルエルFRB議長は賃金インフレを警戒して保有資産の大幅な削減の必要性に言及した。さらに次回3月のFOMCにて政策金利の引き上げすることを示唆した。これを受けて売りが急増して、日経平均は急落し下げ幅は一時900円を超えた。利上げが3月頃に前倒しになりそうだというのは既に以前から想定されていたので、今日の日経平均の動きは過剰反応だと思うが。

日経平均の日足チャートを見ると、昨年8月22日安値@26,954円はおろか、一昨年12月22日安値@26,361円も突き抜けて下げた。これで昨年9月14日高値@30,795円を上抜けしてバブル経済崩壊後の戻り高値を更新することは当分の間(少なくとも1年くらい)はなさそうである。ただ、25日移動平均乖離率が-7.4%まで急拡大しており、短期的には下げ過ぎである。早晩、自律反発局面が来るはずだが、そうなっても戻り売り圧力は相当大きいだろう。株式相場が米利上げを相場に完全に織り込むまでしばらく時間がかかる。

33業種の全てが下げた。下落率トップ5は、サービス(1位)、精密機器(2位)、電気機器(3位)、情報・通信(4位)、金属(5位)となった。
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米金融引き締め観測が株価急落の最大の原因

01月26日
昨日の米国株式相場は小幅続落した(DJIA -66.77 @34,297.37, NASDSAQ -315.83 @13,539.30, S&P500 -53.68 @4,356.45)。ドル円為替レートは113円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下落する銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が917に対して、下落銘柄数は1,160となった。騰落レシオは87.84%。東証1部の売買代金は2兆6676円。

TOPIX -5 @1,892
日経平均 -120円 @27,011円

米金融引き締め観測を背景に米国株式相場は、特にハイテク成長株がさらに売られた。その流れを受けて、本日の日本株全般も売りが優勢となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が日本時間の今晩公表されるが、金融引き締めに対してさらに積極的姿勢が示されることを警戒して日本株全般は売られた。

日経平均の日足チャートを見ると、上下にひげを引いた短陰線で終えた。日経平均は今回の下げの安値を更新し、昨日に続きザラバで昨年8月20日安値を割り込んだ。

今回の下げトレンドの最大の原因はFRBの政策転換による米長期金利の上昇である。金利上昇が原因となって米国株が急落する場合、いつまでも急落する訳ではなく、20日程度で下げ止まることが多い。他方、米金利上昇は日本株に対してはプラスマイナス両方の影響がある。ハイテク成長株は予想PERを縮小させることにより株安となるが、反対にもともと予想PERが低いバリュー株にはプラスに働く場合も多い。予想PERの調整だけならまもなく絶好の買い場が到来するはずだ。

それでも注意は必要である。米金融引き締めが必要以上に早く強く行われた場合、その効果はインフレを抑えることを通り越してオーバーキルとなり、景気悪化をもたらすからだ。そうなると、予想PERの縮小だけでは終らず、予想EPSの縮小も引き起こして本格的な下げ相場局面に突入する。過去の本格的な下げ相場は常にこのように始まった。

33業種中22業種が下げた。下落率トップ5は、石油・石炭(1位)、パルプ・紙(2位)、繊維製品(3位)、ゴム製品(4位)、食料品(5位)となった。
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ロシアのウクライナ侵攻を懸念して・・・

01月25日
昨日の米国株式相場は、ロシアのウクライナ侵攻を危惧して一時急落したが、終値では小幅高まで戻った。(DJIA +99.13 @34,364.50, NASDAQ +86.21 @13,855.13, S&P500 +12.19 @4,410.13)。ドル円為替レートは113円台後半での動きだった。本日の日本株全般は大きく下げた。東証1部では、上昇銘柄数が290に対して、下落銘柄数は1,832となった。騰落レシオは84.74%。東証1部の売買代金は3兆1569億円。

TOPIX -33 @1,897
日経平均 -457円 @27,131円

米金融政策の正常化が当初予想されていたよりも早まる中、ロシアがウクライナへ侵攻する可能性が高くなりリスクに身構えた売りが急増した。昨日の米国株式相場はダウ工業株30種平均が一時は1,000ドル以上も急落する場面があったが、終値ベースでは小幅高となった。しかし、東京市場では終始売り優勢となり、幅広い銘柄が大きく下げた。日本の取引時間中の米株価指数先物が下げていたことも日本株の売りを加速した。

日経平均の日足チャートを見ると、長い下ひげを引いた長陰線で終えた。ザラバでは、下値支持線として意識されている昨年8月20日安値@26,954円を一時割り込んだ。終値ベースでは辛うじて死守したものの、もう一つ大きな売り材料が加われば底抜けしそうな状況である。マーケットは、ロシアがウクライナへ侵攻し米国をはじめとするNATO軍と戦闘状態となり、それからより大きな戦争へと拡大することを恐れている。その可能性は高くはないがゼロでもない。結果的にどうなるかは後になってみないと誰にも分からないが、もし低い可能性に過剰反応しているとすれば、早晩、大きく自律反発するはずだ。逆に本当に熱い戦争となれば、まだ下値模索は続くことになる。

33業種中電力・ガスと食品を除く31業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、サービス(2位)、その他金融(3位)、機械(4位)、精密機器(5位)となった。
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下値支持線手前で3日連続陽線で下げ渋り

01月24日
先週金曜日の米国株式相場は大幅続落した(DJIA -450.02 @34,265.37, NASDAQ -385.10 @13,768.92, S&P500 -84.79 @4,397.94)。ドル円為替レートは113円台後半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は反発した。東証1部では、上昇銘柄数が1,527に対して、下落銘柄数は582となった。騰落レシオは94.27%。東証1部の売買代金は2兆6447億円。

TOPIX +3 @1,930
日経平均円 +66 @27,588円

米国株が大幅続落したので、日本株全般もその流れを受けて売り先行で始まった。日経平均の下げ幅は一時300円を超えた。しかし、27,000円台前半まで下げると、業績見通しは良いため値ごろ感から主力銘柄を中心に買いが増えて切り返し始めた。

石油・石炭、紙・パルプ、鉱業、ゴム製品など市況業種や銀行に対する空売り比率が50%前後まで上げて来た。これらの業種は、一旦、相場全体が反発モードに切り替わると、踏み上げ相場に発展する可能性が高くなる。

日経平均の日足チャートを見ると、下げて始まったものの、切り返して陽線で引けた。これで3日連続陽線となった。昨年8月20日安値(=下値支持線)に近づくと明らかに下げ渋っている。大きな売り材料が出尽くすと、或いは悪材料に慣れると、ある程度の自律反発ありそうである。

33業種中21業種が上げた。上昇率トップ5は、鉱業(1位)、海運(2位)、銀行(3位)、ガラス・土石(4位)、繊維製品(5位)となった。
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2日連続で陽線となったが、下ひげでは前日の安値を更新している

01月21日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -313.26 @34,715.39, NASDAQ -186.24 @14,154.02, S&P500 -50.03 @4,482.73)。ドル円為替レートは113円台後半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は上げるの方が銘柄がやや多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,170に対して、下落銘柄数は920となった。騰落レシオは92.92%。東証1部の売買代金は2兆9873億円。

TOPIX -11 @1,927
日経平均 -251円 @27,522円

米国株式市場では主要3株価指数が揃って下落し、この流れを受けて東京市場でも売り先行で始まった。前場では日経平均は一時600円超の下げ幅まで下落した。外為市場では円高・ドル安方向に動き、自動車などの輸出関連銘柄の下げが目立った。しかし、売りが一巡すると買戻しが入り下げ幅を縮小した。高まるインフレと金融政策の引き締めがほぼ確実となってきた今、米長期金利は上がることはあっても逆回転して下げ続けることはないだろう。ハイテク成長株には大きな向かい風であり、バリュー株には相対的に追い風となる。

日経平均の日足チャートを見ると、2日連続で陽線となったが、下ひげでは前日の安値を更新しているので、下げ渋りながらもまだ下値がしっかりと固まったわけではない。昨年10月6日安値@27,293円が下値支持線として意識される。もしこれを終値で割り込むと、8月20日安値@26,954円がその次の下値支持線となる。

33業種中16業種が上げた。上昇率トップ5は、銀行(1位)、鉄鋼(2位)、機械(3位)、ガラス・土石(4位)、金属(5位)となった。
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「切り込み線」で下げ止まった

01月20日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -339.82 @35,028.65, NASDAQ -166.64 @14,340.26, S&P500 -44.35 @4,532.76)。ドル円為替レートは114円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,559に対して、下落銘柄数は539となった。騰落レシオは90.13%。東証1部の売買代金は3兆1657億円。

TOPIX +19 @1,939
日経平均 +306円 @27,773円

米国株式相場は続落したが、日本株は昨日大きく急落していたので本日は自律反発狙いの買いが優勢となった。定石通りの展開である。日本株の取引時間に米株価指数先物が堅調に動いていたことも日本株を下支えした。日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。

日経平均の日足チャートを見ると、昨日の長大陰線の実体部分の半分以上に大陽線で切り込む「切り込み線」となった。これで少なくとも目先の下落が止まった。しかし、供給不足が原因のインフレ高進に反応した米長期金利の上昇が今回の株式相場急落を引き起こしているため、株安の原因が消えた訳でも和らいだ訳でもない。それでも、悪材料が消えなくても、いつまでも株が下がる訳ではない。人間はどんな刺激にもそのうちに慣れてくる。さらに、ある程度下げると割安感が高まり、これだけ安くなったので買おうという風に気持ちも変わる。だから、必ずどこかで下げ止まる。注意深くチャートを読んでいるとそのタイミングを示す兆候に気付くことができる。

33業種中28業種が上げた。上昇率トップ5は、精密機器(1位)、サービス(2位)、その他製品(3位)、食料品(4位)、卸売り(5位)となった。
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米長期金利の上昇に加えて原油高も

01月19日
昨日の米国株式相場は大きく下落した(DJIA -543.34 @35,368.47, NASDAQ -386.85 @14,506.90, S&P500 -85.74 @4,577.11)。ドル円為替レートは114円台前半での動きだった。本日の日本株全般は大きく下落した。東証1部では、上昇銘柄数が58に対して、下落銘柄数は2,111となった。騰落レシオは85.93%。東証1部の売買代金は3兆5277億円。

TOPIX -59 @1,920
日経平均 -790円 @27,467円

地政学的リスク(アラブ首長国連邦UAEで親イラン武装組織フーシ派による攻撃が発生した)により原油価格が高騰している(昨年末には75ドルだったものが、足元ではWTI先物=87ドル/バレルを超えて来た)ため、それがなくても上昇していた米長期金利が更に上昇して1.87%まで上げた。これを警戒して、米株式市場では、PERが高く割高感が強いハイテク銘柄を中心に大きく売られた。米長期金利の上昇はドイツなど欧州の長期金利も引き上げつつある。この流れを受けて、東京市場でもほとんどの銘柄が売られた。日経平均の下げ幅は一時900円を超えた。外為相場が円高・ドル安に振れたことで輸出関連銘柄も売られた。

日経平均の日足チャートを見ると、昨年8月20日を起点とした上昇トレンドラインを完全に割り込んだ。これで上昇トレンドなのか保ち合いなのか不明になってきた。急落がしばらく続くと自律反発狙いの買いが優勢となるのが定石だが、それで反発してきても大きな戻り売り圧力が待っていることになる。

33業種中32業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、電気機器(2位)、精密(3位)、輸送用機器(4位)、鉄鋼(5位)となった。
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米長期金利が1.8%台半ばまで上昇したため・・・

01月18日
昨日の米国株式相場はキング牧師誕生日の祝日のため休場だった。ドル円為替レートは114円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は高く始まったが結局下げて終えた。東証1部では、上昇銘柄数が538に対して、下落銘柄数は1,557となった。騰落レシオは89.01%。東証1部の売買代金は2兆8125億円。

TOPIX -8 @1,978
日経平均 -76円 @28,257円

ドイツや英国など欧州株が上昇したことを好感して、本日の日本株全般は上げて始まった。昼休み時間中に日銀が大規模金融緩和を続けると発表した。これを受けて日経平均はさらに高くなり上げ幅は一時300円を超えた。しかし、米長期金利が1.8%台半ばまで上昇したため、米株価指数先物が下げ始め、それが日経平均先物の売りを促した。幅広い銘柄が売られて日経平均の下げ幅は一時200円を超えた。ただ、主力大型株には売り圧力はそれほど強くなく、ある程度下げるとすかさず買いが入った。

FRBによる利上げの加速や量的金融引き締め(QT)観測を背景に米債券市場では長期金利の上昇ピッチが速くなってきた。名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は2021年末には1.0%だったマイナス幅が足元では0.7%へ急速に縮小している。マイナス金利の縮小は実質金利の上昇を意味し、米国から新興国へ向かっていた資金が米国へ還流する力となるため、新興国経済にとっては向かい風となる。もし米長期金利がこのまま上昇し続けると、新興国経済が突然崩れ始めることも想定しておかなければならない。

日経平均の日足チャートを見ると、上下に長いひげを引いた陰線で終えた。日中で強弱感が大きくぶれたことを意味する。8月20日安値@26,954円を起点とする上昇トレンドラインと9月14日高値@30,795円を起点とした下降トレンドラインに挟まれた三角保ち合いの範囲内での上下動が続いている。

33業種中26業種が下げた。下落率トップ5は、鉄鋼(1位)、パルプ・紙(2位)、ゴム製品(3位)、倉庫・運輸(4位)、銀行(5位)となった。
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「相場の悟り」

01月17日
先週金曜日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -201.81 @35,911.81, NASDAQ +86.94 @14,893.75, S&P500 +3.82 @4,662.85)。ドル円為替レートは114円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄数の方が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が962に対して、下落銘柄数は1,120となった。騰落レシオは90.36%。東証1部の売買代金は2兆3178億円。

TOPIX +9 @1,987
日経平均 +209円 @28,334円

米国株式相場は高安まちまちだったが、日経平均は2営業日で600円超下落していたので、本日は自律反発狙いの買いが入って反発した。日銀が約3カ月ぶりにETFを買ったことや、円相場が円安・ドル高に振れたことも自動車など輸出関連銘柄を上げて日経平均を押し上げた。ただ、「まん延防止等重点措置」を適用する都道府県が増加してきたため、また経済回復に下押し圧力がかかる。

日経平均の日足チャートを見ると、反発して十字足となった。自律反発で上げたが寄り付いてからは強弱感が互角となり、上にも下にも大きくは動けなかった。昨年8月20日安値@26,954円を起点とすると緩やかな上昇トレンドラインが引ける一方、昨年9月14日高値@30,795円を起点とすると緩やかな下降トレンドラインが引け、両トレンドラインに挟まれた部分がほぼ三角保ち合いの形になってきた。徐々に上下幅が小さくなっており、煮詰まってきた。いずれ上下どちらかへ放れると見るのが定石である。日本経済が自力回復して株価を押し上げる力、新型コロナウィルスの感染拡大に怯えて経済活動を縮小させて株価を押し下げる力、米国長期金利の上昇により株価を押し下げる力、中国経済の減速が世界の経済活動に与えるマイナスの力など、様々な力が絡み合って結果を出す。無数の人間の欲望と恐怖が複雑に絡み合い、且つそれらが時間の経過とともに変化するので、合理的に考えただけでは株価の動を正確に予測することは不可能である。チャートの動きから帰納法的に経験則・定石により少し先の相場の方向性をイメージするが、常にその裏付けを演繹法的に理論からも取っておく。そうすることで見方の間違いを最小限に抑えることができる。それでも現実の株価を正確にとらえることはできない。その誤差は建玉操作という技能で補正し続けるしかない。この一連の流れは「相場の悟り」であり、実際に体験・経験してみないと心の底から理解できない。頭でっかちの中途半端な「お利口さん」には永遠に分からない。

33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、鉱業(1位)、ゴム製品(2位)、パルプ・紙(3位)、輸送用機器(4位)、精密機器(5位)となった。
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米金利の先高観が強まり・・・

01月14日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -176.70 @36,113.62, NASDAQ -381.58 @14,806.81, S&P500 -67.32 @4,659.03)。ドル円為替レートは113円台後半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げた。東証1部では、上昇銘柄数が503に対して、下落銘柄数は1,599となった。騰落レシオは91.92%。東証1部の売買代金は3兆4410億円。

TOPIX -28@1,978
日経平均 -365円 @28,124円

米国株式市場ではブレイナードFRB理事の発言を受けて米金利の先高観が強まり、ハイテク成長株が大きく下落してナスダックが大きく下げた。この流れを受けて、東京市場でも売りが優勢となった。また、日銀が発表した2021年12月の企業物価指数は前年同月比8.5%上昇し、資源高・円安による輸入物価の上昇もあり、国内物価の上昇が株価の悪材料として意識され始めた。さらに、ドル円レートが円高・ドル安に動いたことで輸出関連銘柄が売られた。これらを背景に、日経平均は一時600円近く下げる場面もあった。

日経平均の日足チャートを見ると、大きくギャップダウンして始まり、さらに大きく下げたが切り返して長めの下ひげを引いた陰線で終えた。昨年12月1日を起点に安値も高値も切り上がる上昇トレンドを描いていたが、今日、直近の安値を割り込んだことでその基調が崩れた。長い下ひげをひいているのでまだ上に行こうとする力は残っているが、目先は弱そうだ。

33業種中30業種が下げた。下落率トップ5は、サービス(1位)、不動産(2位)、機械(3位)、電気機器(4位)、その他製品(5位)となった。
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上昇チャネルの中での上下動

01月13日
昨日の米国株式相場は小幅上昇した(DJIA +38.30 @36,290.32, NASDAQ +34.94 @15,188.39, S&P500 +13.28 @4,726.35)。ドル円為替レートは114円台半ばの前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が502に対して、下落銘柄数は1,605となった。騰落レシオは103.65%。東証1部の売買代金は2兆7679億円。

TOPIX -14 @2,006
日経平均 -276.53円 @28,489円

日本国内では新型コロナウィルスの感染が急拡大しており、小売り株や鉄道株など内需系銘柄の売りが優勢となった。成長株も米長期金利がまた上昇し始めることを警戒して買いが引っ込んだ。

日経平均の日足チャートを見ると、昨日大きく上昇した反動もあり、昨日の上昇分の約半分を帳消しにした。それでも昨年12月1日を起点とする上昇チャネルの間で推移している。ただ、10日、25日、60日、260日の各移動平均線の下に沈み込んでいるので上昇する力が強いとは言えない。

33業種中21業種が下げた。下落率トップ5は、精密機器(1位)、小売り(2位)、サービス(3位)、陸運(4位)、その他製品(5位)となった。
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安値も高値も切り上がる上昇トレンド基調を維持

01月12日
昨日の米国株式相場は反発した(DJIA +183.15 @36,252.02, NASDAQ +210.62 @15,153.45, S&P500 +42.78 @4,713.07)。ドル円為替レートは115円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げた。東証1部では、上昇銘柄数が1,924に対して、下落銘柄数は219となった。騰落レシオは106.43%。東証1部の売買代金は3兆151億円。

TOPIX +33 @2,019
日経平均 +543円 @28,766円

パウエルFRB議が議会証言で保有資産の縮小(QT)開始時期について「年後半にも」と述べた。株式市場はもっと早い時期(年前半)を想定して相場に織り込み始めていたので、足元では株価が大きく調整していた。しかし、今回の議会証言により時間的に想定していたよりも後だということが分かり、急上昇して来た米長期金利の上昇が一服した。その結果、ハイテク成長株を買い戻す動きが起り、その流れを受けて、東京市場でも成長株だけでなく幅広い銘柄が買われた。上海総合指数、香港ハンセン指数などアジア株も高くなり、日本株の上昇を補強した。

日経平均の日足チャートを見ると、ギャップアップして寄り付いてからさらに大きく上昇して大陽線で終え、上向きの25日移動平均線の上に再浮上した。これで昨年12月1日を起点として安値も高値も切り上がる上昇トレンド基調を維持している。今後しばらくの間このトレンドを打ち消すような大きな悪材料が出てこなければ小さな上げ下げを繰り返しながらも徐々に上に向かうと予想するが、最初の関門は1月5日の戻り高値@29,388円で、これを上抜けしなければならない。

33業種中31業種が上げた。上昇率トップ5は、鉱業(1位)、海運(2位)、金属製品(3位)、機械(4位)、不動産(5位)となった。
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まだ米国長期金利の上昇に怯えている

01月11日
昨日の米国株式相場は下げた(DJIA -162.79 @36,068,87, NASDAQ +6.93 @14,942.83, S&P500 +6.74 @4,670.92)。ドル円為替レートは115円台前半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が960に対して、下落銘柄数は1,157となった。騰落レシオは107.13%。東証1部の売買代金は3兆73億円。

TOPIX -9 @1,987
日経平均 -256円 @28,222円

先週金曜日に発表された2021年12月の米雇用統計は労働需給の引き締まりを示唆する(市場予想を上回る失業率の低下)内容だった。米国の金融引き締めへの警戒が高まり、ダウ工業株30種平均が4日続落しておりまだ下げ止まらない。東京市場でも、金利上昇による資本コストの上昇を通して理論株価がより大きく下落する成長株への売り圧力が増し、株価指数を下押しした。新型コロナウィルスの感染が再拡大しているため、経済活動が縮小することにより企業業績が悪化して株価が下がることを心配して売り圧力が増加した。日経平均の下げ幅は午前中には400円に迫るほどだった。

日経平均の日足チャートを見ると、3日連続陰線で下げている。12月20日の安値@27,893円をまだ割り込んでいないので、昨年12月1日を起点として始まった上昇トレンドは「安値と高値を切り上げている」ためまだ継続中と見る。しかし、もし安値の切り上がりがなくなってしまうと、横ばい相場も視野に入ってくる。

33業種中15業種が上げた。上昇率トップ5は、保険(1位)、銀行(2位)、証券(3位)、空運(4位)、非鉄金属(5位)となった。
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2日連続の陰線だが下げ渋りの兆候もあり

01月07日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -170.64 @36,236.47, NASDAQ -19.30 @15,080.87, S&P500 -4.53 @4,696.05)。ドル円為替レートは115円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が853に対して、下落銘柄数は1,218となった。騰落レシオは104.84%。東証1部の売買代金は3兆128億円。

TOPIX -1 @1,996
日経平均 -9円 @28,479円

米連邦準備理事会(FRB)が保有資産の縮小を前倒しで進め、利上げをするタイミングも前倒しで実施する可能性が高くなり、米長期金利がさらに上昇(1.7%台へ)したことを嫌気して米国株が続落した。日経平均は昨日大きく急落したので、本日は自律反発狙いの買いが優勢となり一時は300円ほど上昇した。しかし、戻り売りが優勢となり押し戻された。長期金利上昇に弱い値がさ成長株や半導体株の一部は売られたが、円安の恩恵を受ける自動車株や長期金利上昇の恩恵を受ける銀行株や保険株は上げて相場全体の下げを緩和した。

日経平均の日足チャートを見ると、昨日の長大陰線に続き、本日も陰線だったが下ひげを引いて下げ渋り、終値では少し続落しただけに留まった。1月7日に米雇用統計の発表があるが、この内容次第で株式市場は金融引き締めが早まるか否かを読み取りに行くだろう。

33業種中15業種が上げた。上昇率トップ5は、鉱業(1位)、銀行(2位)、鉄鋼(3位)、石油・石炭(4位)、海運(5位)となった。
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米国の利上げが少し早まりそうだということで市場はビビりまくり

01月06日
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -392.54 @36,407.11, NASDAQ -522.55 @15,100.17, S&P500 -92.96 @4,700.58)。ドル円為替レートは115円台前半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は大きく下げた。東証1部では、上昇銘柄数が138に対して、下落銘柄数は2,012となった。騰落レシオは108.83%。東証1部の売買代金は3兆999億円。

TOPIX -42 @1,997
日経平均 -844円 @28,488円

昨年12月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨が公表されたが、この内容から米連邦理事会(FRB)による利上げや資産買い入れの縮小が早まるとの見方が強まった。数カ月から半年先の利上げを先取りして織り込むように米長期金利は上昇し、割引率である資本コストが上昇することにより理論株価が大きく下がるハイテク成長株を中心に売られた。特に期待先行で大きく上昇してきた高PER銘柄が急落した。この流れを受けて、東京市場でも値がさ半導体株をはじめとする高PERの成長株を中心に大きく売られた。また、日本国内でも新型コロナウィルスの新規感染者が再び増加しており、1月7日にも緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が沖縄県などに適用される見通しとなった。これによりまた行動制限が強化されるため、空運、鉄道、小売りなどの内需株が売られた。他方、米長期金利の上昇で明らかに恩恵を受ける保険株は買われた。

日経平均の日足チャートを見ると、10日、25日、60日、260日の各移動平均線を一気に下抜ける長大陰線となった。米国が早晩利上げするというのは前々から分かっていたことなに、何を今さら慌てて売りで反応するかというのが正直な個人的感想だが、我々トレーダーにとって最も重要なことは株価の動きに如何に適切に反応するかである。演繹的に考え、帰納的に検証し、自らの体験・経験で得た「暗黙知」と「技能」も加味しながらそれらすべてを統合した「技術」=「生涯現役の株式トレード技術」を磨き上げるだけである。本日これだけ急落したので、明日は自律反発狙いの買いが優勢になるのではと考えているが、さらに悪材料が出てくればもう一押しの下げも想定される。

33業種中、保険と鉄鋼を除く31業種が下げた。下落率トップ5は、精密機器(1位)、サービス(2位)、電気機器(3位)、空運(4位)、金属製品(5位)となった。
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円安の進行により自動車関連株が目立って買われた

01月05日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA +214.59 @36,799.65, NASDAQ -210.08 @15,622.72, S&P500 -3.02 @4,793.54)。ドル円為替レートは116円台前半に入るほどの円安・ドル高となった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証1部では、上昇銘柄数が1,008に対して、下落銘柄数は1,092となった。騰落レシオは112.70%。東証1部の売買代金は3兆1333億円。

TOPIX +9 @2,039
日経平均 +30円 @29,332円

米国株式市場ではダウ工業株30種平均が大きく続伸して史上最高値をさらに更新した一方、米長期金利の上昇による理論株価の下落からハイテク成長株が売られてナスダックは大きく下げた。この流れを受けて、本日の日本株全般は流動性が高い大型株が買われる一方、半導体関連株やハイテク成長株は売られた。相場全体としは方向感が欠ける動きだったが、長期金利上昇の恩恵を受ける保険株が買われた。さらに、円安の進行を好感して自動車関連株も買われた。昨年は半導体の供給不足から自動車の生産が抑えられていたが、もはや各自動車メーカーは半導体の調達に目途を付け、今は増産に踏み出している。自動車は回転する部品が無ければ動かない。その主力部品はベアリングである。このような連想ゲームは誰でもすぐに思いつく。自動車会社からの受注増を見越して日本精工が続伸し、それに連れて競合であるNTNやジェイテクトも動き出した。

日経平均の日足チャートを見ると、昨年12月1日を起点とした今回の戻り高値を更新した。10日、25日、60日、260日の各移動平均線がすべて上向きに転じており、且つ、株価はそれらすべての移動平均線の上にある。強い悪材料が飛び出して来ない限り、株価は上に動きやすい。

33業種中25業種が上げた。上昇率トップ5は、保険(1位)、非鉄金属(2位)、輸送用機器(3位)、ゴム製品(4位)、石油・石炭(5位)となった。
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安値も高値も切り上がっている

01月05日
昨日の米国株式相場は上昇した(DJIA +246.76 @36,585.06, NASDAQ +187.83 @15,832.80, S&P500 +30.38 @4,796.56)。特に、ダウ平均株価とS&P500は史上最高値を更新した。ドル円為替レートは115円台後半の年末比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は大きく上げた。東証1部では、上昇銘柄数が1,625に対して、下落銘柄数は494となった。騰落レシオは105.43%。東証1部の売買代金は2兆7598億円。

TOPIX +38 @2,030
日経平均 +510円 @29,302円

ダウ工業株30種平均とS&P500が史上最高値を更新するほど米国株が上げた。アップルの時価総額は3兆ドル(345兆円)を超えて来た。これはトヨタ自動車を10社分買えるほどの巨額な金額である。米国株高の流れを受けて、本日の日本株全般も大きく上昇した。ドル高・円安が進み自動車関連株が上げ、半導体関連株も上げた。

日経平均の日足チャートを見ると、昨年12月28日の戻り高値@29,121円を上抜けしており、12月1日を起点として安値も高値もともに切り上がっており名実ともに上昇トレンド形成中である。まずは昨年6月15日の戻り高値@29,480円が目前の上値抵抗線として意識される。それを超えると、5月10日の戻り高値@29,685円、さらにその上になると、11月16日の戻り高値@29,960円が上値抵抗線として意識される。

米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和から金融引き締めへ政策転換中であり、金融緩和の局面は早ければ今年3月、遅くとも6月には終了し、その先は金融引き締め局面へ転換すると予想されている。そのため、日米金利差の拡大からドル高・円安に動きやすい(=アセット・アプローチ理論)。他方、原油高など資源高が決済通貨である米ドルの需要を高めるため、さらにドル高・円安を促す。数十年前まではドル高・円安は日本からの輸出を促進して貿易収支を大幅に黒字にする経済構造だった。日本全体で稼いだ巨額をなドルを外為市場で売っていたので、ドル安・円高に振れやすかった。しかし、1985年9月22日のプラザ合意以降の急激なドル安・円高の進行に危機感を抱いた日本の製造業は次々に海外に生産拠点を移し、ドル安・円高になっても悪影響を受けないようなグローバル・サプライ・チェーンを構築してきた。その結果、今は、ドル高・円安が進行してもかつてほど日本企業は輸出が増えないだけなく、輸入が増えるので、貿易黒字は大幅に減少しており、しばしば貿易赤字にすらなる。日本全体として、かつてのよにドルが売るほど余ることはなく、寧ろ、買わなくてはならないほど決済通貨である米ドルが不足することもある。したがって、自然放置しておけばドル高・円安の圧力が高まる。これが現在の日本経済の構造である。

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