「生涯現役のトレード日記」
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トランプ関税の嵐が吹き荒れ、長大陰線で急落した 02月28日
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -193.62 @43,239.50, NASDAQ -530.84 @18,544.42, S&P500 -94.49 @5,861.57)。ドル円為替レートは150円台前半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数は312に対して、下落銘柄数は1,283となった。騰落レシオは98.42%。東証プライムの売買代金は6兆2109億円。
TOPIX -54 @2,682
日経平均 -1,101円 @37,156円
米国では、トランプ大統領が1カ月間延期した対カナダとメキシコに対する25%の輸入関税を予定通り3月4日に発動し、中国に対しても10%の追加関税を課すと発表した。さらにEUに対しても25%の高関税を課すと発表した。これらの関税が本当に発動されれば、高い輸入関税により米国内のインフレ圧力が高まり、個人消費を減退させることにより米経済が後退するとの懸念が高まった。エヌビディアは3%近く上げて始まったが、その後は売りに押されて8%超下げた。景気指標では、新規失業保険申請件数が予想以上に増加したため米景気が悪化していると受け止められた。これらすべての悪材料により主要3株価指数が大きく下げた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も6.09%下落し、株式相場のセンチメントは大幅に悪化した。
本日2月28日の東京市場では、米国での株安、特にハイテク株安の流れを受けて半導体関連銘柄を中心にが大きく売られた。さらにトランプ政権の関税政策の不透明感により自動車株も大きく売られた。
日経平均の日足チャートを見ると、長大陰線で急落し、昨年10月初旬から続いていた保ち合い圏の下限を明確に割り込んで下抜けした。一時37,000円をも突き破って下げ幅を拡大して36,840円まで下げた。移動平均線は下から順番に10日、25日、60日の各移動平均線が走っているが、すべての移動平均線は下向きに転じており、株価はそれらすべての移動平均線の下に沈み込んでいる。株価サイクル⑥(着実な下落局面)である。昨年9月9日に付けた35,247円が次の下値支持線としてい意識される。これだけ急落すると、自律反発狙いの買いが入りやすくなり、米国株の下げが一旦でも止まれば、来週月曜か火曜には反発する可能性は高い。しかし、一気に元の水準まで戻すことはほとんどなく、弱い戻りの場合は下げ幅の3分の1戻し、平均的には半値戻しくらいを目途に見ておきたい。
33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、非鉄金属(1位)、機械(2位)、電気機器(3位)、輸送用機器(4位)、サービス(5位)となった。
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エヌビディアの成長鈍化が鮮明となってきたので・・・ 02月28日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -188.04 @43,433.12, NASDAQ +48.87 @19,075.26, S&P500 +0.81 @5,956.06)。ドル円為替レートは149円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,222に対して、下落銘柄数は380となった。騰落レシオは106.16%。東証プライムの売買代金は4兆3399億円。
TOPIX +20 @2,739
日経平均 +114円 @38,256円
米国では、トランプ大統領がEUに対する輸入関税を課す計画を閣議で示したため、株式相場の重しとなっただけでなく、米景気の悪化懸念から米10年債利回りは前日の4.298%から4.256%へ低下した。
引け後に2024年11月~1月期決算を発表したエヌビディアは売上高と利益(EPSは0.89ドル>予想0.85ドル)は市場予想を上回った(25年2~4月予の売上高見通し:前年同期比65%増の430億ドル前後>予想421億ドル)。しかし、企業規模が大きくなったため成長は鈍化しマージンは悪化するとの懸念により株価は時間外取引で方向感なく上下した。
生成AIに対する投資家の期待は鈍化しつつあるようだ。エヌビディアの増収率は1年前には250%を超えていたが、今では前年同期比78%と4半期連続で鈍化した。投資家の期待の低下が見て取れるのは予想PERの変化である。2021年のピーク時には60倍を超えていたが、足元では30倍を割り込み、ウォルマートの36倍よりも低くなった。中国DeepSeekの登場でエヌビディアに対する期待はさらに下がった。生成AIの開発には高価なGPUが不可欠だと信じられていたが、その「神話」が崩れ始めたからだ。
今後数年先へ向けて、生成AI相場の中心が半導体製造(エヌビディアとAMD)から、プラットフォーマー・インフラ(アルファベット、マイクロソフトなど)へ、さらにサービス・ソフトウェア(アマゾン、メタ)へ移行して行くとの見方がある。また、巨額のAI投資が結果的には思ったほど成果を出せず、それまで膨らんで来た期待が幻滅に一気に変わる「幻滅の谷」となる可能性も忘れてはいけない。
米債券市場では、財務省証券(TB)3カ月物利回りが10年債利回りを上回る「逆イールド」が約2カ月ぶりに発生したため、米景気の減速がより懸念される。逆イールドは「炭鉱のカナリヤ」のように景気が後退局面に入ると発生することが多いからである。
本日2月27日の東京市場では、これと言った買い材料はない中、自律反発狙いの買いが入り、日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。しかし、米景気の減速懸念や円高円安進行を背景に上値は抑えられた。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日保ち合い圏の下限まで届き、且つ、非常に長い下ひげを引い寄引同事線となり翌日の反発を暗示していたが、本日はその通りの動きとなった。本日も長い下ひげを引いた十字線となり、チャートだけで判断すれば、明日も高くなる可能性が高い。ただ、株価を動く真の力は業績見通しの変動であり、さらにその業績見通しの変動は米国経済・世界経済の見通しに対する投資家の期待の変化により引き起こされる。その肝心な世界経済の見通しがトランプ関税により大きく揺れ動いているため、先行き不透明感が強い。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、保険(2位)、輸送用機器(3位)、その他製品(4位)、倉庫・運輸(5位)となった。
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下方向には動きたくないという相場の「意思」を示した 02月27日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA+159.95 @43,621.16, NASDAQ -260.54 @19,026.39, S&P500 -28.00 @5,955.25)。ドル円為替レートは149円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は下落銘柄数の方がやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が619に対して、下落銘柄数は948となった。騰落レシオは103.43%。東証プライムの売買代金は4兆5360億円。
TOPIX -8 @2,716
日経平均 -95円 @38,142円
米国では、トランプ政権の高関税政策による貿易摩擦が世界経済と米国経済を縮小させるとの懸念が根強い中、2月消費者信頼感指数が予想以上に弱かった(98.3<予想102.5、前月分105.3)。これにより米景気悪化懸念が強まり、ハイテク株売り・ディフェンシブ株買いの流れとなった。米長期金利は前日の4.393%から一時4.283%まで低下した後、4.296%で終えた。
本日2月26日の東京市場では、トランプ政権は対中半導体規制を強化するとの観測を背景に米国市場でのハイテク株売りの流れを受けて、東京エレクトロンやディスコなど値がさ半導体銘柄を中心に売られた。さらに、米長期金利の低下により一時1ドル=148円台までの円高ドル安が進行し、株売りが加速して日経平均の下げ幅は一時500円を超え、一時心理的な節目となる38,000円を割り込んだ。しかし、大引けにかけて、株価指数先物で買戻しが入り、日経平均は下げ幅を縮小して終えた。26日に画像処理半導体大手の米エヌビディアが決算発表をするため、生成AI関連に強い銘柄を中心に警戒感が高まった。中国DeepSeekが安価に生成AIを開発して以来、AI向け半導体の大規模投資が本当に必要なのかという疑問が湧いてきている。エヌビディアの成長率の伸びの鈍化程度により一波乱があるかもしれない。エヌビディアの決算というイベントを無難に通過すれば、あく抜け感が出るため、上に振れやすくなる。
日経平均の日足チャートを見ると、ザラバで一時37,743円まで下げて、昨年10月初旬を起点とした保ち合い圏の下限まで下げた。この水準は強い下値支持線であり、今日のところは明確に弾き返された。非常に短い上ひげと非常に長い下ひげを引いた寄引同事線となり、下方向には動きたくないという相場の「意思」を示した。今夜のうちに米国でよほど大きな悪材料が出てこない限り、明日の寄り付きは高く始まると見ている。
33業種中17業種が上げた。上昇率トップ5は、不動産(1位)、食料品(2位)、海運(3位)、陸運(4位)、医薬品(5位)となった。
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再びバフェット氏のアナウンスメント効果があるか? 02月25日
経済指標が悪化し米国株式相場は先週金曜日に大きく下落した(DJIA -748.63 @43,428.63, NASDAQ -438.36 @19,524.01, S&P500 -104.39 @6,013.13)後、日本が祝日のため休場だった昨日も下落した(DJIA +33.19 @43,461.21, NASDAQ -237.08 @19,286.93, S&P500 -29.88 @5,983.25 )。ドル円為替レートは149円台後半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が725に対して、下落銘柄数は845となった。騰落レシオは110.53となった。東証プライムの売買代金は4兆8611億円。
TOPIX -11.83 @2,725
日経平均 -539円 @38,238円
米国では、相次ぐ弱い景気指標の発表により、先週金曜日には主要3株価指数は大きく下げた。昨日は自律反発して始まったが、トランプ米大統領が1カ月発動を延期していた対カナダ・メキシコからの輸入関税の発動に言及したことで再び売りセンチメントに傾いた。
本日2月25日の東京市場では、エヌビディアをはじめとする米ハイテク株安の流れに加えて、トランプ米政権が対中国半導体規制を強化するのと観測により、株価指数のウェイトが高い東京エレクトロンやアドバンテスト、スクリーンなど半導体関連株が大幅安となった。生成AI向け電線の需要が大きいと期待されてきた電線大手のフジクラや古川電工も大きく売られた。これには明確な理由がある。先週末21日に米投資銀行TDカウエンがレポートを発表し、米マイクロソフトが「少なくともデータセンター事業者2社との契約を解除した」と指摘した。これがAI向けデータセンターが供給過剰になっているのではないかとの不安を引き起こした。また、外為市場で円相場が1ドル=149円台後半の円高ドル安方向へ振れた。その結果、日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。
しかし、下げる銘柄ばかりでもなかった。ウォーレン・バフェット氏が22日に公表した「株主への手紙」で日本の総合商社株に対する投資増額意欲を示した。これまで10%未満としてたが、「上限を適度に緩和することで5社は合意した」と明かした。これを受けて、三菱商事、伊藤忠、三井物産など総合商社は軒並み買いが殺到して大幅高となった。総合商社株はかなり調整が進んでおり、割安感が強まっていた。バフェット氏のアナウンスメント効果は2023年春のように再び日本株全体を押し上げるかどうか。
米政府が中国船に対して入港料徴収を検討していると公表したことで、日本の海運会社に対する需要が増加するとの期待から商船三井などの大手海運株が買われた。
米国では足元で弱い景気指標が相次いでおり、米景気の減速懸念が強まっている。24日にダラス連銀が公表した2月製造業景況感指数が前月から大きく下げた。21日にS&Pグローバルが発表した2月米購買担当者景気指数(PMI)速報値では1年5カ月ぶりの低となった。これらを反映して長期金利は徐々に下げているため、日米金利差が縮小している。その結果、円高ドル安方向へ振れやすくなっている。
国内長期金利(=新発1年物国債利回り)について。先週は一時1.455%(2009年11月以来15年3カ月ぶりの高水準)まで上昇していたが、本日は一時1.365%まで急低下した。21日の衆議院予算委員会で日銀の植田総裁の発言が長期金利上場を牽制したとマーケットが解釈したからだ。追加利上げは少し遠のくかもしれないが、金利の方向としては上しかないと見ている。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップダウンして始まりさらに下げ幅を拡大して陰線で終えた。昨年10月初旬から続いている保ち合いレンジの下限(37,800円辺り)により接近した。
個人的にはUFJ銀行の信用売り玉を全て買い返済し、2月19日に売り切った買い玉をすべて買い戻しました。三菱商事や伊藤忠など総合商社株もしっかり買いました。
33業種中21業種が下げた。下落率トップ5は、非鉄金属(1位)、石油・石炭(2位)、電気機器(3位)、サービス(4位)、機械(5位)となった。
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今日のところは「植田プット」で株価の下げは止まった 02月21日
昨日の米国株式相場は大幅反落した(DJIA -450.94 @44,176.65, NASDAQ -93.89 @19,962.36, S&P500 -26.63 @6,117.52)。ドル円為替レートは150円台半ばの前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が556に対して、下落銘柄数は1,031となった。騰落レシオは110.07%。東証プライムの売買代金は4兆3160億円。
TOPIX +2 @2,737
日経平均 +99円 @38,777円
米国では、決算内容が弱かったウォルマートが売られて大幅安(7%安)となった。2024年第4四半期は予想を上回ったものの、2025年・2026年の業績見通しが市場予想を下回った。これにより米国の消費全体が悪化するとの懸念から売りが他銘柄にも拡大した。トランプ米大統領が推し進める高関税政策は一時的に国内産業の一部にとってプラスになるかもしれないが、究極的には消費者物価を押し上げ、消費者の購買意欲を減退させるために小売り業の売り上げは減少するとの経営陣の正直な見通しだろう。アマゾンも2%安となった。輸入関税の引き上げ対象品は既に発表されていた自動車や医薬品に加え、木材も入りそうだと報道された。米景気の減速を懸念して金融関連銘柄にも売りが波及し、ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースはそれぞれ4%下落した。このままでは米経済はインフレが収まらないまま景気拡大局面の最終局面に入るかもしれない。今のところ、生成AIブームで楽観的ではあるが、もしそうなると、株式相場の潮目は上げ潮から引き潮に急転換するので警戒を怠れない。
さらに、新規失業保険申請件数は21.9万人(>予想21.5万人)と悪化し、1月景気先行指数も前月比-0.3%(<予想は前月比変わらず)と悪化したためマーケットセンチメントは悪化した。弱い経済指数を受けて、米10年債利回りが前日の4.535%から4.507%へ低下した。ダウ工業株30種平均は一時下げ幅を677ドルまで拡大する場面もあり、前日まで2日連続で取引時間中と終値ベースで史上最高値を更新していたS&P500も下げた。
本日2月21日の東京市場では、長期金利が15年3カ月ぶりの高水準(=1.455%)を付け、前日の米国株安の流れも受けて、日経平均は前日比下げて始まり、下げ幅は一時200円を超えた。ただ、前場中頃に日銀の植田和夫総裁が衆議院予算委員会で、国内金利が急激に上昇するような状況では「機動的に国債買い入れの増額などをする」と発言した。すると長期金利は1.405%へ急落した。これを受けて、外為相場では円相場は朝方は149円台前半だったものが150円台半ばの円安ドル高方向に振れ、株式は買い戻されて日経平均は100円超上げる場面もあった。株価の下落を止めた「植田プット」とでも表現したい。それでも3連休を控えているため、積極的に上値を追う動きは限られた。
長期金利の上昇基調によりメガバンクなど銀行株の上昇基調が鮮明である。しかし、メガバンク以上に反応しているのが楽天銀行(24年末比32%高)や住信SBIネット銀行(同17%高)などネット銀行である。物理的な店舗網を持たないため経費を安く抑えられ、効率的に預金を集めることができ、高い利益率が期待できるからだ。
3月に入ると機関投資家がリバランス目的の売りを出してくるはずである。国内長期金利が上昇基調にあるため国内債のウェイトは低下している。そのため各アセットクラスの比率を基準値に戻すために国内債を買い、日本株の一部を売ることにより公約しているポートフォリオの資産構成比に戻す操作を行うだろう。その過程で、業績見通しに関係なく良い銘柄も売られて株価は一時的に下がる。押し目買いのチャンスとなる。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日の陰線に対して下から陽線が出会い頭にぶつかるような形の「出会い線」となった。この形は下方向の動きを止めたと解釈される。明日からの3連休の間にトランプ米大統領が何を言い出すか次第で、ほぼこの定石通りの動きになるか、或いはその定石など吹き飛ぶような動きをするかが決まるだろう。
チャート・リーディングは役に立つが、株価を動かすのはチャートではないことを忘れてはいけない。株価の上げ下げは「現象」であり、全ての現象にか必ずその「理由」がある。その理由にはまた「その下の理由」がある。だから、相場の通奏低音である株式相場の背景の変化を常に理解しておく必要がある。そうすればどんな変化球がいつ飛んできても慌てることなく適切に対処できる。
33業種中19業種が上げた。上昇率トップ5は、医薬品(1位)、ゴム製品(2位)、保険(3位)、空運ん(4位)、卸売(5位)となった。
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円高とトランプ関税の二重苦 02月20日
昨日の米国株式相場は小幅続伸した(DJIA +71.25 @44,627.59, NASDAQ +14.99 @20,056.25, S&P500 +14.57 @6,144.15)。ドル円為替レートは150円台前半の前日比円高ドル安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が249に対して、下落銘柄数は1,344となった。騰落レシオは110.73%。東証プライムの売買代金は4兆4888億円。
TOPIX -33 @2,735
日経平均 -487円 @38,678円
米国では、トランプ大統領の関税政策と米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が相場の頭を抑えた(追加利下げのためにはさらなる物価の落ち着きが必要だとした)が、10年債利回りが低下した(前日の4.544%から4.534%へ)ことが株価の追い風となった。半導体株は軒並み堅調でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.18%上げた。トランプ大統領は、自動車、半導体、医薬品に対して25%の輸入関税を課す方針を示した。ただ、対象国がどこになるかは示さず、発動は早くても4月2日になるとした。
本日2月20日の東京市場では、悪化するウクライナ情勢(トランプ米大統領とゼレンスキーウクライナ大統領の反目)と米連邦準備制度理事会(FRB)が資産圧縮(QT)を停止または減速する(=長期金利には低下圧力)との観測に加えて、日銀の追加利上げ観測により外為市場で1ドル=149円台の円高ドル安が進んだ。日銀の植田和男総裁が、20日の昼に首相官邸で石破茂首相と会談した。記者団に対しては、「金融・経済に対する一般的な意見交換だ」と述べたが、マーケットは追加利上げのための根回しだったのではないかと勘繰った。
その結果、トヨタ自動車など輸出関連銘柄を中心に売りが優勢となり、幅広い銘柄に波及した。日経平均の下げ幅は一時700円を超えた。また、金利の先高観から金利負担が大きくなると購買意欲が下がるため売り上げが減少するとと見立てから、三井不動産など不動産セクターも目立って売られた。足元で上げ基調だった防衛関連銘柄も半導体関連銘柄も軟調だった。通常なら円高ドル安は追い風となるはずのニトリまで売られ、さらに長期金利上昇(1.440%へ)は利ザヤ拡大から順風となるはずの銀行も売られた。金利上昇が景気の腰を折り、融資残高を減少させて銀行の収益を悪化させかねないとの懸念が強くなったようだ。
日経平均の日足チャートを見ると、昨年10月初旬から続いている保ち合いレンジの真ん中辺りから下方へ大きく動いた。下限は37,600円辺りなのでまだ1,000円ほどのマージンはある。ただ、昨年8月初旬の時のように下げに弾みが付くと短期間でびっくりするほど急落することもあるので、要警戒である。
個人的には三菱UFJをはじめとして買い玉は昨日全て利食い売りしたので、今は売り玉しか建玉はないです。買い戻すタイミングを見計らっています。
33業種中28業種が下げた。下落率トップ5は、建設(1位)、その他製品(2位)、非鉄金属(3位)、サービス(4位)、精密機器(5位)となった。
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三菱UFJ株の買い玉を全て成行売りで一旦利食い 02月19日
昨日の米国株式相場は小幅上昇した(DJIA +10.26 @+44,556.34, NASDAQ +14.49 @20,041.26, S&P500 +14.95 @6,129.58)。ドル円為替レートは151円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が596に対して、下落銘柄数は994となった。騰落レシオは118.00%。東証プライムの売買代金は4兆5866億円。
TOPIX -8 @2,767
日経平均 -106円 @39,165円
米国では、インテルが16%上昇して競合のAMDも半導体製造装置のアプライドマテリアルズも上昇した。それでも株式相場全体としては上値が重かった。ただでさえ物価上昇圧力はまだ強めなのに、トランプ政権は高関税政策を推し進めようとしている。インフレが明確に収束しないと米連邦準備制度理事会(FRB)は追加利下げにはなかなか踏み切れない。その結果、株式相場を押し上げるエネルギーが枯渇して来る。ざっとこんな読みだろうか。
本日2月19日の東京市場では、日銀の高田創審議員が19日の宮崎県金融懇談会で金融正常化に積極的な「タカ派」をしたとして、外為市場では円高ドル安方向に振れ、株式相場では売りが優勢となった。トランプ米大統領の関税強化策に対する警戒感もあり、日経平均の下げ幅は一時300円を超えた。米国の輸入関税が高くなれば(交渉のための単なる脅しのカードの可能性も)もろに悪影響を受けるセクターは自動車であるため自動車関連株は下げた。国内長期金利(新発10年債利回り)は1.435%まで上昇し、長期金利上昇の恩恵を受ける銀行株は堅調だった。三菱UFJは連日で上場来高値を更新した。
日経平均の日足チャートを見ると、下ひげを引いた短陰線(昨日は上ひげを引いた短陽線)となり、下げるとすぐに押し目買いが入った。上にも下にも大きくは動かない膠着相場となってきた。膠着状態が長くなるほど、エネルギーが蓄積されるので何かのきっかけで放れた場合、その方向への動きが速くなる。
個人的には本日三菱UFJ株の買い玉を全て成行売りで一旦利食いました。下げれば下げ止まったところで買戻し、上げるなら最高値を更新したところでまた買い直すだけです。これを淡々と繰り返すだけです。但し、常に株式相場の通奏低音がどのように変化しているかを注視しています。それにより戦略が変わるからです。
33業種中16業種が上げた。上昇率トップ5は、パルプ・紙(1位)、金属製品(2位)、その他製品(3位)、ガラス・土石(4位)、証券(5位)となった。
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長期金利の上昇基調が鮮明なので銀行株が円相場が・・・ 02月18日
昨日の米国株式市場はプレジデントデイの祝日で休場だった。ドル円為替レートは151円台後半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は値上がり銘柄数の方が値下がり銘柄数よりもやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が930に対して、下落銘柄数は664となった。騰落レシオは113.98%。東証プライムの売買代金は4兆3533億円。
TOPIX +9 @2,776
日経平均 +96円 @39,270円
欧州では、2月16日まで欧州主要国を集めてミュンヘン安全保障会議が、17日にはパリでウクライナ情勢に関する緊急会合が開催された。そこでは防衛力強化のために軍事支出を増加を求める声が出た。これを受けてドイツの防衛品大手ラインメタル株が14%急騰した。欧州市場では軍備増強が進むとの見立てから防衛関連銘柄が買われたことを手掛かりに、本日2月18日の東京市場でも川崎重工やIHI、三菱重工、日本製鋼所などの防衛関連銘柄が上げた。
長期金利の上昇が鮮明になっている(一時1.430%:2009年11月以来15年3か月ぶり)ので三菱UFJなど銀行株も引き続き買われた。また、円高ドル安の動きが一服したので自動車株も買われた。日経平均の上げ幅は一時300円を超えた。17日に発表された2024年10~12月期国内総生産(GDP)は市場予想を超えており、長期金利の上昇に弾みが付いた。
2022年にロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始して以来、世界的に穀物価格や原油価格が上昇して来た。これに円安ドル高も加わり、海外発の物価高が国内に波及する外生的な輸入インフレが起こっている。しかし、ここにきて少子高齢化という構造的な原因から来る人手不足から国内発の内生的インフレも重なってきた。また、市場がどの程度のインフレを織り込んでいるのかを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2020年はマイナス圏だったのに今は1.6%台まで上昇している。日銀が公表する需給ギャップは過去数年はマイナスだったが、人手不足などの労働時間の増加なども加味して計算すると、需給ギャップは2022年夏頃からプラスに転じていたという指摘も出て来た。にもかかわらず、実質金利は明確にマイナス圏に沈み込んだままである。氷見野良三日銀副総裁は1月30日の講演で「実質金利がはっきりとマイナスの状態がずっと続くというのは普通の姿とはいない」と述べた。トランプ米大統領は中国、メキシコをはじめとする外国との慢性的な貿易赤字を問題視しており、関税を引き上げて米国への輸入を抑制しようしている。日本もその対象国である。当然、為替レートにも注視している。今のところ、長期金利の上昇を警戒してドル高を容認しているが、本音はドル安を歓迎するはずである。なぜなら、ドル高は米国からの輸出を後押しし、米国への輸入を抑制するからだ。したがって、日銀が追加利上げを実施て円高ドル安になることに特に異議は唱えないだろう。このように外堀は着々と埋まり、日銀が追加利上げしやすい環境が整いつつある。
日経平均の日足チャートを見ると、小幅続伸したが、長い上ひげを引いた短陽線で終えた。上値では強い売り圧力により押し戻されたことを意味する。10日、25日、60日、260日のすべての移動平均線の上で推移しており、弱い感じはしないが、昨年10月初旬から続いている保ち合い圏を近日中に上放れできそうなほどまだ強くはない。
33業種中18業種が上げた。上昇率トップ5は、銀行(1位)、電気・ガス(2位)、空運(3位)、陸運(4位)、鉱業(5位)となった。
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国内長期金利が15年ぶりの高水準となってきたので・・・ 02月17日
先週金曜日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -163.35 @44,456.08, NASDAQ +81.12 @20,026.77, S&P500 -0.44 @6,114.63)。ドル円為替レートは151円台後半の先週末比円高ドル安水準での動きだった。本日の日本株全般は値下がり銘柄数が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が589に対して、下落銘柄数は1,000となった。騰落レシオは108.58%。東証プライムの売買代金は4兆3941億円。
TOPIX +8 @2,767
日経平均 +25円 @39,174円
先週金曜日の米国では、既に前日にはトランプ政権の相互関税の即時発行が見送られていたところへ、米1月小売り売上高が予想以上に悪化し(前月比-0.9%<予想-0.1%)、利下げ期待が再び高まった。そのお蔭で10年債利回りが前日の4.525%から4.478%へ低下した。それでも株価指数は高安まちまちとなった。2月17日はプレジデントデイの祝日で株式市場は休場となる。
本日2月17日の東京市場では、寄り付き前に発表された2024年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値が市場予想を上回った(前期比年率2.8%)。内訳を見ると設備投資と輸出が好調だった。これを受けて、国内長期金利が上昇し(1.375%:2010年4月以来15年ぶりの高水準)、利ザヤ拡大を見込んで三菱UFJや東京海上など銀行株・保険株が買われて上昇した。
他方、国内金利上昇は円高ドル安を進行させることとなり、自動車株をはじめとする輸出関連銘柄は売り優勢となり下げた。自動車株にはもう一つ弱点がある。それはトランプ大統領の「口攻撃」である。トランプ大統領は輸入自動車に対する強化関税措置は4月2日に発表する方針を述べたため、不安定な動きとなっている。
設備投資銘柄として、ファナックやキーエンスが買われた。2025年3月期業績見通しを上昇修正し、配当性向を引き上げたサンリオはストップ高まで買われた。ゲーム事業が好調で業績見通しを上昇修正したソニーグループも買われて株価は上場来高値を連日で更新した。また、材料が出た銘柄では、配当性向の引き上げと自社株買い(最大3,000億円)を発表したブリヂストンは買われたが、2025年3月期の利益見通しを下方修正したオリンパスは売られた。2024年12月期決算が赤字となった電通グループも大きく売られた。
日経平均の日足チャートを見ると、僅かに上昇して10・25・60日移動平均線の上に留まっているが、昨年10月初旬以来のレンジ相場内での動きに過ぎない。上に受けるためには関税を巡る不透明感が明確に後退する必要がある。
33業種中17業種が上げた。上昇率トップ5は、ゴム製品(1位)、石油・石炭(2位)、その他製品(3位)、電気機器(4位)、銀行(5位)となった。
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トランプ大統領の「相互関税」政策が上げ下げの大きな材料 02月15日
昨日2月13日は終日、自宅を離れ、夜は東京の某大使館主催のパーティーに参加していてその前後も予定が詰まっており、非常に忙しかったため、ブログの更新をお休みしました。今夜21:00過ぎに帰宅しました。
さて、昨日の米国株相場は反発した(DJIA +342.87 @44,711.43, NASDAQ +295.70 @19,945.65, S&P500 +63.10 @6,115.07)。ドル円為替レートは152円台前半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が473に対して、下落銘柄数は1,116となった。騰落レシオは105.69%。東証プライムの売買代金は4兆9570億円。
TOPIX -6 @2,759
日経平均 -312円 @39,149円
米国では、米トランプ大統領が相互関税の導入をする意向を示したが、即時実行しないことも判明した。各国との関税を詳細に調べ上げて4月1日以降に相互関税導入を決めるとのことだが、その間に相手国に対して譲歩を迫る戦略とも考えられる。日本に対しては自動車を中心に非関税障壁(NTB)を問題に取り上げて揺さぶりをかけて来るはずだ。米1月生産者物価指数(PPI)は総じて強い結果となった(前年比+3.5%>予想+3.2%, 前月比+0.4%>予想+0.3%)が、米10年債利回りは前日の4.637%から4.530%へ低下した。前日に発表された米消費者物価指数(CPI)が強かったにもかかかわらずである。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の低下を示す内容と受け止められたからである。
本日2月14日の東京市場では、トランプ米大統領の「相互関税」が即時実行とはならいないことを好感して買い優勢となった。相互関税の即時実施が見送りになり、その分だけ関税によるインフレ進行が遅れるため、米長期金利の上昇のペースも遅れるはず。ということは日米金利差が縮小するので、円高ドル安になるとのシナリオが主流だった。当然、輸出関連銘柄の一角は売られた。2025年3月期決算見通しの上方修正を発表したソニーグループは大幅高となった。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日の陽線を本日の陰線がほぼすべて打ち消した。一応、25日移動平均線の上に留まってはいるが、10日・25日はやや下向きなので、どちらかと下に振れやすい。ただ、昨年10月初旬を起点とした保ち合いレンジ内での上下動が続いている。
33業種中27業種が下げた。下落率トップ5は、非鉄金属(1位)、医薬品(2位)、繊維製品(3位)、パルプ・紙(4位)、機械(5位)となった。
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トランプ関税とその影響としての長期金利の上昇 02月12日
昨日の米国株式相場は上昇した(DJIA +123.24 @44,470.41-70.41 @19,643.86, S&P500 +2.06 @6,068.50)。ドル円為替レートは153円台半ばの先週末比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が851に対して、下落銘柄数は743となった。騰落レシオは100.21%。東証プライムの売買代金は5兆4101億円。
TOPIX ±0 @2,733
日経平均 +163円 @38,964円
米国では、パウエルFRB議長が米上院銀行委員会で「米経済は依然として好調であり、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」と証言した。この発言は株式相場には重しとなった。パウエルFRB議長のタカ派発言に加えて、トランプ大統領の高関税政策(鉄鋼・アルミニウムの輸入品に25%の関税を課す:今後は自動車、半導体、医薬品にも拡大を検討中)により輸入物価が上昇して再び米国経済のインフレが再燃するとの懸念から、米10年債利回りは前日の4.495%から4.437%へ上昇した。米長期金利の上昇を反映して、外為市場では円安ドル高が進んだ。今週は水曜日には1月消費者物価指数(CPI)、木曜日には1月生産者物価指数(PPI)の発表があり、物価動向にマーケットの関心が集まる。
本日2月12日の東京市場では、ファーストリテイリングやソフトバンクグループなどの値嵩株が買われて上昇した一方、米トランプ大統領の高関税政策が世界経済の縮小と貿易戦争を引き起こすとの懸念からトヨタ自動車やホンダをはじめとする自動車株は軒並み売られた。第一三共など医薬品も売られた。武藤容治経済産業相は12日の閣議後の記者会見で、米国が適用する鉄鋼・アルミニウムへの25%の追加関税について、「米政府に措置対象から日本企業を除外するように申し入れた」と述べた。ただ、この申し入れが聞き入れらるかどうかは未知数である。関税リスクの影響は日本株にまだ十分織り込まれてはいない。
米長期金利の上昇は日本の債券市場にも波及している。10年物新発国債の利回りは1.340%へ上昇して来た。これは2011年4月以来14ぶりの高い水準である。日銀が当初想定さていたよりも早いタイミングで追加利上げを実施しそうであるという観測と政策金利の最終到達点(ターミナル・レート)も切り上がりそうだという見立てが背景にある。
日経平均の日足チャートを見ると、反発して始まったが押し戻されてまた陰線で終えた。値動きは依然として2月3日と4日の陰線の範囲内である。次に打ち出してくるトランプ関税とその影響が読み切れず不安定な動きがまだしばらく続きそうだ。
33業種中16業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、鉱業(2位)、海運(3位)、ガラス・土石(4位)、水産・農林(5位)となった。
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石破茂首相と米トランプ大統領の会談が無難に通過 02月10日
先週金曜日の米国株式相場は大きく下落した(DJIA -444.23 @44,303.40, NASDAQ -268.59 @19,523.40, S&P500 -57.58 @6,025.99)。 ドル円為替レートは152円台前半での動きだった。騰落レシオは95.31%。東証プライムの売買代金は4兆2299億円。
TOPIX -4 @2,733
日経平均 +14円 @38,801円
米国では、米1月雇用統計の結果が公表された。非農業部門雇用者数が予想を下回った(14.3万人増<予想17万人増、前月分30.7万人増)。失業率は改善し(4.0%<前月分4.1%)、平均賃金(前月比+0.5%前年比+4.1%>予想+0.3%, +3.8%)は上昇した。2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は弱い結果(67.8%<71.1%)となったが、1年先期待インフレ率速報値は大きく上昇した(4.3%>前月分3.3%)。経済統計指標の発表を受けて、米10年債利回りは前日の4.438%から一時4.515%へ上昇したことで、追加利下げ期待が後退した。トランプ大統領が新たな関税政策を打ち出すことに対する警戒感も重なり、主要3株価指数は揃って反落した。
本日2月10日の東京市場では、米国株安の流れを受けて日経平均は下げて始まったが、その後は切り返して小幅高で終えた。石破茂首相と米トランプ大統領の会談が無難に通過したとの見方が主流となり、イベント通過により、予め売り建てておいた先物を海外勢が買い戻した。太陽誘電、ディーエヌエー、大林、フジクラなど好業績銘柄は素直に買われて大幅高となった。ただ、日経平均では上値を買い上がろうとする動きは乏しい。その背景には、トランプ大統領の関税政策(米国が輸入する鉄鋼・アルミに対する25%の関税を課す、相手国が米国製品に課しているのと同じ税率を課す「相互関税」)に対する警戒感があり、さらに、日本固有の事情として、日銀の追加利上げを先取りするかのように金利がじわじわと上昇していることがある。国内債券市場では、10年物新発国債利回りが一時1.32%(2011年4月以来13年10カ月ぶりの高水準)まで上昇した。
日経平均の日足チャートを見ると、下げて始まった後、切り返して短陽線で終えたが、2月3日と4日の陰線の値幅内での動きがまだ継続している。
33業種中18業種が上げた。上昇率トップ5は、パルプ・紙(1位)、鉱業(2位)、非鉄金属(3位)、石油・石炭(4位)、海運(5位)となった。
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好決算発表をしても売られる:何故か理解しているか? 02月08日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -125.65 @44,747.63, NASDAQ +99.66 @19,791.99, S&P500 +22.09 @6,083.57)。ドル円為替レートは152円台前半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方がやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が751に対して、下落銘柄数は827となった。騰落レシオは93.65%。東証プライムの売買代金は4兆5765億円。
TOPIX -15 @2,737
日経平均 -280円 @38,787円
米国では、トランプ関税を織り込みつつあり、関税政策に対する警戒感が和らいできた。この点は株価にとっては良いことである。経済指標では、新規失業保険申請件数が弱い結果(21.9万件>前週分20.8万件)となったが、翌日に1月の雇用統計(FRBが追加利下げを決めるかどうかの重要なデータ)の発表を控えているため、警戒感のため米10年債利回りは前日の4.420%から4.436%へ上げた。株価は高安まちまちとなった。
本日2月7日の東京市場では、前日に好決算を発表(2024年4~12月期連結純利益は68%増の4011億円)した東京エレクトロンが4%も下げた。通常なら買いが殺到したはずだが、米トランプ大統領の関税政策が早晩、米中対立を激化しその煽りで東京エレクトロンの売り上げは相当減少する可能性が高いとの見立てだろう。
決算の過去は良いとして、株価を決めるのは未来の業績の良し悪しである。今回の決算発表では業績見通しを据え置いたこともマーケットの先行きに対する警戒感を高めた。さらに、2025年(暦年)の世界の前工程製造装置(WFE)の市場規模見通しを1,100億ドル程度と据え置いた。東京エレクトロン1銘柄だけで日経平均を106円押し下げた。さらに、円高ドル安が進み、自動車株など輸出関連銘柄も売られた。2月7日には石破茂首相が米トランプ大統領と初の首脳会談をする。その際に、トランプ大統領が「円は安すぎる」とでも言えば、円高が急加速しかねない。
国内債券市場では長期金利の上昇が続いている。新発10年債利回りは一時、1.30%に上昇した。2月5日発表の2024年12月毎月勤労統計調査では、物価変動分を除いた実質賃金が前年前月比で0.6%上昇した。日銀は利上げの前提条件の一つとして賃金上昇を重視している。その結果、赤沢亮正経済財政・再生相が「足元はインフレの状態で、植田和男の認識と齟齬はないと」述べ、日銀の追加利上げを援護射撃した。その翌日の6日には、田村直樹審議委員が金融経済懇談会で「25年後半には少なくとも1%程度まで短期金利を上げておくことが必要だ」との考え方を示した。つまり、政府も日銀も追加利上げを協調してほぼ決めていると言える。これが長期金利が上昇基調を続けている背景である。そして、我々個人投資家は何をどうすべきか?このような未来のシナリオで、どの銘柄を買いどの銘柄を売るべきかを論理的に考えておくことである。
日経平均の日足チャートを見ると、短陰線で反落し、また2月3日から続いている保ち合い圏下限近くでのより小さいレンジ相場内での動きに戻った。雇用統計の発表で抜け出すか?
33業種中23業種が下げた。下落率トップ5は、ガラス・土石(1位)、精密機器(2位)、不動産(3位)、その他製品(4位)、輸送用機器(5位)となった。
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直前の3連続陰線の値幅を上抜けていないが・・・ 02月06日
昨日の米国株式相場は続伸した(DJIA +317.24 @44,873.28, NASDAQ +38.31 @19,692.33, S&P500 +23.60 @6,061.48)。ドル円為替レートは152円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,192に対して、下落銘柄数は394となった。騰落レシオは99.41%。東証プライムの売買代金は4兆5201億円。
TOPIX +7 @2,752
日経平均 +235円 @39,067円
米国ではどうやらマーケットはトランプ政権の関税問題を一応織り込んだようである。米10年債利回りが低下し、エヌビディアは大幅高となった。経済指標では、1月ADP民間部門雇用者数(+18.3万人>予想+15.0万人)が強い結果となった一方、1月ISM非製造業PMIは弱かった(52.8<予想54.3、前月実績54.0)。ただ、この「景気の減速」を好感して米10年債利回りは前日の4.513%から4.426%へ低下し、一時4.400%と2024年12月18日以来の水準まで下げた。主要3株価指数は揃って続伸した。
本日2月6日の東京市場では、米国株高の流れを受けて、海外投機筋主導で株価指数先物に買いが入り日経平均は上昇した。米国ではハイテク株中心のナスダックとフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が上げた流れを受け、東京エレクトロンやアドバンテストなどの値がさ半導体関連銘柄が買われて日経平均を押し上げた。日経平均の上げ幅は一時300円を超えた。
日銀の田村直樹審議委員は6日、金融経済懇談会で「政策金利を0.75%へ引き上げたとしても、引き続き実質金利は大幅にマイナスで、経済を引き締める水準にはまだ距離がある」と述べた。この発言を受けて、追加利上げの下地がさらに固まったと見て、円相場は一時151円台まで上昇した。
日経平均の日足チャートを見ると、3連続陰線で保ち合いレンジの下限近くでもたもたしていたが、本日は短陽線で上げて、上方向への弾みが付いた。ただ、直前の3連続陰線の値幅を上抜けてはおらず、明日以降、上放れるかどうか注目している。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、空運(1位)、その他製品(2位)、証券(3位)、ガラス・土石(4位)、精密機器(5位)となった。
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生成AI界のゲームチェンジが始まった? 02月05日
昨日の米国株式相場は反発した(DJIA +134.13 @44,556.04, NASDAQ +262.06 @19,654.02, S&P500 +43.31 @6,037.88)。ドル円為替レートは152円台後半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が940に対して、下落銘柄数は645となった。騰落レシオは100.41%。東証プライムの売買代金は4兆7836億円。
TOPIX +7 @2,745
日経平均 +33円 @38,831円
米国では、トランプ政権が対メキシコ・カナダに対する25%の関税発動を30日間延期した一方、対中国の追加関税10%を発動した。中国は報復関税発動(10日から適用:石炭・液化天然に15%、原油・農業機械に10%)を発表した。12月JOLTS求人件数が弱かった(760万件<予想800万件)ことに加えて12月製造業新規受注も悪化した(前月比‐0.9%<予想‐0.7%)。その結果、米10年債利回りが前日の4.54%から4.51%へ低下した。主要3株価指数は揃って反発した。
本日2月5日の東京市場では、米国ハイテク株の上昇の流れを受けて、ソフトバンクグループや半導体関連銘柄の一角が買われた。トヨタ自動車は25年3月期の連結純利益見通しを上方修正した(前年比28%減の3兆5700億円から9%減の4兆5200億円へ:円安効果は5400億円)ことが好感されて急伸した。日産がホンダとの経営統合に向けた基本合意書(MOU)を撤回する方針を決めたと報じられるとホンダが8%高と急伸した。
厚生労働省が5日に発表した2024年12月の毎月勤労統計調査で、実質賃金が前年同月比0.6%上昇し、これで2カ月連続の上昇となった。この経済指標は日銀が利上げをする際に重要視する指標の一つである。経済指標で賃金の伸びが確認されたことで、日銀の追加利上げの可能性高くなったと解釈された。その結果、円高ドル安が進んだ。国内債券市場では、10年物新発国債の利回りは一時1.295%(2011年4月以来初めて)まで上昇した。
石破茂政権の閣僚発言も円高ドル安を促進した。赤沢亮正経済財政・再生相が5日午前の衆議院予算委員会で「足元はインフレの状態で植田和男総裁の認識と特に齟齬はない」と述べたからだ。これにより日銀は政府からもお墨付きをもらったことになり、追加利上げを実施しやすくなったと言える。
中国DeepSeekの表舞台への登場はゲームチェンジとなるかもしれない。ちょうど戦場での主役が1機数百億円もする最新鋭戦闘機から1機5~10万円で買えるドローンに変ったように。最新最強のGPUが入手できないなら、ソフトウェアで補うことで何とかなると世界中が気が付いた。DeepSeek登場前の1月24日と本日2月5日の間の株価の変化にこのゲームチェンジを先取りしたかのような動きがある。アドバンテストは16%安、フジクラも14%安となった(データセンター向けの電線や製造装置需要が低下するとの読み)が、AIサービスに強いNECは17%高、野村総研も15%高(AIを使うソフトウェアへ軸足が移動するとの見立て)となっている。
日経平均の日足チャートを見ると、終値では小幅高となったが3連続陰線であり、決して強くはない。それでも株価が安いとそれなりに買いは入ってくるので、よほど大きな悪材料でも飛び出して来なければ10月初旬から継続している保ち合い圏の下限に近付くほど買いが増えて下げ止まりからある程度の反発を試す動きになると見ている。トランプ政権の関税政策がまだ非常に視界不良なため、日本株の不安定な動きは当分の間続きそうだ。
33業種中16業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、その他製品(2位)、輸送用機器(3位)、情報・通信(4位)、倉庫・運輸(5位)となった。
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関税を武器にした「トランプ砲」に振り回される 02月04日
昨日の米国株式相場はおおは続落で始まった後、下げ幅を縮小して終えた(DJIA -122.75 @44,421.91, NASDAQ -235.48 @19,391.96, S&P500 -45,96 @5,994.57)。ドル円為替レートは155円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上昇する銘柄の方がやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が858に対して、下落銘柄数は721となった。騰落レシオは99.61%。東証プライムの売買代金は4兆8961億円。
TOPIX +18 @2,738
日経平均 +278円 @38,798円
米国では、米トランプ大統領が週末にメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課し、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと発表した。世界経済の縮小と米国内の物価上昇懸念が高まり、ダウ工業株30種平均は一時660ドル急落したが、メキシコが譲歩してメキシコに対する関税発動は1カ月間停止されると発表された。メキシコが米国への違法薬物(合成麻薬フェンタニル)の米国流入・不法移民防止対策として1万人規模の軍隊を国境へ派遣すると合意したためである。過度な警戒感が和らぎ、主要3株価指数は下落幅を縮小して終えた。引け後になったが、カナダも国境管理の強化を約束し、カナダに対する関税発動も30日間延期されると報道された。関税はやはりトランプ流の「ディール」の手段のようだ。
本日2月4日の東京市場では、米国が発表していたメキシコ・カナダに対する関税発動を延期すると発表したことで、世界経済への悪化懸念が和らぎ、日経平均は反発した。日経平均の上げ幅は一時600円を超えた。但し、米国は対中国関税は予定通り引き上げた。その報復として中国も米国産の一部製品(原油・石炭、液化天然ガス、農業機械など)に対して関税を引き上げると発表した。また、中国は独占禁止法に抵触しないかどうかを巡りグールグに対する調査も開始すると発表した。その結果、米中対立激化を懸念して日経平均の上げ幅は急速に縮小した。他方、長期金利が上昇基調にあるため、三菱UFJ、千葉銀行、ふくおかFGなど銀行株は比較的堅調な動きだった。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日の大陰線に対して本日も大陰線となったが、終値では切り上がった。形としては連続陰線で上昇するという不安定な上げ方となったが、これは先行きの不安が依然として大きいことを示す。本日は昨日の下げ過ぎからの自律反発に過ぎないだろう。米国の対メキシコ・カナダの関税発動は30日間延期されたにすぎず解決には程遠い。まだまだ二転三転する可能性があることをマーケットは十分承知しているからだ。
33業種中20業種上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、繊維製品(2位)、電気機器(3位)、輸送用機器(4位)、その他製品(5位)となった。
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「トランプ関税砲」は虚を突いて噴いた! 02月04日
先週金曜日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -337.47 @44,544.66, NASDAQ -54.31 @19,627.44, S&P500 -30.64 @6,040.53)。ドル円為替レートは155台後半の先週末比円安ドル高水準での動き。本日の日本株全般は下げた。東証プライムでは、上昇銘柄数が154に対して、下落銘柄数は1,470となった。騰落レシオは98.56%。東証プライムの売買代金は5兆5629億円。
TOPIX -68 @2,720
日経平均 -1,052円 @38,520円
先週金曜日の米国では、トランプ米大統領がカナダ(25%)、メキシコ(25%)、中国(10%の追加)に対して2月4日から関税を課すと報道されると、寄り付きからそれまで上げていた株式相場は反落した。米10年債利回りは前日の4.512%から4.544%へ上昇した。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視するコアPCE価格指数は予想と一致した。
本日2月3日の東京市場では、米国の高関税政策が世界経済に与える悪影響が懸念され、トヨタ自動車をはじめとする自動車を中心に幅広い銘柄が売られた。日経平均の下げ幅は一時1,100円を超えた。関税の発動はまだ先のことだろう、或いは他国との交渉材料でブラフに過ぎないと高を括っていたところに「トランプ関税砲」は虚を突いて噴いた。カナダとメキシコは報復関税で応じる姿勢である。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップダウンで始まった後、大陰線で急落し、10、25、60、260日のすべての移動平均線を割り込んだ。10月初旬を起点として続いている保ち合いレンジの下限(@37,800円辺り)に近付いてきた。
33業種中32業種が下げた。下落率トップ5は、輸送用機器(1位)、精密機器(2位)、パルプ・紙(3位)、機械(4位)、非鉄金属(5位)となった。
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長期金利は1.5~2%くらいまで上がるか? 02月01日
昨日の米国株式相場は反発した(DJIA +168.61 @44,882.13, NASDAQ +49.43 @19,681.75, S&P500 +31.86 @6,071.17)。ドル円為替レートは154円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が606に対して、下落銘柄数は976となった。騰落レシオは109.52%。東証プライムの売買代金は4兆6090億円。
TOPIX +7 @2,789
日経平均 +59円 @39,572円
米国では、弱い経済指標を受けて米10年債利回りが一時4.48%まで下げ、株式相場を支えた。また、前日に決算発表したIBM、テスラとメタ・プラットフォームが上昇した。しかし、トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に対して2月1日から25%の関税を課す方針をあたらめて表明した。そのため、ダウ工業株30種平均は一時295ドル高まで上昇していたが、上昇幅を縮小させて168.61ドル高で終えた。さらに、トランプ米大統領はBRICSなどの新興国が米ドル以外の代替通貨を模索すれば100%の関税を課すとも宣言した。
本日1月31日の東京市場では、前日の米国市場で主要3株価指数が揃って上げたことを受けて、人口知能(AI)関連の値がさ半導体関連銘柄の一角が買われた。ただ、トランプ米大統領の関税強化政策に対する警戒感が株式相場の頭を抑えた。
日経平均の日足チャートを見ると、株価>上向きの10日移動平均線>上向きの25日移動平均線>上向きの60日移動平均線となっており、再び株価サイクル③(着実な上昇局面)となった。但し、もう少し長い時間軸で見ると昨年10月初旬を起点とした「強気レクタングル」という保ち合い相場のレンジ内での動きでもある。強い悪材料が出て来ないことを条件に、レンジ相場の上限である40,250円辺りまでは反発することは十分にあり得る。しかし、チャート・リーディングが教えてくれるのは、現時点では誰も知らない「大きな好悪材料が今後出てこないならこのように動くのが定石である」ということまでである。
チャートは役に立つが盲信してもいけない。チャート・リーディングで不足する部分は株価の原理原則により演繹的に推論する。それでも足りない部分がある。その部分は建玉操作で補正する必要があり、この部分は「知識」でなく「技能」なので、その真髄部分は体験・経験により各自が自分で磨くしかない。そして、「技能」を極めて行くといつかは「芸術」になる。皆さん、「芸術の境地」を目指して精進しましょう。
長期金利の上昇余地はまだかなりありそうだ。植田和男日銀総裁が先日、「実質金利は大幅なマイナスで極めて低い水準」「(景気を熱しも冷やしもしない)中立金利にはまだ相応の距離がある」と述べたため、マーケットの利上げ予想はもやは政策金利0.5~0.75%で打ち止めではなく1%以上に切り上がった。もし政策金利が1%まで上がるとすれば、長期金利は1.5~2%くらいまで上がるはずと身構え始めた。
33業種中17業種が上げた。上昇率トップ5は、証券(1位)、非鉄金属)(2位)、海運(3位)、電気機器(4位)、金属製品(5位)となった。
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